全579件 (579件中 1-50件目)
熊本では2週間のみの限定公開。初日に観に行ったけど、かなりいいですね。(でもお客は3人!)いじめにより自殺未遂事件が起きたある中学校を舞台にした「リアル中学生日記」って感じのストーリーですが、初監督とは思えない中西健二監督の演出が丁寧でかなり好感が持てます。阿部寛演じる臨時教師がやってきたことで、少しずつ露呈してゆくクラスの歪み・・・・。阿部ちゃんも、いつもの「くせ者」演技を封印して、真摯に役に取り組んでいます。安易な結末にもっていかないとこもリアルでよい!「映画を観た!」って充実感を持てる作品です。「キネマ旬報」や「映画芸術」のベスト10(の上位)に入ってもおかしくないと思う完成度なんですが・・・・・。いまの映画批評家たちは、こういう新人監督をもっと発見すべきだと思うけどね!こういう作品や「ひゃくはち」のような地味だけど面白い映画が空虚なシネコン大作の中に埋もれてしまうのは、相当に惜しいことです。かなりオススメ!見逃したら損です。http://www.aoitori-movie.com/エイガドージョー・ドットコム
2009年02月08日
こんな映画を観た。またしても「テレビ屋さんの作った画面が大きいだけのテレビ番組」が劇場公開です。ヤフーの掲示板とかみると「感動した!」って声の嵐ですけど・・・・・・。これって相当のヤラセが横行しているんじゃ・・・・・。もしくは、この人たちは、映画を初めて観たのか?または、師範代が気がつかないこの映画の魅力を多くの人は感じているのでしょうか?(だったら教えてほしい!)原作未読ですが、本当にこんな軽薄なドラマが「傑作ミステリー」として評判になってるんですか?ミステリーってジャンルは、人の命を殺人というエンターテイメントとして扱うからこそ面白いとは思うのですが、この映画を作った人たちには「命」の本当の意味がわかっていないとしか思えません。訳知り顔で説教たれるオッサンのような非常に不快な映画でした。あのストーリー展開だったら、石神の役を堤真一がやるのは絶対におかしい。堤に石神をやらせるのが、会社の方針ならば、映画のテイストはああであってはならない。現場が出資者たちと戦っていないから、こういう安易な映画ができてしまうのだ!世界はもう「ダークナイト」を作る時代になっているというのに・・・・・。日本の映画のレベルがこれじゃ恥ずかしいじゃないか?まだテレビ版「ガリレオ」の薄っぺらいドラマの方が気軽に楽しめるだけに罪がなかった気がします。この映画にお金を払うくらいなら「アイアンマン」を観よう!と強く警鐘をならしておきます。http://yougisha-x.com/エイガドージョー・ドットコム
2008年10月04日
こんな映画を観た。正直全然期待していませんでしたが、大収穫の1本でした。これまでの高校野球映画に胡散臭さを感じていた師範代のような非スポーツ系人間にも納得の野球青春映画。タバコを吸う高校球児をフツーに登場させるだけでも制作時には、かなり大変だったと予想されますが、そういう「いまの高校生像」に嘘をつかない映画作りにものすごく好感が持てます。(yahooの映画評などでは、そのあたりで賛否分かれているようです。もちろん師範代はこの映画を支持しますぞ!!!!)レギュラーでなく補欠の球児のリアルな日常。ちゃんと野球をさせて、ちゃんと撮影してるとこが、当たり前だけどすごい。監督役の竹内力はプロデューサーとしてもこの映画に参画しています。やるねー兄貴!熊本出身の高良健吾くんも出てます!リアルに描くだけでなく、エンターテインメントとしてもツボを心得た展開なので、映画を見終わった後のさわやかさが十分残ります。あえて辛口なことを言えば、音楽があまりよくなかった。もっと淡々とした劇伴でよかった気もします。そのへんを差し引いても、今年の邦画のベストに入る出来だと思うので、ノーチェックだった方々も食わず嫌いしないで観ておくことをオススメします。この作品が長編デビューだという森義隆という監督。覚えておいた方がいいと思います。問題なのは、予告編が全然よくないってことです。本編のイメージと全然違うので、あまり参考になりません。これじゃ「バッテリー」みたいな映画だとお客は思ってしまうよなぁ・・・・・。エイガドージョー・ドットコム
2008年09月01日
こんな映画を観た。内容に触れます!未見の方はスルーして下さい。公開後数日を経て、ネットでの感想もいろいろと出てきた「崖の上のポニョ」。大体いくつかのパターンに分かれてます。その1 手書きのアニメーションがすごいその2 またしても急に終わるその3 なんか変な感じ面白いけど、期待していたものとは違う・・・・というのが大方の感想のようです。ここで師範代的な妄想映画分析をやってしまうと「ポニョ」は、相当に怖い映画だと思う。なぜなら、この映画はたくさんの「死」を描いているからです。死人が出るシーンがある訳ではないのですが、映画全体に「死」のイメージが何度も提示されます。ポニョを見つけた宗介が無邪気に瓶を割るシーンぐったりとしたバケツの中のポニョケアセンターの車椅子の老人たち大水害で水に浸かる町ポニョがぐったりとなる謎のトンネル乗り捨てられたリサの車竜宮城のごとき水の中のケアセンターどのシーンにも、直接的ではありませんが「死」が近くにあることを想起させます。こういう点は、大人より子供の方が敏感に感じ取っているのではないでしょうか?そして、宗介のために魔法を使いまくり世界を崩壊させたポニョが唯一、他者への思いやりをみせる赤ちゃんのシーンが、上記の「死」に対応するシーンとしてラスト近くに唐突に登場してきます。ちなみにこのちょっとへんなシーンが、宮崎駿にとって、最も重要なシーンだと思われます。「死」に対峙する「未来」「生命」「希望」を描いたのではないでしょうか?赤ちゃんの母親の声には、「千と千尋の神隠し」で千尋を演じた柊留美がキャスティングされているのも象徴的です。ここ何年かの宮崎映画は、ハリウッド的(ディスニー的?)な据わりのいいエンディングを用意しません。「もののけ姫」しかり、「千と千尋」しかり「ハウルの動く城」に至っては、ものすごく唐突に戦争を終結させたりします。この終わり方こそが、宮崎らしさであり観客に対して「問い」を発したまま終わるという制作者としてある意味良心的な作風であるとも言えます。こういう作り方は実写映画では珍しくないのですがアニメというジャンルでやった人は少なかったので終わり方に馴染めない人が多いのかもしれません。映画は、「世界」は死ぬ!さぁ、おまえはどうする?という根源的な問いを観客に発して終わります。宮崎駿はもう死ぬんじゃないかと思う。いや、自殺するとかそういうことではなくて表現者として死を覚悟していないとこういう映画は作らないと思う。黒澤明が「まあだだよ」で到達した境地に宮崎も立っているのではないだろうか?問題は、なぜ宮崎が「死」を語る境地に達したかだが、師範代的見解は、息子・宮崎吾郎が「ゲド戦記」を作ったこととに大いに関係あると思う。「ポニョ」と「ゲド戦記」はコインの裏表なのだ。台詞と論理で「世界」と「命」を描こうとした吾郎に対して動きと感覚で「世界」と「死」を描いてみせた駿。このあたりを分析しだすと、長くなるので続きは、また別の日にでも・・・・・・・ちなみに、世間の皆さん言うほど『ゲド戦記』を嫌いにはなれない師範代です。「ポニョ」を観た後は、余計あの映画がわかる気がします。師範代的な「ポニョ」の位置づけは星飛雄馬の前に立ちはだかった中日コーチとなった星一徹です。(これ、わかる人にはわかるよね?)これは壮絶かつ麗しい親子の姿ではないか?親父の覚悟を見せつけられた宮崎吾郎は果たして「大リーグボール3号」を生み出せるだろうか?http://www.ghibli.jp/ponyo/eigadojo.com
2008年07月22日
「リンダリンダリンダ」の山下敦弘監督最新作。日常描写をまったりと描きながら決して観客を飽きさせない手腕はさすが!役者としては、主演の新井浩文もよかったが、双子の弟役の山中崇がスゲー!あの不気味なニヤニヤ笑いは演技の域を超えてます。ダメオヤジ役の三浦友和も相当いい!いま中年の悲哀を演じさせたら、彼が日本で一番かもしれません。日本のウィリアム・H・メイシーになれるかも・・・・・。http://www.matsugane.jp/エイガドージョー・ドットコム
2007年06月09日
こんな映画を観た。松本人志の第1回監督作品です。事前情報をほとんど公開せず、いきなりカンヌでお披露目という派手なデビューを飾った松本監督の手腕やいかに・・・・・・?松本人志が公開前から言っていた「映画を壊す」という目的は、ある意味大成功し、ある意味大失敗しております。もし、オフィシャル本に書いてある初稿のまま完成させていたら、かなりの傑作になっていたと思うのですが、あえてそれを放棄して、「映画であることを止める」という飛び道具を出して来た・・・・・という感じのエンディングを迎えます・・・・・。このラスト10分の展開が、見ようによっては、「映画を壊す」どころか「陳腐な寒いパロディ」にも見えてしまうのが、どうにもツライ。ツライ!ツライぞぉぉぉぉ!それほど「映画」というものは、なかなか壊れない強固なものなのだなぁ・・・・という思いを強くしました。「監督、ばんざい」も同じようなアプローチをして、失敗しております。ここ10年の映像表現で「映画を壊す」ことに僅かながら成功したのは、「メメント」、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」、「新世紀エヴァンゲリオン最終回」の3つだと師範代は思うのですが、この3つの作品以上には、松本監督も北野監督も映画を壊していない・・・・・・そこがツライ!北野武監督がデビューに恵まれていたと思うのは、深作欣二と野沢尚が作った「その男凶暴につき」というオリジナル脚本が前提としてあったこと。深作監督の降板を受けて、あとを引き受けた北野監督は、深作・野沢版を「壊す」ことで自分のオリジナリティを表現できたという「幸運」です。(後に野沢は、『過去に2度、自分の脚本を改悪された。結果的にうち1本は傑作となった』と粋なことを言っておりました。)松本監督が不運だったのは、オリジナルの「ヒーローもの」を自ら作った上で、壊すことまで自分でやらなければならなかったということ。「そんな面倒なことしなきゃいいじゃん。」と人は言うかもしれませんが、そこが「天才・松本」の「天才」たるところでしょう。松本がスタッフをいつものテレビのクルーで組んだのも敗因のひとつだと思う。「それって全然新しくないよ!」って言ってくれる外部の存在を入れて脚本を練れば、こんな自家中毒なことになならなかったようにも思う。「あんなゲームみたいなCGじゃ全然ダメだよ。いまどきの観客はもっと目が肥えてるよ!」とか言ってくれる人がスタッフにいなかったんだと思う。師範代がスタッフだったら、CGまったくなしで『獣』を描くべきだ進言しただろう。http://www.dainipponjin.com/エイガドージョー・ドットコム
2007年06月02日
こんな映画を観た。SEGAの大ヒットゲームを三池崇史が監督して実写映画化。歌舞伎町ならぬ「神室町」を舞台に、裏の世界にの男と男の抗争が勃発!主人公・桐生一馬役に北村一輝、因縁の宿敵、真島吾朗役に岸谷五朗。とにかく堪能しました助演なのに「岸谷五朗劇場」って感じの作品です!死なない!死なない!死なない!岸谷の怪演に対して、北村一輝はかなり抑えたテンション。(いつもだったらすぐにキレる北村にこういう役をフルのがまさに三池流!)そんな北村もクライマックスでスゲー展開をやらかします。(詳しく書くとネタバレになるので書きませんが、多分これってゲームの設定に忠実なんだろうね。それをこういう展開で持ってくるのもさすが三池監督です。)余談ですが、先日お会いした清水崇監督は、「ボクもけっこう仕事してますけど、三池監督はスゴイ!実は2人いるんじゃないかという説が業界であるくらいです。」って言ってました。2人の三池崇史を主人公にした日本版「アダプテーション」みたいな作品撮ったら面白いかも?東映っぽさ濃厚なこの作品、実は東映は配給のみで、SEGAが製作の主体ですが、「こういう東映の遺伝子を正しく受け継ぐ映画を、なぜ東映本体が作らない!」と強く強く思ってしまいました。 三池崇史ファン劇場へ!見逃すな! http://www.ryu-movie.com/ エイガドージョー・ドットコム
2007年03月04日
こんな映画を観た。スティーブン・スピルバーグやマーティン・スコセッシ、リドリー・スコットといった大物監督が原作権争奪戦を演じたことでも話題になったパトリック・ジュースキントのベストセラー『香水 ある人殺しの物語』。この原作を獲得したのは、「ラン・ローラ・ラン」のドイツ出身監督トム・ティクバ。人類最高の嗅覚を持った主人公ジャン=バティスト・グルヌイユが究極の香水を作るために次々と禁断の行為に手を染めてゆく・・・・・・。描こうと思えば、どこまでもグロく描ける題材ですが、トム・ティクバはそこにギリギリで抑制をかけてエンターテインメント作品に仕上げております。(そこがまた物足りないという人もいるかもしれないし、その抑制によってハリウッド大作になりえているとも言えます。)とにかく「最高の嗅覚」をビジュアル化した映像が、壮大でかなり笑えます。こんな嗅覚があったら、もっと他の用途に使えるよなーとも思うんですが、そこに行かないとこが、この主人公ジャンの「悲劇」でもあるし、ある意味「喜劇」でもあるのですよ。この映画を観ている間、師範代は、子供のころ読んだ「ウルトラ怪獣図鑑」の内容を思い出しておりました。 「ウルトラセブンは10キロ先の針の落ちた音が聞こえる」ってやつ。 かなりなトンデモ映画ですが、お金かかってるトンデモなので、こういうの好きです! 監督のトム・ティクバって「赤毛」が好きなのかなー。「ラン・ローラ・ラン」にも「ヘブン」にも赤毛が出てたような。 ジョン・ウーの「鳩」みたいなもんか? 究極の感覚を授かった主人公でいろんなバージョンが作れるナーなんて思いながら、劇場を出た師範代でした。「究極の味覚」を持った主人公が、料理対決で名人を次々打ち負かす様を、CGたっぷりで描いたら実写版「ミスター味っ子」は出来るなー。あるいは「究極の聴覚」をもったピアニストが・・・・・・・そりゃ「のだめカンタービレ」だ!http://perfume.gyao.jp/ エイガドージョー・ドットコム
