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血筋と義理と道分け石、分けて血の緒の三界に、踏み迷ふこそ道理なれ・・・・・『伊賀越道中双六』 (いがごえどうちゅうすごろく)「千本松原の段」の中の科白の部分です。かの剣豪・荒木又右衛門の「伊賀上野の敵討ち」を描いた時代物です。文楽では、寛永年間に起きた事件を、室町時代に置き換え、渡辺数馬(作中では和田志津馬)が、大和郡山藩に仕えていた姉婿の荒木又右衛門(同 唐木政右衛門)と共に、弟の敵である河合又五郎(同 沢井股五郎)を討ち果たす物語になっております。弟など自分より目下の人間のための仇討ちは、当時認めてられてはいなくて、親(同 和田行家)を殺されたことへの敵討ちになっております。 「道中双六」とは、鎌倉から西へ向かいながら敵を討ち果たすまで、行く先々で様々な出来事が起こる様子を、双六に見立てたことに由来します。 ← クリック「千本松原の段」では、十兵衛が平作の実子であり、今は敵側にいることを知り、己の命を絶って敵の行き先を聞き出そうとする父と、「孝行の仕納め」と感じ、行き先を教える子の互いの胸の内を、胡弓の哀切な響きで表現されます。 病気快癒した住太夫が切々と謳い上げます。 蓑助操る娘お米は、極上!第一部 和田行家屋敷の段 円覚寺の段 唐木政右衛門屋敷の段 誉田家大広間の段 沼津里の段 平作内の段 千本松原の段興味をもたれた方は、 → こちらから!以上・・
2013/09/20
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「傾城反魂香」 (けいせいはんごんこう) 土佐将監閑居の段吃音(いわゆるドモリ)に苦しむ夫と、夫を思う妻の悲しみ。それが奇瑞によって治る時の二人の喜び。住太夫さんの、表現力が最高に現れるところ! スゴイ! の一言。。「艶姿女舞衣」 (はですがたおんなまいぎぬ) 酒屋の段茜屋半七と女芸人三勝の心中事件。 娘を思う親、息子を思う親、夫を思う妻、そしてあとに残す子を思いつつ心中に向かう男女の心情を表しています。 (ー_ー)夫の憂き目は自分のせい、と自らを責める妻お園。『お園のクドキ』として有名な部分。 今頃は半七様、 どこにどうしてござらうぞ。今更返らぬことながら、私といふ者ないならば、・・・・ 妻を置いて、外に女を作り、子までもうけて最後には心中。とんでもない野郎だ! 許せない!! ってなこと言っちゃいけませんゼ。所詮、理不尽極まりない男と女の仲。。。。年老いた親を謡わせたら、嶋太夫の右に出る者はいません! 源太夫の「クドキ」。蓑助の操るお園は、切なさ遣る瀬無さ、半七を思う心が、その呼吸とともに人形の微かに揺れる胸にまで、実に繊細です。 文楽の女人形の美しい型である「後ろ振り」を堪能出来るのが、この「酒屋の段」の醍醐味です。女形の人形の遣い手は、この蓑助さんが最高で、多分この後には出て来ないでしょう。「壇浦兜軍記」 (だんのうらかぶとぐんき) 阿古屋琴責の段景清の行方を白状させるために白洲に呼び出された、遊女阿古屋。代官の畠山重忠は、責め道具に楽器を用います。阿古屋は、琴の『菜蕗』で、懐かしい景清との馴れ初めを語り、独り寝の寂しさを三味線の『班女』で表し、胡弓の『相の山』『鶴の巣籠』の節で夫を思う切なさを奏でます。勘十郎の指遣いが見事でした。先代の2世勘十郎が存命中もずっと見て来たけれど、蓑太郎から10年くらい前に、勘十郎を継承して、ここへ来てすっかりベテランの域。 以上、国立劇場、今月の人形浄瑠璃公演でした。 今日は、さすがにコメントが少ないだろうナ・・・・・(-。-)y-
2012/05/16
