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2024年6月17日★★★★昨年出発された「ジウ」シリーズの最新作であるが、最初の「ジウ」3部作は私が読書を趣味にする切っ掛けを作ってくれた思い入れのある作品のため、本作を読む前に先週先に「歌舞伎町セブン」読んでおいたので、このシリーズの大枠な流れは把握し、準備万端で読んでみることにした。生きながらにして臓器を摘出された死体が発見された。東弘樹警部補らは懸命に捜査にあたるが、二ヶ月が経っても被害者の身元さえ割れずにいた。一方、陣内陽一の店「エポ」に奇妙な客が集団で訪れた。緊張感漂う店内で、歌舞伎町封鎖事件を起こした「新世界秩序」について一人の女が話し始める。「いろいろな誤解が、あったと思うんです」――。各所で続出する不気味な事件。そして「歌舞伎町セブン」に、かつてない危機が迫る……。(Amazon内容紹介より)まぁ、いきなりグロテスクなシーンの描写が描かれていてダジろいたが、誉田作品では姫川シリーズにも同様なシーンがあり、ある程度の心構えがあったので、なんとかスルーできたが、想像してしまうのでなかなか慣れません…。内容は陣内をメインとした歌舞伎町セブンのメンバーと新世界秩序(NWO)、東弘樹警部補とが再び絡みう形で、またまた最高に面白い展開で一気読みでした。日本の中国との外交政策に関係してくる政治的に絡んだ展開は、そこまでいくのか?そこまでやっちゃうの?という驚きながら進むノンストップの展開にページをめくる手が止まりませんでした。最後の東弘樹警部補の落ち込みようには正直同情ものですが、あなたがいない本シリーズはありえないので、エールを送りたいと思います。ジロウの片目が本当に失明したのかや小川の抜けた穴など、今後の歌舞伎町セブンがどうなるのか、心配だがまだまだ続いて欲しいと思う。
2024.06.17
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2024年6月13日★★★★先月末に「ジウ」シリーズの最新作の「ジウX」が昨年出版されているの知り、シリーズが歌舞伎町セブンが主軸になっていることは知っていたが、最新作を読む前に本棚に眠っている「歌舞伎町セブン」をまずは読んでおかなくてはと手に取ったあと、誉田哲也の作品を読むのはいつ以来かなと調べてみると、なんと2015年の「ヒトリシズカ」以来だとわかり、実に9年振り読んでみることにした。歌舞伎町の一角で町会長の死体が発見された。警察は病死と判断。だがその後も失踪者が続き、街は正体不明の企業によって蝕まれていく。そして不穏な空気と共に広まる謎の言葉「歌舞伎町セブン」…。『ジウ』の歌舞伎町封鎖事件から六年。再び迫る脅威から街を守るため、密かに立ち上がる者たちがいた。戦慄のダークヒーロー小説。(BOOKデータベースより)読書中に「ブラック・ショーマンと覚醒する女たち」を先に読むために一時中断もあり、読み終えるのに時間がかかったが、久しぶりに誉田哲也の作品を楽しめました。本作は「ジウ」シリーズの世界観を引き継いでいて、「ジウ」の歌舞伎町封鎖から6年後の歌舞伎町が舞台になっていてる。内容はと言うと歌舞伎町の神社の境内で町会長の死んでるのが発見され、警察は病死と判断したが、それを不審に思う歌舞伎町セブンのメンバー達(バーエポのマスター陣内、暴力団組長の市村、酒屋の杏奈にミサキとジロウ)。そしてフリーライターの上岡と父親を殺されたのではと調べる交番勤務の小川幸彦が絡み、そこにシリーズで外せないお馴染みの東警部補を交えて物語は進んでいく。上岡が嗅ぎつけた歌舞伎町セブンや欠伸のリュウが町会長の死に関与しているのか?小川の父の死もそうなのか?町会長の死を含めた真相は?最後に上岡と小川をセブンの仲間に加えた今後の展開が楽しみだ。あと、ミサキとジロウの正体はひょっとして…。
2024.06.13
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2024年6月4日★★★★ちょっと停滞していた読書だが、シリーズ化したら面白いと思った元マジシャンで今はバーのマスターを主人公にした連作短編小説が、単行本で年始に出版されているのを知り、地元の図書館に予約していたのだが、やっと自分に回って来たと連絡が入ったので先月末から読みかけていた本を置いて先に読んでみることにした。この人は人生をリノベーションするつもりだ――亡き夫から莫大な遺産を相続した女性の前に絶縁したはずの兄が現れ、「あんたは偽者だ」といいだす。女性は一笑に付すが、一部始終を聞いていた元マジシャンのマスターは驚くべき謎解きを披露する。果たして嘘をついているのはどちらなのか――。謎に包まれたバー『トラップハンド』のマスターと、彼の華麗なる魔術によって変貌を遂げていく女性たちの物語。その”マジック”は謎解きのための華麗な武器。全貌を知る時、彼女たちは何を思うか。そして、どう生きていくのか。(Amazon内容紹介より)ブラック・ショーマンこと武史はバー「TRAPHAND」のマスターであるが、序章を店のタイトルして、各編のタイトルの最後に「女」がつく作品が5編続くが、中でも「リノベの女」と「続・リノベの女」が傑作だ。「リノベの女」は、不動産会社のリフォーム部門に勤務する真世だが、ある顧客の女性の前に何年も会っていない兄が現れたのだが、それはあまりにも露骨な目的だっだ。武史がうまく追い払った後に明かされる真実とは…。「続・リノベの女」は、リノベしたはずの真世の顧客の女性だったが、困ったことが起こり、再び武史が首を突っ込む展開に…。自分を捨てた彼女だったが、実の親の変わり果てた姿をみたら、情までは捨てられないのは当たり前。これでよかったと私は思いたい。タイトルの通り、女たちを覚醒させるブラック・ショーマンの武史。何をやらせても超一流だが、嫌みの無い魅力的なキャラクターである。また、次作で再会できると信じてます。
2024.06.04
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2024年5月6日★★★★4月に井上夢人の「魔法使いの弟子たち」を読んだあと、次は未読の本棚に2冊残っている岡嶋二人を読むと決めていたが、GWに入り娘達が実家に帰って来てバタバタしていたこともあり、読書を中断していたが、GW後半になり、嫁さんと娘達だけで買い物するなどで、男の私は1人取り残されて時間を持て余しそうだったので、時間つぶしを兼ねて野球のスパイ行為を題材にした本作を読んでみることにした。プロ野球情報戦の暗部を鋭くえぐる傑作ミステリー。高度のデータ野球でV4をめざす新日本アトラス。これをはばもうとする他球団ではネット裏で必死の情報収集が行われていた。アトラス球団の覗き部屋と呼ばれる情報管理室スタッフが不可解な殺人事件に遭遇する。データを狙うスパイを操るのは誰なのか?(BOOKデータベースより)野球というのは基本、ピッチャーとバッターとの勝負であるが、その中でピッチャーとキャチャー間での球種やコースなどのサインがある。そのサインを盗むというスパイ行為の疑惑は日本プロ野球や本場大リーグでも数しれず行われている。しかし、本作のここまで極めたスパイ行為は刊行当時を考えても大胆であり、こんな設定にした岡嶋二人はすごいと思う。ただ、情報戦が勝負を左右することは理解出来るが流石に殺人事件まで発展するほどのものではないでしょ…加熱するのはグラウンドだけにしてほしいと思ったのが、率直な感想です。なんとも救いようのない話だが、文句なしに一気読みでした。やっぱり岡嶋二人は面白い。
2024.05.06
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2024年4月24日★★★★今月始めに池井戸潤の「花咲舞が黙ってない」を再読したあと、読書の小休憩を挟んで次に読んだのは、岡嶋二人の片割れの井上夢人の作品で文庫本になって上下巻に分かれたSFであり、ミステリであり、そしてアクション大作でもある本作を久しぶりに読んでみた。山梨県内で発生した致死率百パーセント近い新興感染症。生還者のウィルスから有効なワクチンが作られ拡大を防ぐが、発生当初の“竜脳炎”感染者で意識が戻ったのは、三名だけだった。病院内での隔離生活を続ける彼ら三名は、「後遺症」として不思議な能力を身につけていることに気づき始める。壮大なる井上ワールド、驚愕の終末―。(BOOKデータベースより)本作はミステリーというよりSF色が濃く、井上さん曰く、絶対有り得ない現象、起こり得ない情景を一度は書いてみたかったと言うぐらいの超大ホラ話なのだ。内容はというと山梨県内で発生した致死率ほぼ100%の新型感染症。それは「竜脳炎」と命名される未知の感染症であった。その中でわずか生き残った3人の物語である。その生き残った彼らは「後遺症」として不思議な能力を身につけていることに気づくのだが、その能力というのが…なのである。新型コロナウィルスを巡る騒動は記憶に新しいが、最近ではパンデミックという言葉も知られるようになったが、本作が書かれた15年前に著者の井上氏は先駆けてこのテーマを取り上げることに驚きを隠せない。大ホラ話。ここまで広げた大風呂敷をどうやって収束させるのか?最高点まで盛り上がったジェットコースターから最後は垂直に突き落されるような残り15ページの力業を予想出来た人はいなかったでしょう。ここまで好き放題にやってしまうと、次も期待しているが流石にこれ以上は無理かな?