2007年03月03日
こんな映画を観た。この映画には新しい発見はあまりありません。そういう意味では「武士の一分」と同じタイプの映画でした。だがしかし、同じ切り口でヒットした日本映画「フラガール」の100倍はよくできている映画だとも言えます。「フラガール」ファンの皆さんには申し訳ないが、師範代はあの映画をあまり評価できませんでした。同じ李相日監督の「69sitynine」を2004年の1位に選んだ師範代としては、李監督を応援する気持ちに変わりはないのですが、どうしても「フラガール」を好きにはなれませんでした。映画の評価において、これまで見たことにない「新しさ」を大きなポイントとして考える師範代としては、どうせ新しくない題材ならもっと「巧く」作ってほしいと思ってしまったのです。(好きな監督に採点が辛くなるのは仕方ありません。)「フラガール」は、「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」の成功の影響下に作られた映画だということは間違いありません。この「キンキーブーツ」もイギリスでの同じタイプの映画「フルモンティ」「ブロス」の2匹目のどじょうを狙って作られた映画です。同じ2匹目のどじょう映画ならば、この「キンキーブーツ」ぐらい巧く「フラガール」も作ってほしかったと切に思ってしまうのです。要は、「あと出しジャンケンで、負けてどうするよ!勝たなきゃ意味なし!」ということです。父親の急死で倒産目前の靴工場を相続した主人公が、ひょんなことから女装の男子と工場の再生に挑戦するという物語。(ほら『フルモンティ』でしょ、『フラガール』でしょ!)とにかくドラッグクイーン・ローラを演じるキウェテル・イジョフォー が素晴らしい。(ここんとこ『インサイドマン』『トゥモロー・ワールド』と秀作に連続出演!)この映画で一番の男気あるキャラというのがこの女装のローラというのも、かなり練られたシナリオだと思います。おなじアプローチの映画をつくるなら、勝負は「シナリオの練りこみ」にあるということを「キンキーブーツ」のスタッフはわかっています。それとこの映画で特筆したいのは、登場人物の持つ職人気質の表情です。いかにも田舎の靴工場にいそうな面構えのキャスト陣を揃えたのが勝因。(特にニック・フロスト演じるドンがいい!)師範代には、「フラガール」のトヨエツが、どうしても炭鉱夫には見えなかったのですよ! そろそろ日本映画も、有名か無名かでなく、面構えや演技力でキャストを考えてほしいです。(そのあたりの見た目のキャスティングに一番敏感だった日本の監督は、伊丹十三だったと思う。)今の映画界に跋扈している数字の獲得のために知った顔を揃えるという手法は、実にテレビ的発想。(『大奥』なんかそういうキャスティングでお客を呼んでいる訳ですが・・・・・)邦画がヒットしている今だからこそ、そろそろそういう発想から脱却してもいいんじゃなかろうか・・・・・・。実力のある俳優はもっとたくさんいるのに、どの映画にも竹中直人が出ている日本映画の現状はなんとかしなければなりません。(竹中直人の存在感はたしかに貴重ではあるけれども・・・・・・)いでよ次の竹中直人!日本のスタンリー・トゥッチよ!とにかく「キンキーブーツ」は新しくはないが確実に楽しめるいい映画だったということです。最近テンションがあがらないなーというあなた!是非御覧ください。オフィシャル・サイト http://www.movies.co.jp/kinkyboots/ エイガドージョー・ドットコム
2007年01月08日
こんな映画を観た。「ピンポン」の松本大洋のコミックを「MIND GAME マインド・ゲーム」のスタジオ4℃がアニメ化。「宝町」を舞台に、二人だけで暮らす少年クロ&シロVS開発計画に暗躍するヤクザたちの抗争が勃発する。クロは二宮和也、シロ蒼井優が吹き替え。(特に蒼井優は、見事に少年の声を出していて、驚くべき巧さです!)監督は「アニマトリックス」のプロデューサーもつとめたマイケル・アリアス。CGとセルアニメを融合させた立体的な映像は、それほど驚くほどではありませんが、少年たちのスピーディな動きと連動させて見せてくれるので、かなり気持ちがいい。ここ数年メインストリームとなりつつある「フル3DCGアニメ」にはできない質感とスピード感を描くことに成功している点は、高く評価できます。それよりもなによりも、クライマックスでシロが叫ぶセリフ「クロのネジ、全部シロが持ってる!」に泣いた師範代です。自分の足りないネジをもっている相棒に出会うことの「奇跡」と「幸福」!自分がすべてのネジを持っていると思っている人たちには、決してわからないセリフです。あなたにとってのシロは誰ですか?あなたはシロに出会っていますか?そんなことを考えさせてくれる映画でした。余談ですが、シロとクロの関係性は、「ゲド戦記」のアレンとテルーの関係と相似な気がします。この時代の空気を宮崎吾朗とマイケル・アリアスは、敏感に感じているということでしょう。両作品とも「生きる」意味へのアプローチがまだまだ浅い気がしたのは残念ですが・・・・・・。(思えば、「クレヨンしんちゃんオトナ帝国の逆襲」クライマックスにおけるしんのすけの「大人になって、キレイなお姉さんたちといっぱいおつきあいしたいから!」ってスゴイセリフだよね。)「生きる」ということを真摯にとらえているクリエーターが、今後、実写の世界でも登場してほしいと思う師範代です。オフィシャル・サイト↓ http://tekkon.net/ エイガドージョー・ドットコム
2006年12月23日
こんな映画を観た。ニューラインの「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ、ワーナーの「ハリーポッター」シリーズ、ディズニーの「ナルニア国物語」シリーズのヒットを横目で見ていた20世紀FOXが満を持して放つファンタジー大作。原作は、この小説を書いた時15歳だったという早熟な天才クリストファー・パオリーニの世界的ベストセラー。邪悪な力に支配された世界、未来の命運を握る無垢な田舎の少年が数々の困難に立ち向かい成長していく姿を描く・・・・・・という物語ですが、どっか聴いたことあるような・・・・・・。そう、この映画の基本設定は、もろに「スターウォーズ 新たなる希望」(最初に作られたヤツね!)なのです。主役の男が田舎モンの青年って感じのカリスマ性皆無な兄ちゃんってとこが、21位世紀のマーク・ハミル(ご存知ルーク・スカイウォーカー)を思わせます。その分、脇役に濃い役者を配置。残虐王にジョン・マルコビッチ。その家臣の魔法使いにロバート・カーライル。そしてかつてのドラゴン・ライダー(オビワン・ケノービね)にジェレミー・アイアンズとゲップがでそうな満腹感の脇役陣です。もともと「スターウォーズ」ってのは、ジョージ・ルーカスが昔の連続活劇「フラッシュ・ゴードン」をリメイクしようとしたけど、リメイク権が取れなかったので、しょうがなく世界各地の神話的物語をツギハギして作ったオリジナル・ストーリー。物語の基本ラインは、黒澤明の「隠し砦の三悪人」です。つまりは、この「エラゴン」は、「スターウォーズ」の子供、「隠し砦」の孫ということになります。この相似形は、近作「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」でも採用されてました。「スターウォーズ」がすでに神話の仲間入りをしたということなのか?それとも脚本の手抜きか?監督のシュテフェン・ファンマイアーは、ジョージ・ルーカスのVFX工房「インダストリアル・ライト&マジック」に長年在籍したSFXマンなので、随所に見せ方の巧いビジュアル・エフェクツが満載されてます。とにかく軽く見れる1本ですが、前述の他社のシリーズに比べると、圧倒的なオリジナリティがないだけに、今後のシリーズ展開としては、厳しいものがあるかもしれません。物語冒頭で別れた義理の兄貴が、今後のシリーズで悪役で登場することは必至でしょう。暗黒の騎士が仮面をとって一言・・・・・・・・。「I AM YOUR BOROTHER!」「NOOOOOOOOOOOOO!」てなシーンが2作目のラストかな・・・・・・。http://movies.foxjapan.com/eragon/ エイガドージョー・ドットコム
2006年12月16日
こんな映画を観た。第2次大戦硫黄島での戦いを日米双方の視点から描くクリント・イーストウッド監督の硫黄島2部作の第2弾。言わば、「父親たちの星条旗」とこの「硫黄島からの手紙」の2本で約4時間半という長尺の1本の映画が完成することになります。観る前に「あまり新鮮味がない」とか「昔の日本映画っぽい」とか聞いていたので心配していましたが、杞憂に終わりました。またしても傑作です。イーストウッドすげぇぞ! 以降、作品の内容に触れますので、ネタバレ覚悟! 物語は、アメリカ留学の経験をもつ指揮官・栗林忠道中将(渡辺謙)が硫黄島に赴任するところから始まります。この栗林の司令官としての視点と同時に末端の兵士・西郷(二宮和也)の視点でも、戦争の最前線が壮絶に描かれます。ほとんどのキャストが日本人であるにも関わらず、これは間違いなくアメリカ映画です。通常はアメリカ側を代表させるようなキャストを登場させてアメリカ人観客の感情移入をさせるつくりにするのが常套手段なのですが、さすが巨匠イーストウッドはそんな安易な方法はとりませんでした。日本人がどう戦争を捉え、考え、戦ったかという点を外からの視点でまるで観察するように描いています。(日本人観客にはそのあたりが物足りなく映る可能性もあります。)前作「父親たちの星条旗」で主人公たちの戦争フラッシュバックを執拗に描いたのとは実に対照的です。登場人物の残酷な運命を見つめる視点がクールで淡々としている点が、実に怖い戦争映画です。そこに描かれたのは、これまでの日本版戦争映画で描かれてきたようなホットな戦争ではなく、微細にその状況を観察するようなクールな戦争の実像。日本人俳優の言語をイーストウッドがどれほどまで理解していたのかは不明ですが、これは恐るべき演出力と言っていいと思います。上官が感情を爆発させて兵士を殴ったり、敗残兵が玉砕したり、銃撃戦で次々に死んでゆくシーンも(映像的にはかなり残酷で壮絶ではあるのですが)かなり静謐な印象が残りました。色味を極限まで押さえた撮影トム・スターンの功績だと思いますが、状況を冷静に描こうとする監督の信念がその画質を選択させたのだと思います。戦争を背景としてとらえた映画は数多いのですが、戦争そのものを映像化しようとした野心的試みとしては、「フルメタル・ジャケット」「プライベート・ライアン」と並ぶぐらいの革新的な映画と言えるでしょう。キャストとしては、二宮くんの評判がよいみたいですけど、バロン西を演じた伊原剛志がかなりな儲け役でした。米兵の持っていた手紙を読みあげるシーンは、この2部作の中でも最も重要なシーンとも言える名場面。号泣の師範代でございました。その他、オーデションで起用されたと思われる無名の俳優たちがなかなかいい芝居をしているので、映画として厚みを増しています。西郷と行動を共にする野崎役の松崎悠希は、今後が期待できる俳優だと思います。(オフィシャルサイトもありました→http://www.yukimatsuzaki.com/)その他、いい顔の無名日本人俳優がたくさん出演しているのも嬉しい。スターだけを珍重するのではないイーストウッドの俳優を見る眼の確かさを感じさせるポイントでもあります。ひとつだけ気になるのは、この映画がまったく短縮されずにアメリカでも公開されているのか?という点です。劇中、アメリカ兵さえも戦場ではけっして善人ばかりではなかったというショッキングなシーンが数多く登場してきます。このシーンや日本人兵士の心情を細やかに描いたシーンをアメリカの観客に届けてこそ、この映画の本当の価値はあると言えます。「The Internet Movie Database」では、いまのところアメリカ公開版の上映時間が出ていないので、チェックできませんが、完全ノーカットであることを願います。イーストウッドですからそのへんは大丈夫だと信じていますが・・・・・・・。かなり意外かもしれませんが、全体の印象として、晩年の黒澤作品を思い出してしまいました。特に「乱」に似ている気がします。人の世の無常さを描いた「乱」で黒澤がたどりついた境地。そこにイーストウッドも立っているような気がします。http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/ エイガドージョー・ドットコム
2006年12月12日
