中村晃一ブログ Koichi NAKAMURA

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2008年03月20日
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(→その4からの続きです)

今回のシンポジウム後半のパネルディスカッションを聴いていて気になったのは、活字文化の衰退問題がいつのまにか出版社の経営不振の問題に摩り替わっていたことです。
それは全く本質ではありません。出版部数が年々減少し出版社の経営が不振になっているというようなことに焦点を当て、問題を矮小化すべきではないと思います。
文字・活字文化の衰退は個社の経営がどうのというレベルの話ではなく、国体を成す骨格の問題として捉まえられるべき問題のはずです。

刺激的な言い方を敢えてするならば、置き換えるべきものが置き換わり、その結果出版物の部数が減っても社会的には何の損失でもないと考えます。
私も個人的には出版社を経営する知人がいたり印刷業を営む友人がいたりするので、その苦労もよくわかるつもりですし内情も一般の方より認識しているつもりなのでこういう言い方は大変心苦しいのですが、でもやはり出版社の経営については、それぞれの経営者がそれぞれ手腕を振るうべき話であります。私達インターネット業界の経営に携わる人間とてそういう意味では全くフェアな競争に晒されているわけですから、仕方ないことだと思います。
むしろ従来の進化の過程において過剰に出版社が儲けていた贅肉がそぎ落とされたということを認識して、出版社・出版界は自らのミッションステイトメントをしかと見定める必要があるのではないでしょうか。

インターネットサービスを手がける者としては、この活字文化の衰退問題を少しでも良い方向へ持っていくように努力しなくてはいけないと思います。
書籍レベルまで行くかどうかという議論の前に、まずは後発メディアであるという事実から起こる掲載コンテンツの劣後感を極力なくすように、また単に水平的でない学びのある文章表現がネット上で交わされるように、どんどんと質の高い内容の文章をネット上にも載せていくということだと思います。


作家の石田衣良さんが、パネルディスカッションの中でこうおっしゃっていました。

「自分が作家になったのは出版業界が隆盛のピークを迎えた年でした。なんだか、ぎりぎり間に合っちゃってタイタニック号に乗ってしまった気分なんですよね。沈み行く船です。でも私は最後までカルテットを弾き続けるしかないかなって思ってるんです。」

もちろん、半分冗談です。
そんな悲観的なものでもない、それをよくわかったうえで自嘲的におっしゃっているから意味があるのですけれど、コンテンツの出し手は決して怯むことのないあくなき希望を持ってより良い文章・より良い作品をつくり続け提供すべきだということだと思います。

メディアが作品を取捨選択するのではなく、良質の文章や良質の作品がメディアを選んでいき、豊かな心や豊かな社会を築くことになる。そう信じたいものです。




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最終更新日  2008年03月20日 09時41分15秒

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