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宇治川の蛍狩りで恋に落ちた、阿曽次郎と秋月家の娘深雪。故あってやむなく、扇に朝顔の歌を書いて、再会を約束しつつ別れます。数年後、たまたま明石浦で再会するのですが、突然の嵐で、再び別れ別れ。。船の上から、件の扇を投げ渡します。操を守りながらも、深雪は悲しみのあまり泣きはらし、盲目となって朝顔と名乗り島田宿で、琴歌を歌い聞かせて露命をつなぐ身の上。 阿曽次郎は駒沢次郎左衛門と改名して、島田宿に逗留します。駒沢は、衝立にあった朝顔の歌に目をとめ、琴歌を歌う盲目の朝顔が、深雪であることを知ります。露の干ぬ間の朝顔を照らす日影のつれなきに哀れひとむら雨のはらはらと降れかししかし、名乗らずに出立せねばならなくなります。深雪も、後からその客が阿曽次郎であることを知り、降り出した雨をも厭わず、後を追いかけます。大井川に辿り着きますが、阿曽次郎は既に川を渡ったあとでした。大雨で川止めになり、追いかけることも出来ず、悲嘆にくれた深雪は、その身を川に投げようとしますが、阿曽次郎が残してくれた秘薬で目が治ります。そのために命を投げ出してくれた徳右衛門の恩に涙しながら、愛しい夫との再会に思いを馳せるのでした・・・・・・すれ違いの恋を、描いた作品です。「 生写朝顔話 」(しょううつしあさがおばなし)国立劇場 5月文楽公演久し振りの蓑助さん。 良かったです。泣かせるところの嶋太夫さん、秀逸!!
2011/05/20
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今日も今日とて、ためになるホヤ講座。 大学でだって、教えてくれない博学の数々!! 大学なんか、カンニングしてまで入る必要がないことに、あとから気が付くに違いない。。近松門左衛門作の人形浄瑠璃に、「心中天網島」(しんじゅうてんのあみじま) というのがある。「頃は十月 十五夜の 月にも見へぬ 身の上は 心の闇のしるしかや 今置く霜は明日消ゆる はかなく譬のそれよりも 先に消え行く 閨の内・・・」 「 よっ! 嶋太夫 たっぷり!! 」歌舞伎にもなっているし、映画にもなっているから、知らない人以外は、みんな知ってるはず・・ 映画は、昔、確か、岩下志麻と中村吉右衛門 が演じてた。紙屋治兵衛と切れぬ仲になった紀伊国屋の遊女の小春。 小春と治兵衛の妻おさんの女の義理を中心に描いた作品。この 「心中天の網島」 は、先日来繰り返して書いた、「 天網恢々疏にして漏らさず 」という、老子の言葉からとってつけた題名である。初めチョロチョロ、中 パッパ!! とうとう燃えて切れぬ仲。悪いことは、隠せません。。 カンニングより、罪が重い・・どうにもこうにも引っ込みがつかなくなって(?)、最後にゃ心中するっきゃなくなっちゃうんです・・ 罪名:チョメチョメの罪!ついでに、心中した場所が、網島。←(大阪の某所の地名) というのも、蛇足で・・ど~~~~よ!? (ー_ー) ためになる・・べ!!こんなこと、京大だって東大だって、教えてくんないゼ。って~~ことは、今、ここで、これを知った アナタ!!! は、天下の京大・東大生より、賢い のです。。
2011/03/06
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恋しくばたずねきてみよ和泉なる信田の森のうらみ葛の葉え~~~~~~毎度毎度わけの分からねェお話で・・2月文楽公演 : 芦屋道満大内鑑 葛の葉子別れの段 蘭菊の乱れ 嫗山姥 廓噺の段を観て参りました。書いたって、多分興味のある人は少ないだろうし・・・いや、殆どいないに違いない。。。 が、しかし!! 他に話題が・・・今回は、芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ) のことだけにしておこう。この話は、思いっきりかいつまんで書けば・・勢力争いに負けて許嫁の自害を目前にして気がおかしくなった、安倍保名(あべのやすな)が、許嫁の妹の葛の葉姫に出会って正気を取戻し、信太の森で白狐を助けた。白狐は恩返しに葛の葉姫に姿を変え、保名を尋ね、夫婦になって一子・童子をもうける。