夢見る頃を過ぎても

夢見る頃を過ぎても

インナーチャイルドと向き合う


優しい母も怒る時は頑なだった。
折りしも時は高度成長期。
忙しい父は、育児に参加していなかった。
当然子供達の教育はすべて母に一任されていたのだと思う。

子どもの頃、頼みごとをすると
母はなんでも「お父さんに聞きなさい。」と言った。
父に尋ねると「お母さんがいいって言ったらいいよ。」
母は常に父を立てた。
しかし結局決定権は母にあったのだ。
子ども心にもそれは理解できた。

父が育児に参加していなかったと自覚したのは、大人になってからのことだ。
お父さんがいて、お母さんがいて、妹がいて、私がいて、一つ屋根の下に住んでいる。
家族という箱の中で、家族を演じてきた。
傍から観れば我が家は仲の良い家族。
実際今でもそうだと思う。

厳格だった父も、社会人になった途端に一変した。
父に軽口をたたけるようになったのも、この頃からだった。

私の会話には家族が良く出てくる。
父や母や妹の話。
そして、仲の良い友人は皆私の家族をよく知っている。
そして、家族も私の友人をよく知っている。

家族という箱から抜け出せない自分。
幸せなはずの家族。

自分も幸せな家庭を築きたかった。

でもそれはきっと、母の理想なのだ。

本当の私を誰も知らない。

本当の私の気持ちを誰も知らない。






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