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『日本製少年』
及川中監督作品『日本製少年(1995)』
親殺し少年と心臓サイボーグ少女がベレッタを握りしめ、世紀末東京を駆け抜ける!
監督、及川中(おいかわ あたる)
出演、大沢樹生、嶋田加織、鈴木一功、庄司真理、松坂和歌子、他。
父親殺人未遂の過去を持ち、一人アパートにこもる青年・大和と、池袋の駅前でティッシュ配りをする、心臓にペースメーカーを埋め込んだ少女・薫の破滅的な愛と逃避行。孤独と退廃が支配する刹那的時間の中でもがく青年達をペシミスティックに描く青春映画。
-オレ、親殺し少年 アタシ、心臓サイボーグ少女-
脚本家を経て「オクトパスアーミー シブヤで会いたい」で監督デビューした及川中の映画第2作。撮影の山本英夫には第1回作品となる。主演はもと光GENJIのメンバーの大沢樹生。共演は美貌のAV女優で現在は引退したと伝えられる嶋田加織。(R指定)
父親撲殺の過去を持つ少年・田中大和は、ある日街でティッシュ配りのアルバイトをする少女・薫と出会う。強引に薫に近づく大和。二人は一瞬のうちにお互いの心の中にある孤独と絶望を感じ取っていた。薫は心臓の病気で胸にペースメーカーを埋め込んだ体で、そのペースメーカーの電池が間もなく切れるという…。
薫が働く事務所に行った大和は、そこの本業が売春とトルエンの売買だと知る。事務所の社長は、その事務所の少女たちを奇妙な家族的雰囲気でまとめており、ヤマトもその「ファミリー」の一員となる。(社長を演じた鈴木一功が出色の出来!!!)仕事を得、ひょんなことから拳銃を手に入れた大和。彼が最初に弾丸をぶち込んだ相手は、同じ年頃の名も知らぬ少年だった。大和はいつ心臓が止まるかもしれない薫を連れて、危険な逃走を開始した・・・。
映画「日本製少年」は1995年12月に劇場公開され、R指定映画ですが、95東京国際映画祭アジア秀作映画週間出品、96シンガポール国際映画祭出品、第5回日本映画プロフェッショナル大賞新人奨励賞受賞、(大沢樹生、嶋田加織)、日本インディーズ映画展横浜96参加作品という各方面で高い評価を得た作品です。
『アタシが死んだら、燃えないゴミの日に出してね』
と言う薫のセリフが、観る者の心に深く突き刺さる。嶋田加織の存在感が強烈に印象的でした。
「人生ラクだ。らくだ。ラクダだよ」
なんといってもこの作品の中で主演女優を務めた嶋田加織の、驚くほどリアルな存在感で「薫」を演じきった演技は特筆に価する。未来に夢を持てず、生命維持装置であるペースメーカーの電池交換を拒否する少女という難役を見事に演じきった。戯歌を歌いながら踊るシーンの愛らしさ、可愛らしさ、くわえ煙草でストロー人形を作る時のアンニュイな美しさと、完成したストロー人形をひろげて踊らせる時の無邪気さ、これほど豊かな表情を繰り広げる女優はそうはいない。
彼女の仕草や表情のドキリとさせられる天然な美しさは、ヌーヴェルヴァーグ時代のミューズ、アンナ・カリーナの出現を思い起こさせてくれるほど。90年代の青春の肌触りが画面に息づくボーイ・ミーツ・ガールものの傑作!