こんな映画を観た。70年代ベストセラーとなった小松左京の「日本沈没」を元ネタに、筒井康隆がパロディとして書いた小説を「いかレスラー」「コアラ課長」の「ゆるゆる映画番長」こと河崎実監督が映画化。要はリメイク版「日本沈没(せず!)」の便乗企画以外のないものでもありません。当初は、リメイク版と同じ日に公開を目論んでいたそうですが、東宝サイドから「お願いだからそれだけは止めてくれ。クレームがこっちに来る」と言われなくなく公開日をずらしたそうです。監修を先日亡くなった実相寺昭雄監督が担当していたり、オリジナル「日本沈没」に出演していた「藤岡浩、」が出演していたり、実相寺組の寺田農が田所博士役で登場したり、首相役をテレビ版の「日本沈没」に出ていた村野武範が演じていたり・・・・・・・・妙に豪華な布陣で挑んではいるものの・・・・・・。やっぱりゆるいです。途方もなくゆるいです。まぁこのゆるさを楽しむために劇場に行っている訳ですから、怒る気にもなりませんが・・・・・。このゆるさを許される映画監督は、日本広しといえども、河崎実ぐらいではないだろうか?この人、映画監督としての才能は皆無といってもいいのに、ゆるーい企画で映画を作り続けています。フィルモグラフィーは以下のとおり●地球防衛少女イコちゃん (1987) <OV> ●ミラクルバニー (1988) <OV> 監督 ●地球防衛少女イコちゃん2 -ルンナの秘密- (1988) <OV> 監督 /出演 ●地球防衛少女イコちゃん 大江戸大作戦 (1990) <OV> 監督 /出演 ●進め!地球防衛少女隊 (1992) <TV> 監督 ●べにすずめたちの週末 (1993) <TV> 監督 ●サイレントメビウス外伝 幕末闇婦始末記 (1993) <OV> 監督 ●はじまりの冒険者たち レジェンド・オブ・クリスタニア (1995) Anime 実写版監督 ●全裸女社長漫遊紀 (1995) <OV> 監督 ●飛び出せ!全裸学園 (1995) <OV> 監督 ●実相寺昭雄のミステリーファイル2 怪の館 (1997) <OV> 監督 ●美乳大作戦 メスパイ (1997) <OV> 監督 /プロデューサー ●恋身女子校生パティ (2000) <OV> 監督 ●電エース (2000) <OV> 監督 /出演 ●スーパーエロリーマン 課長 痴魔耕作 (2002) <OV> 監督 /脚本 ●まいっちんぐマチコ先生 Let's!臨海学校 (2003) <OV> 監督 ●まいっちんぐマチコ先生 (2003) <OV> 監督 /脚本 ●まいっちんぐマチコ先生 THE MOVIE Oh! コスプレ大作戦 (2004) 監督 /プロデューサー /脚本 ●いかレスラー (2004) 監督 /プロデューサー /原作 /脚本 ●永井豪ワールド まぼろしパンティVSへんちんポコイダー (2004) <OV> 監督 /脚本 ●コアラ課長 (2005) 監督 /プロデューサー /原作 /脚本 ●ヅラ刑事(ヅラデカ) (2005) 監督 /プロデューサー /脚本 ●兜王ビートル (2005) 監督 ●日本以外全部沈没 (2006) 監督 /プロデューサー /脚本 ●かにゴールキーパー (2006) 監督 /原作 /脚本 ●まいっちんぐマチコ先生 東大お受験大作戦!! (2006) <OV> 監督 /プロデューサー /脚本 ある意味、迷いのないフィルモグラフィーです。ある意味、河崎実は天才かもしれない!「ゆるゆる映画番長」の今後に注目であります。(あまりみんなは注目しなくてよいと思うが・・・・・・)日本以外全部沈没オフィシャルサイト↓http://www.all-chinbotsu.com/ 河崎実オフィシャルサイト↓http://www.ponycanyon.co.jp/ikochan/エイガドージョー・ドットコム
2006年12月04日
こんな映画を観た。シリーズ21作目。スピルバーグの「ミュンヘン」でもスパイ的な役回りを演じていたダニエル・クレイグが、6代目のジェームズ・ボンドとして登場。監督は「007ゴールデンアイ」も担当した経験のあるマーティン・キャンベル。撮影当初は、なかなかボンドガールが決まらなかったり、ファンに「金髪のボンドなんかいらん!」とネットで攻撃されてりして散々だった今作ですが、ふたを開けてみると、シリーズ中でもかなりレベルの高い娯楽作に仕上がってました。なにより、007になったばかりの初期のジャームズ・ボンドを描くことで、何故、彼があの「プレイボーイ・キャラ」になったのかという「謎」を解明することに成功。いわばこの作品は、ダースベイダーの誕生を描いた「スターウォーズ1,2,3」と同じ位置づけの作品なのです。確かに、このシリーズの男尊女卑的側面は、小説版007の誕生した60年代では当たり前だったとしても、冷戦が終了し、女性が社会的に大きな役割を得るようになった21世紀では、時代錯誤的に思われても仕方ありません。女性ファンが映画のヒットの成否を握る昨今のマーケット状況では、ジャームズ・ボンドのキャラを修正せざるを得ないという裏事情があったのです。今回は、アカデミー賞受賞のポール・ハギス(「クラッシュ」「父親たちの星条旗」)が脚本に参加していることもあって、キャラ造詣の奥深さやお洒落なセリフの応酬など、アクション以外にも見所の多い作品となっています。とにかくラストのセリフが素敵。(シリーズのファンならこのセリフが出てきてこその007ですから・・・・・・・詳しくは劇場で!)とにかくボンド映画のお約束に詳しい人ならニンマリするシーンが続出です。そういう意味では007ファンのための映画と言えるでしょう。当初、ナオミ・ワッツ、シャーリーズ・セロン、サンディ・ニュートン、アンジェリーナ・ジョリー、レイチェル・マクアダムス, ナターシャ・ヘンストリッジ、ジャシカ・シンプソン、スカーレット・ヨハンソンと様々な女優の名前が交渉のテーブルにあがったボンドガールは、「キングダム・オブ・ヘブン」「ルパン」のエヴァ・グリーンが演じております。ジャームズ・ボンドを「ヒーロー・ボンド」たらしめる重要な「運命の女」を好演。カジノでのセクシーな衣装とメイク、そして、ボンドだけにみせる素顔のかわいさという二面性を見事に演じています。(ソバカスがかわいいボンドガールなんて誰が予想したでしょう!)この映画で作り上げられた新しいボンド像を次の作品でどうするのか、また「プレイボーイキャラ」が復活するのか、それともリアルなボンド像を発展させていくのか、次のボンド映画は2008年の予定です。楽しみ!http://www.sonypictures.jp/movies/casinoroyale/ エイガドージョー・ドットコム
2006年12月02日
こんな映画を観た。山田洋次監督の時代劇3部作「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」に続く3作目。原作は1,2作目と同じ藤沢周平。1作目の真田広之、2作目の永瀬正敏に続く主演スターは、キムタクこと木村拓哉。主人公の下級武士・三村新之丞(キムタク)は、殿様のお毒見の役目のため貝の毒にあたって失明してしまう。絶望し死を考える三村を支えたのは、愛する妻加世(壇れい)だった。しかし、その状況につけいる上役の武士・島田藤弥(坂東三津五郎)がいた・・・・・・。ついに山田映画もジャニーズに頼る時代になってしまった。感無量!時代劇を作るのには、途方もないお金と手間がかかります。製作費が高くつくということは、採算分岐点も高く設定されてしまうので、大ヒットしなければならぬ宿命を負ってしまうのです。1作目の「たそがれ清兵衛」は、久しぶりの本格時代劇ということもあって、年配層を中心に集客ができ大ヒット。ところが2作目の「隠し剣 鬼の爪」は、若者層を引き入れるためにキャスティングした永瀬正敏と松たか子が思ったほどの動員を稼げなかったのです。しかも、頼りの年配層にも嫌われて、興行が思ったほど延びなかったという計算外の苦渋を舐める結果となってしまいました。山田洋次と松竹としては、3作目は絶対にはずせない背水の陣だったのです。ここで失敗するとしばらく松竹は時代劇を作れなくなってしまいます。歌舞伎役者を多く抱える松竹としては、それだけは避けたい!そこで登場してきたのが、ジャニーズ事務所です。「2046」でウォン・カーウァイにいいように使われてしまった反省で、ジャニーズとしては、日本人監督でかつ海外でも通用する実力派の監督の企画を探していたはず。「ハウルの動く城」を成功させていたので、もう宮崎駿以上の有名実写映画監督となると、山田洋次か行定勲ってことになってしまうのですよ。実際の話。海外にも名前を売りたいジャニーズと若者層の観客がほしい松竹側の利害関係が一致したとこで、この映画の企画が決定したという話は(あくまで師範代の妄想の世界ですが)ありそうなことです。で、映画の出来はどうだったか?まぁ及第点ってとこでしょうかね。キムタクのダメなとこは、役を自分で勝手にアレンジして「キムタク・キャラ」にしてしまうこと。テレビではそれが魅力となって視聴率につながるんですが、映画だとそれは邪魔!(『君を忘れない』のロン毛特攻隊員は酷かった!)その点は、さすが山田洋次です。東北弁と時代劇の所作という二重のカセをかけて、「キムタク・キャラ」を封印することに成功。(部分的に垣間見える点もありますが、かなり押さえ込んでいるのは確かです。)冒頭の「お湯!」とぶっきらぼうに妻に対して言い放つシーンから、キムタクでなく三村新之丞に見せることに成功しています。キムタク以上に特筆しておかねばならぬのは、脇を固める役者たちの凄さ。けなげな妻を演じる壇れい。(昔ながらの日本の妻。古いといわれてもこういう女を好きな男はまだまだ多いのです。)新之丞につくす徳平役の笹野高史(今後発表される邦画の映画賞で助演男優賞は多分この人が独占すると思われます。)親戚の波多野おばさん役の桃井かおり。(さすがに桃井かおりです。映画が最も生き生きするのは彼女が登場するシーンです。)この映画は、何ひとつ新しいものは描いていません。しかし、いまの日本映画のレベルを考えると、「武士の一分」がかなりハイレベルである作品なのも事実です。この映画を越えるような映画がどんどん出てくるような日本映画界であるべきなのになぁ・・・・・。韓国映画の「漢江の怪物グエムル」が怪獣映画の歴史をひっくり返したように、日本でも革新的な時代劇が登場してこないかねぇ・・・・・と思う今日この頃。トリビア:ジャニーズ事務所が関係した映画は、絶対にタレントの映像を使わせてきませんでしたが、なんとこのオフィシャルサイトには、キムタクの映像がアップされてます。松竹の英断なのだろうか?http://www.ichibun.jp/ エイガドージョー・ドットコム
2006年12月01日
こんな映画を観た。東京では7月に公開されていましたが、師範代の住む熊本では、DVDリリース(2007年1月26日にフォックスから出ます)直前の駆け込み上映。しかし、こういう捨てられたような映画が、実に面白いから映画はやめられんね。「SEX and the CITY」の大ヒットで世界中のキャリアウーマンのカリスマになったサラ・ジェシカ・パーカー主演の最新コメディ。ニューヨークのキャリアウーマンのメレディス(サラ・ジェシカ・パーカー)が、恋人エヴェレット(ダーモット・マローニー)の実家に初めて招かれるという冒頭の設定が巧い!すべての女性が「あるあるこういう場面!」と共感できる舞台設定を使って、メレディスと新しい家族との衝突と和解を描いております。とにかく前半部分のメレディスのギスギスした感じは見事な演技です。すげーいやな女全開です。ある一夜を境に彼女の本当のかわいさが姿を現すことになるのですが・・・・。脇を彩る役者がどれもいいです。エヴェレットの母にダイアン・キートン(われらが『アニーホール』もおばあちゃん役)、父にクレイグ・T・ネルソン(『MRインクレディブル』の吹き替えの人!)、妹にレイチェル・マクアダムス(『君に読む物語』のヒロイン)、弟にルーク・ウィルソン(オーウェン・ウィルソンの弟)、メレディスの妹にクレア・デインズ(『ロミオ+ジュリエット』『T3』)など、役者が皆巧い!世界中のどこの家族でもありえる話です。こういう映画を見せられるとアメリカ映画の底知れぬパワーを思い知らされます。日本映画でもこういう洒落た家族の物語が作れないものでしょうか?エンディングの描き方が、べたつかずにすごくよいです。サラッとしてるから逆に泣けます。http://www.foxjapan.com/movies/familystone/ エイガドージョー・ドットコム
2006年11月26日
こんな映画を観た。イギリスの作家P・D・ジェイムズの「人類の子供たち」(映画の原題はそのままCHILDREN OF MEN)を「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のアルフォンソ・キュアロン監督が映画化。舞台は、子供が誕生しなくなった近未来。人類の未来を左右する一人の少女キーを巡る政府と反政府組織の攻防を描くポリティカルSFサスペンス。物語の基本構造は、ロードムービーです。キュアロン監督にとっては、いわば「天国の口、終りの楽園」のSF版とも言える作品。CGが多用された戦闘シーンは、かなりドキュメンタリーなタッチ。長回しに合成されたCGのはカメラのぶれと連動してかなりリアルなタッチを生み出すこと成功しています。クライマックスの8分間は息も詰まる戦闘シーンになっています。この技術は、映画祭でも高く評価され、ヴェネチア国際映画祭ではオゼッラ賞(技術貢献賞)を獲得しています。原作は未読なんで、映画オリジナルの要素なのかどうかわかりませんが、映画の細部にわたって、20世紀のポップスやロックをモチーフにしたものが数多く登場してきます。マイケル・ケイン扮する老人は、もろ暗殺されなかったジョン・レノンだし、ピンク・フロイドのアルバム・ジャケットを立体化した気球みたいなものが登場。こういう現在のアイテムを未来に登場させるセンスはなかなかよいです。近未来に舞台は設定されていますが、物語が描くのは、まさに「テロの世紀」である現代です。映画のラストを、希望と見るか、新たな絶望の幕開けととるか・・・・それはあなた次第・・・・・・。トリビア:監督は当初キー役にエマ・ワトソン(『ハリーポッター』のハーマイオニー役)を考えていたそうです。http://www.tomorrow-world.com/エイガドージョー・ドットコム
2006年11月25日
