裏読書日記

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2008年06月09日
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蚊トンボ白鬚の冒険(上)

蚊トンボ白鬚の冒険(下)
若い水道職人、達夫の頭にふと入り込んでしまった蚊トンボ(ガガンボ)の白髭。シラヒゲはなんでだか知らないけど「筋肉の専門家」なのです。その特技を活かして、達夫をものすごいハードボイルドキャラにしてしまったのです。幸か不幸かそんなわけでやっかいな人々と関わり合いになってしまった達夫とシラヒゲの物語です。おいおいそんな無茶な…という突っ込みを忘れてしまうほど、登場人物たちにのめり込みました。読み終わるまでは。

なんででしょう。とにかく重いんです、そのエンディングというか収斂の仕方というか…シラヒゲと達夫の友情物語に熱いものがこみ上げてきていたのが途中で止まってしまうような、なんともいえない物足りなさが残りました。面白かっただけにこの苦しさが残念。でも多分この読後感そのものが著者の狙いなんじゃないですかね。文中何度も「邯鄲の夢」という言葉が出てきましたが、人生に対するちょっとしたあきらめとか厭世的な気持ちがあるのかなぁと勘ぐったりもしています。

20歳そこそこなのに妙に老成している主人公をはじめとし、謎めいた人物黒木、暴力団員、いつしか恋人になってしまった真紀などなど魅力的な人物が多く出てきます。血の通った人間として描かれているため、完全な悪役になりきれず最終的には今ひとつ顔が見えてこないサイコキャラを巨悪の根底にしてしまったところが残念でした。闇社会で大きな金額を動かしているというワクワク感があっただけに、そういう決着の付け方をしてほしかったなと思っています。しかし、メインストーリーの脇で語られる人間模様には、なんどもホロリとさせられました。特に真紀の失恋の話は泣かせます。突然自分の心に入り込んできた女性にいつしか惹かれていき、一方で彼女の心に居座る男に対してもどかしいほどの嫉妬をする…いやはや、参りました。全体的に(設定のせいもあり)コミカルな話とされてますが、私にとっては一貫して静かな静かな物語でした。

それはさておき、どう考えても主人公の年齢を若く設定しすぎじゃないですかね?あの落ち着きっぷりは、30代半ばの雰囲気な気がします。(2002/9/5掲載)





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Last updated  2008年06月09日 08時17分56秒
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