おべんきょおべんきょたのしいな♪(あやしい・・・)

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2004年07月31日
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テーマ: 司法全般(518)
カテゴリ: 司法試験関連
第2問

 この事例に関する次の1から3までの各場合について,裁判所がどのような判決をすべきかを述べ,その判決が確定したときの既判力について論ぜよ。
 1 裁判所は,甲債権及び乙債権のいずれもが存在し,かつ,相殺適状にあることについて心証を得た。
 2 Xは,「訴え提起前に乙債権を全額弁済した。」と主張した。裁判所は,甲債権が存在すること及び乙債権が存在したがその全額について弁済の事実があったことについて心証を得た。
 3 Xは,「甲債権とは別に,Yに対し,300万円の立替金償還債権(丙債権)を有しており,訴え提起前にこれを自働債権として乙債権と対当額で相殺した。」と主張した。裁判所は,甲債権が存在すること並びに乙債権及び丙債権のいずれもが存在し,かつ,相殺の意思表示の当時,相殺適状にあったことについて心証を得た。

1,結論
小問1
請求棄却判決 

小問2
請求認容判決
既判力は甲債権の存在と乙債権につき200万円について不存在
小問3
請求認容判決
既判力は甲債権の存在と乙債権に付き200万円について不存在。

(なお、私の知識が相当怪しいのですが、小問2で、200万円についてだけでなく、乙債権の不存在についてまで既判力を認めるのであれば、丙債権についての後訴のみ問題にすれば足ります。200万円に限るのであれば、乙債権についての後訴も問題となります。すごい基本的な重要なところなのに、知識が怪しい。我ながらやばいです・・・。)


2,<はじめに>
(1)
とりわけ小問2と小問3の関係、特に小問3が難しい。上記のような判決及び既判力が生じた場合の後日談をどうするかが問題。(以下、小問3について)
(2) Xによる後訴の場合

従って、この場合、Xは、前訴で200万、後訴でもう200万円をゲットできることになる。乙債権についての後訴での相殺が認められなければ、後訴で300万、合わせて500万を取られることになる。
(3)Yによる後訴の場合
他方で、Yが乙債権の残額100万円について、前訴確定後に訴訟を提起した場合も、既判力は当然及ばないから、前訴では相殺の再抗弁が認められたのに、後訴では認められず、Yが100万円をゲットした上、丙債権の不存在についても既判力が生じて、Yは300万円の丙債権についての支払を免れるおそれがある。結果、Xは、前訴で200万取ったものの、後訴で100万円取られることになって、矛盾が生じる。

3,解説(真偽はご自分で検討してください。私は責任を負えません。)
  再度問題点の指摘をします。

(1)丙債権につきXが訴訟提起すると、丙債権の存在不存在に付き再度判断されることになり、また、乙債権の残額が相殺に供されれば、当然これについても再度判断されることになり、判決が矛盾するおそれがあること。
(2)また、乙債権の残額100万円につきYが訴訟提起すると、Xの相殺、すなわち乙債権の存在不存在と丙債権の存在不存在が再度判断されることになり、矛盾する畏れがあること
の二つと思われる。

4,Xによる後訴について
(1)矛盾挙動禁止
 ア、
 まず、(1)の方は、いわゆる矛盾挙動禁止の問題と考えられないか。
矛盾挙動の典型事例では、売買契約に基づく代金支払い請求で買い主が売買が無効であることを主張し、それを理由として、売り主である原告の請求が棄却された判決が確定した後、売り主が売買が無効であることを前提として、売買の目的物の返還を求める訴訟が提起されたときには、買い主である被告に売買が有効であるとの主張を許さないのが公平である、される。
ただし、これは攻撃防御方法のレベルでの信義則。
事実レベルでの主張の遮断。

イ、
ただ、本件は、丙債権の存在を前提に相殺の再抗弁を出した事例であり、別訴で丙債権を請求しても、前訴でも丙債権の発生原因事実を主張しているから、事実レベルではなんら矛盾挙動には当たらない。相殺の意思表示について何ら述べていない以上、黙している以上、矛盾挙動にはならない。

ウ、
もっとも、別訴で、Yが、Xが前訴において、乙債権について、丙債権を児童債権として相殺の意思表示をした、という主張をすれば、Xはこの事実について認否する際、不知乃至否認とするのは、矛盾挙動にあたるから、ここで事実レベルでの信義則による主張の遮断ないし、信義則上不知乃至否認と出来ないとして、自白、ということになると思う。

エ、
実務的には、理論で解決せずに
事実認定で前の判決と同じように認定して、
具体的妥当な結論を出している例も多いらしい。
もっとも、弁論主義の適用があるから、どちらにしても被告、本件ではYからの事実主張が必要となる。

なお、この場合、本案について事実認定をしているので、
後訴については、請求棄却判決となる。

(2)
請求レベルでの失権、すなわち訴え却下は可能か。
ア、
後訴での丙債権の請求は、二重起訴禁止の問題とも類似する。前訴が係属中であれば、142条の類推適用で訴え却下になる。そして、前訴確定後であれば、前訴の既判力で遮断されるはずである。もっとも、本件では遮断されないから問題になる。
イ、
んー、ただこの問題は、どこに根拠を置くか、その理論的位置づけが難しい気がします。
142条の類推適用としては、「係属する」の要件も、「事件」の要件もないです。いわゆる抗弁先行型の時は、「事件」たる請求ではないものの、攻撃防御方法としての提出が、裁判所に「係属する」中で行われていたという関係がありますが、要件が二つも充たされていないわけですから、厳しい気がします。
次に、既判力の拡張としての理屈付けですが、現行法上、既判力の拡張がかなり制限されていることからすると厳しいかな、とも思いました。
ウ、
そこで、信義則による後訴遮断ということになるのですが、最判昭和51年9月30日(百選15)を読んでみると、「本訴は、実質的には前訴の蒸し返しというべきものであり、前訴において本訴の請求をすることに支障もなかったにもかかわらず、さらにXらが本訴を提起することは、本訴提起時に既に右買収処分後約20年も経過しており、右買収処分に基づき本件各土地の売り渡しを受けたB及びその承継人の地位を不当に長く不安定な状態におくことになることを考慮するときは、信義則に照らして許されない」とあります。