こんな映画を観た。実在のプロゴルファー古市忠夫を描いたノンフィクション「還暦ルーキー」(文庫版は『ありがとう』に改題)が原作。阪神淡路大震災ですべてを失った主人公が、一念発起してプロテストを目指すという実話でなけりゃ「こんな話、説得力全然ない!」と言われかねない強引なストーリー展開。主演は赤井英和、夫を支える妻に田中好子、プロテスト挑戦を支えるキャディに薬師丸ひろ子(メガネっ子!)その他ゲスト的に大物俳優がいろんなシーンに登場してきます。監督は「UNloved」「宇宙貨物船レムナント6」の万田邦敏。(というより新しい製作会社『ランブルフィッシュ』を立ち上げた仙頭武則プロデュース作品という色合いがかなり強いです。)とにかく見てほしいのは、前半の震災のリアルな描写!平成版「日本沈没(せず!)」に失望した災害映画ファンの諸君は、きっと溜飲をさげる1本となることでしょう。「災害」=「人が死ぬ」という災害映画で当たり前のことをキチンと描いているこの映画のスタッフは偉い!このあたり、脚本やSFXプロデュースも兼任している仙頭の力が大きいと言えます。これまでは、海外の映画賞狙いの作品ばっかり作っていた仙頭プロデューサーですが、この新しい会社では違った切り口の映画にもトライしていくということなのでしょう。期待したいです。残念なのは、前半のリアルな描写に比べて、後半のプロテストのくだりが、かなり大味なところ。せっかく赤井英和という身体能力の高い俳優を起用しているのだから、プロゴルファーになる試練をキチンと体でみせてほしかった。(みんな忘れてるかもしれませんが、赤井さんは元プロボクサーですからね。)映画を観終わるとこのタイトル「ありがとう」ってなかなか染みるタイトルなんですが、もっと他のタイトルの方がお客を動員できるような気がしますがねぇ・・・・・。とりあえず「エイガドージョー・ドットコム」的勝手にタイトルをつけちゃうと・・・・・。「ゴルファー対大地震 史上最大の決戦」でどうだ!http://www.arigato-movie.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年11月23日
こんな映画を観た。ローレン・ワイズバーガーのベストセラー小説を「プリティ・プリンセス」のアン・ハサウェイとアカデミー賞常連女優の大御所メリル・ストリープの共演で映画化。ジャーナリスト志望のアンディ(アン・ハサウェイ)が、ファッション誌の鬼編集長ミランダ(メリル・ストリープ)にいびられながらも成長してゆく・・・・・・というとてもありがちなストーリー展開ですが、脇役のキャラ造詣が巧いことあって、退屈せずに最後まで見られます。ただジャーナリスト志望の有望ライターにアンディが全然見えなかったり、彼女が劇中では「デブ」という設定に無理あるなぁ・・・・・。今回も「どんな映画に出ていてもスタンリー・トゥッチはオモロイ!」という「エイガドージョーの法則」は健在でした。やっぱオモロイはこのおっさん!きっと半年後ぐらいに「月9」の枠で違う業界に設定を修正したパクリ企画が放送されそうです。とりあえず上野樹里か宮崎あおいを推薦しておく!http://movies.foxjapan.com/devilwearsprada/エイガドージョー・ドットコム
2006年11月22日
こんな映画を観た。今年春に亡くなった黒木和雄監督の遺作。原作は、岸田國士戯曲賞・読売文学賞などを受賞した注目の劇作家・松田正隆の同名戯曲。ここのところ「戦争」をモチーフにした作品を連続して発表してきた黒木和雄監督ですが、中でも最も静かな映画となっているのが今作。静かだからといってつまらないかというとさにあらず!静かに描かれる日常が、戦争によって少しずつ歪められてゆく様を、実に丁寧に描いています。とくに、頻繁に登場する食事のシーンがほとんど1カットの長廻しで撮られていて、見事です。「たかな漬け」「いも」「味噌汁」「お茶」「おはぎ」など、戦時中だったからこそ、庶民の大切な時間だった「食事」の時間をドラマの中心に置いた監督の狙いは、大正解です。役者は、原田知世(紙屋悦子)、永瀬正敏(永与少尉)、松岡俊介(明石少尉)、本上まなみ(紙屋ふさ)、小林薫(紙屋安忠)の5人しか登場しませんが、芝居がしっかりしているので、安心して見ていられます。特に本上まなみは、いい意味で裏切られる好演でした。「バクダンに当たらんて思って赤飯やらラッキョウやら食べたくなかです。」(名セリフ)冒頭に登場する老いた原田知世と永瀬正敏の姿は、構成としては必要だったんでしょうが、メイクがあまりにもショボイので、映画の完成度を著しく損ねております。そこさえガマンすればいい映画なんで、そこで萎えずに最後までご覧ください。http://www.pal-ep.com/kamietsu/エイガドージョー・ドットコム
2006年11月20日
こんな映画を観た。俵万智の初小説「トリリアングル」を、作詞家の阿木曜子が監督。音楽は旦那の宇崎竜童が担当。 いやーすごいよこれ! ある意味「デビルマン」クラスの珍作でした。 黒谷友香演じるフリーライターが、不倫しながら若いツバメともつきあって・・・・という三角関係(トリリアングル)の東映不倫路線(そんなのがあるかどうかしらんが『失楽園』とか『ひとひらの雪』とかそんな感じの路線ね)な1作。15分に1回黒谷のベッドシーンがあって、「あーッ!」ってよがったあとに、必ず短歌を詠むって展開が最初から最後まで続きます。 単調な構成と単調な演技で頭がクラクラしてきますが、見ているうちにそれが快感になってくるという観客を「M化」するスゴイ作品です。とにかく登場人物の行動が、すべて狂っていて、ツバメとの別れの場面、黒谷は突然、裸に薄物をまとった姿でベリーダンスを踊ったりします。(すごいでしょ!、全編こういう狂ったシーンのオンパレードです。)中途半端なえせハリウッド志向の邦画エンターテイメントより、こういう「狂った日本映画」を愛でる師範代としては、かなり満足な1本でした。(他人には決してすすめませんが・・・・・・『幻の湖』とか好きな人にはいいかも・・・・・) http://www.tannka.jp/ エイガドージョー・ドットコム
2006年11月11日
こんな映画を観た。「バス男」のジャレッド・ヘス監督の最新作は、ジャン・レノ主演の「グランマスクの男」のリメイク。 主演は「スクール・オブ・ロック」「キングコング」のジャック・ブラック。 ダメ男がなにかを成し遂げるという点では、「バス男」とまったく同じ物語構造。 相変わらず選曲がうまいジャレッド・ヘス!音楽で物語を語るすべを知っています。この監督には、是非ミュージカルを撮らせるべきです! とにかく「変な顔」の役者が続々登場して、嬉しくなってきます。 会話シーンのカット割が小津安二郎風の「正面切り返し」を多用していたのも表情の機微を伝えるのに効果的でした。 ヒロイン役のアナ・デ・ラ・レゲラ は、「ポスト・ペネロペ・クルス」として今後注目の女優さんです。 現代に「ロッキー」的な負け犬が栄光を勝ち得るという王道の物語をさらっとやってのけるこの監督は只者じゃないです。「ロッキー」をそのままリメイクしても、こうは泣けない!笑いとせつなさと負け犬ぶりに「いま」が描かれているからこそすばらしいと言えます。これを単なるコメディとしか見ない人は悲しいです。本当のヒーローってこういう日常性を持っている人のこと。「ナチョ・リブレ」と「ホテル・ルワンダ」は、切り口こそ違えど、日常のヒーローを描いているという点では同じです。必見な1本!http://www.nacho-movie.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年11月04日
こんな映画を観た。クリント・イーストウッド監督の「硫黄島2部作」の1作目。第2次大戦の日本軍とアメリカ軍の激戦がおこなわれた硫黄島が舞台。以下、映画の内容に触れてますので、未見の方は覚悟してください。アメリカが戦費が足りず国債を大量に発効するため、国威発揚の「イメージ」として担ぎ出されたのが、硫黄島で星条旗を掲げた戦士たち。彼らのアメリカでのクレイジーな「英雄興行」の旅とフラッシュバックする「硫黄島の戦場」。このあたりの構成は、さすがポール・ハギスって感じです。観客は、英雄として祭り上げられた戦士たちが、戦場でいったい何を見たのかを追体験させられることになります。だんだんと謎が解けてゆく構成は、ちょっと探偵小説風でもあります。さすがに演出が老練なイーストウッドです。声高な反戦映画にせず、あくまで淡々と戦士の姿を描写することで、観客をグッと映画の世界に引き込んでゆきます。星条旗を掲げる真っ白なケーキに真っ赤なストロベリーソースがかけられるワンカットで戦士の苦悩を表した描写など、あくまで映画的に映像で戦争を語ってゆくイーストウッド節が満載です。戦場の描写では、敵兵(日本兵)の姿は、ほとんど描かれることなく、バタバタと死んでゆくアメリカ兵の姿が克明に描写されます。スピルバーグの「プレイベート・ライアン」で始まった戦場体験型の映画は、この映画でひとつの完成形を見たと言えるかもしれません。どんな映画でも現在の世界情勢とリンクして作られる訳で、この映画もいまの世界情勢と無関係ではありません。政治信条的には、「右派」であるはずのイーストウッドまでも、戦争で兵士を利用する国への不信感を描いた映画を作るってことは、ブッシュ政権もかなり危うい感じがします。11月3日からは、日本語吹き替え版も公開されるらしいので、細部を確認するためにももう一度観てみたいです。もちろん12月9日からの日本からみた戦争「硫黄島からの手紙」も必見です。劇場でおっさんばっかりだったのが気になりました。おまえら!こういう骨のある映画をもっと観ろよ!日本版公式サイト↓http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/アメリカ版公式サイト↓http://www.flagsofourfathers.com/エイガドージョー・ドットコム
2006年10月28日
こんな映画を観た。正直、こういう映画はもう古いと思っていました。「老い」を丁寧に見つめる真摯な映画・・・・・ひとこと言えばそういう映画。これまでもたくさん作られてきた日本映画の得意分野。あまり新鮮味は感じない映画だと思って見はじめたのは確かです。ところが、この映画の「けなげさ」や「優しさ」や「丁寧さ」に触れて、師範代は心を震わされてしまいました。日本映画界が「邦画バブル」という浮かれ状態の中で、金儲けだけを目的にぜす、本当に描きたいもの、描かねばならないものに、スタッフやキャストが真剣に取り組んでいるのがスクリーンから伝わってきます。表現者としてあたりまえのことをやっているだけなんだけど、今年の邦画界では数少ないそういう姿勢を応援してあげたくなるのです。例えば、昭和30年代の日本映画界だったら掃いてすてるようにあった家族の絆の物語ですが、平成のいま作られるからこそ、こういう映画は意味があると思います。いつもファーストフードばっかり食べてて、ふと近所の蕎麦屋に入ったらなんかおやじのぶっきらぼうな感じが新鮮で蕎麦も派手さはないけど滋味深い味だった・・・・って感じの1本ですね。熊本県八代市出身の耕治人の原作小説を、1986年「国士無双」以来のメガホンとなる保坂延彦が監督。認知症となる女性を雪村いずみ、その夫を桂春團治が演じております。夫婦の甥になる近所のおじさんを阿藤快が演じておりますが、たぶん彼の映画人生で最高の演技です。小市民でありながら、おじさんおばさんを愛する男をリアリティたっぷりに演じていて泣けました。師範代的助演男優賞の有力候補!!最近、いい日本映画がないね・・・・・という方には見て欲しい1作です。http://www.soukamoshirenai.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年10月18日
こんな映画を観た。「彼女を見ればわかること」のロドリゴ・ガルシア監督の最新作。9人の女優が演じる9つの物語という予備知識しか知らずにみたのだが、これがかなりの傑作。おのおののエピソードを1シーン1カットで描くという冒険的試みも高く評価できますが、女優の演技のレベルがどれも高くてスゴイ。ロカルノ国際映画祭では、作品賞とともに9人の女優すべてに演技賞が与えられております。いくつかのエピソードが組み合わさる「クラッシュ」のようなジグソーパズル的な展開はありませんが、いくつかの登場人物がほかのエピソードでも登場してくるさりげないリンクがよかった。あるエピソードの主役も、ほかのエピソードでは脇役。まさに人生ってそんな感じじゃない。原題の「9 lives」は、9つの命をもつ猫の伝説からきていますが、「9つの人生」ってことですね。どの女優のエピソードが好きかで、その人の性格が出ると思います。ちなみに師範代は、ロビン・ライト・ペンのスーパーマーケットの話がよかったな。http://www.elephant-picture.jp/utsukusii/エイガドージョー・ドットコム
2006年10月09日
