EiliPrivate~思索の森…奇蹟を求めて~

EiliPrivate~思索の森…奇蹟を求めて~

2006年01月29日
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テーマ: たわごと(27623)
カテゴリ: トランス
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  『天空法廷』-14

 僕はひょんな事から、この世紀の大裁判の中でとうとう堪えきれずに、問答を開始してしまった。
 急に体が火照ってくると、僕は、それまで着ていた薄手の羽織も脱ぎ捨てて、帝釈天に歩み寄った。。。

 「こしゃくな奴よな・・・ここに来て釈迦の言説を唱えるなどとはな・・・」
 「どうやらわしは、少しばかし思い違いをしていたようだな・・・」
 「これほど面倒くさい人間を二人も相手にせねばならぬとはのう・・・」

 「この刀利天の寿命は、お前等のような虫けらどもの持つ寿命とは比べ物にならないほどの長いものであるぞ・・・」
 「では、やはり・・・終わりは来るのですね・・・」


 帝釈天の機嫌の悪そうな顔が、麻原にではなく、今度は僕の方にも向かってきた。
 僕は瞬き一つ出来なかった。この息を呑む問答の中で、彼の瞳をじっと見据え、離すまいとした。

 「えーい、くどい。くどいぞ小童・・・!」
 「刀利天の天人の寿命は1000年にも及ぶというものを・・・その歳においてもお前達の人間の世界の実に100年分に相当する時間が、ここの1昼夜の長さにしか満たないということを知ってか!」

 「夢の世界が長いというだけのこと・・・」
 「この宇宙の真理を体得している世界では・・・ないのですね」

 僕はそう述べるとこれ以上怒らせてもいけないと思い、そうそうに引き上げることにした。
 帝釈天の言うことにも一理あった、我々の人間の世界よりもはるかにましな世界であり、徳の光に満ちているこの世界はまばゆいばかりで、幻惑的・・・この世界に住めるものであるならば、それがたとえひと時でもいい、ここに居座りたいという気持ちが起こることは充分に考えられた。

 僕のこの意識を察してか麻原は僕の方を向き、このように述べた。
 「お前の方こそ怒らせないほうがよいぞ、地上に戻ったところでお前はわしの弟子であったというだけで、その存在すら危ぶまれるところだ、適当に徳でも積みあげ、はやばやと人間界を立ち去り、どこか高い世界でも目指したほうが身のためではないか?」

 「何をおっしゃる・・・貴方こそ言説を曲げないでもらいたい。かつての教祖よ。」

 「それも最初の頃こそ、このような徳の高い刀利天を目指せとおっしゃっておきながら、途中からその世界すらも無常であると説き、真に求道者であるのならば、むしろ苦界い再度転生して衆生を済度することこそが、お前達の使命だ・・・等とおっしゃっていたではありませぬか・・・」

 「鼻からこのような世界など目指してはおらず、もっと別の世界を思い描いていたであろう貴方が、その世界に甘んじろとでも申すのでしょうか・・・」

 「貴方の真意、今では幾ばくか見抜いている私ですよ・・・」
 「ふん、出来損ないの、不出来な弟子よ・・・その無明なる煩悩の詰まりきった頭で、どこまで私を推し量れるというものか・・・はてさて・・・私を弁護するなど100万生早いわ・・・」
 (閻魔のフレーズ真似るなよ・・・)


 「お前達は一緒になって裁かれておるのだ・・・仲良くしないか・・・」

 僕達は帝釈天にそう窘められたが、僕としては、この話題に対しての麻原のスタンスをどうしても知っておく必要があった。

 「あなたは、かつてこうおっしゃていた・・・」
 「この世界あまりに衆生は迷妄で、それが故の苦しみ、カルマの法則に照らし合わせ、それも仕方のないことであるが、お前達は私の弟子であるから、彼等を救え・・・とおっしゃった。それは初めのころは、ただ釈迦の言説を借用して法を説くだけのものであったのだから、それはそれでよかったのかもしれない。しかしどうだろう、そのように衆生を誘い入れ、苦の認知と徳の消耗を説いた後、この世界の脱出を勧めておきながら、それは高い世界へゆくことではないのだと・・・途中から方向転換したのを僕は見逃さなかった。」