2024.04.24
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2024年4月2日★★★★今年に入って月2冊〜3冊と順調に読書を継続出来ているのでこのままのペースで行けば年間目標の24冊は軽く突破出来そうな状況なので、さぁ次は何を読むかと迷っていたら大好きな作家の筆頭である池井戸潤の7,8年ぐらい前に読売新聞に連載していた「花咲舞が黙ってない」がこの春テレビドラマ化すると知り、文庫版の方は随分前に読んでいたがKindle Singleより配信されていた「犬にきいてみろ」が特別収録された新装増補版が出版されているのでドラマが始まる前に当時を思い出しながら読んでみた。東京第一銀行の花咲舞は、今日も不正を許さない。別府支店が見送りの判断を下した、老舗温泉旅館への巨額融資。返済の見込みは立たないはずだが、直後ライバル行が融資を決定した。無謀な融資の裏に隠された、二行の上層部が交わした約束とは(「湯けむりの攻防」)。正義の“狂咲”が組織の闇に挑む痛快短編集。特別収録短編「犬にきいてみろ」。(BOOKデータベースより)まず、読後の感想として今までのこのシリーズと違い、最後は気分爽快で読み終わることがなく終わるのだが、やはり池井戸潤の作品は最高なのは変わりませんでした。内容としては東京第一銀行の隠蔽体質の中で産業中央銀行との合併を見据えた東京第一銀行内の上層部の権力争いなどか濃厚に描かれている。この争いにひょんなことから巻き込まれる相馬と舞の活躍とが本作の見所である。更に皆さんがご存知の若き日のある人が登場し、最後の意外な結末にはびっくりでした。相馬がその後どうなったのか気になるし、合併後の舞と相馬の関係も読んでみたい。文庫版発売当時の作者へのインタビューで続編はないとのことだかこの続きを読みたいと思っているのは私だけではないでしょう。
2024.04.02
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【楽天ブログに残していない過去に読んだ小説の中でEvernoteにメモが残っているものは当時の日付でそのままの内容でアップしています】2013年6月19日 ★★★すべてがFになるに続くS&Mシリーズ第2段を期待して読んでみた。同僚の誘いで低温度実験室を訪ねた犀川(さいかわ)助教授とお嬢様学生の西之園萌絵(にしのそのもえ)。だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女2名の大学院生が死体となって発見された。被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか!?人気の師弟コンビが事件を推理し真相に迫るが……。究極の森ミステリィ第2弾。(BOOKデータベースより)実験中に行った院生の殺人に過去に失踪した院生の死体も見つかり、その解明をしていくと言う内容だったが衝撃的だった前作に比べてかなり物足りなく感じた。殺人の動機が弱くトリックにも驚きがなく一気に読み進める事が出来なかった。第3段を期待してシリーズを読み続けるか判断したい。
2024.03.24
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【楽天ブログに残していない過去に読んだ小説の中でEvernoteにメモが残っているものは当時の日付でそのままの内容でアップしています】2013年4月28日★★★★孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季(まがたしき)。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平(さいかわそうへい)と女子学生・西之園萌絵(にしのそのもえ)が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。(BOOKデータベースより)限りなく★5つに近い面白い作品だった。シリーズものなので完読後、最終的に判断したいと思う。絶対わかるはずのない難題を主人公の犀川が解明してしまうが疑問に思う部分も少しあった。コンピュータ関係に詳しくない人には理解しにくい部分があったがそれを差し引いても最後まで一気に読めた一冊だ。
2024.03.24
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2024年3月24日★★★★今月に入ってすぐ最近話題作を出していて気になっていた浅倉秋成の「六人の嘘つきな大学生」を読んだあと、嫁さんと二人で体調を崩して読書どころではなかったのですが、やっと体調も戻ってきたので、次は何を読もうかと本棚を眺めていると、分厚い森博嗣のS&Mシリーズ10冊の残り3冊が目にとまり、あー確か「幻惑の死と使途」と「夏のレプリカ」を続けて読んだあと、次の作品が分厚いので躊躇したのを思い出しだが、何故か今なら読めそうな気がして、なにはともあれ久しぶりにS&Mシリーズ第8作目を読んでみることにした。避暑地にある別荘で、美人姉妹が隣り合わせた部屋で1人ずつ死体となって発見された。2つの部屋は、映写室と鑑賞室で、いずれも密室状態。遺体が発見されたときスクリーンには、まだ映画が……。おりしも嵐が襲い、電話さえ通じなくなる。S&Mシリーズナンバーワンに挙げる声も多い清冽な森ミステリィ。(BOOKデータベースより)S&Mシリーズの第8作は、今までと全く違い大部分が本作の主人公と思われる笹木という男の回想シーンで構成され、途中に萌絵と犀川が語るという趣向を変えた作品でした。西之園家の別荘に向かう車中で萌絵が犀川にある事件について語る。その事件とは嵐の夜に避暑地にある別荘の隣り合った部屋で姉妹がそれぞれ死体となって発見され、いずれの部屋もいつものパターンで密室である。二つの部屋は映写室と鑑賞室で、死体が発見されたとき、スクリーンは映写中だったらしい…。笹木の回想シーンでは事件の関係者から様々な仮説が披露されるという推理合戦でなかなか興味深い話が続くのだが最後はただの回想ではなかったのだ…。うーんやっぱり騙される私でした…。本作は今までと違った形で楽しめましたが、気になる方は実際読んで確認して下さい。既にS&Mシリーズの最初の作品「すべてがFになる」を読んで以来、約10年が経過するが完全制覇まで残り超分厚い2冊となったので、躊躇せずに読んでみたいと思う。
2024.03.24
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2024年3月11日★★★★1月から2月にかけてガリレオシリーズなど東野圭吾の作品を続けて4冊読んだあと、末っ子の結婚式などでバタバタしていて読書に時間が取れなかったのですが、やっと落ち着いたので、さぁ次は何を読もうかと本棚を眺めていると、丁度図書館に予約していた2022年度の本屋大賞ノミネート作で最近話題作をいくつか出していて気になる作家の浅倉秋成の本作が確保されたとメールが入っていることに気が付き、何はともあれ図書館まで受け取りに行き読んでみることにした。成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。(BOOKデータベースより)本作は2022年本屋大賞ノミネート 、ブランチBOOK大賞、このミステリーがすごいなどの様々なミステリーランキングを席巻した作品で、就職活動を舞台に六人の登場人物の裏の顔が暴かれ、そこで明らかになった六人の嘘と罪の真相がクライマックスに向けて次々と伏線回収されていくパターンのミステリー作品である。最初に波多野の手紙から物語は始まり、その波多野の8年後の死ということから事態は動く。途中のインタビューなどを挟み、波多野が犯人ではないことから残りの5人中に犯人がいるというこのなのだが、二転三転と誰が犯人なのか全く分からない状況で進んでいき、最後の最後まで予想出来ないまま真相が解明するのだが、まさか彼が犯人とは…最後に嶌さんから波多野が好きだったと言う言葉に彼の行動が報われて良かったです。本作を読んで気になる作家がまた1人増えたようだ。
2024.03.11
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2024年2月23日★★★★今月上旬にガリレオシリーズの「虚像の道化師」を読んだあと、少し間が空いたが1月から続く東野圭吾の作品がこれで4冊連続となった。別に意識して続けたのかわけではなく、たまたまAmazonプライムビデオで嵐の二宮和也が主演で映画化された本作が目にとまり、映像を見る前に小説を先に読むのが経験上分かっているため、未読の本棚から探し出して読んでみることにした。国民の遺伝子情報から犯人を特定するDNA捜査システム。その開発者が殺害された。神楽龍平はシステムを使って犯人を突き止めようとするが、コンピュータが示したのは何と彼の名前だった。革命的システムの裏に隠された陰謀とは?鍵を握るのは謎のプログラムと、もう一人の“彼”。果たして神楽は警察の包囲網をかわし、真相に辿り着けるのか。(BOOKデータベースより)物語はDNA捜査システムが使われる中、必然的に鑑識や聞き込みといった従来の捜査手法は無くなり、捜査員はDNA捜査システムが弾き出した犯人を捕まえるだけ。こんな楽な捜査で検挙率が飛躍的に上がる中、システムに引っかからない犯人による連続殺人事件が発生する。近未来を舞台に管理社会の恐怖を描くというSFなどでよくあるパターンであるが、DNA捜査システムやそれに絡む陰謀と展開がめまぐるしく変わって最後に真相がわかると、このようなことは現在でも何かしら行われているに違いないし、未来も同じなんだなぁと感じてしまうのは私だけでは無いはず。近い将来犯罪時にDNAを使って犯人を特定する時代が来るという話だが、まずマイナンバーカードですら、なかなか普及しなかった状況を考えると国民がDNAを提供する時代が本当に来るのだろうかというのが、読み終えたあとの率直な感想でした。
2024.02.23
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2024年2月9日★★★★1月に読んだ「同級生」と「あなたが誰かを殺した」に゙続く東野圭吾の作品が本作で3冊連続となったが、意識して続けたのかと問われれば、そんな事は無いのだが前作の加賀恭一郎シリーズの「あなたが誰かを殺した」を読んだあと、同じシリーズもので長く続いているガリレオシリーズを無性に読みなくなり、まだ未読だった短編作品が1冊残っていることを思い出し、本棚から探し出してガリレオ先生こと湯川の活躍を期待して読んでみることにした。ビル5階にある新興宗教の道場から、信者の男が転落死した。男は何かから逃れるように勝手に窓から飛び降りた様子だったが、教祖は自分が念を送って落としたと自首してきた。教祖は本当にその力を持っているのか、そして湯川はからくりを見破ることができるのか(「幻惑す」)。ボリューム満点、7編収録の文庫オリジナル編集。(BOOKデータベースより)本作は直木賞を受賞した「容疑者Xの献身」や「真夏の方程式」、最近では「沈黙のパレード」など長編で映画化を意識したものではなく、ガリレオシリーズの原点であるトリックを重視した作品集のようだ。どの作品も読み応えはありましたが、中でも新興宗教団体の会合で幹部の1人が突然5階の窓から飛び降り、教祖が念力で突き落としたとされる事件に湯川が体を張ってトリックの謎ときをした「幻惑す」。町長になった大学の同期の結婚披露宴に来ていた湯川と草薙が事件に巻き込れ、難解なトリックを湯川がこれまた解き明かす「偽装う」は一押しです。短編のため、どれも軽目の作品ばかりだか、ガリレオシリーズは末永く続けてほしいものです。早く最新の作品を読んでみたいなぁ。
2024.02.09
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2024年1月23日★★★★今月3冊目は加賀恭一郎シリーズの最新作で最近文庫版での新装版が発売された「どちらかが彼女を殺した」と「私が彼を殺した」に続く「〇〇〇を殺した」シリーズでもある。新装版は本作の出版を意識したものであるのは間違いないが、最後まで犯人は分からず読者に推理を問う形になっているため、袋綴じに犯人当てのヒントが書かれている。本作はそんなパターンでは無いようだが、とりあえず期待して読んでみることにした。閑静な別荘地で起きた連続殺人事件。愛する家族が奪われたのは偶然か、必然か。残された人々は真相を知るため「検証会」に集う。そこに現れたのは、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎。私たちを待ち受けていたのは、想像もしない運命だった。(BOOKデータベースより)別荘地に集まった金持ち家族のパーティが終わった後、ナイフを持った男が乱入し、彼らを襲い始める。5人が死亡する惨事になり。犯人は直ぐ逮捕されるが死刑になりたかったと言うだけで、動機など犯行の詳細については一切の供述を拒否していた。そのため生き残りの家族で独自の検証会を行うことになり集まるのだが、そこに休暇中の加賀恭一郎が関係者の1人に同行し、検証会に参加する。加賀がそれぞれの証言や現場の状況などから謎を解き明かして行くのだが、人間の欲望などが絡みドラマのようにスピーディーな展開で最後にびっくりな真相が解明されるが、動機がちょっと軽すぎるんじゃないかと感じるが楽しめたので良しとしましょう。また、捜査一課に戻った加賀恭一郎を読んでみたいので東野圭吾先生、早く続編をお願いします。