こんな映画を観た。いよいよ明日公開の「グエムル 漢江の怪物」!!もう何も言うことはない!ただ観るべし!観るべし!観るべし!と言うしかない大傑作ですが、「グエムル応援団」の団長カジシンさんが、ラジオに出演したりして、孤軍奮闘、応援活動をされているのに感化されて、師範代もここに推薦文を発表するものであります。実は、某新聞のレビュー用に書いたものですが、紙面の都合で掲載されなかった幻の原稿であります。グエムル 漢江の怪物 これは何年かに一度しか出会えないタイプの映画だ。先人のやった偉業に媚びず模倣せず、それを乗り越えようとする力強い意思を持った映画。思えば、映画史に残る傑作「市民ケーン」も「七人の侍」も、それまでの映画作劇法に果敢に挑戦して生み出された革新的作品だった。この「グエムル」には、それらの作品と同じレベルの「志」がある。映画ファンと名乗るならば、この秋、なにをおいても、観なければならない一本だ。 物語は、ソウルの中心を流れる雄大な河・漢江に突如怪物が出現するところから始まる。その出現を目撃してしまったカンドゥ(『韓国の凶暴な渥美清』ことソン・ガンホがダメ親父を好演!)は、愛娘のヒョンソを怪物にさらわれてしまう。国も社会も助けてはくれない。果たして、父は娘を助け出すことが出来るのか? 怪物が登場する映画は、「キングコング」の昔からこれまで星の数ほど作られてきて、もう新しい切り口というのはないと映画界は思っていた。ところがこの作品は、ホームドラマ的な緻密な日常描写の中に、怪物という異分子を投げ込んで、見事に新しいタイプの映画を成立させてしまった。言うならば、「渡る世間は鬼ばかり」と「エイリアン」が融合したような全く新しい怪獣映画。そんなあり得ないテイストは、日本映画はもちろん、ハリウッドにすら出来なかったことだ。今年のカンヌ国際映画祭で絶賛されたのも肯ける。 前作「殺人の追憶」で「黒澤明の遺伝子は、韓国の監督に受け継がれた!」とまで言わしめたポン・ジュノ監督の才能は、今作でさらに進化している。怪物が現れ右往左往する人間たち。本当は恐ろしい状況のはずなのに、どこか滑稽にすら見えてくる人々の表情。奥深い人間描写は、先日亡くなった日本の名匠・今村昌平監督を思わせるものすらある。(弱冠三十六歳のポン・ジュノ監督は日本映画にも造詣が深く、インタビューで黒澤、今村両監督への尊敬の念を語っている。) どこかで聞いたようなストーリーの映画を再生産し続けている現在の日本映画界は、この映画を果たしてどう観るのだろうか?あえて言い切ってしまおう!文句なしに、今年ナンバーワン映画だ!■ポン・ジュノ監督作品。2時間。シネプレックス熊本で9月2日(土)公開。まぁ、なんか新聞用のお上品な表現ですが、本当に言いたかったのは、たいぎゃ面白か映画だけん、みなっせ!まうごつ面白しかけん!絶対みなっせ!!!(とても面白い映画なので観てごらんなさい。とても面白いですよ)ということです。みなっせ!エイガドージョー・ドットコム
2006年09月01日
こんな映画を観た。「インファナル・アフェア」シリーズで世界の映画ファンをしびれさせたアンドリュー・ラウ監督が、韓国映画に招かれて製作した作品。脚本は、「猟奇的な彼女」「僕の彼女を紹介します」のクァク・ジェヨン。主演は、チョン・ジヒョン(「猟奇的な彼女」「僕の彼女を紹介します」)、チョン・ウソン(「私の頭のなかの消しゴム」)、イ・ソンジェ(「吠える犬はかまない」)。 日本で撮影した「頭文字D」ですら、ソツなく面白い映画にまとめたアンドリュー・ラウのことだから、今回の作品も面白いだろうと期待して観たのですが・・・・・・・・。結論から言うと駄作でございました。アンドリュー・ラウの「映画力」をもってしても、「色ボケ3人組のぬるーい恋愛映画」から脱することは無理でした。登場人物の気持ちの描き方が、あまりにも薄っぺらなので、エンディングも全然泣けません。オランダでロケされているので、ビジュアル面は、アジア感が少なめですが、どうにもストーリーがウェットな「韓流」です。どうせウエットなら、そこを追求してゆけば、パク・チャヌクのような突き抜けた映画(「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」)もできるんですが、海外でロケされた韓国映画だからこそ、よけいアジア人のもつウエットさが強調されてしまったのかもしれません。かなりがっかりしました。http://www.daisy-movie.com/エイガドージョー・ドットコム
2006年05月27日
こんな映画を観た。師範代は、映画を監督で選ぶことが多いです。誰が出演しているかよりも、誰が作ったかの方に興味があります。さらに、気に入った映画に出会うと、まるでその監督と友だちになったような気さえします。ピーター・ジャクソンやクエンティン・タランティーノやロバート・ロドリゲスなどは、一度も本人会ったことはありませんが、「心の友」だと思っております。(まるでジャイアンだ!)ただ、中には才能はあることは認めるんだけど、あまり友達になりたくない監督もいます。「マンダレイ」の監督ラース・フォン・トリアーやフランスのフランソワ・オゾンなんかはその種の監督。相当な才能があり、作る映画もすばらしい!けど、友だちにはなれない類の人々。「心の友」などと言うと、「フン!君なんか友だちじゃないよ!」と言われてしましそうな怖さがこの監督たちにはあります。それは、才能がありすぎて、人生をギリギリで生きている感じの怖さです。いわゆる「天才肌」ってやつでしょうかね・・・・・。今回の作品は、前作「ドッグヴィル」の続編。主役グレースは、ニコール・キッドマンからブライス・ダラス・ハワード(『ダ・ヴィンチ・コード』の監督ロン・ハワードの娘)にバトンタッチされてますが、舞台のようなセットで繰り広げられるドロドロした人間模様という点では同じコンセプトの作品です。今回のテーマは「奴隷制」。すでに撤廃されているはずの奴隷制が残る大農園「マンダレイ」を開放しようとするグレースの姿を通じて描かれるの現代アメリカ社会への痛烈な皮肉です。この世界では「奴隷制」が必ずしも悪ではないと描かれています。同時に「自由」の恐ろしさも・・・・・。「自由」というものは実は恐ろしいものだ・・・・・・というドグマは、今も我々を縛っているものかもしれません。圧倒的なのは今回もジョン・ハートのナレーションです。(岡本喜八映画の数作を除いて)日本映画でナレーションで成功しているものがほとんどないのは、この圧倒的存在感を醸し出せる俳優が少ないからかもしれません。「ドッグヴィル」と同じくエンディング・テーマは、デビッド・ボウイの「ヤング・アメリカンズ」。前作以上に皮肉に聴こえます。http://www.manderlay.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年05月21日
こんな映画を観た。ソニー・ピクチャーズがメディアミックスでメガ・ヒットを狙う話題作。原作が世界的ベストセラーになっていたので、すでにある程度のヒットは約束されていたんですが、トム・ハンクス(アメリカ代表)、 オドレイ・トトゥ、ジャン・レノ(フランス代表)、イアン・マッケラン(ゲイ代表)と各分野のスターを取り揃えてヒットの方程式を固めております。原作を読んでいる人には、このキャスティングはかなり不評なのですが、決して「マジ」な映画じゃないので、オールスターのお祭り映画として見ればよいのでは・・・・・。とにかくプロットが穴だらけなんですが、細かい突っ込みは無用。この映画は、トリックとかミステリーとかを語る気はさらさらないんです。そもそも「ダ・ヴィンチ・コード(ダ・ヴィンチの暗号)」と原作者ダン・ブラウンが小説にタイトルを付けた時点で大ヒットは約束されていたように思います。要は、内容なんてどうでもいいんです!「ダ・ビンチがモナリザに暗号を仕掛けた!」なんてのは昔から言われていたトンドモ学説なんですが、そこに「ダ・ビンチ・コード」という万人にわかりやすいパッケージを施した戦略の勝利です。まぁ、ダ・ヴィンチに関するフェイク・ドキュメンタリーの一種として見れば、腹も立たないんじゃないでしょうか?作劇としては、トム・ハンクス教授の披露するダ・ヴィンチの絵に関するウンチクセリフ集は、その真偽はともかく、観客が内容を理解する以上にテンポが速い!原作未読の人やヨーロッパの歴史に疎い人はほとんどついていけなかったんじゃなかろうか?(余計なカーチェイスとかは長かったりするし・・・・・・まぁハリウッド映画ですから致し方ないのか・・・・)これは原作を読んでいない人に、映画鑑賞後に原作本を買わせるための仕掛けじゃないか!だとしたらかなり高度な演出だぞ、監督ロン・ハワード!!そう思うと例のキリスト教団体の反対運動も、新手の宣伝だったのか・・・・・・?と思ってしまうのは、師範代が不信心ものだからか・・・・一番笑ったのは、「ニケーヤ公会議」や「テンプル騎士団」のエピソードが再現映像みたいに挿入されるとこです。この映画は、「世界ふしぎ発見」か!ひとし君人形が出てくるかと思ったぞ!歴史と謎解きというポイントで見ると、日本には諸星大二郎という大巨匠がいますので、そうは驚きません。この作品が面白かった諸君は、是非伝奇漫画「暗黒神話」を読みなさい!日本史と宇宙がつながる壮大な物語にものすごく驚くから!オススメです!http://www.sonypictures.jp/movies/thedavincicode/エイガドージョー・ドットコム
2006年05月20日
こんな映画を観た。面白い!楽しい!もっと観ていたい!!昨日の「海猿」の反動かもしれないが、この作品があまりに豊かで面白い映画だったんで、興奮ぎみの師範代です。デビュー作「バーバー吉野」が注目を集めた荻上直子監督。2作目「恋は五・七・五!」に続く長編第3作目です。(残念ながら、1作目も2作目も師範代未見です。)フィンランドの町に日本人女性がオープンした「かもめ食堂」。最初はガラガラだったお店にいろんな人が集まってきて・・・・・・・というのんびりとした内容のドラマですが、いまの日本映画が忘れつつあるのものが詰まった映画に仕上がってます。要は、キアロスタミ風味満載のオフビート・コメディなのですが、日本人とフィンランドの俳優のコラボレーションが妙にはまってます。共演に「過去のない男」のマルック・ペルトラも出ているので、余計キアロスタミを思い出させます。これを日本で撮影していたら、鼻持ちならないパクリ映画になったと思いますが、フィンランドを舞台にするというひねりが、キアロスタミ風でありながらもオリジナルな作品になって結実しています。小林聡美、片桐はいりと役者は誰もがいいのですが、特にすばらしいのは、もたいまさこ!!!この人にまだこんな引き出しがあったのかぁぁぁぁぁ!と感嘆させる抑えた演技がすばらしいです。あんたはすごい!(ここ小松政夫風ね!どうかひとつ!)彼女の生きてきた人生を感じさせる名演!2006年師範代的助演女優賞有力候補であります。注意:この映画はものすごくお腹がすきます。映画を観るときは、きちんと食事をしてから観ましょう。 おにぎり持ち込みで食べながら観るとさらにいいかも・・・・・・。(最近の映画館は持ち込み飲食不可かな・・・・?)http://www.kamome-movie.com/エイガドージョー・ドットコム
2006年05月07日
こんな映画を観た。2004年の映画版第1作、そして2005年のTVドラマ版「海猿 UMIZARU EVOLUTION」に続く、「海猿」シリーズの映画版完結篇。1作目では、まだ訓練生だった主人公・仙崎大輔(伊藤英明)が、今回は最前線の潜水士として沈没大型フェリー船での救出活動に挑む。監督は前作に引続き羽住英一郎。初日の劇場に出かけましたが、ほぼ満席の大ヒット。映画は多くの人と盛り上がりたいので、基本的に劇場に人が多いのは嬉しいことですが、この映画のヒットに関しては「複雑な思い」もよぎります。要は、亀山千広(フジテレビジョン映画事業局長)いうやり手プロデューサーがつくったテレビとシネコンを結びつける邦画ヒットの「方程式」が定着してきたってこと。テレビ・シリーズで認知度をアップして、劇場版を作るという手法は、「踊る大走査線」あたりからフジテレビが本格的にやってきたビジネスのやり方。今回の「海猿」プロジェクトは、当初から2本の劇場版の間にテレビ・シリーズを挟み込むという「踊る」では出来なかったリアルタイム連動型の盛り上げ手法を徹底してやっています。(『踊る』の場合、テレビシリーズからすぐ映画化に直結したわけでなく、ネットとスペシャルでの盛り上げが、数年かけて映画化へつながるという形になってます。)慈善事業じゃないんだから、映画がヒットするのは誠にめでたいことなんですが・・・・・・大ヒット映画だからこそ、この映画だけにはひとこと苦言を呈しておきたい!この作品は・・・・・・・・・・・・脚本が「安い」。登場人物のキャラが「安い」。演技が「安い」。CGなどのクオリティが「安い」。演出のレベルが「安い」。とにかく、あまりにも映画全体のつくりが「安い」。違和感を感じるのは、亀山Pたちが、それを意識してやっているって事です。「お前ら日本人は、こういうストーリーでこういう音楽がかかれば泣くんだよな!だよね!」ってスクリーンの後ろでしたり顔をしてるのが見える気がします。これまでの邦画プロデューサーの場合、意気込みはあっても能力が伴わなくて、変な映画ができてしまうことが多かったのですが、亀山氏の場合、高度な計算のもと、自分の狙いどおりに「安い」映画を作っている・・・・・・いわば「確信犯」だと思います。言わば、この映画に詰まっている「安さ」は、いまの俺たち日本人自身が持っている「安さ」そのものなのです。だから余計腹が立つ!ハリウッドのジェリー・ブラッカイマーは、脚本、キャラが安くても、ビジュアルにだけはお金をかける「爆発大魔王」ですが、亀山Pの場合、その爆発すら安いCGと旋回するヘリコプターでお茶を濁すという「お安いブラッカイマー」なのですよ。以前、師範代は、「踊る大走査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」の公開時、かなりあの作品の違和感を感じて、不満を書きました。当時は、あまり支持してくれる人もいなかったのですが、その違和感は「ローレライ」「交渉人真下正義」「容疑者室井慎次」「県庁の星」「有頂天ホテル」と続いて、この作品で極まった感があります。師範代が言いたいのは、「娯楽映画を作るんなら、それ相応の覚悟を持って作れ!」ってことなのです。娯楽ってものは、その国のモラルの礎になる大事なものだと思うのです。(師範代がモラルなんて言葉使うのも違和感ありありなんだが・・・・・・)黒澤映画や深作アクションや宮崎駿アニメは、多くの人が観る娯楽映画だからこそ、日本人にとって重要な「なにか」を描けたし残せたと師範代は思うのであります。それは、監督やプロデューサーたちが「覚悟」をもって作品と対峙していたからに違いありません。残念ながら亀山氏の作る映画にその「覚悟」はまったく感じられません。残念です。お隣の韓国映画や中国映画にはやれているのに、何故日本映画では、こんなものしか作れないのかなぁ・・・・。しかも、こんなのが大ヒットする国って・・・・あまりに情けないじゃないかなぁ・・・!人の命を扱う職業の主人公が、人命救助をそっちのけでベタベタな「愛の告白」するような映画。そんな映画を喜ぶ国の民なんですよ我々は・・・・・・。嗚呼!以上、師範代の勝手な感想を書き散らかしました。「海猿」ファン、亀山Pファンの皆さんには不快な思いをさせてすんません。まぁ、今回も、師範代は「呼ばれなかったパーティ」に参加してしまったのでしょうね・・・・・・・ってことで。http://www.umizaru.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年05月06日