 「貴方はこういわれた。私は君達に全ての世界を見せてあげようと思う。君達はただ修行して、徳を積み高い世界に自分だけゆけばいいいのだろうか・・・この苦界に同じように苦しみながら真理に気付かない哀れな衆生をおいてゆき、先に苦しみの少ない世界に行ってしまうというのか・・・それでも私の弟子なのか?私の本当の弟子であるのならば、苦しむ衆生に法を説き続ける人間になることを選びはしないのか・・・一度は地獄にでも落ち、その世界に住まう衆生を救いたいとは思わぬのか・・・と(※1)」

 僕はこの言説を麻原に確認するとともに、帝釈天にも聞かせてやりたかった。
 彼の目指していたもの、その天界に住まうものとしてどのように映っていたのかを、僕は問いかけてみたかったのだ。

 僕は麻原に、途中下車を勧められながら、それを軽く断り、その途中下車の駅に住まう住人の王、帝釈天に向き直った。

 「おぬし等・・・何を語らっておるのだ・・・」
 「今どの地点にお前達がいるのかわからぬのか・・・」
 「今お前達は、お前達の数段も高い世界に住まう私の目に裁かれておるのだぞ・・・」

 「まだお分かりになりませぬか?帝釈天さま・・・」
 「彼はこちらの世界は苦しみのない世界だと俗に言われるが、それは偽りに他ならず、ただ苦しみに気付かぬ世界なだけだと申しておりました。貴方おさえも、あの地上界で哀れんでいたのです。。。」

 「く、ふざけたことを・・・」
 「おい、麻原、とうとう私を怒らせたようだな・・・」
 「ここに刑を執行してもよいのだぞ・・・」

 帝釈天は息巻いていた。しかし、問答によれば圧倒的に不利であり、彼は僕たちの問いかけには、結局のところ何も答えられなかったと言って良かった。

 「ここでも私を裁くことができないようだな・・・」
 「さらに上に行かせてもらうぞ・・・帝釈天よ・・・」


 「待てい・・・麻原・・・!!!」


Eili ...

※1 :こんなことを上九で言われていた事など世間の人たちは知るまい。
   92年あたりまでは、純粋に高い世界を目指していたであろう信者達の目標は、彼のこの説法を機に一転していたのである。
   事件の背景に、この言説の言わんとしている意味を含め、その真意を問うことがもはや地上界でできぬからこそ、
   この天上界で、裁かれているのである。
   済度のためにあえて地獄を目指す教団があったことなど、誰の目にも信じがたいことであろう。それは特に同じような済度
   を志す他の教団にとっても脅威であったはずだ。しかし、彼等がこうして自滅する事で、彼等の求めた世界の異質性すら封印
   され、風化され、うやむやにされてゆこうとしている・・・
   僕は、この物語は、現実に起こされた事件の解釈を巡って論議になるものだと思う。
   しかし、ここに彼の本当の姿がある・・・

   彼には三段階の教えがあった、それは在家信者、出家信者、救済者・・・と選び抜いていたように思う。
   それぞれにおいて目指すべき世界を描写しておきながら、最終的には苦界に連れて行こうとしたように思う。

   これが無意識に行われる段階や、知らずについていった信者の場合は、まだいい。(それはそれで大変な事であるが)
   実行犯として選ばれた高弟達は、これを極めて意識的に知らされるのである。

   君達にはこれから地獄に連れてゆく。。。私と一緒に地獄に来てもらう・・・
   地獄の住人を済度する知性と徳と勇気とをよくぞ、培った。
   さー、人間界を下方向に突破するために、法を犯そうではないか・・・
   しかし、心しておけ、これは済度の一環であるからな・・・

   実に、驚くべき教説が、わずか20人程度の信者達だけには、語られていたのである!!!



Eili ...





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最終更新日  2006年01月29日 10時35分55秒
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