2024.01.24
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2024年1月16日★★★今年も順調に読書を続けていけそうで、年始に読んだ本屋大賞2位の安壇美緒の「ラブカは静かに弓を持つ」はミステリーではなかったので、今年最初に読むミステリー小説は何が良いかと本棚を眺めていると、東野圭吾の学園物のミステリー作品である本作が目に止まり、確かデビュー当時のもので今とは違った楽しみ方あるだろうと、期待して読んでみることにた。同級生の宮前由紀子は俺の子を身ごもったまま、そして俺の愛が本物だったと信じたまま事故死した。俺にできる償いは本気の関係だったと皆に告白することと事故の真相を暴くことだけだった。やがてある女教師が関わっていたことを突き止めるが、彼女の絞殺体が発見されるや、一転俺は容疑者にされてしまう。(BOOKデータベースより)学園恋愛ミステリーと思いきや、最後はどんでん返しが待っているのだが、なんだかもやもやした読後感のある作品でした…。内容はというと、主人公で野球部に所属する西原荘一がマネージャーの宮前由紀子と関係を持った。その由紀子は荘一の子を身ごもったまま事故死してしまう。彼がやならければ行けないことは由紀子との関係は本気だったと告白することと、事故の真相を明らかにすることだった。事故に絡んでいたのは教師であり、教師が悪役の構図が出来上がっているが、個人的には荘一の軽率な行為を責めらべきではないのかと感じてしまう。さすがに若気の至りでは済まされない気がする。荘一の妹絡みの家庭事情もわからなくは無いが、これでは亡くなった由紀子が浮かばれません。
2024.01.16
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2023年1月8日★★★昨年は読書を始めた頃の半分にも満たない数ではあるが、年始に目標とした年間24冊をギリギリ達成させたので、今年も無理の無い範囲で読書を続けて行きたいと思うが、最低でも昨年同様の年間24冊は読みたいと思う。新年最初の読書に選んだのは昨年、凪良ゆうの本屋大賞受賞作品の「汝、星のごとし」を読んだあと、2位の作品が気になって地元の図書館に予約していたのだが、すっかり忘れていた頃、年末に図書館から確保されましたと連絡が来て思い出し、全く知らないのだが安壇美緒という作家の作品を初めて読んでみることにした。少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇。以来、深海の悪夢に苦しみながら生きてきた橘樹は勤務先の全日本音楽著作権連盟の上司・塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠を掴むこと。身分を偽り、チェロ講師・浅葉桜太郎のもとに通い始めるが…少年時代のトラウマを抱える潜入調査員の孤独な闘いが今、始まる。『金木犀とメテオラ』で注目の新鋭が想像を超えた感動へと読者を誘う、心震える“スパイ×音楽”小説!(BOOKデータベースより)内容は音楽教室を舞台にしたスパイもので、音楽著作権連盟の若手社員の主人公が教室での状況を調べるべく上司の命令により潜入捜査を指示され、主人公の過去のトラウマや潜入捜査をする中での苦悩と人や音楽との出会いから成長する主人公を綺麗に描いた作品でミステリー小説とは違った意味で楽しみました。著作権についての考え方は会社と個人では全く異なるとおもうのだが考えさせられた作品でした。機会があれば著者の別の作品も読んでみたいと思う。
2024.01.08
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2023年12月27日★★★★先週読んだ江戸川乱歩賞作の「脳男」で遂に今年の目標である読書の年間24冊にあと1冊となり、目標達成に向けて何を読もうかと考えた中で選んだのは、ラグビーブームがおこった2019年にTBSの日曜劇場で話題になりドラマを先にみてしまったため、先送りしていた本作を池井戸潤の作品としては年始に読んだ「ハヤブサ消防団」以来、約1年ぶりに読んでみることにした。未来につながる、パスがある。大手自動車メーカー・トキワ自動車のエリート社員だった君嶋隼人は、とある大型買収案件に異を唱えた結果、横浜工場の総務部長に左遷させられ、同社ラグビー部アストロズのゼネラルマネージャーを兼務することに。かつて強豪として鳴らしたアストロズも、いまは成績不振に喘ぎ、鳴かず飛ばず。巨額の赤字を垂れ流していた。アストロズを再生せよ―。ラグビーに関して何の知識も経験もない、ズブの素人である君嶋が、お荷物社会人ラグビーの再建に挑む。(BOOKデータベースより)あの感動したドラマを先にみてしまっているので、原作があというパターンは以前もあったのだが、あのときも同じ感想を書いたかもしれない。やはり、ドラマは映像という優位性もあり、また様々な脚色をされているし、登場人物も多彩なため原作の方が少し物足りなく感じるのは仕方が無いとして、それを抜きに小説として読んだ感想はさすが池井戸潤だと思う。内容としては社会人ラグビーの復活劇と企業の汚職が絡んだミステリーで最後は悪党を懲らしめる毎度のパターンだが飽きずに楽しめました。ラグビーのしびれる展開や緊迫感、会場の臨場感などを小説内の言葉で表現している所はさすがだなと関心させられました。池井戸先生はラグビー好きなのかな?また、最後に滝川が君嶋に語った言葉が深く胸に刺さるし、やっぱり池井戸潤は最高ですね。今年もあと数日を残すのみだが、1年を通じて無理なく読書を続けられたので、来年も継続して行きたいと思います。
2023.12.27
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2023年12月20日★★★夏に続けて2冊読んだ江戸川乱歩賞作品だがまだ買いだめていたものが10冊程度あるため、読書の習慣が戻ってきた今ならスイスイと読み進められるのではと思い、乱歩賞随一の奇怪な小説と言われ、選考委員の満場一致で選ばれた第46回江戸川乱歩賞受賞作の「脳男」を前回読んだ「プリズン・トリック」以来、約半年ぶりに期待して読んでみることにした。連続爆弾犯のアジトで見つかった、心を持たない男・鈴木一郎。逮捕後、新たな爆弾の在処を警察に告げた、この男は共犯者なのか。男の精神鑑定を担当する医師・鷲谷真梨子は、彼の本性を探ろうとするが…。そして、男が入院する病院に爆弾が仕掛けられた。全選考委員が絶賛した超絶の江戸川乱歩賞受賞作。(BOOKデータベースより)本作は第46回江戸川乱歩賞受賞作品である。地方都市で起きた連続爆破事件で警察が犯人のアジトを突き止めるが、そこで犯人ともみあっていた男を逮捕するが犯人は逃亡する。その男は「鈴木一郎」と言うが言動が奇妙で精神鑑定のため、病院に送られるところから物語は始まる。いゃーなかなか癖のある作品で前半は鈴木を担当することになった医師の鷲谷真梨子と鈴木のやり取りと、鈴木の正体を探る内容が続き、良いのか悪いのか判断出来ないまま話は後半に進んでいくのだが、その病院に爆弾が仕掛けられたあたりから話は急展開されて面白くなっていく。この鈴木と言う男はヒーローなのか?ただの殺人鬼なのか?最後までわからない状態で終るのだが、まぁ続編「脳男II」が出ているので読んでみるしかないようです…
2023.12.20
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2023年12月7日★★★★先月から読書のペースが週一冊に上がって順調だが、12月もこのペースを維持するべく月初めに選んだのは、大好きな作家で未読の本が多数ある東野圭吾の作品の中でデビュー当時のものをとチョイスしたのは本作の「宿命」でした。脳を題材にした作品といえば以前読んだ「変身」を思い出す。確か内容は脳移植の話だったが、また違った展開を期待して読んでみることにた。高校時代の初恋の女性と心ならずも別れなければならなかった男は、苦闘の青春を過ごした後、警察官となった。男の前に十年ぶりに現れたのは学生時代ライバルだった男で、奇しくも初恋の女の夫となっていた。刑事と容疑者、幼なじみの二人が宿命の対決を果すとき、余りにも皮肉で感動的な結末が用意される。(BOOKデータベースより)スポーツなどでよく聞く「宿命」のライバルや「宿命」の対決など、本作はかつてライバルだった和倉勇作と瓜生晃彦の物語である。小学校時代からクラスのリーダー的存在だった勇作だか、勉強もスポーツも何をやっても晃彦には勝てなかった。そんな二人だが日本有数の電機メーカー社長の御曹司の晃彦は医師の道を歩んだ。一方、父の事故により医大進学を断念した勇作は父と同じ警察官となっていた。そんな二人だったがある殺人事件の捜査で十年ぶりに再開する。再開した二人だが、勇作の初恋の女性が晃彦の妻になっていたことでライバル関係が三角関係になるなど、この二人のライバル対決の行方はどうなるんだろう。最後に二人は打ち解けるのだが、事件の真相と勇作と晃彦の関係は…ドラマを見ているような展開はすべてラストの一行のためだったようだ。東野圭吾に脱帽です。皆さんも是非この感覚を味わって下さい。私もたまに文庫の解説を先に読んでしまうのですが、間違っても本作のラストの一行を見ないように注意していただきたい。読後感が激減するのは間違いないです。何度も言いますが、本作はラストの一行にすべてが込められた作品と言えるからです。まだ本棚に古い作品を含めて多数未読状態なので一度、東野圭吾月間として纏めて読んで見ようかと思案中。
2023.12.07
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2023年11月26日★★★★最近めっきり少なくなった読書の数ですが今月はこれまでに既に3冊読んでいるので、次は4冊目になるのだが、いったい何時以来かと調べてみるとなんと2021年の12月と約2年振りなのがわかり、あの時は確か年間24作品の目標達成に向けてラストスパートをしたのを思い出しました。今回はあの時とは多少状況は異なるが、今年の目標である読書の年間24冊達成に向けて何を読もうかと考えた中で選んだのは、警察小説の短編を書かせたら横山秀夫か長岡弘樹の二人の作家の名前が上がるが、その一人の長岡弘樹の作品で代表作の「教場」シリーズの続編が出版されているのを知り、「教場X 刑事指導官・風間公親」以来1年4ヶ月ぶりに本作を読んでみることにした。最恐教官・風間公親の初陣!新章始動!第一話 鋼のモデリング風間公親は、警察学校第九十四期初任科短期課程の教官となった。助教の尾凪尊彦は、気になる生徒として、人命救助で警察に表彰されたことのある矢代桔平の名を挙げた。第二話 約束の指実家が町工場を営む笠原敦気は、マル暴刑事を希望している。クラブ活動ではソフトボールに力を入れ、元高校球児の助教・尾凪から手ほどきを受けているが、スローイングに難があった。第三話 殺意のデスマスク若槻栄斗は、ブラジリアン柔術の有段者。交番実地研修中に、通り魔を逮捕した若槻に、風間は現場の再現を命じる。第四話 隻眼の解剖医警察学校では課外授業として司法解剖を見学する。不快指数が高いと、犯罪が起きやすい。七月に入り、生徒の大半が嘔吐する講習が近づいていた。第五話 冥い追跡星谷舞美は性格が明るく、成績もトップクラスである。星谷と大学同窓の石黒亘は、下位から成績を上げてきた。卒配後は成績上位二名が最重要署のA署に仮配属となる。第六話 カリギュラの犠牲氏原清純はソリの合わない同期・染谷将寿と、卒業式のスライド上映担当を任された。当日、風間は祝辞の読み上げをやめ、最終講義を始める。(Amazon内容紹介より)本作は大好きな作家である長岡弘樹の「教場」シリーズの最新刊である。物語は風間が警察学校の教官として着任した直後から第94期初任科短期課程に入学した警察学校の生徒とのエピソードを描く。プロローグで警察学校の校長は思う、今までは新米刑事を鍛えていた風間なのだ、警察官のひよっこを相手をするのはある理由があってのことで、いずれ刑事捜査の第一線に戻るんだろうと…。各短編全てに助教である尾凪と生徒が絡む展開で進んでいく。中には風間に退校を突きつけられる生徒が何人も出てくるが、それには全て理由があり、風間にはしっかり見抜かれている。それを同様に見抜けない尾凪なのだが尾凪が鈍いわけではなく、風間が特別なのだ。最終話の卒業式で行われた風間の特別授業で風間の想定を超えた学生がいることを知り、エピローグで風間は校長に警察学校に残る決意を語って締めくくっている。本作の刊行時期が春の連続ドラマのスタートに合わせたのだろうとの想像がつくが、表紙の風間が木村拓哉に似ていると感じるのは私だけでしょうか?