こんな映画を観た。金子修介による「平成ガメラ3部作」は、いったんなかったことにしての仕切り直し「新ガメラ」。1973年に一度上陸してギャオスと死闘したガメラが自爆死。それから30年以上巨大生物は出現していないという平和な日本が舞台。(昭和のガメラシリーズとは、微妙に出現の年代がずれているので、どうも『昭和ガメラ』とはパラレルな世界観らしい。)平成ゴジラ・シリーズでもそういう「昔出たモンスターが数十年後にまた出現」というフォーマットを毎回やっていましたが、これってもう飽きてないか?べつに初めてでた巨大怪獣に現代社会がテンテコマイでいいんじゃないかと思うんだが・・・・・。今回の作品は、「新たなガメラ像を!」というスタッフの意気込みが感じられます。(少し空回りしている感もありますが・・・・。)金子修介が「この映画の世界には亀はいない!」と規定した平成3部作の設定の巧さに、いまさらながら感心させられる。「亀がいない世界」ならば、ガメラの造詣は十分怪獣に見えるが、「亀のいる世界」なら、ガメラは滑稽な「巨大な亀」にすぎない。ゴジラとガメラのビジュアルの違いは、物語の世界観にも大きく影響しているのだ。今回の映画では、最初主人公の少年が「ガメラ」を「亀」と思って育てるのだから、金子ガメラとは、まったく逆の世界観と言える。よかったのは、クライマックスの少年少女とガメラとの心の交流シーン。「小さき勇者たち」というタイトルの本当の意味が、ここで観客に提示される。ここがよかったので、ここに持ってくるまでの伏線や段取りをもっと密にやってればなぁ・・・・という思いが強く残った。このテイストであと1作は観てみたいですが、ガメラの造詣はカワイ過ぎ!もう少し怪獣らしい凶暴なガメラを希望します。監督は「平成仮面ライダーシリーズ」で独特の世界観を成功させた田崎竜太。少年の父親役の津田寛治をはじめライダー出演者が何人か登場していました。http://gamera.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年04月29日
こんな映画を観た。アカデミー賞受賞のデンゼル・ワシントンとジョディ・フォスターの共演。監督は「ドゥ・ザ・ライト・シング」「マルコムX」のスパイク・リー。ここ数作は小規模な作品が多かったスパイク・リーにとっては、ひさびさのハリウッド・メジャー大作。ニューヨーク派の彼にとっては、ハリウッドのスター共演映画は、かなりアウェイな企画ではありますが、スパイク・リーらしさが濃厚に漂う1作に仕上がっています。冒頭、狭い牢獄の中にいるクライヴ・オーウェンから映画がスタート。(ここ重要なシーンなので見逃すなよ!)クライブ率いる銀行強盗一味とデンゼル率いる警察組織の駆け引き。それにからんでくるやり手の弁護士ジョディ・フォスター。演技力がある3人がからんできて俄然映画が面白くなってゆきます。エンディングのツイストがちょっと不足かなという不満もありますが、音楽がかっこいいので気持ちよく劇場を出られます。これもまた「9.11」以降のアメリカの人種問題を描いている作品ではありますが、スパイクらしいユーモアが満載されているので、深刻なりすぎずに観られます。オープニングとエンディングにかかるインド・ダンス・ミュージックが心地よいです。スパイク・リーって抜群にリズム感のいい監督だと思います。これってかなり映画監督として重要な資質だと思うよ。追伸:劇中、ニューヨークを舞台にした銀行強盗映画の傑作「狼たちの午後」(シドニー・ルメット監督作品)に言及するシーンもあります。 テレビ出身のルメットが、アル・パチーノやジョン・カザールなどの実力派を集めて作った1975年の傑作映画です。 「インサイドマン」をより楽しむためには、事前鑑賞しておくことをオススメします。http://www.insideman.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年04月27日
こんな映画を観た。「マッハ!!!!!!!」に続くプラッチャヤー・ピンゲーオ監督、トニー・ジャー主演によるアクション映画。前作盗まれた「仏像」を今回は「象」に置き換えた安易なストーリーラインですが、アクションの中身は濃く熱くパワーアップしております。「どこまで1カットでやるんだー」と驚かされること必至の階段での超長回しのアクションは一見の価値あり。こういうチャレンジをやるタイ映画の熱さは、もっと見習うべきです。「なるほどこの手があったか!」と膝をうったのは、「アクション」と「動物愛護」を同じ映画に盛り込むという過剰なコンセプト。これは、ありそうでなかった切り口です。日本のプロデューサーは、すぐに三池崇史に「チワワを守って暗黒組織と戦う哀川翔」の映画を撮らせるべし!「ゼブラーマン2:守れ!クーちゃん!」であります。http://www.tyg-movie.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年04月22日
こんな映画を観た。若年性アルツハイマーにかかった主人公を渡辺謙が演じている。意外なことに映画初主演。要は、韓国映画「私の頭の中のの消しゴム」の二番煎じ企画。「消しゴム」が永作博美ドラマのリメイクだったことを考えると三番煎じ企画とも言える。ところが、ところが、ところが、これがいいんだよ!前2作が甘~く仕上げて逃げていた部分にもキチン落とし前をつけており、企画の貧困さを補ってあまりある良作に仕上げてます。多分、堤幸彦作品の中では一番評価が高い作品になるんではないだろうか・・・・・・。「トリック」や「ケイゾク」の独特のタッチも大好きですが、この監督はそれだけでないという懐の深さを見せてくれる作品です。「コメディの方が難しいよ。このくらいの作品なら簡単に撮れるんだ俺は!」という堤監督の声が聞こえてきそうな気もします。「トリック劇場版2」(6月公開)と同時期公開なので、コメディ演出はあちらに集中したのかもしれません。渡辺謙演じる病気と戦う主人公にも感動しますが、それを支える家族や周りの人間がまた素晴らしい!中でもIT企業の宣伝課長役香川照之とクライマックスに登場する御大・大滝秀治先生がグレート!「生きてりゃいいんだよ!」と秀治節に号泣であります。5月13日(土)公開です。http://www.ashitanokioku.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年04月19日
こんな映画を観た。ピーター・ハイアムズ監督の最新作です。約30年間に渡ってコンスタントに作品を発表し続けるハイアムズ監督。よく言えば「職人監督」。悪く言うと「そこそこ監督」。どんなジャンルの作品を撮っても、そこそこ見せる映画に仕上げてしまう。ただし、大傑作になることは決してなく「そこそこの映画」にしかならない。それがハイアムズ節!そのフィルモグラフィがその作家性を一番あらわしています。サウンド・オブ・サンダー(2004) 監督/撮影 ヤング・ブラッド(2001) 監督/撮影 エンド・オブ・デイズ(1999) 監督/撮影 レリック(1997) 監督/撮影 サドン・デス(1995) 監督/撮影 タイムコップ(1994) 監督/撮影 カウチポテト・アドベンチャー(1992) 監督/撮影 カナディアン・エクスプレス(1990) 監督/脚本/撮影 プレシディオの男たち(1988) 監督/撮影 ドラキュリアン(1987) 製作総指揮 シカゴ・コネクション/夢みて走れ(1986) 監督/製作総指揮/撮影 世にも不思議なアメージング・ストーリー2<TV>(1986) 監督 2010年(1984) 監督/製作/脚本/撮影 密殺集団(1983) 監督/脚本 アウトランド(1981) 監督/脚本 ハンター(1980) 脚本 ハノーバー・ストリート/哀愁の街かど(1979) 監督/脚本 カプリコン・1(1977) 監督/脚本 テレフォン(1977) 脚本 さらばハイスクール<未>(1974) 監督 破壊!(1973) 監督/脚本 愛はひとり(1971) 製作/脚本 ほとんどの作品で撮影も兼任しているので、映像や特殊撮影のジャンルに関しては、高い見識を持つ監督なはずなのですが、作家的な過剰さやメッセージ性とは無縁。本人に会ったことはないが、けっこう人のいいオッサンなのではないかと思ってしまいます。いい人っぽく見せているけど、その実「狂気の世界」に住んでいるスピルバーグとは、真逆の人。今回の作品も、スピルバーグやキャメロンなどの過剰さをもった監督ならものすごく面白くしてしまうところですが、さすがハイアムズ!そこそこです。ある意味、シネコンで時間を潰すには最適な映画かもしれません。こういう映画嫌いじゃありません。http://www.sot-movie.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年04月08日
こんな映画を観た。「下妻物語」で日本映画界のド肝を抜いたCMディレクター中島哲也監督の最新作。役者の気持ちなど考えず、自分のビジュアル・イメージを構築するために鬼のような演出をするという中島演出は、保守本流の映画業界の人からはあまり評判よろしくありませんでが、そんな強引さがなければ、こんな映画はつくれないだろうなぁとも思える怪作です。現場で監督とかなりもめたという中谷美紀にとっては、結果的に最高の映画になったし、演技賞受賞の可能性も高いと言えます。逆に言えば、役者の自意識に振り回される日本映画が多いのかもしれません。撮影の時間があまりに少ないので、演出が細かい演技にまで踏み込む余裕がないのが、現在の製作環境なのです。最初から役者の演技に期待せず、細かいカット割りでキャラを造詣してゆくというテクニックは、日本のリミテッド・アニメで培われた伝統的手法。最近はこの手法で実写映画をつくる人が増えてきたような気がします。原作では、松子の甥にあたる川尻笙(瑛太)が調べた松子の生涯が綴られていきますが、そこを強引にもミュージカル仕立てで見せてくれます。ある意味、日本版「シカゴ」とでも言うべき作品。ダークなストーリーをポップに語るという中島監督らしい語り口です。ハリウッド・ミュージカルへのオマージュは、映像のそこかしこに挿入されていますが、「オズの魔法使」を思わせるシーンが多かったのが印象的。劇中では、昭和から平成の「歌」が重要なアイテムとして使用されていまして、ほとんどの曲がテレビの画面を通じて流されています。テレビのCMを作ってきた中島監督らしい演出です。「下妻」を観ていない人は、まず「下妻」を観てから劇場へ!http://kiraware-matsuko.com/エイガドージョー・ドットコム
2006年04月06日
こんな映画を観た。世間的には、CMの「あなぁぁぁたぁぁぁがしゅきぃぃぃぃだからぁぁぁっぁ」のチャン・ドンゴン主演最新作ですが、師範代的には、男の熱き友情を描いた「チング 友へ」のクァク・キョンテク監督野の最新アクション大作ということで期待高まります!「北」から「南」への亡命を認められず不幸な生い立ちをたどった主人公シン(チャン・ドンゴン)。半島を核兵器で攻撃しようとするシンの計画を阻止しようとする韓国のエリート将校カン・セジョン(イ・ジョンジェ)の男と男の激突!チャン・ドンゴンの目力の強さが全編を覆って暑苦しいことおびただしいですが、この暑苦しさがよいです。日本映画が失ってしまった「暑苦しさ」がそこにあります。追いかける側のエリート将校(イ・ジョンジェ好演!!)が次第にシンの行動に共感してゆくつくりも「暑苦しさ」炸裂です。この作品が東映配給というのは、まったく正しい!「美しき野獣」の時も書きましたが、もはや東映映画の魂は、韓国映画の方に暑苦しく受け継がれているのであります。例によって今回も勝手に邦題つけておきます。「仁義なき爆弾野郎 半島壊滅1分前!」「亡国のイージス」などの日本製男組アクション大作に不満だった方々にはオススメしておきます。http://www.typhoon-movie.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年04月04日
こんな映画を観た。「スキャナーズ」で出会って以来ずっと追いかけている作家であるデビット・クローネンバーグ監督の最新作。ここ数作は、あまりに「あっちの世界」へ行ってしまった感があって一般的理解が及ばない孤高の作家というイメージがありましたが、今回の作品は、グラフィック・ノベルに題材を求めただけあって、わかりやすい切り口になっています。現代劇ですが、一種の「西部劇」とも言えるストーリーです。過去に「闇」を持つ男は、平凡な暮らしに満足しているが、ある日自分の店を襲った暴漢を撃退したことで、もう一度「闇」の世界と向き合うことになる・・・・・・・。イーストウッドの「許されざる者」ととても物語構造が似ています。「ミュンヘン」と同じく「暴力の連鎖」が大きなテーマになっていますが、スピルバーグより人間を観る目が醒めているクローネンバーグは、「暴力が持つ闇の魅力」といったものまで描き出してゆきます。演出も素晴らしいですが、役者がどれもいい!主役のビィゴ・モーテンセンや敵役のウィリアム・ハートはもちろんですが、師範代的にはビーゴの妻役を演じたマリア・ベロに二重丸をあげたいです。知的でセクシーで人間としての深みを演じられる女優さんです。「アサルト13」とはまったく違ったキャラを見事に演じておりました。「ER緊急救命室」にも出演していたそうでうが、まったくのノーチェックでした。すいません!「クラッシュ」といい「ミュンヘン」といいこの作品といい、今映画作家は「世界に対して何かを言わなければ!」という強い使命感で映画を作っている気がします。しっかりとしたテーマを持ちつつも「映画としての面白さ」を捨てていないのがどの作品も凄いです。やっぱり映画は面白い!http://www.hov.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年03月18日
