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Elton0914-Drama4

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"Leg godt" L.B.D.武者さん

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名無し@ Re:レゴのガチャガチャっていうのが最近あってだな…。(11/20) ならあのミニフィグを買ってください 後あ…
名無しの人@ Re:レゴのガチャガチャっていうのが最近あってだな…。(11/20) ならあのミニフィグを買ってください 後あ…
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2013.02.02
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かもめ10.JPG


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ヤーコフ「若旦那、ちょいと一浴びしてきます」
トレープレフ「いいとも。だが十分したら、みんな持ち場にいてくれよ。もうじき始まりだからな」
ヤーコフ「承知しやした」

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トレープレフ「さあ、これが僕の劇場だ。カーテン、袖が一つ、袖がもう一つーーその先はがらんどうだ。書割りなんか、一つもない。いきなりパッと、湖と地平線の眺めが開けるんだ。幕あきは、きっかり八時半。ちょうど月の出を目がけてやる」

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ソーリン「結構だな」
トレープレフ「万一ニーナさんが遅刻しようもんなら、舞台効果は吹っ飛んじまう。もうくる時分だがなあ。あのひとは、お父さんやまま母の見張りがきびしいもんで、家を抜け出すのは、牢破りも同様、むずかしいんですよ。伯父さんは、頭も髭ももじゃもじゃだなあ。ひとつ、駆らせるんですね。……」

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ソーリン「これで一生、たたられたよ。わたしは若い時分から、飲んだくれそっくりの風采ーーとまあいった次第でな。ついぞ女にもてた例しがない。妹のやつ、なぜああ、おかんむりなんだろう?」

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トレープレフ「なぜかって? 淋しいんですよ。妬けるんでさ。おっ母さんはてんからもう、この僕にも、今日の芝居にも、僕の脚本にも、反感を持ってるんだ。というのも、演るのが自分じゃなくて、あのニーナさんだからなんです。僕の脚本も見ない先から、眼の敵にしてるんだ」


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トレープレフ「おっ母さんはね、この小っぽけな舞台で喝采を浴びるのが、あのニーナさんで、自分じゃないのが、癪のたねなんですよ。ちょいと心理的な変り種でねーーおっ母さんは、そりゃ才能もある。頭もいい、小説本を読みながら、めそめそ泣くのも得意だし、ネクラーソフの詩だって、即座に残らず暗誦できるし、病人の世話をさせたらーーエンジェルもはだしですよ。ところが、例しにあの人の前でエレオノラ・ドゥーゼでも褒めてごらんなさい。事ですぜ! 褒めるなら、あのひとのことだけでなくてはならん。劇評も、あの人のことだけ書けばいい。『椿姫』だの『人生の毒気』だのをやる時のあの人の名演技を、わいわい騒ぎ立てたり、感激しなくてはならん。ところが、この田舎にゃ、そういう麻酔剤がない。そこで、淋しいもんだから苛々する。われわれがみんな悪者で、親のカタキだということになる。おまけに、あの人は語弊がつぎで、三本蝋燭をこわがる、十三日と聞くと顔いろを変える。しかも、けちんぼときている。オデッサの銀行に、七万も預けてあることはーー僕ちゃんと知ってるんだ。だのに、ちょいと貸してとでも言おうもんなら、めそめそ泣きだす始末だ」

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ソーリン「お前さんは、自分の脚本がおっ母さんの気に入らんものと、頭から決め込んで、しきりにむしゃくしゃーーとまあいった次第だがな。案じることはないさーーおっ母さんは君を崇拝しているよ」

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トレープレフ「(小さな花の弁をむしりながら)好きーー嫌い、好きーー嫌い、好きーー嫌い。そうらね。おっ母さんは僕が嫌いだ。あたり前さ! あの人は生きたい、恋がしたい。派手な着物が着たい。ところがこの僕が、もう二十五になるもんだから、おっ母さんは厭でも、自分の年を思い出さざるを得ない。僕がいなけりゃ、あの人は三十ニでいられるが、僕がいると、とたんに四十三になっちまう。だから僕が苦手なんですよ。それにあの人は、僕が劇場否定論者だということも知っている。あの人は劇場が大好きで、あっぱれ自分が、人類だの神聖な芸術だのに、奉仕しているつもりなんだ。ところが僕に言わせると、当世の劇場というやつは、型にはまった因襲にすぎない。こう幕があがると、晩がたの照明に照らされた三方壁の部屋のなかで、神聖な芸術の申し子みたいな名優たちが、人間の食ったり飲んだり、惚れたり歩いたり、背広を着たりする有様を、演じてみせる。ところで見物は、そんな俗悪な場面やセリフから、なんとかしてモラルをつかみ出そうと血まなこだ。モラルと言っても、ちっぽけな、手っとり早い、ご家庭にあって調法ーーといったことの繰返しだ。そいつを見ると僕は、モーパッサンみたいに、ワッと逃げ出すんです。エッフェル塔の俗悪さがやりきれなくなって、命からがら逃げ出したモーパッサンみたいにね」





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Last updated  2013.02.03 01:12:21
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