2023.11.26
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2023年11月20日★★★★11月に入って週一冊のペースで調子よく読書を続いているので、このペースで行けば昨年末に目標にあげた年間24冊の読書も達成可能なので早速次は何を読もうかとミステリーランキングをネットで調べていると「週刊文春ミステリーベスト10」と「MRC大賞2022」のダブル受賞の他、数々のミステリーランキングにもランクインしている本作がみつかり、夕木春央という作家は全く知らなかったのだが、そんなことはぬきに読んでみることにした。9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。そんな矢先に殺人が起こった。だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。(Amazon内容紹介より)読み始めると地下建築に閉じ込められるミステリー定番のクローズドサークル物だなと感じながら淡々と話が進んでいく。地下建築が地震により閉じ込められてしまった状況になり、全く動機が不明な第1の殺人が起こる。メンバーが助かるには生存可能な約1週間で残りの9人から犯人を見つけださないと行けない。その後謎だらけの第2の殺人、第3の殺人が起こるというひねりのある展開とはちょっと言い難い作品だなぁと読み進める中、いよいよクライマックスのエピローグに入るのだが、なんじゃこれわ!!の展開に誰もが読み返したのではないかと…。本作が評価されたのは間違い無くこのエピローグに尽きるでしょう。そこに至るまでの延々と続く前振りを我慢できるかで好き嫌いが分かれそうな作品ですが、私は楽しめました。皆さんはどっちに分類されるか読んでみてはどうでしょう。ただこの著者の別の作品を読んでみたいと思わないのは何故なんでしょうね…。
2023.11.20
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2023年11月11日★★★★6月に隠蔽捜査シリーズのスピンオフ作品の短編集「隠蔽捜査9.5」を読んだが、その中で大森署の新署長として女性キャリアが登場するが、くせ者の戸高を手なづけるなど、なかなかやり手の女性署長が登場したと思っていたら、なんとその藍本署長の単独長編小説が出たと知って、早速隠蔽捜査シリーズと同様楽しみに読んでみることにした。大森署を長年にわたり支えてきた竜崎伸也が去った。新署長として颯爽とやってきたのは、またもキャリアの藍本小百合。そんな大森署にある日、羽田沖の海上で武器と麻薬の密輸取引が行われるとの報が!テロの可能性も否定できない、事件が事件を呼ぶ国際的な難事件に、隣の所轄や警視庁、さらには厚労省に海上保安庁までもが乗り出してきて、署内はパニック寸前!?藍本は持ち前のユーモアと判断力、そしてとびきりの笑顔で懐柔していくが…。戸高や貝沼ら、お馴染みの面々だけでなく、特殊な能力を持つ新米刑事・山田太郎も初お目見え。さらにはあの人物まで…!?(BOOKデータベースより)本作は大森署を舞台にした隠蔽捜査シリーズのスピンオフ作品であるが、竜崎伸也は貝沼副署長との電話での会話が有るのみで、藍本新署長を主軸に貝沼副署長の視点で語られる形で進んでいく。その大森署の藍本新署長と言うのは絶世の美女で、その顔を拝見するために、つぎからつぎへとお偉いさんたちが大森署に馳せ参じる始末である。そんな中で羽田沖での国際密輸事案の共同捜査が始まり、なんと核兵器がその中に含まれているというのである。とんでもない状況で藍本新署長の判断は?核兵器は一体どうなるのという展開だが、びっくり仰天の判断と結末は是非読んで確認して欲しい。桁外れの美貌だけでなく的確な指示や判断は竜崎伸也前署長に負けていないぐらい魅力的で、新たなシリーズになるのではと今後に期待したい。
2023.11.11
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2023年11月5日★★★★10月は藤原伊織の作品を2冊続けて読んだあと、11月に入り地元の図書館で予約していた凪良ゆうの2023年第20回本屋大賞受賞作品の「汝、星のごとし」が確保されましたと連絡が来たので早速三連休に読むには丁度良いと思い、著者の作品としては2020年の第17回本屋大賞受賞作品の「流浪の月」以来、2年半ぶりに読んでみることにした。風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。(BOOKデータベースより)私は基本ミステリー小説をメインで読んでいるのですが、毎年実施されている本屋大賞に関してはここ数年大賞に選出された作品は読み続けているが、まず読後の感想として読んで良かったと思う。主人公の暁海と櫂、17歳の高校生での出会いから32歳と大人になるまでを二人の視点で交互に語られるパターンで物語は進んでいくが、このパターンは前作の「流浪の月」と同様である。前作でも感じたが二人に関わる人物を含めて表現や心情の描写は相変わらず素晴らしく、作者の力量にまたまた驚きを感じたのは私だけでは無いでしょう。ラストは涙腺が刺激されるし、本当に素晴らしい。現代のSNSやネットの普及が良いことだけじゃないことも考えさせられる一面もあり、プロローグとエンディングの繋がりも素晴らしく良かったと思う。まだまだ先ですが来年の本屋大賞受賞作も楽しみで仕方が無い。
2023.11.05
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2023年10月28日★★★★先々週、藤原伊織の作品の「てのひらの闇」を久々に読んでみたがハードボイルドタッチで読後感も良かったので、すぐ続編の本作を読むつもりでしたが、嫁さんのインフルエンザ感染や自分のもろもろの事情から少し時間が空いたが、藤原伊織の最後に遺した長編小説である本作「名残り火 てのひらの闇Ⅱ」を続けて読んでみた。飲料メーカーの宣伝部課長だった堀江の元同僚で親友の柿島が、夜の街中で集団暴行を受け死んだ。柿島の死に納得がいかない堀江は詳細を調べるうち、事件そのものに疑問を覚える。これは単なる“オヤジ狩り”ではなく、背景には柿島が最後に在籍した流通業界が絡んでいるのではないか―。著者最後の長篇。(BOOKデータベースより)主人公は前作と同じで堀江雅之。物語は親友である柿島隆志が暴漢に襲われ、殺害されたところから始まる。柿島がなぜ殺されなければならなかったのか、堀江は真相を解明するために独自に調査を始める。優秀な協力者たちも絡んで物語が進んで行くが、柿島の妻奈穂子の過去から謎が徐々に解明されていく。物語に登場する一癖も二癖もある刑事の関根、サンショーフーズ社長のバイク好きの三上、前作に引き続き元部下の大原、堀江の行きつけの店のオーナーのナミちゃんなど登場人物の魅力が随所に引き出す著者の筆力を感じながら柿島の妻奈穂子からの手紙とクライマックスには脱帽しました。未読の本棚に残っている「ひまわりの祝祭」も近いうちに読んでみようと思う。
2023.10.28
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2023年10月16日★★★★最近読んでいない作家の作品をと先日荻原浩の作品を久しぶり読んでみたが、続けて第2弾として手に取ったのは藤原伊織の作品の「てのひらの闇」である。藤原伊織と言うと江戸川乱歩賞と直木賞のダブル受賞作の「テロリストのパラソル」が印象的だったが、その後に読んだのが遺作で未完に終わったにもかかわらず刊行された「遊戯」だったが、それを読んだのが確か2014年春だったので、実に9年半ぶりに藤原伊織の作品を読んでみることにした。二人の男の道を決定づけたのは、生放送中のスタジオで発せられた、不用意な、しかし致命的な一言だった―。二十年後、その決着をつける時が訪れ、一人は自死を、一人は闘うことを選んだ。著者の新たな到達点を示す傑作。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。(BOOKデータベースより)著者は59歳の若さで亡くなりましたが、実は私の友人も本作を完読する直前に先日同じ59歳で亡くなりました。何か不思議な縁を感じてしまい、気持ちがざわつきました。内容はと言うと早期退職の勧告を受け退職直前の飲料会社のサラリーマンの堀江が、恩義のある会長が自殺した死の謎の真相解明に奮闘する話です。ヤクザも絡むハードボイルドタッチで主人公の堀江がなかなか格好良く、主人公の周りの魅力的な女性が複数出て来て、それぞれの堀江や会長とのの関わりが本作のキモになっています。真相は読んで欲しいのですが、最後の1頁をめくったあと、堀江と会長との信頼関係に痺れました。本作の続編が出ているので続けて読んでみようと思う。
2023.10.16
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2023年9月30日★★★9月に入って東野圭吾の新作の「魔女と過ごした7日間」を読んだあと、次は最近読んでいない作家の小説を読もうと決めていたのだが、いざ読むとなると色々有りすぎて決まらずに日が経ってしまい、そろそろ何か読まないとと未読の本棚を眺めていると、ミステリー小説の「噂」、涙なしでは語れない「明日の記憶」、ユーモアたっぷりの痛快小説「誘拐ラプソディー」、サラリーマンの奮闘記描いた「神様からのひと言 」、直木賞受賞作の「海の見える理髪店」など何を書かせても感動を与えてくれる荻原浩の小説を約6年ぶりに読んでみた。霊長類研究センター。猿のバースディに言語習得実験を行っている。プロジェクトの創始者安達助教授は一年前に自殺したが、助手の田中真と大学院生の由紀が研究を継いだ。実験は着実に成果をあげてきた。だが、真が由紀にプロポーズをした夜、彼女は窓から身を投げる。真は、目撃したバースディから、真相を聞き出そうと…。愛を失う哀しみと、学会の不条理に翻弄される研究者を描く、長編ミステリー。(BOOKデータベースより)荻原浩さんの過去に読んだミステリーは評価が高い「噂」のみだが、この作品は、少し暗い話だったはず、本作は感情を揺さぶられた作品だった。内容はというと、東京霊長類研究センターに勤務する研究者の田中真が主人公。彼の恋人で大学院生の研究スタッフである藤本由紀が窓から飛び降りて死んでしまう。死因は自殺?それとも他殺?事件当時に由紀と一緒に居たのが、人間と会話が出来るサルのバースディだけだった。唯一の目撃者がサルという設定だが、想像以上の言語能力を示すバースディは、本作の重要な役割を担っていく…。大学という組織の裏側など徐々に真相が明らかになっていくが、哀しい結末は是非読んで感じて欲しい。最後に言えることは真と由紀とバースディは人間以上の絆で結ばれていたと言うことだ。
2023.09.30
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2023年9月10日★★★★春先に大好きな作家の一人である東野圭吾の最新作が刊行されたと知り、地元の図書館に直ぐ予約を入れていたのだが、既に予約者が多数いたためなんと半年待ちになっていたが、やっと先週図書館から確保されましたと連絡があったので、伊坂幸太郎の「魔王」を読んで次は何を読もうかと考えていたところ、何はともあれラプラスの魔女シリーズの前作「魔力の胎動」から約5年ぶりに期待して読んでみた。AIによる監視システムが強化された日本。指名手配犯捜しのスペシャリストだった元刑事が殺された。「あたしなりに推理する。その気があるなら、ついてきて」不思議な女性・円華に導かれ、父を亡くした少年の冒険が始まる。(BOOKデータベースより)本作の主人公の円華はある特異な能力の持ち主だが、シリーズ1作目の「ラプラスの魔女」を読んでいないとピンとこないのではないかと思う。個人的にも事前に読むか映画化されているので映像でみるのも良いだろう。内容はというと突然父を失った中学生の月沢陸真、悲しみに浸る間もなく、偶然出会った魔女こと円華に導かれ、友人の純也も加わって事件の真相究明に乗り出すという展開で進んでいく。本作のキーワードはAIと警察組織の背景にある闇である。こんなことが今行われているとは思いたくないが、あったとしても驚けないと思う。本作が東野圭吾の100作目の作品だそうだが、そうなると私はまだ半分も読んでいないようだ。古い作品を含めてまだまだ沢山楽しみたい。やっぱり東野圭吾の小説は面白い。
