裏読書日記

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2008年07月16日
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斬られ権佐
壮絶なのです。とっても…
権佐は与力の小者として動く仕立屋です。彼は体に88もの刀傷を負っていて、それはその昔女房のあさみを助けた時に出来た傷でした。あさみは女医者、消えゆく命を必死で助けるという仕事をしています。大きな傷を負った権佐を心身共に支えたのが彼女でした。「命を張ってくれた男には、自らの命で恩を返すしかない」そんな想いが、生涯医学に身を投じていようとしたあさみの心を動かしました。こうやって結ばれた夫婦には、今ではお蘭という娘がいます。しかしながら傷は治りきらないくらいに深く、権佐はいつ死んでも仕方ない程の生死の境を彷徨っているのです。

死の影が深くつきまとう作品でした。そのためか、今までの作品とは比べものにならないくらい暗かったです。同じ作者が同じ舞台を書いていても、主人公の様子だけでこれだけイメージが変わるものなのかと驚きました。それはそれで良かったんですが、権佐の生き様のインパクトが強すぎて捕物帖としての謎解きや人間模様は印象が薄まってしまっていたような気がします。だから、この本は捕物帖として読むよりも人情ものと割り切って読むことをお薦めします。

そういえば、この小説って前回の直木賞候補にもなってましたね。個人的には非常に好きな作家なので、大ブレイクして欲しいなぁとは思っています。でもせっかくだったら読み終わった時に胸のつかえが下りるような作品で火がついてくれるといいですね。どうしてか胸のあたりにつかえがあるままなのです。まだ飲み込めきれてません。あと、気になったのがステレオタイプな設定がやけに目に付くところです。時代小説のカタチをとっているからくどさは感じませんが、これが現代小説になったらちょっとどうかと思うような展開が目に付きました。

とはいえ、5歳のお蘭ちゃんを筆頭に家族を描いたところは技が十分に生きています。北上次郎さんが胸をキュンとさせていたように、家族もので感動する人には堪らない小説でしょう。あぁ家族っていいもんだなぁとため息まじりにつぶやいてみたりしています。(2002/10/18掲載)





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Last updated  2008年07月16日 07時09分47秒
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