こんな映画を観た。1980年に長編映画版第1作として製作された「ドラえもんのび太の恐竜」を新しい声優陣とスタッフでリメイク。世間的(主に大人)には、新声優陣の評判が悪いようですが、それは大山のぶ代のアニメ「ドラえもん」が「ドラえもん」だと思っている人たちが多いということ。師範代的には「ドラえもん」は、小学館の学習雑誌に藤子不二雄(当時はFとAは分かれていなかった)によって連載されいた漫画の「ドラえもん」こそが「ドラえもん」。今回のリニューアルは、スタッフの若返りと、より原作漫画のテイストに近づけるための修正作業だったように思います。そして、今回あえて長編第1作をリメイクしたということは、「ドラえもん」のプロジェクトを21世紀へ受け継いでゆくための大きな挑戦だったように思います。監督は、「のび太の結婚前夜」や「がんばれ!ジャイアン!!」などの泣ける短編ドラえもん作品を連作していた渡辺歩。作品の満足度としては、及第点です。新しいドラえもんの世界観を丁寧に描いてあるし、なによりのび太、ドラえもん、ジャイアン、しずかちゃん、スネオの主要キャストの関係が、より深く描かれていたのに感動!ジャイアンの「しっかりしろよ!みんなここまで助け合ってきた仲間だろ!」のセリフに号泣の師範代です!!ただ、不満な点がないかといえば嘘になります。(このあたりは「ドラえもん」を愛するゆえの愛の鞭。)まず、作画レベルのバラツキが目立つこと。ジブリレベルの凄い作画のシーンも多数ありますが、「なんじゃこりゃ?」の低レベル作画シーンもあります。今回の長編ドラえもんは1年以上の期間をかけて準備してきたものなのにこのバラツキは気になります。今後長編は1年毎に発表してゆくでしょうから、これ以上に作画レベルがあがることは考えにくいと思われます。これぐらいの長編になるとシーンごとに別スタジオに発注するからこういうことが起きるのでしょうが、今後のシリーズが心配です。さらに映像のクオリティに比べ、音の作りこみがぞんざいな気がしました。ぴー助(神木隆之介)の小さい頃はかわいい声でいいと思うけど、体が大きくなってからも同じ声を出しているのはちょっと・・・・・。ガタイが大きくなったぶん声帯も大きくなる訳で、声はもっと低くしないと巨大感が出ません。(巨大だけどかわいさを演出するのが監督の仕事です。)声優として、神木くん以外に船越栄一郎も出ていましたが、これが意外な好演。今後もシリーズの悪役は、連続して船越さんにお願いしたいところです。劇団ひとりは何役もやっているみたいでしたが、「劇団」と名乗るのはちょっと恥ずかしいです。演技を舐めるんじゃない!とにかく、かなりアウェイなところで善戦しているスタッフには、拍手を贈りたいです。藤子F不二雄さんもきっと誉めてくれる作品になっています。この作品が基準となって今後大傑作が生まれるであろうことを期待します。http://dora2006.com/追伸:ドラえもんといえば、haschikenさんのサイトで愛溢れる映画評が読めます。http://ashiko.exblog.jp/3626345#3626345_1エイガドージョー・ドットコム
2006年03月12日
こんな映画を観た。第78回アカデミー賞でも、作品賞・監督賞・助演男優賞・編集賞・オリジナル歌曲賞 にもノミネートされている注目作。「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本で注目を集めたポール・ハギスが監督デビューした作品です。脚本家が監督になるとどうしても描写がしつこくなり、語りすぎる映画になる傾向があります。(フランク・ダラボンなんかいい例!)今回のポール・ハギスは例外的に演出がうまい!少ない描写で最大の効果をあげることに成功しています。舞台はロサンジェルス。さまざまな「事件~クラッシュ~」によって繋がってゆく人々のドラマを、観客は、すべてを見つめる「神の視点」で目撃することになります。「差別」「偏見」「貧富」「9.11」などなど・・・・・さまざな今のアメリカが抱える問題を鋭く切り裂きながら、ドラマは意外な収束点に向かっていきます。このへんはさすが「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本家です、同じような群像劇構成の「有頂天ホテル」とは格段のレベルの違いを見せつけてくれます。人種問題的な部分は「ドウ・ザ・ライト・シング」的。群像劇的部分は「マグノリア」的です。どちらもな師範代の大好きな映画。その両方の要素をハイブリットしているのもポイントが高い!登場する役者はどれもすばらしいのですが、ドン・チードルとマット・ディロン(アカデミー助演男優賞ノミネート)が特にすばらしいです。エンディング近くのドン・チードルの困ったちゃん顔「俺どうすればいいんだよー」的な絶妙の表情に注目です。(いい企画に出会えば、彼は近いうちに必ずオスカーが獲れるでしょう!)映画の構成としては、「マグノリア」の先例があるので衝撃作とは言えませんが、とても巧くできた佳作といった印象。絶望的な描写が多い中で不思議と希望の持てるラストを描いている点が、ポール・ハギスの持ち味かもしれません。ずっしりと重たいものが残りますが、「映画を観た!」という感動をあたえてくれる良作!!正直こういう映画を観ると、日本映画界は「有頂天ホテル」大ヒットとかで、浮かれてる場合ではないと思うのです。サントラが良かったので終映後にタワーレコードで早速購入!http://www.crash-movie.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年02月25日
こんな映画を観た。「マルチュク青春通り」で意外なブルース・リー遺伝子を発揮したクォン・サンウと「春の日は過ぎゆく」「オールド・ボーイ」で全く違う役を演じたユ・ジテという若手2大スターの共演作。この作品は、邦題が「美しき野獣」とついていますが、このタイトルにだまされてはいけません。これは「韓流映画の衣をまとった東映映画」です。腹違いの弟を殺された刑事(クォン・サンウ)と組織暴力を壊滅させようとするやり手の検事(ユ・ジテ)。世界の違うはずの二人が、共通の敵に対して運命的な闘いを挑んでゆく・・・・・。韓国人の監督が韓国人のスタッフで作った純粋韓国映画にもかかわらず、マインドの部分では70年代東映映画のニオイがプンプンします。だからストーリーは、どこかで聞いたことのあるようなものでいいんです。東映映画ですから!話の辻褄が会わないということなんか、さしたる問題ではありません。東映映画ですから!安っぽいズームが多用されてて、折角のいい色調が台無し・・・・・・いいんです東映ですから!本家東映が「デビルマン」なんぞを作っている間に、韓国では東映の遺伝子を受け継いだ監督たちが、こういう熱い作品を作っていたのです。嬉しいじゃないか?だから「美しき野獣」などというタイトルは正しくこの映画を表現していません。あえて師範代がタイトルをつけるならば、「地獄の野獣デカ 検事対組織暴力!!」タイトルは、荒々しい筆文字で赤です。また「美しき野獣」のキャッチコピーは、「愛のために泣く」などというふぬけたものなので、これも暑苦しく泥臭いものに全面改稿です。キャッチはズバリ!「漢と漢の男節!!」東芝エンタテインメントはすぐにこれに変更しなさい!http://www.beautiful-beast.com/エイガドージョー・ドットコム
2006年02月11日
こんな映画を観た。最新鋭のジャンボ旅客機内で突然失踪した娘。誰にも信じられず、誰の助けもない中、最愛の娘を探して、機内で大暴れする気丈なヒロインにジョディ・フォスター。予告編があまりにジュリアン・ムーアの「フォーガットン」な感じだったので、興味津々だったんですが、言ってしまえば「バルカン超特急」の飛行機版といった物語だったのでちょっと期待はずれでした。映画を観ながら思った師範代の妄想。「フライトプラン」のプロデューサーと脚本家の会話・・・・・・・・。P「あのさー『9.11事件』以降さぁ、パニックアクション映画って作りにくくなったよねー」脚「言えてる。派手なドンパチ映画ばっかり作ってるから、アメリカがテロの標的になるんだって言う奴いるもんなー」P「なんかいい脚本ないかなぁ・・・・」脚「あ・・・・・そういえば『ダイハード2』の時にボツになった脚本あるんすけど・・・・・」P「なになに、興味あるねー」脚「マクレーン刑事が離婚して、娘と別れた奥さんに会いに行くんすよ。その途中の飛行機でテロリストに出会うって話なんすよ。」P「そうか飛行機内という舞台が飛行場になって『ダイハード2』になったんだー。でもその脚本まだ使えるんじゃない。」脚「そうすか!?」P「ただし、『ダイハード』はフォックスが権利持ってるから、ウチで映画化は無理だからちょいと設定変えてよー」脚「いいっすよー。主人公を女にしましょうよ。最近、強い女性のアクション映画って流行ってるから・・・・」P「それ!それ!いいねー。だったら・・・・主演はジョディ・フォスターかな・・・・」脚「マジっすか!いいっすねー。すぐに脚本書き直します。1日でできますよ。」P「母の強さみたいな部分を強調しといてね。女優ってそういうとこ気にするからさー」脚「わかりやしたー!」というような安易な会話で決定したと思われるような穴ばっかりの脚本でございました。だますならもう少し巧くだましてほしいです。ある意味「フォーガットン」の方がぶっ飛んでいたんじゃなかろうか・・・・・・。http://www.movies.co.jp/flight-p/エイガドージョー・ドットコム
2006年02月07日
こんな映画を観た。1972年のミュンヘン・オリンピック。パレスチナゲリラ「黒い9月」によるイスラエル選手団襲撃事件が起こる。選手、コーチ、役員を含む11人の人質全員が死亡するという最悪の結果を受け、イスラエル政府は報復を決意。諜報機関モサドのメンバー5人に対し、この事件の首謀者11人を暗殺するよう指令が下される・・・。以下ネタバレを含みます。注意!ご存知スティーヴン・スピルバーグ監督の最新作です。師範代は、「『宇宙戦争』は『ミュンヘン』を撮るための予行演習だ!」という意見を以前書きましたが、見事的中したようです。前作は宇宙人の地球侵略という「暴力」を見事な現実感で描いてみせたスピルバーグ。今回は実話の映像化だけに、とにかく暴力描写が半端じゃありません。「頬を貫通する銃弾」「機関銃で壁に飛び散る肉片」「喉の銃創から噴出す血」「爆弾で吹き飛ぶ肉体」などなど。まさに「残酷描写大魔王スピさん」の面目躍如です。単に残酷なだけでなく、ギリギリで笑ってしまうようなブラック・ユーモアもまぶしてあるところが、スピルバーグの底意地の悪さを感じさせてステキ!陰惨で重たい話なのに(誤解を恐れずに言えば)「面白い映画」になっているところが、なんとも素晴らしいです。スピルバーグ映画は、体験させる映画です。「激突」ではトラックに追っかけられる恐怖を、「ジョーズ」では鮫に食われる恐怖を、「未知との遭遇」では、宇宙人との接近遭遇を「ジュラシック・パーク」は恐竜の巨大さとスピードを、「シンドラーのリスト」は収容所の恐怖と虐殺を、「プライベート・ライアン」はノルマンディの戦場を・・・・・・すべて観客に体験させるための映画です。そして、今回の「ミュンヘン」は、テロとその報復行為に観客を強制参加させます。(映画秘宝ではこのことを『究極のライドマシーン』と評してました。)暴力描写というのは、どうしてもある種のイデオロギーを通して語られることが多いのですが、スピルバーグ演出の特筆すべき点は、暴力をものすごく即物的に描写しているところです。スピルバーグ映画では、死体は「悲しい存在」ですらなく「ただの死体」なのです。(それが怖い!)なんの前触れもなく、人間が一個の肉隗と化すシーンが続出するこの映画で、その「スピルバーグ残酷節」は極北を極めた感があります。観客を体験させる舞台をさらっと効果的に見せるのもスピルバーグの巧さですが、今回の作品での作りこみはもう眩暈がするぐらい徹底しています一見あまりなにも加工していないような風景シーンでさえ、隅々まで70年代を感じさせる意匠で埋め尽くしてあります。(車、衣装、小道具、映像の質感などなど)登場人物が着ている衣装は当然ですが、画面のかなり奥で通り過ぎるだけの通行人まで70年代の服を着ているのには驚きます。(これはCGじゃなさそうです。)何も知らない人にこの映画を見せたら70年代に撮影されたと信じてしまうかもしれません。これ見よがしに時代を強調するのでなく、圧倒的予算と物量を使って、あくまでさりげなく当時を再現するなんて芸当は、スピルバーグ以外には許されないことでしょう。全編見どころといってもいいこの作品ですが、締めくくりのラストシーンも秀逸。多分、発想のもとは「ギャング・オブ・ニューヨーク」のラストシーンだと思いますが、「ミュンヘン」のほうが数段巧い!このカットを入れることによって、この映画が現代へとつながる重要なメッセージを発していることが明確になっています。スピさんの言いたいことは「暴力の連鎖を断ち切るんだ!」ということです。このラストは、アメリカでも賛否が大きく分かれた点で、「スピルバーグは甘い!」という人も多かったようです。これまで親イスラエル的な発言が多かったスピルバーグが、「イスラエルの報復には賛成できない!」と映画で言っている訳ですから・・・・・・かなりの反発があったのも無理ないこと。こういう映画をわざわざ作らなければ、そういう反発もなかった訳で、そういう反論もわかった上であえて、こういう作品を作ったスピルバーグってかなり「漢」だと師範代は思うのであります。お金儲けのためでなく、自分のユダヤ人のアイデンティティのために彼はこの映画を作ったのです。「俺たちはもっと高潔な民族のはずだ!その魂を忘れるなんて・・・・」劇中のロバート(マチュー・カソビッツ)の台詞が心に残ります。これは同時に現在のアメリカにも向けられた言葉になっているのです。「永遠の映画少年」といわれたスピルバーグもいよいよ来年還暦を迎えます。行き着くとこまで行った巨匠は、次に何を作るのか?(噂ではアメリカ第16代大統領エイブラハム・リンカーンの伝記映画の準備を進めているらしいです。南北戦争を残酷描写大魔王がどう描くのか?・・・・・)http://munich.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年02月04日