2023.09.10
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2023年8月31日★★★先日、西澤保彦の本格的なミステリーものを読んだあと、少し間が空いたが次は何を読もうかと未読の本棚をまた眺めていると「アヒルと鴨のコインロッカー」を読んだあと、お気に入りの作家の1人になったと感じて買いだめていた伊坂幸太郎の未読本が7,8冊あることがわかり、これは久しぶりに読まないとと手に取ったのは、続編となる「モダンタイムス」を先に読んでしまって後悔していた本作だが「モダンタイムス」の内容もかなり忘れてしまっているので気にせず読んでみることにした。会社員の安藤は弟の潤也と二人で暮らしていた。自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、一人の男に近づいていった。五年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともに綴られる、何気ない日常生活に流されることの危うさ。新たなる小説の可能性を追求した物語。(BOOKデータベースより)本作は未来党の若き党首にして、歴史の教科書にも載っている五・一五事件で暗殺された総理大臣と同じ姓を持つ男の犬養。その犬養の主張はストレートで歴代総理が決して口にしなかった米国批判など思ったことは躊躇しないで発言する。その犬養に立ち向かおうとした兄弟の物語である。前半の「魔王」は兄、後半「呼吸」は弟が、それぞれの特異な能力を駆使して犬養に挑む。日本を変えてやるなどと大それたことを考えたわけではないが、ただ疑問を感じることからすべては始まると言う兄弟の共通の信念らしい。本作で伊坂幸太郎が読者に投げかけるものは軽くはない。ただ弟の潤也の能力は私も欲しいです。皆さんも同じですよね(笑)
2023.08.31
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2023年8月15日★★★★8月に入り読書から少し離れていたが、お盆休みに台風7号が近畿地方に直撃すると言う事で外出も出来ずに自宅で状況をみながら待機することになり、台風対策も済ませて一休みしていたところ、未読の本棚を眺めていたら西澤保彦の代表作の「7回死んだ男」の次に発表した作品と知り、読みたくて買ったのを思い出し、SFものが多い西澤作品とは異なり、本格的なミステリーものである本作を「人格移転の殺人」以来、約1年ぶりに読んでみることにした。嵐の山荘に見知らぬ怪しげな人たちと閉じこめられた万理と園子。深夜、男におそわれた万理は、不可抗力も働き彼ら全員を殺してしまう。その後、園子の部屋へ逃げこむと、園子も死体となっていた。園子を殺したのは誰なのか。驚愕のラストまで怒濤の展開。奇才が仕掛けたジェットコースター・ミステリー。(BOOKデータベースより)まず、登場人物の名前が数字で統一されているが普通には読めないので何度もページをもどったりして少し面倒だったが、あっと言う間に読み切れたと言うことは面白かったのかなと読後の素朴な感想です。嵐の中の閉ざされた別荘に集う人々というシチュエーションで主人公のマリこと六人部万里が次から次へと一体何人殺されるんだろうとコメディチック書かれているので恐怖感は無かったが、次々と予想外の展開が待ち受け、息をつく暇もない、まさにジェットコースター・ミステリでした。最後に判明する真相がありえんやろーの一言で、すっかり騙されました。これさすがに分かった人いないよなぁ…本作はかなり好き嫌いが分かれる作品でしょうが、私的には楽しめたので良しとしましょう。
2023.08.15
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2023年7月26日★★★今月始めに読んだ横関大のデビュー作であり、第56回江戸川乱歩賞受賞作の「再会」が期待以上だったので続けて多数ある未読の江戸川乱歩賞受賞作を眺めていると、その前年の受賞作である本作が目に止まり、トリックが凄いと言う事で選考委員を唸らせ、又反対に江戸川乱歩賞史上最大級の問題作とも評された本作を読んでみることにした。市原の交通刑務所内で、受刑者石塚が殺され、同所内の宮崎が逃亡。遺体は奇妙にも“前へ倣え”の姿勢をとっていた。完全な密室で起きた事件は、安曇野を舞台にした政治汚職にまで波及していく。単行本未収録の“ある人物からの手紙”を収めた最強のトリックミステリーを文庫化!。第55回江戸川乱歩賞受賞作。(BOOKデータベースより)本作は第55回江戸川乱歩賞受賞作品であるが、選考委員も悩ませた問題作のようだ。なかでも市原交通刑務所の内部や受刑者たちの生活の様子は知らない世界なので読んでいて興味深いが、刑務所内での殺人事件というのは聞いたことがなく前代未聞であり、さらに密室殺人というのだから、これをどう決着させるつもりなのか読み進めたが、選評でも指摘されている通り、視点人物が多く、必要なのかと疑問に思えるぐらい登場人物も多いので何度も読み返す事になり読み終えるのに時間がかかってしまった。また、本作の肝のトリックが成立する前提にはかなり無理があるような気がする。選考委員の1人である東野圭吾さんによると「どうにもならない大きな傷があまりにも多い」と言うがなるほどなぁと自分も納得してしまいました。本作後にベストセラーを出していればこの選考に意味があったのだと思えるが未だにくすぶっているようなので選考間違いだったのかと思ってしまう。がんばってそんな意見を見返して欲しいと願うしかない…
2023.07.27
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2023年7月8日★★★★先月読んだ井上夢人の短編集の「あわせ鏡に飛び込んで」を読んだあと出張が重なり少し間が空いたが、今月に入って時間も出来たので本棚から未読の小説を探してみたところ、推理小説の登竜門である江戸川乱歩賞受賞作が多数未読状態だったので、その中で最近ドラマ化された作品を出すなど精力的にがんばっている横関大のデビュー作であり、第56回江戸川乱歩賞受賞作でもある本作を読んでみた。小学校卒業の直前、悲しい記憶とともに拳銃をタイムカプセルに封じ込めた幼なじみ四人組。23年後、各々の道を歩んでいた彼らはある殺人事件をきっかけに再会する。わかっていることは一つだけ。四人の中に、拳銃を掘り出した人間がいる。繋がった過去と現在の事件の真相とは。第56回江戸川乱歩賞受賞作。(BOOKデータベースより)まず本作は第56回江戸川乱歩賞受賞作であるが、横関大はそこに至るまでになんと8年連続で応募し、この「再会」(受賞当時は「再会のタイムカプセル」)で念願の受賞に至ったのだから執念が実った作品だったようだ。2年半ほど前に読んだ下村敦史の「闇に香る嘘」と比べても他の人はどうかわからないが、この作品の方が私的には完成度が高いと思う。主な登場人物は4人で、みんな何が知ら秘密を隠しているが、その真相が分かる中、終盤までどんでん返しが続き、最後の結末には驚きを隠せませんでした。この作品はドラマ化されているようなので是非動画サイトを探して小説と比較してみたいと思う。また、新人でこれだけの作品を書けるのかと思うと他の作品も読んでみたくなる。
2023.07.08
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2023年6月17日★★★★先週読んだ隠蔽捜査のスピンオフ作品で読書の感覚が久しぶりに戻って来たので、この勢いのまま次は何を読もうかと考えた結果、4月に大好きな作家である岡嶋二人の「クリスマスイブ」を読んだあと、解散後の片割れである井上夢人の作品が気になったことを思い出し、本棚に数冊ある未読の本から取り出したのは幻の作品と言われていた本作のタイトルになった「あわせ鏡に飛び込んで」を含め未発表の短編作品を集めて出版された本作を一昨年の年末に読んだ「風が吹けば桶屋がもうかる」以来、約1年半振りに読んでみた。幻の名作「あわせ鏡に飛び込んで」をはじめ、瞬間接着剤で男をつなぎとめようとする女が出てくる「あなたをはなさない」、全篇、悩み相談の手紙だけで構成されたクライムミステリー「書かれなかった手紙」など、選りすぐりの10篇を収録。精緻に仕掛けられた“おとしあな”の恐怖と快感。(BOOKデータベースより)本作は過去に書籍として形で世に出ていない短編をまとめた、いわば寄せ集めの短編集であるが、いずれも味のある作品ばかりである。岡嶋二人時代の多くの短編は、あくまでもミステリーとして書かれていたが、一概にミステリーとは言えないものを含めた多様なジャンルの作品が集まっていてる点も興味深い。また、全編の最初に作者本人によるコメントがついているのが面白い。特に傑作はというと「あなたをはなさない」はインパクトがありすぎ。怖いを通り過ぎて笑うしかない。死んだあとも地獄を味わう「私は死なない」はまさに生き地獄とはこのことではないのか…。井上氏の得意のパソコンネタである「ジェイとアイとJI」はプログラミング力が凄いのかと思ったらなんとあっけにとられるこの結末…。幻の名作と呼ばれていた?表題作「あわせ鏡に飛び込んで」はなかなか捻りのきいた作品で納得しました。最後の手紙だけのお話の「書かれなかった手紙」には真相に私が気づくはずもなく全く騙されました。大好きな岡嶋二人の作品はもう世にでないことは分かっているが、井上夢人の作品もここ数年新刊が出版されていないが本作の巻末に掲載されているた大沢在昌さんとの対談でなかなか新刊が出ないことの理由(言い訳?)が書かれているので見て欲しい。一ファンとしてはがんばって書いてと願うしかない。
2023.06.17
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2023年6月11日★★★★4月に隠蔽捜査9を読んだあと短編集としてスピンオフの隠蔽捜査9.5が出版されていることをしり、とりあえず地元の図書館で予約していたのだが、先週図書館から呉勝浩の「爆弾」に引き続き確保されましたと連絡があり、大森署の署長から神奈川県警刑事部長へ移動したあとの竜崎伸也の主に脇役の奮闘が描かれた短編集を隠蔽捜査3.5や5.5の時と同様期待して読んでみることにした。米軍から特別捜査官を迎えた件で、警察庁長官官房に呼び出された竜崎伸也。審議官からの追及に、竜崎が取った行動とは――(表題作)。キャリアへの反発心を隠さないベテラン捜査員。手続きばかり面倒な捜査本部立ち上げに抗議しようとするも、新任の竜崎刑事部長はこれまでのキャリアとは一味違うようで……(「専門官」)。どんな時も原理原則を貫くキャリア・竜崎伸也の周囲で日々まき起こる、本編では描かれなかった9つの物語。家族や大森署、神奈川県警の面々など名脇役たちも活躍する、大人気シリーズ待望のスピンオフ短編集。(Amazon紹介文より)まず先日、隠蔽捜査9の読書後感想で本シリーズをスピンオフの3.5と9.5を入れると11作と書いてしまったが5.5と合わせて12作であることをここで訂正しておきます(原文は触らないつもり)。本作は舞台を大森署の署長から神奈川県警の刑事部長に移動後の竜崎のいつものスカッとした作品もあるが、主に脇役達の視点で書かれたスピンオフ作品で以下の9つの短編集から構成されている。「空席」竜崎署長が去ったあとの大森署署長空席での斎藤警務課長の奮闘する話。「内助」竜崎の妻がニュースでみた事件を独自に調査し、事件解決のヒントを見つける話。「荷物」竜崎の息子がまた薬物疑惑に巻き込まれる?の話。「選択」竜崎の娘が痴漢被害に関わり警察捜査や会社で不条理な扱いにあう話。「専門官」神奈川県警にもいたキャリア嫌いの刑事の話。「参事官」不仲な二人の参事官を竜崎が見事に仲介する話。「審議官」隠蔽捜査9の後日談で米軍検査官の事件介入の責任を竜崎が問われる話。「非違」大森署新女性署長とった竜崎とは違った戸髙の対応での見事な解決ぶりの話。「信号」安全を担保されている信号を無視するかどうかの話。どれも面白く一癖も二癖もある作品で楽しめたが、特に「審議官」は隠蔽捜査9を読んだ後なのでリチャードの最後の登場など格別でした。次作が出るのが待ち遠しい〜