薫 「どうしてバイト決まらないの?」
大和「前科があるからかな」
薫 「何したの?」
大和「親父とおふくろ殺したの!」
「こんなに気持ちが良いのにドキドキしない。全速力で走ってもドキドキしないの。」と生きている実感が得ることの出来ない心情を吐露する薫。
嶋田加織(しまだかおり)
1976年6月5日、静岡生まれ。血液型はO型、身長 159cm /サイズ:B 81cm /W 56cm /H 82cm 。1994年12月に『Birth~誕生 第3章』(メシア)でデビューし、1996年にかけて10本余のAV作品に出演する。美貌と均整のとれたスタイルをあわせ持ち、一般誌においても数多くのグラビアを飾った。演技力も高く、唯一の主演映画である『日本製少年』(1995年)における演技は各方面から絶賛され、第5回日本映画プロフェッショナル大賞・新人奨励賞を受賞している。女優としての活躍も期待されていたが、突然引退、その後公の場には姿を現していない。引退して5年以上経った今でも高い人気を誇り、今も尚色褪せない人気は、彼女の女優としての資質の高さを照明している。AV出演作は中古市場で高い人気を維持しており、2003年にはアリスJAPAN時代の作品がDVD化された。
大沢樹生(おおさわみきお、1969年4月20日 -)は、東京都江東区出身の俳優。光GENJIの元メンバー。 明治大学付属中野高校夜間部中退。 愛称は「ミッキー」。小学校6年生の3学期の時にジャニーズ事務所に入所。同期生は忍者の正木慎也、ジャニーズJr.の石丸志門ら。1983年3月25日、イーグルスというグループのメンバーとしてレコードデビュー。 しかし、同グループは後に自然消滅。 その後は、NHK『レッツゴーヤング』のレギュラーとなり、「サンデーズ」の一員として活動していた。 1987年8月19日、内海光司と共に光GENJIのメンバーとして再びレコードデビューを果たす。 佐藤寛之と共に、光GENJI及びジャニーズ事務所を脱退。脱退後も、ソロでアルバムやシングルを数枚リリースしている。 1996年に女優の喜多嶋舞と出来ちゃった結婚(妊娠3ヶ月)するが、2005年9月20日に離婚。 2006年11月独立。同月14日には「ワールドプレミアムボクシング イーグル京和・長谷川穂積ダブルタイトルマッチ」で国歌独唱。
はじめてオールラッシュを観た時、嶋田加織はずっと泣いていたという。撮影が終わった直後から「もう芸能界の仕事をやめたい」と周囲に漏らしていたから、及川監督にとってこの涙は嬉しい誤算だった。
「スクリーンの中の自分の姿に感動して、一転女優という仕事にヤリガイを見出した」と及川監督は思っていた。
ところが、「日本製少年」完成後、嶋田加織の行方はようとして知れなかった。及川監督は「行方不明」だった嶋田加織のポケベルを呼び続けていた。その及川監督に、嶋田加織から電話があった。しかし、嶋田加織は及川監督が芸能界復帰という本題を切り出すのに機先を制するようにこう言った。
「私、看護婦になるんです」.......。
「やさしい人になりたい」
嶋田加織はかつてあるインタビューで「将来の目標」を問われてそう答えている。やさしい人になるために生きる。それはなんて美しい目標だろう。(及川中監督)
■及川中(おいかわあたる)監督■
1957年東京生まれ。平凡出版(現・マガジンハウス)に編集者として勤務する傍ら、脚本を執筆。オリジナルシナリオ「DOOR」が映画化され(監督・高橋伴明 主演・高橋恵子)、脚本家デビューを果たす。同時にマガジンハウスを退社。1990年、「オクトパスアーミー/シブヤで会いたい」(主演・東幹久、つみきみほ)で監督デビュー。以後、1995年「日本製少年」(主演・大沢樹生)、1999年「富江」(主演・菅野美穂)を制作。特に「富江」では、レイトショー公開の動員記録を達成するなどジャパニーズホラー・ブームの一翼を担うヒットを収めた。今年2005年の春には、エロス文芸作「メノット」(主演・藤本綾、国分佐智子、金子昇)と、パワーアップした富江シリーズの新作「富江BEGINNING」(主演・松本莉緒)が共に公開予定。そして「アインシュタイン・ガール」は夏に公開予定と、新作が次々に控えている。
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