こんな映画を観た。イギリスの映画会社ワーキング・タイトルが、古典「高慢と偏見」を映画化。主演は、「ベッカムに恋して」「パイレーツ・オブ・カリビアン」のキーラ・ナイトレイ。18世紀末のイギリスの田舎町を舞台に5人姉妹の恋の物語が展開します。女性に相続権がなく、女性にとって「結婚」が人生の最も大きなギャンブルだった時代のお話。さすが 「ブリジット・ジョーンズの日記」「ラブ・アクチュアリー」をてがけたワーキング・タイトル作品です。美術や撮影もしっかりとしていて、格調高い文芸作品としても観られる作品ですが、登場人物の揺れる気持ちの描き方は、まったく現代劇。文字とおり「プライドと偏見」が邪魔をして、素直に恋をできない男女の姿は、いわばラブコメ。恋する乙女、かっこいい男、恋敵などなど・・・・・・・・これまでのワーキング・タイトル作品と物語の基本構造はほとんど同じです。特筆すべきは、キーラ・ナイトレイの表情の豊かさ!セリフを言い終わって、微かにほほえむまでの間をカットを変えず見せきる。キメ細やか編集に好感が持てました。http://www.pride-h.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年01月15日
こんな映画を観た。私なんか、と何度も思った。お前なんか、と何度も言われた。それでも、立ち上がってみようと思った。(宣伝コピー)公開前から「劇場版の予告編がいいなぁ・・・・」と思っていました。(テレビ版予告は全然本編内容と違うので注意!)その期待は裏切られなかった!!DV暴力夫から逃げ、シングルマザーとして、故郷の北ミネソタの鉱山で働くことになった女性ジョージーの物語。監督は「クジラの島の少女」でいい仕事ぶりを見せたニュージーランド出身の女性監督ニキ・カーロ。ジョージー役は「モンスター」でアカデミー主演女優賞に輝いたシャーリーズ・セロン。映画前半ひたすらセクハラに耐えるジョージーのシーンを観客は見せつけられます。この部分はけっこうキツイのですが、それは映画後半でジョージーが強く立ち上がるために絶対に必要なシーン。この丹念な演出がラストの大きな感動を生みます。「ノーマ・レイ」プラス「告発の行方」プラス「エリン・ブロコビッチ」といった女性映画の佳作です。ジョージーは、全米で最初にセクシャルハラスメント訴訟に勝った実在の女性をモデルにしているそうです。ニキ・カーロ監督は、前作でも古い因習のため苦しめられるマオリ族の女性を描いていたので、この作品の監督としてはまさに適役!映画の原題は「NORTH COUNRTY」。「クジラの島から北の国へ」って感じでしょうか?この監督は今後も注目です。http://standup-movie.com/エイガドージョー・ドットコム
2006年01月14日
こんな映画を観た。お正月の「古畑任三郎 FINAL3部作」は、毎夜20%以上の高視聴率を獲得。「三谷ドラマは面白いが、視聴率がとれない!」というテレビ神話を打ち崩した三谷幸喜が、いよいよ満を持して発表する新作映画。「ラヂオの時間」「みんなのいえ」に続く監督3作目は、オールスター・キャストで描くホテルを舞台にした「グランド・ホテル」形式の作品となりました。あと2時間で年越しを迎える大晦日の「ホテル・アバンティ」を舞台に、ホテルの従業員と宿泊客、それぞれのドラマが同時進行で進んでゆきます。(要は『24』スタイルね!)とにかく三谷組の役者が大集合!役所広司 (副支配人)戸田恵子(アシスタントマネージャー)、松たか子(客室係)、佐藤浩市(国会議員)、香取慎吾(ベルボーイ)、篠原涼子(コールガール)、生瀬勝久(副支配人)、麻生久美子(宿泊客)、YOU(シンガー)、オダギリジョー(筆耕係)、角野卓造(マン・オブ・ザ・イヤー受賞者)、 原田美枝子(その妻)、寺島進(マジシャン)、 石井正則(ホテル探偵)、 唐沢寿明(芸能プロ社長)、 津川雅彦(会社社長)、伊東四朗(総支配人)、西田敏行(大物演歌歌手)主要なキャスト陣をあげるだけでもこれだけ!(まだ他にもたくさんたくさん三谷組役者が登場します!)以下、ネタバレと作品への小言がかなり続きますので、未見の方はご遠慮ください。2時間を越える壮大なジクソーパズルのような今回の作品ですが、これまでの三谷作品のネタがくり返し使用されています。例えば、「別れた妻にいい格好しようとしてどんどんドツボにはまる男」(役所広司)の話は、三谷が書いた脚本をさまざまなディレクターが演出した「3番テーブルの客」まんま。スキャンダルを抱えた政治家(佐藤浩市)がホテルに泊まる設定は、「古畑任三郎」の「その男、多忙につき」(犯人役:真田広之)と同じ。(ちなみに、佐藤浩市演じる政治家が、他のホテルを探す際に出てくるホテルの名前『バリトンホテル』は、先日の『古畑任三郎VSイチロー』の舞台となったホテルです。)ホテルの中を逃げ回るアヒルのエピソードも「王様のレストラン」でのひよこのエピソードの流用。しかし、ここで問題なのは、ネタの繰り返しではありません。それらはあくまでネタフリ部分なので、以前の作品と同じものを使っても、大して問題ではありません。問題なのは、それらのパズルが組み合わさるクライマックスに、まったくカタルシスが足りないという点です。あれだけ細部のドラマを平行して描いてしまっては、ラストに期待するなというのが無理。あの程度の辻褄合わせでエンディングを迎えてしまっては、前半のネタフリが正直「?」って感じです。とてもおいいしい前菜のフルコース。後に出てきたメインデッシュが貧相だったらガッカリしますよね!三谷幸喜作品というのは、何かのプロジェクトが試行錯誤しながら、ドタバタを経て、なんとか無事達成されるという共通点を持っています。「ラヂオの時間」ではそれが番組、「みんなのいえ」ではマイホームでした。今回の映画では、「年越しカウントダウン・パーティ」がそれにあたると思うのですが、そのパーティに参加している個々人のドラマが消化不良のままなので、娯楽映画としての「大団円」という感じがなく、どうにもスカッとしません。思うに豪華キャストを集めるあまり、ミス・キャストが目立ったのが、今回の敗因ではなかろうか?別れた妻に嘘をつき続けるという男に、どうしても役所広司は見えない。ここはやはり西村雅彦がやるべき役ではなかっただろうか?「ラヂオの時間」と同じになるのを恐れたのか?東宝の興行的要請か?さらに「歌で自殺を思いとどまらせるベル・ボーイ」の役としては、香取慎吾は歌が下手すぎ!やはり劇中歌を作った甲本ヒロトぐらいの歌の説得力がなければ駄目!(このシーンは、映画の中でも大きな転回点なのでとても重要なシーン。あの歌では自殺を思いとどまらないと思う。)厳しい事ばかり書きましたが、あまたの日本映画の中で上質の娯楽を目指し、成功させている部分も数多いのも事実です。松たか子と近藤芳正の掛け合い!(ワンシーン長回しが多いこの映画の中でキチッと切り返しで見せて笑わせてくれるシーンです。編集の上野さんさすが!)歌手としての実力をキチンと表現するYOU(もともと歌手のYOUが歌手の役をやるって結構チャレンジですよね。)そして、そして、さすがの西田敏行!(わりと小さくまとまった演技を強制される三谷映画の中で、堂々と自分の演技を貫いた西田局長はさすがでした。)そしてなにより、我らがアソクミこと麻生久美子がスチュワーデス姿でかわいく撮られていたのは特筆すべき点でした。師範代の文句は、三谷組がもっともっと面白い娯楽映画を作れると思うからこその苦言です。大リーグでイチローが3割そこそこ打っても、観客はもう喜びません。イチローにはもっと高いレベルのプレーを観客が求めているからです。三谷組にも同じ事が言えるのではないでしょうか?門下生諸君には、是非、劇場で確かめていただきたい!http://www.uchoten.com/エイガドージョー・ドットコム
2006年01月13日
こんな映画を観た。森が人を襲うようになった300年後の地球。眠りから目覚めた少女、彼女を守る少年、秘密兵器、兵器を狙う軍事国家・・・・・。とここまで書けばわかる人はわかりますね。これは「未来少年コナン」「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」などの宮崎駿作品へのオマージュに満ちた作品。(というかここまで同じだと露骨なパクリだよね・・・・・)パクリはまだいいとしても、まずいのは、「銀色の髪」という強化人間に主人公アギトがなるくだり。ここもモロ「AKIRA」(by大友克洋)からのいただきなのですが、「主人公が人間であることを捨てる」というドラマチックな葛藤をキチンと描いていないので、後半の超人的な活躍が実に単純なものになってしまってます。アニメーションの技術としては、高度なものを見せてくれるのですが、物語がすべて借り物で「芯」がない感じ・・・・・・。ここまで借り物ならいっそのこと「未来少年コナン」の完全リメイクとして製作すれば、よかった気もしますが・・・・・・・・・・。(宮崎版もアレキサンダー・ケイの小説『残された人々』からインスパイヤーされたもの。いわば借り物です)コナンの馬鹿力が「強化人間」という影の部分によって支えられたいたら・・・・・という展開の方が泣けます!製作の「GONZO」は、今年、宮部みゆきの「BRAVE STORY」も手がけることになっておりますが、この調子だと少し心配です。http://www.gin-iro.jp/エイガドージョー・ドットコム
2006年01月11日
こんな映画を観た。「ガープの世界」「サイダーハウス・ルール」「サイモン・バーチ」など原作小説が映画化されることが多い現代アメリカ文学を代表する作家ジョン・アーヴィング。彼の自伝的小説「未亡人の一年」を映画化したもの(ただし、小説の前半部分のみ)息子を失った作家(ジェフ・ブリッジス)とその妻(キム・ベイシンガー)のギクシャクした生活に作家志望の高校生が研修生として来ることから、変化が生まれてくる・・・・・。喪失と再生というのは、いつものアービング的ドラマですが、いつものアービング作品にあるような「人生のおかし悲し」的な部分があまり映画からは感じられません。原作小説を読んでいないので、なんともいいがたいのですが、監督が真面目な人なのかもしれません。もう少し遊んでもいいんじゃないのかなー。(でも、愛人のおばさんが車で追っかけてくシーンは面白かった!)達者な役者ばかりの中でも、ひときわ娘役のエル・ファニング(ダコタ・ファニングの妹!)が光っています。「お姉ちゃんの次は、私の時代だから!スピルバーグさんオファー待ってるわよ!」みたいなオーラを出しまくりです。今後注目の子役でしょう!!http://www.herald.co.jp/official/door/追伸:ベッドシーンの「いまさら?」って感じの野暮なボカシが気になりました。最近の映画では、あまりみられない古いタイプの修正だったので、よけいいやらしい感じがしました。エイガドージョー・ドットコム
2006年01月08日
こんな映画を観た。「THE JUON」でハリウッドを制した一瀬隆重がプロデュースをつとめる日本のホラーレーベル[Jホラーシアター]。第1弾の「感染」「予言」に続く第2弾作品は、清水崇監督作品「輪廻」。35年前に群馬で起きた大量惨殺事件が「記憶」というタイトルで映画化されることになり、ヒロインにまだ無名の女優・杉浦渚(優香)が抜擢される。映画化が決定してから渚の周辺では次々と異変が起きて・・・・・・・というストーリー。「ゾンビ」「ヘルハウス」「スナッフ」「シャイニング」などなど、過去のホラー作品へのオマージュもかなり垣間見えるホラーのリミックス的作品です。「呪怨」シリーズとは違った切り口のホラーを清水崇は志向していることが伺えますが、残念ながら成功しているとはいい難い。どうしても「呪怨」の二番煎じに見えてしまうのです。(ひょっとすると『呪怨3』のために考えられていたストーリーを流用したのかも・・・・・・)ただラストのヒネリは、「なるほど!まだこの手があったか!」と感心してしまった。優香の「もう、アイドルとしてはやっていけないので、これで女優として一発当てるわよ!」という鬼気迫る演技もあいまって、クライマックスはなかなか見せる映画になっています。(ただし、予告篇に使われている優香の拘束具姿はネタバレしすぎ!)役者としては、一瀬作品「ノロイ」でも、「呪われる女優」を演じていた松本まりかが、独特の存在感を見せます。「呪われた不思議ちゃん」という観客の同情をまったくひかない特異なキャラ造詣は、今後注目です。http://www.j-horror.com/rinne/エイガドージョー・ドットコム
2006年01月07日
全579件 (579件中 1-50件目)