2023.06.11
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2023年5月23日★★★5月に入って全く読書をすることも無く、これはやばいと思っていたのですが、そんな時に図書館から昨年末に予約していた呉勝浩の「爆弾」が確保されましたと連絡があり、この作品は日本最大級のミステリーランキングの『このミステリーがすごいと! 2023年版』、『ミステリが読みたい! 2023年版』で2冠をとり、さらに第167回直木賞候補作にもなったというなんか凄い作品らしい。江戸川乱歩賞受賞作家でもある呉勝浩の作品を何はともあれ初めて読んでみることにした。些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。警察は爆発を止めることができるのか。爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。(Amazon内容紹介より)江戸川乱歩賞受賞作家であることは随分前から知ってはいたが著者の作品は今回が初読みでした。本作は警察と仕掛けた爆弾の容疑者として名乗り上げたスズキタゴサクとの駆け引きがほぼ8割を占める作品である。爆弾による緊迫感やスズキタゴサクとの頭脳戦が延々に続く展開に先が全く読めない状況で途中までかなりきつい作品でした。そのスズキタゴサクですがキャラが強烈で常識が全く通用しない無敵の人間のため、警察も翻弄されっぱなしで、何を考えているのかが予想もつかないし、不安と期待が入り混じりながら後半に突入して行くのだが、最後に真相に辿り着いたあとに、読み返すと様々な伏線が組み込まれており、この著者巧いなと関心させられました。結末への展開が駆け足に感じたが前半、中盤としんどい展開だったので、それがなんとか読み切れたのかもしれない。読み終わった印象としてはこんなに長い話にする必要があったのか疑問に思ったのは私だけ?多分この著者の作品はもう読まないかも…
2023.05.23
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2023年4月18日★★★★岡嶋二人のクリスマス・イブを読んで次は井上夢人かと考えていたところ、図書館から予約していた今野敏の隠蔽捜査シリーズ第9弾が届いていると連絡があり、大森署の署長から神奈川県警刑事部長として活躍の場を移した隠蔽捜査8以来、2年8ヶ月振りに変人竜崎伸也の活躍を期待して読んでみることにした。神奈川県警刑事部長となった竜崎のもとに現れた、同期入庁試験トップの八島という男。福岡県警から赴任してきた彼には、黒い噂がつきまとっていた。さらに横須賀で殺人事件が発生、米海軍の犯罪捜査局から特別捜査官が派遣されることに――。次々と降りかかる外圧に、竜崎は警察官僚(キャリア)としての信念を貫けるのか。新展開の最新刊。(BOOKデータベースより)隠蔽捜査シリーズもすでに9作目、スピンオフの3.5と9.5を入れると11作の超ロングラン小説だが、それには特別な理由などは無く、だた単純に面白いからだと思っている。今回の舞台は大森署の署長時代からの警視庁を離れ、前作同様神奈川県警の刑事部長という立場での新展開第二弾である。今回は海外留学中の息子の失踪、殺人事件の横須賀米軍絡み、神奈川と福岡との麻薬密輸、竜崎の同期でハンモックナンバー1位の八島が神奈川県警の警務部長へ就任など様々な難題が竜崎に降りかかるが、そこは変人竜崎の的確な判断と伊丹の警視庁や他県警に捜査協力を得ながら犯人逮捕に導くまでがさすがです。海外留学中の息子の失踪についてはあらかた予想していた通りの結末で少し捻りが欲しかったなと感じたのが少し残念だが…八島が前任地の福岡で行った不正行為が明るみになるが竜崎の一言から「おとがめなし」となり、今後の八島の反撃を期待してしまう。スピンオフ作品の隠蔽捜査9.5が未読なので近々読んでみようと思う。
2023.04.21
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2023年4月9日★★★★道尾秀介のソロモンの犬を読んで久しぶりに読書の感覚が戻って来たので、この勢いのまま次は何を読もうかと未読の本棚を眺めていると、大好きな作家である岡嶋二人とその解散後の片割れである井上夢人の作品の数冊が目にとまり、どっちにしよかと迷ったが、ここは何を読んでも駄作がない岡嶋二人の作品に決めて、手に取ったのはクリスマスイブに雪に閉ざされた山荘で殺人鬼に追われるというサスペンスものの本作を昨年の年始に読んだ「眠れぬ夜の報復」以来、1年4ヶ月振りに読んでみた。山あいの別荘でのクリスマス・パーティーへと向かった敦子と喬二。だが、夜になって到着した別荘には明かりひとつなく、メチャメチャに荒らされたリビングには、喬二の友人・小坂の血まみれた死体が!雪に閉ざされた別荘地を襲う不条理な殺意。緊迫の長篇サスペンス。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。(BOOKデータベースより)ミステリーでは定番の断絶された雪山での山荘で殺人事件が起こるという展開で、更に犯人が目撃された事をきっかけに殺人鬼に変貌して皆殺しにするため、執拗に敦子と喬二、友人をひたすら追い詰めるという、単純明快な物語でしたが私的には楽しめました。あとがきに岡嶋二人の片割れの徳山が殺人の動機を考えるべきと主張して、もう一人の井上が反対してこの展開になってたらしい。後に井上が岡嶋二人の自叙伝で駄作であったと記しているがこれはこれで普段の岡嶋二人の作品には無い展開で良かったと思う。ただプロ的には納得がいかない出来なんだろうと言う事でしょう。なんだかんだと岡嶋二人の作品は読みやすく面白い。未読の本棚にはあと2冊しかないので残り僅かな貴重な時間を楽しみたいと思う。
2023.04.09
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2023年3月30日★★★先月末に読んだ逢坂冬馬の2022年本屋大賞受賞作の「同志少女よ、敵を撃て」から半月が経ち、またまた読書から離れていたが、休日の時間がある時に次は何を読もうかと未読の本棚を眺めていると「ソロモンの犬」が目に入り、これは道尾秀介の代表作として読書を始めた頃に「シャドウ」、「ラットマン」と一緒に買ったものだと思い出し、何れも評価が高かったので次はこれだと決めて「龍神の雨」以来、約1年2ヶ月振りに読んでみることにした。秋内、京也、ひろ子、智佳たち大学生4人の平凡な夏は、まだ幼い友・陽介の死で破られた。飼い犬に引きずられての事故。だが、現場での友人の不可解な言動に疑問を感じた秋内は動物生態学に詳しい間宮助教授に相談に行く。そして予想不可能の結末が…。青春の滑稽さ、悲しみを鮮やかに切り取った、俊英の傑作ミステリー。(BOOKデータベースより)本作は解説にも書かれているが道尾秀介としては珍しい大学生の男女が登場する瑞々しい青春ミステリーとして描かれている。序盤で少年の命が失われるという衝撃的な展開から始まり、少年の死の謎を追う過程で、さらに後半にかけて衝撃が続くというミステリーに軸足を置いた作品である。また、悲しい中にも青春ミステリーらしい甘酸っぱさを感じるところはきれいにまとまっているし、十分に楽しめたと思う。道尾秀介の作品はミステリーだけでなく個性豊かであるが、私はやっぱりミステリー系が好きだと感じる。沢山の作品を世に出されているので他の作品も読んでみようと思う。
2023.03.30
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2023年2月23日★★★★1月は読書2冊とまずまずのスタートを切れたと思っていたところ2月に入って全く読書をする気が起こらず、これはやばいかなと思っていた矢先に、図書館から昨年秋ぐらいに予約していた2022年本屋大賞受賞作で且つ、第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞、キノベス2022第1位、第166回直木賞候補作にもなったというとんでもなく凄そうな逢坂冬馬の本作を期待して読んでみた。独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵"とは?(Amazon内容紹介より)本作は本屋大賞受賞作でもあるが、史上初の選考委員全員が5点満点をつけた第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作である。まず、長編小説の中でも長めの作品で遅読の私には読み切るのに時間がかかりましたがアガサ・クリスティー賞という名前に相応しく、新人作家が書いたと思えないぐらい素晴らしい作品でした。内容はというとAmazonの紹介文にも書かれているが第二次世界大戦の独ソ戦を描いた戦争小説です。村が襲われ村人や母親が惨殺され焼かれる中、救助されて生き残った少女セラフィマが復讐心を宿し、女性狙撃兵となり村人や母親の仇を討つため戦争というドロ沼に踏み込んでいく。ミステリー小説のようなどんでん返しや仕掛け、謎解きなどがある話ではないが戦争小説としてのお互いの思想や悲劇の連鎖など上手く表現されていて嫌な気分にならないように描かれているので気持ちよく読み進めることが出来ました。最後のエピローグに少し涙腺が緩くなりましたが最後の最後まで惹きこまれた作品で全ての人にお薦めできる小説です。
2023.02.23
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2023年1月28日★★★★新年最初に東野圭吾のマスカレード・ゲームを読んだあと、昨年秋に出版された大好きな作家の一人の池井戸潤の「ハヤブサ消防団」がまだ未読であることを思い出し、すぐに図書館に予約しようとしたら半年待ちぐらいになりそうだったので、これは待ちきれないと判断し、久しぶりに会社帰りに書店に寄って購入したあと、何はともあれ直ぐに読み始めてみた。東京での暮らしに見切りをつけ、亡き父の故郷であるハヤブサ地区に移り住んだミステリ作家の三馬太郎。地元の人の誘いで居酒屋を訪れた太郎は、消防団に勧誘される。迷った末に入団を決意した太郎だったが、やがてのどかな集落でひそかに進行していた事件の存在を知る───。連続放火事件に隠された真実とは?地方の小さな町を舞台にした、池井戸作品初の“田園”小説として、「小説すばる」連載中から話題を呼んだ珠玉のミステリ。(Amazon内容紹介より)本作は江戸川乱歩賞受賞作家である池井戸潤の久しぶりのミステリー小説である。岐阜の田舎の集落に移り住んだ主人公の太郎が、ひょんなことから地元の消防団に加わったことで様々な人々と関わっていくが、ある日、連続放火事件が発生し、太郎はその事件に深く巻き込まれていく…。前半の都会から田舎に引っ越した生活を主にした描写には少し戸惑ったが、中盤から後半にかけての展開は想像以上の異様な展開で読む手が止まらず寝不足になる始末でした。久しぶりに池井戸潤のミステリー作品を楽しめました。今年夏にドラマ化されるようなので楽しみに待とうと思う。
2023.01.28