前訴の蒸し返しとは・・・、まあ言えますね。
被告側は丙債権の、つまり相殺の再抗弁に提出された自働債権についての存否について争いとなるからです。
本訴の請求をすることができた・・・、は当然充たしますね。攻撃防御方法として出しているわけですから。
もっとも、既判力が主文に限定されているのは、訴訟上の攻撃防御をフレキシブルに出来るようにするためというのも1つの理由ですから、なんとも微妙な気がします。
さらに、不当に長く不安定な状態・・・、というのは、どうもごくごく例外的に信義則により後訴が遮断される要件の様な気がします。
ということは、結論的にはちょっと厳しいような気もします。もっとも、地裁レベルでは、しばしば信義則による遮断をしているようなので、また、伊藤眞先生も信義則による後訴遮断を認めているので(p465~466。但し初版。)、後訴を遮断するとの説で◎かどうかは分かりませんが、十分合格点は付くと思います。

5,Yによる後訴について
次に(2)の、抗弁として相殺を主張したY、被告側が乙債権300万の内、相殺に供された200万円を除いた残債権100万円を請求する後訴を提起することが許されるかどうかが問題になると思います。
(1)
通常の事例であれば、既判力が及ばない以上残額についての後訴は当然可能です。
ただ、本件では、前訴で相殺の再抗弁が提出され、乙債権については、実質的に言って、丙債権と相殺により消滅しているかどうかが、十分に争われ、かつ消滅したということで、判断が出ています。
ここで、後訴を認めると、そして、X(前訴原告、後訴被告)が丙債権の存在と相殺を主張したときに、Y(前訴被告・後訴原告)がこれらの事実を否認すると、実質的には前訴の蒸し返しとなります。
ついでに言えば、Xが乙債権について発生原因事実自体を否定すれば、この事実についても再度争うことになります。なお、ここで、前訴で相殺を主張しているから、(1)同様信義則上争うことを認めないとすると、この点は、この段階ではクリアできるかもしれません。
(2)ア、
事実レベルの主張としては、矛盾挙動の禁止にはあたりません。なぜなら前訴でも、乙債権の発生原因事実を一貫して主張し、また、丙債権の存在について一貫して争っているからです。
イ、
さて、このような場合、どうすれば良いのでしょうか。
既に(1)で述べたように、Xには信義則上丙債権の請求を遮断乃至乙債権について否認を矛盾挙動として禁止しながら、Yについては、残額100万円について、ただ取りを許すことになりかねません。

どうするんだああああ。わかんねええええ。まじ難しいよ今年の問題。

ウ、
と思ったのですが、信義則上の訴訟上の権能の失効でも良いのかな、と思います。伊藤眞先生がおっしゃっているやつですね(同初版465p)。
判決理由に置いて判断の機会を得た当事者の訴訟行為の態様自体を根拠として適用される信義則ということになるのでしょうか。
前訴において、Yは、丙債権の存否について争い、その判断の機会を得たのであるから、もはや後訴においてこれを争い得ない。ということでしょうか。

エ、結論的には、Xの後訴は信義則上の禁反言乃至矛盾挙動として禁止、Yの後訴は、訴訟上の権能の失効で遮断されるということになるのでしょうか。
おそらく、Yの後訴についてもきちんと検討した上で、両者の遮断の理屈、遮断される基準が異なることを示せれば、十二分に合格点なのではないかと思います。
20分で構成を考えろ、と言われても、かなり無理があると問題だと思います。私もたぶん無理です。おそらくみんな出来ていないので安心して良いのではないかな、と思います。

間違ってたらごめんなさいね。ではではまた。

って、小問2との関係を論じてないですね。
小問2でも、Yによる残額100万円の後訴が問題となり、前訴で弁済の再抗弁について争いうる機会を得たのだから、信義則上、弁済の有無についても争い得ない。ということになるのでしょうか。そうすると、小問2と小問3で矛盾は生じないと思います。

あれ、でも・・・、攻撃防御方法にそんなにばりばり信義則認めても良いのかなあ、と思ってしまいます。小問3は相手方の攻撃防御方法が後訴で訴訟物足り得ますが、小問2では足り得ません。そこら辺ゆえに、小問3では頑張って遮断するのですが、小問2でも遮断して良いのかなぁ、と思います。
って、よく考えたら、小問1についても、Yが後訴として100万円を請求してきたとき、Xが乙債権についてその存否自体争えるかどうか、というのも問題になりますね。あるいは、Xが100万円の債務不存在確認訴訟を起こしてきた場合も問題になります。
この場合も信義則上争うことを認めないのでしょうか。あれれれ?基本的なところが良く分からなくなってきました。
あー、かえって混乱させてしまったかもしれません。もう少し検討してみたいと思います。

下の書き込みも参照ください。





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最終更新日  2004年07月31日 22時15分50秒


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