親子3人でひっそりと暮らしていましたが、そこへ本物の葛の葉姫が現れたので、別れを悟り、寝ている童子に自らの身の上を語り、学問に励み父の名前を汚さぬようと諭しながら愛児との別れを惜しみつつ、白狐は機屋の障子に「恋しくば」の歌を書き残して古巣へ帰る。子供を思う親の心を切々と・・・嶋太夫 が聞かせてくれます。 残念ながら、文雀 さんが病気のために出られませんでした。(-。-)y- だから・・ど~~なんよ? ってか。いいじゃん!! たまにゃ・・・こんなんでも。ひとつ、ウンチクを書けば、「信田の森の・・・」は「しのだ」と読む。現在の大阪府和泉市信太山にある森で、葛の葉稲荷神社。ほんで、『しのだ寿司』というのがあるのをご存じだろうか?所謂、「おいなりさん」だな。キツネと言えば、油揚げ。 で、「おいなりさん」が「しのだ」。ま、ど~~~でもいいんだけどね。それと、この狐葛の葉と安倍保名の間に出来た子供・安倍童子が、後の、平安時代の陰陽師・安倍晴明であります。もっと、ど~~~~でも良かった・・ね!?外は、雪です。
2011/02/11
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マニアックな(?)趣味で、スミマセんね~。「いよっ! 待ってました、住太夫!!」別に、話題を提供するためのブログじゃなし、花が咲こうが、酒を飲み過ぎようが、為になろうがなるまいが、放っといてちょ~だい。。。 放っときます、あたしも! と、のっけからズレとりますねん。 先日、観て参りました。 「文楽」 5月公演。「 新版歌祭文 」 (しんぱんうたざいもん) 野崎村の段 油屋の段 蔵場の段内容なんか書いても、そりゃつまらないだろうネ、おまえさん!気になったら、 ← クリックしてくれはらますかえ。「野崎村の段」は歌舞伎でも文楽でも、普通によく出し物で出ますが、あとの「油屋の段」と「蔵場の段」は、殆ど上演されない。今回は、とってもお久し振りなのねん。こう言えば、名前くらいは知っていらはりますやろ?「お染と久松」 ( 一一) 名前くらい・・・この「お染」の文楽人形を、持ってますねん。本物の2分の1の大きさですが、5・60センチはあります。こんな物を持ってる人は、そ~~は居ない。に違いない。 別に、妙なオタクじゃ~~~ありませんが、ネ。30数年前に、自分で仕事を始めた時に、友人が「アンタは文楽が好きだったよネ」「まァ~ね! 」「じゃ、お祝いにコレあげる!! 」と、「お染め」の頭(かしら)を、くれたのです。(;一_一) そう!! アタマ・・・だけ。 結構、不気味! 飾るわけにもいかない・・・仕方なく、着物付きの胴体を買った。こっちの方が、高い・・(-_-メ)外に出しっぱなしでは、色が褪せる。で、ガラスのケースも買った。 ハンパの大きさじゃない。 50インチの薄型TVくらい。??そんなわけで、滅茶苦茶場所を取ってるけど、30数年前以来、部屋の片隅に置いてあります、 お染 ちゃん・・・・
2010/05/24
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2月文楽公演を観て来た。『敵討襤褸錦』 「かたきうちつづれのにしき」と読む。 縁談の話も調った隣り合わせの春藤・須藤の両家が、一転して敵同士になってしまうという運命の皮肉、生来の愚鈍さゆえに敵討ちの足手まといにならないように息子・助太郎を手にかける母の気丈さ、敵を追い求める春藤次郎右衛門・新七兄弟の苦心を描いた異色の敵討物です。色っぽい話しじゃ~ありません。『春藤屋敷出立』は足手まといになる長男・助太郎が母親の手にかかり、新七との婚儀が決まった須藤家のお霜が自害するという可哀そうな話です。豊竹嶋太夫が切々と謡い上げます。竹本住大夫が、18年ぶりの『大安寺堤』を謡います。「よっ! 嶋太夫!! たっぷり!!」 それだけのことです・・いいんです。ど~~せ、ヘンな趣味です・・(-。-)y-゜゜゜
2009/02/14
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