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2023年1月18日★★★★新年最初の読書は岡嶋二人か井上夢人のどちらかにしようと決めていのだが年明けに昨年図書館で予約していた東野圭吾のマスカレード・ホテルシリーズの最新刊のマスカレード・ゲームが届いているというので予定を変更し、マスカレード・ナイト依頼、ホテル側の山岸尚美と新田浩介とのコンビによるホテルに潜入捜査をするという前回とほぼ同じ設定ということでどんな結末になるのか期待して読んでみた。解決の糸口すらつかめない3つの殺人事件。共通点はその殺害方法と、被害者はみな過去に人を死なせた者であることだった。捜査を進めると、その被害者たちを憎む過去の事件における遺族らが、ホテル・コルテシア東京に宿泊することが判明。警部となった新田浩介は、複雑な思いを抱えながら再び潜入捜査を開始する――。シリーズ、総決算!(Amazon紹介文より)本作を読む前に映画化されたシリーズ第2作のマスカレード・ナイトを観てから読書を開始した。最初に都内で3件の殺人事件があり、連続殺人の疑いが浮上する。警部になった新田が責任者となり捜査が始まる。被害者にはある共通点があり、参考人は容易に判明するがいずれも強固なアリバイがあった。その後、参考人の一人がホテル・コルテシア東京にチェックインしたとの連絡が入り、お決まりの潜入捜査が開始される。新田の手助けをと思ったのかホテル・コルテシア東京の総支配人の藤木はわざわざロスアンゼルスから山岸尚美を呼び戻し、ついに名コンビ復活である。と色々と波乱含みな要因が多い内容で特に新田に対抗心を燃やす違法捜査もお構いなしのキレキレの梓警部とのやりとりはいつものパターンとは異なり楽しみが増えて格別でした。また、新田の学生時代の同級生も登場し、山岸に助けられて潜入捜査を苦しい言い訳をするなど面白さ倍増で物語は進んでいく。久しぶりにページをめくる手が止まらない。この面白さは是非読んでと言うしかない。またまたキムタクと長澤まさみの主演で映画化は間違いないと思うが、梓警部は誰が演じるのだろうかと今から興味津々です。最後にこの結末ではシリーズ完結か?と思わせるが、それとも新たな展開があるのか?それは東野圭吾にしかわからない。新田と山岸のさらなる活躍を読みたいと思うのは私だけではないはず。
2023.01.18
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2022年12月31日★★★★7月以降、読書のペースがガタ落ちし、月1ペースになっていたのでさすがに年始の目標だった年間24作品は諦めていたが、11月から12月にかけては更に身の回りに色々あって読書どころではなく、やっと落ち着いたので年末にかけて何か1冊読もうと手に取ったのは東野圭吾の短編集で東野圭吾曰くワケアリを集めた作品の「あの頃は誰か」でした。以前から読んでみたかったこともあり、期待して読んでみた。メッシー、アッシー、ミツグ君、長方形の箱のような携帯電話、クリスマスイブのホテル争奪戦。あの頃、誰もが騒がしくも華やかな好景気に躍っていました。時が経ち、歳を取った今こそ振り返ってみませんか。東野圭吾が多彩な技巧を駆使して描く、あなただったかもしれれない誰かの物語。名作『秘密』の原型となった「さよなら『お父さん』」ほか全8篇収録(BOOKデータベースより)。本作は文庫オリジナルの短編集で初出時期が'89年~'97年と古く、あとがきに書かれているがワケアリの短編集らしい。中でも短編としては約80ページとやや長めの「シャレードがいっぱい」は遺産相続を巡る争いにダイイング・メッセージとサスペンスドラマにすればぴったりな作品で1番楽しめた。東野圭吾の代表作にもなった「秘密」の原型になったという「さよならお父さん」やこれまた「名探偵の掟」の原型かと思わせる名探偵の最後の晴れ舞台を描いた「名探偵退場」も私にはワケアリ物件とはおもえません…。あと、東野圭吾曰く最大のワケアリらしい「二十年目の約束」。あとがきに書かれている通り、全く悪い出来ではないし、長編に書き直したら面白いと思った。これらを含めて全8編、確かに今と比較すると洗練されていないかもしれないが、それはそれで東野圭吾の過去を知る上で貴重な作品集と言えるのではないかと思う。来年はもう少し読書の時間をとって月2冊のペースで年間24冊程度(今年の目標は24作品でした)は読みたいと思う。
2022.12.31
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2022年11月22日★★★★またまた読書から遠ざかっていたが、かと言って読書が嫌になったわけでもなく、なんとなく時間が経過したみたいで不思議である。実際読みたい本はまだまだ本棚に沢山並んでいるので、先週ごそごそと古めの作品を探していると、坂木司の作品が何冊か並んでいたのでどれか読んでみようとパラパラと眺めていると、確か一風変わった短編小説だと聞いて買っていた「短劇」を見つけて「ホテルジューシー」以来、実に8年ぶりに読んでみることにした。懸賞で当たった映画の試写会で私が目にしたのは、自分の行動が盗撮された映像だった。その後、悪夢のような出来事が私を襲う…(「試写会」)。とある村に代々伝わる極秘の祭り。村の十七歳の男女全員が集められて行われる、世にも恐ろしく残酷な儀式とは?(「秘祭」)。ブラックな笑いと鮮やかなオチ。新鮮やオドロキに満ちた、坂木司版「世にも奇妙な物語」(BOOKデータベースより)。まず読んだ感想は一言で今まで読んだ坂木司のイメージを覆す作品集である。一つの話が約10ページ程度とかなり短めの短編が全部で26編。あとがきにも書かれているが当初は「いい話」の連載として始まったというがだんだんブラックな話になっていき、中には暴力描写がきついものやグロテスクなものもあったりする。分類してみると、いい話は典型的な「カフェラテのない日」と「物件案内」、あとは「カミサマ」ぐらい。「カミサマ」はこのご時世だけに考えさせられる…。いい話とはちょっと外れて「最後の別れ」「ビル業務」は意表を突く作品かな。サイコホラー風の作品は「幸福な密室」「迷子」「ほどけないにもほどがある」「壁」「並列歩行」と多数あり面白い。ドロドロした作品は「目撃者」「雨やどり」「ケーキ登場」「しつこい油」でちょっとグロい話は「最先端」「眠り姫」「肉を拾う」「いて」あたり。社会派作品てしては「MM」「最後」「恐いのは」「穴を掘る」とちょいグロ系の「試写会」。あとカテゴリは悩むが超面白い「秘祭」「変わった趣味」「ゴミ掃除」は傑作でオススメです。分類は個人的主観のいいかげんなものなのでご注意を…。まあ自分で読んで分類してみてくださいませ(笑)。本作を読んで坂木司のデビュー当時の代表作である「ひきこもり探偵」三部作の残り二冊を読んでみたくなった。
2022.11.22
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2022年10月25日★★★★ここ3ヶ月の読書のペースが出張が多く仕事も忙しかったが7月1冊、8月0冊、9月1冊と激落ちしていることにさすがに危機感を持ち、これでは年間24作品を読破するという目標には到底無理になるため年末に向けてスパートするには何から読もうかと考えたが、久しぶりなので短めの作品をと未読の本棚を探して見つけたのが東野圭吾のデビュー当時の作品の「魔球」でした。野球を題材にした作品で以前から読んでみたかったこともあり、期待して読んでみた。9回裏二死満塁、春の選抜高校野球大会、開陽高校のエース須田武志は、最後に揺れて落ちる“魔球”を投げた。すべてはこの一球に込められていた…。捕手北岡明は大会後まもなく、愛犬と共に刺殺体で発見された。野球部の部員たちは疑心暗鬼に駆られた。高校生活最後の暗転と永遠の純情を描いた青春推理(BOOKデータベースより)。本作は江戸川乱歩賞を受賞した「放課後」の前に応募して最終選考まで残った作品らしいがこれが受賞しなかったのは当時の選考基準の高さが伺えるし、最近の江戸川乱歩賞には期待感が無くなってきているのが残念である。「魔球」というタイトルの通り野球をテーマにしたミステリーであり、「放課後」と同じ学園ドラマでもある。内容はというと春の選抜高校野球大会に出場した開陽高校のエース須田武志が九回裏二死満塁の場面で投じた1球をパスボールし、逆転サヨナラ負けで幕をおろす。この最後の1球が魔球なのかという疑問から物語は始まる。大会後、正捕手の北岡は愛犬と共に刺殺体となって発見される。さらに、武志までもが刺殺体となって発見され、しかも右腕を切断されての連続殺人である。併せて殺人事件とは関係が無いような爆弾未遂事件も発生する。捜査する中で浮かび上がったのは武志に魔球を伝授した芦原の存在とその辛い過去である。彼から野球を奪った大企業の理不尽さから爆弾事件の容疑者として浮上していくがとんでも無い結末が最後に明らかになる…。デビュー前にこんな作品が書けるとは流石である。今の作品のような過剰な演出が無いのもよかったと感じる。まだ本棚に古い作品を含めて未読作品が10冊以上残っているのでじっくり読んでいこうと思う。
2022.10.25
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2022年9月12日★★★7月に長岡弘樹の「教場X」を読んだと、長女に初孫が産まれてバタバタな1ヶ月があり、読書が完全に止まっていたのだが、これではまずいと9月に入って読み始めたのは、これまた警察小説の書き手である佐々木譲の北海道警シリーズで「笑う警官」「警察庁から来た男」「警官の紋章」「巡査の休日」の続編であるシリーズ第5弾を「巡査の休日」から実に6年半ぶりに読んでみた。神奈川で現金輸送車の強盗事件が発生し、犯人の一人に鎌田光也の名が挙がった。鎌田は一年前、ストーカー行為をしていた村瀬香里のアパートに不法侵入したところを小島百合巡査に発砲され、現行犯逮捕された。だが、入院中に脱走し指名手配されたまま一年が経ってしまっていたのだ。一方、よさこいソーラン祭りで賑わう札幌で、鎌田からと思われる一通の脅迫メールが香里の元へ届く。小島百合は再び香里の護衛につくことになるのだが…。(裏表紙引用)前作がかなり前に読んでいたので本作を読む前に読後ブログを確認すると前作ではストーカー被害という題材からか小島百合が主人公で佐伯や津久井がサブという感じで新宮に関しては出番も少なく殆ど活躍する場面もなく、このシリーズの中ではイマイチだと感想を書いていたようだ。本作では、佐伯をメインにサブとして津久井、小島、新宮のおなじみの顔ぶれに長正寺が加わり、函館、小樽、釧路の3つの事件のつながりを追い、その真相を暴くという展開で進んでいき、不満もなく楽しめたのだが、久しぶりの読書のせいかもしれないが、それぞれの事件との関係が少し複雑でスムーズに読み進められなかったのが残念に思う。あと本作のタイトルから麻薬などの密売人を予想していたが、読んでみるとなるほどなと思わせてくれるのはさすがですね。次作の「人質」も未読の本棚にあるので近々読んでみようと思う。。
2022.09.12
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2022年7月11日★★★★警察小説を横山秀夫、今野敏と続けて読んだあと、次は佐々木譲か大沢在昌かと考えていたが、長岡弘樹という大好きな作家をもう一人忘れていたことを思い出し、また、代表作の「教場」の続編が昨年出版されていて読んでみたいと思っていたことと警察小説の良い流れを継続させるため、風間が警察学校の教官になる前の刑事時代を書いた「教場0」の続編にあたる本作を「風間教場」以来1年ぶりに読んでみることにした。●第1話 硝薬の裁き益野紳佑の妻才佳は、半年前、車にはねられ亡くなった。事故の唯一の目撃者は娘の麗馨だった。警察は幼い麗馨の証言を採用せず、犯人とされた男は不起訴となっていた。●第2話 妄信の果て大学四年生の戸森研策は、地元新聞社から内定を得た。ゼミ論文の単位が取得できれば卒業も確定する。前途洋々の戸森のもとへ、担当教授から突然の連絡が入る。●第3話 橋上の残影経理事務の仕事をしている篠木瑤子は、十年前に恋人を自死により失っている。その死の原因となった男は刑期を終え、娑婆でのうのうと暮らしていた。●第4話 孤独の胎衣短大生の萱場千寿留は工芸家の浦真幹夫と関係を持ち、妊娠した。浦真は中絶費用を渡し、海外に旅立ったが、千寿留は新しい生命の誕生を待ちわびていた。●第5話 闇中の白霧名越研弥は、闇サイト経由で違法な薬物や商品を仕入れ、莫大な冨を得た。そろそろ足を洗いたいのだが、相棒の小田島澄葉を説得できずにいた。●第6話 仏罰の報い著名な有機化学者である清家総一郎は実験中の事故で両目に劇薬を浴び、一線を退いた。隠棲生活を送る清家の悩みの種は、娘・紗季の夫の素行だった。(Amazonの内容紹介より)本作は刑事であったころの風間が現場で新人刑事に教官として指導する「教場0」の続編に当たる。第一話の容疑がかかるのは承知の上、妻の命と娘の声を奪った男を銃撃し、証拠の隠滅は抜かりないはずだったが、逮捕の切っ掛けになったのは…。声が出ない娘が最後に父親に放った一言だけが僅かな救いだったの「硝薬の裁き」から前作のラストと繋がる第六話の被害者には全く同情出来ないが、問題はいかにして実行したのか?真相が明かされてみてもここまで壮絶な決意ができるか。また、もっと他の方法はなかったのだろうか思わせる「仏罰の報い」まで前作の「教場0」と同様に楽しめた。風間の片目を奪った犯人はまだ捕まっていないため、まだ続編がありそうだなと期待するのは私だけでは無いはず。
