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舞城王太郎作品は痛い。暴力に溢れて、暴力が漲って、暴力に塗れている。
なのに、底にあるのは人間賛歌。
面白いと思う心と、痛みを感じる心と、希望を感じる心が並び立つ不思議がここにある。
崇史は、俺が十五ん時の子供だ。
今は別々に暮らしている。奴がノートに殺害計画を記していると聞いた俺は、崇史に会いに中学校を訪れた。恐るべき学校襲撃事件から始まった暴力の伝染―。
ついにその波は、ここまでおし寄せてきたのだ(表題作)。
混沌が支配する世界に捧げられた、書下ろし問題作「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を併録したダーク&ポップな作品集。
「みんな元気」中の2編が収録されてるってことで、買うつもりはなかったんですが、書き下ろしがあるというので渋々買いました(渋々?)
表題作のみんな元気はいまいちだったんだよな~、でも、スクールアタックシンドロームもトトロも大好きだし………しかも書き下ろしがあるのかぁ……新潮の商売上手め!みたいな。
結論は 3編とも文句なく面白かった。
これに尽きます。
舞城王太郎は、駄目な日常を駄目なまま見せてくれる。そして、魅せてくれる。
『負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと、信じぬくこと、駄目になりそうなとき それが一番大事』
昔、こんなフレーズの歌がありましたが、世の中、負けてしまうこと、投げ出したいこと、逃げ出したいことばかりです。
それが、舞城作品を読むと、負けても、投げ出しても、逃げ出してもいい、そして、何より駄目なままでもいい。ただ、そこから始めればいいんだ、という前向きな気持ちになれる。
例え、自分を取り巻く世界が、暴力が伝染し、拡散しているのだとしても。
「スクールアタック・シンドローム」の主人公はニートでアル中だし、「我が家のトトロ」の主人公は無職で試験に失敗ばかりしてるし、「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」の主人公はヒロインを救えない。
でも。
駄目な人間ばかりだけれど、駄目だと思わない、救われないラストだけれど、どこかで救われてる自分がいる。
それは、どんなに破壊的でも、舞城作品の底には希望があるから。
笑っちゃうくらいの単純なそれは、人間賛歌。
やっぱり、世界は愛で満ちているのだ。
舞城作品は、思いっきり好き嫌いが分かれます。そりゃもう絶対に。でも、一旦嵌っちゃうと、この毒っ気は、癖になる。止められない。文章の密度にクラクラする。
ところで、舞城初心者におすすめなのは、「世界は密室でできている。」。
舞城の小説とイラスト、両方楽しめるのでお得です。
これが駄目なら、舞城作品は駄目かもしれない。どうかな、駄目じゃないかな。「阿修羅ガール」とか「好き好き大好き超愛してる」とか、大丈夫かも。ちなみに、これなら大丈夫!と「熊の場所」を友人に無理やり読ませたら、白い眼で見られたので、私の言うことは信用しない方がいいかもしれません(ぇー
ともかく、舞城は私のフェイバリット作家なわけです。ただまあ、他のお気に入りの作家さんがけなされてると悲しくなるのに、舞城がけなされてたら思わず納得しちゃう不思議はありますが(笑)
ところで、冒頭、「面白い」と「痛み」が並び立っちゃったら、それって単にマゾってことですよね♪←台無し
感想を読ませていただいた素敵サイト様
→ 博物細故
評風 - 読んだら軒並みブックレビュー
■□■幻想庵■□■
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