2022.07.11
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2022年6月30日★★★★すでに今年も半分を過ぎようとしているが年始に立てた年間24作品の読書達成が怪しくなってきた今日このごろだが挽回するべく6月の3作目は先日よんだ横山秀夫の警察小説が面白かったので、そのままの勢いで、先日も候補にあげていて別途読みたかった今野敏の「スクープ」シリーズを「隠蔽捜査」シリーズ以来7ヶ月、それ以外の作品では「蓬莱」以来なんと5年ぶりに期待して読んでみた。報道番組「ニュースイレブン」の記者、布施。素行の悪さに目をつけられながらも、独自の取材で多くのスクープをものにしてきた彼が興味を示した女子学生猟奇殺人事件は、警視庁捜査一課第二係、黒田の担当だった。警察も知らない事実を布施が握っているらしいと感づいた黒田は、彼に張り付くことを決める。記者と刑事、異色のタッグを組んだ二人は、やがて事件に潜む大きな闇の核心に迫って―。(BOOKデータベースより)。本作の主人公は二人、TBNテレビ『ニュース・イレブン』遊軍記者として、何度もスクープをものにしてきた布施と警視庁捜査一課第二係で未解決事件の捜査に当たっている黒田だ。この未解決事件というのが、今まさに布施が追っている猟奇殺人事件であり、この事件を布施と黒田がタッグを組んで真相解明していくむのが本作の要である。刑事と記者がタッグを組むというか刑事が記者に頼るというのも前代未聞の設定で、何より布施がいなければこの事件の真相には到達しなかったということだ。黒田は誰も気に留めない異変に、布施が気づいていたことを知り、手掛かりに行き詰まっていたこともあり、恥も外聞も捨ててたと言うことらしい。また、サブだが東都新聞の持田記者の活躍も認めてあげて欲しい。可哀想に布施と違って黒田に邪険に扱われて気の毒でならない…。このシリーズ予想以上に面白い。他の作品を読んでもう少し布施という男を知りたい。まぁ多分わからないでしょうが…。
2022.06.30
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2022年6月25日★★★★今月頭に読み終えた薬丸岳の「Aではない君と」から出張があり、少し間が空いたが、次に読むのは警察物の小説と決めていたので、未読の本棚を眺めていると今野敏、佐々木譲、大沢在昌、横山秀夫の中で、さあ誰にしようかと迷ったが警察物でも人間味のある少し変わった小説を書く横山秀夫の本作が目に止まり、婦人警官を主人公にした短編小説の「顔FACE」以来約1年ぶりに読んで見ることにした。阪神大震災の前日、N県警警務課長・不破義仁が姿を消した。県警の内部事情に通じ、人望も厚い不破が、なぜいなくなったのか?本部長をはじめ、キャリア組、準キャリア組、叩き上げ、それぞれの県警幹部たちの思惑が複雑に交差する…。組織と個人の本質を鋭くえぐる本格警察サスペンス。(BOOKデータベースより)阪神大震災とN県警本部の不破警務課長の失踪が同時進行していく物語であるが主は人望も厚い不破が姿を消したことに県警幹部6人の思惑と利害から内部抗争が繰り広げられる一幕劇で、保身、野心から失踪の真相は二の次で幹部6人それぞれの駆け引きが本作の読みどころと言っても良いと思う。キャリア組である本部長の椎野勝巳46歳、ナンバー2に当たる警務部長の冬木優一35歳がキャリア組、地元組のトップ3である刑事部長の藤巻昭宣58歳、生活安全部長の倉本忠57歳、交通部長の間宮民男57歳が特に若い冬木に強烈な対抗意識を燃やしてキャリア組との内部抗争に発展していく。その中で内部抗争に疑問を感じ、情報は共有すべきと訴える警備部長の堀川公雄51歳がいるのだが準キャリアという中途半端な立場でどちらに付く気もないと誤解を生む。あと、幹部の妻たちの横の繋がりも大きなポイントで幹部の官舎は隣接しているのため夫の上下関係が妻たちの関係にも少なからず影響を与えている。中でも冬木の妻は若さからか末恐ろしい…。最後の藤巻と堀川の行動が警察組織として正しい方向へ導いて行くことを願うが誰も知る由もない。
2022.06.25
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2022年6月7日★★★★5月は結局、東野圭吾の「むかし僕が死んだ家」の1冊だけに終わってしまったので6月は最低3冊を目標にと本棚を眺めて最初に手に取ったのが少年犯罪を題材にした江戸川乱歩賞受賞作の「天使のナイフ」を読んで好きな作家になった薬丸岳の作品の中で、またまた少年犯罪を題材にした本作を「闇の底」以来、約3年半ぶりに読んでみた。あの晩、あの電話に出ていたら。同級生の殺人容疑で十四歳の息子・翼が逮捕された。親や弁護士の問いに口を閉ざす翼は事件の直前、父親に電話をかけていた。真相は語られないまま、親子は少年審判の日を迎えるが。少年犯罪に向き合ってきた著者の一つの到達点にして真摯な眼差しが胸を打つ吉川文学新人賞受賞作。(BOOKデータベースより)江戸川乱歩賞受賞作の「天使のナイフ」と同様に少年犯罪を題材にした重い内容だが本作は被害者の立場ではなく、加害者の父親という設定で本当に読み応えのある作品だった。少年法については、さまざまな意見があると思うが、やはり命を奪ってしまった事の重大さを思うとどんな理由があれど考えさせられてしまう。週刊誌の連載時は第二章で完結していたらしいが、単行本化されたときに第三章が付け加えられたのだが、この第三章が本作を吉川文学新人賞に導いたのは間違いない。読み終えて本当に薬丸岳の筆力を感じさせられた作品である。まだ数冊本棚に薬丸岳の作品を眠っているのでなるべく早く次の作品を読んでみたいと思う。
2022.06.08
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2022年5月9日★★★★ここ数ヶ月の読書のペースが月一冊と年始に掲げた年間24作の目標達成がこのペースではちょっと危うくなってきたので普段出張中はあまり読まないのだが、かさばらない薄めの小説を本棚から探して持っていったのが伏線たっぷりで登場人物が語り手の私とその私の昔の恋人の沙也加の二人だけというちょっと変わった本格推理小説を期待して読んでみた。「あたしには幼い頃の思い出が全然ないの」。7年前に別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すため、私は彼女と「幻の家」を訪れた。それは、めったに人が来ることのない山の中にひっそりと立つ異国調の白い小さな家だった。そこで二人を待ちうける恐るべき真実とは…。超絶人気作家が放つ最新文庫長編ミステリ。 (BOOKデータベースより)登場人物はというと中野という語り手の男とその別れた恋人である沙也加のたった二人である。その沙也加には幼い頃の思い出が全然ないという。彼女の記憶を取り戻すべく二人は沙也加の父が残した鍵を頼りに山中にひっそりとたたずむ白い家を訪れた。そこで二人を待ち受ける真実とは…。極めて限定された状況設定の中で最初から最後までこれでもかというくらい伏線が散りばめられて、それも無駄な伏線など何もないとくる。それら全ては沙也加の悲しい過去へと繋がっていくのだが、この白い家が持つ意味が明らかになるにつれて、沙也加の記憶が明らかになる…。一言で言うと楽しめました。バカなリクエストというか一度登場人物が一人だけの作品も読んでみたいです。東野圭吾様〜。
2022.05.09
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2022年4月25日★★★★先月末に読み切った海堂尊のバチスタシリーズ後、末っ子の引っ越しや新年度に入っての仕事の準備に出張が重なり全く読書から離れていたのだが、やっとゆっくり自分の時間が週末取れたので久しぶりに読書をと未読の本棚を眺めていたら西澤保彦の初期作品の「7回死んだ男」と並んで代表作であるSFとミステリーが融合した本作が目に止まり、いつ以来かと調べてみると、なんと7年ぶりなのが分かり「瞬間移動死体」以来、久しぶりに読んでみることにした。突然の大地震で、ファーストフード店にいた6人が逃げ込んだ先は、人格を入れ替える実験施設だった。法則に沿って6人の人格が入れ替わり、脱出不能の隔絶された空間で連続殺人事件が起こる。犯人は誰の人格で、凶行の目的は何なのか?人格と論理が輪舞する奇想天外西沢マジック。寝不足覚悟の面白さ。(BOOKデータベースより)本作はSF&本格ミステリの両方で高く評価されたというが、かなりSFチックな小説だと思って読んだ方がいいと思う。内容はというとファーストフード店にいた6人が突然の大地震で逃げ込んだ先がシェルターではなく、人格を入れ替える実験施設だったというところから物語は始まる。その存在は米国政府の極秘のものなのだが、政府にも全く手に負えないため施設だけがそのまま残されていたのだった…その人格移転とは一度人格転移が起きると一生人格転移が続き、2人ならば相互に3人以上ならば順番に人格がリレーされてぐるぐる何度も移転が続き、しかも転移する時間間隔は一定ではないという。そんな中、人格と身体が異なる6人が次々と殺されるていくという予想もつかない展開となり、身体はAだが人格はBというから、いったい犯人は誰なのかと読んでいて頭がこんがらがってくるのは私だけでは無いはず。奇想天外の面白い試みとは思うが、流石にややこしくて何度も読み返していたのが、途中で読み返すのをやめて先に進んだのが正直なところだ。6人以外に別にいた人物や動機などが最後に明かされるのだがあまりにも混乱していて素直に驚けず、えっそうなの?としか言いようがなかった。まぁ最後はハッピーエンドと言うことでめでたしめでたし…
2022.04.25
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2022年3月20日★★★冬季オリンピックが終わったらまた読書を再開しようと思っていたがパラリンピックも終わってやっと読書を再開して手に取ったのは大学病院の心臓手術での謎の術中死の原因調査に任命された万年講師の田口と厚生労働省の変人役人の白鳥が活躍するミステリー大賞受賞のバチスタシリーズ続編である本作を約9年振りに読んでみた。小児科病棟に勤務する浜田小夜の担当は、眼の癌=網膜芽腫の子供たち。看護師長・猫田の差配で、不定愁訴外来の田口公平は彼らのメンタルサポートをすることになった。だが同じ頃、患児の父親が殺され、小夜は警察に嫌疑をかけられてしまう。さらに、緊急入院してきた伝説の歌姫に、厚生労働省の変人・白鳥まで加わり、物語は思わぬ展開に―。大人気「バチスタ」シリーズ第2弾、装いを新たに登場!(BOOKデータベースより)デビュー作である「チーム・バチスタの栄光」の続編を現役の医師を続けながら発表した田口・白鳥のバチスタシリーズだか色々な意味でデビュー作とは異なる印象を感じた。文庫版の解説にも書かれている通り、一部読者からは批判の声も上がったらしい。東城大学医学部付属病院小児科の看護師浜田小夜と当院に緊急入院してきた伝説の歌姫水落冴子の二人の歌姫には、共通の能力があるらしい。その共通の能力が批判された理由に違いないが私もこれには大いに戸惑った。前作同様、田口に絡む白鳥が唐突に登場するのは予想どおりだが、それにもう一人の変人加納警視正がバラバラ殺人事件の捜査で病院に乗り込んでくる展開となり物語は進んでいく。今回もAiが解決のキーにはなっているが良くも悪くも、前作よりエンターテイメント的な作品と感じるのは私だけでは無いはず。バチスタシリーズ第3段の「ジェネラル・ルージュの凱旋」はミステリー色を強く打ち出した傑作らしいのでこれは読んでおきたいと思う。
2022.03.20
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