Emy's おやすみ前に読む物語

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Feb 23, 2006
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カテゴリ: 連載小説
「ビロードの背中」-第8章の6-


「・・・俺、タバコ吸ってもいい?」

彼は立ち上がって、かばんからタバコを取ってきた。
私は、彼がタバコを吸う事も知らなかった。
ファミレスも、いつも禁煙席だった。

「タバコ吸うなんて、知らなかった。」
「あんまり多くないよ。一日半箱位かな。」

タバコを吸う彼を初めて見た。
人差し指と中指に深くはさんで、口元を覆うようにして吸う。

うっすらとヒゲの伸びた口元に長い指と切りそろえられた爪。

彼とタバコがキスする。何度も。何度も。
“なんだかエロティック・・・。

私も彼と、一度キスした。”


「・・・さっきの質問だけど。
・・・絵がね。いいの。」
それだけ言うと再びタバコを吸うだけで、黙ってしまった。




「それが答えです。」

「・・・それが答えなの?」




「・・・情けない話なんだけど、
俺、彼女との事にすごく影響される。

スケッチブックを見ると、以前の絵とは全て違う。

彼女の精神状態が俺の中に入ってきちゃう感じ、
って言えばいいのかな。
なんかうまく言えないんだけど・・・。

で、絵を描くと、絵の表情が躍動的で色彩も・・・

技術とか経験とかじゃなくて、その時のパワーのような。

本当に?って思うでしょ。
どう説明していいのか分からないんだけど。
すごくいい絵が描けるの。」


彼女が彼に浸透して、絵ににじみ出る。
そんな事あるのか?

「たぶん異常な関係だから、刺激が強いのかもしれないね。」

「異常な関係?」

「俺、本当に彼女分かんないの。姉さんは俺に何でも話してくれる。
 それが嬉しいし、喜怒哀楽が素直で、よく分かっていいでしょ。
 でも、彼女はさ・・・。」

考え込むように黙る。

「俺、しゃべりすぎだな・・・。」

彼は続けて2本目のタバコに火をつけた。

「お姉さんは大人よ。大丈夫、続けて。
 お酒のせい、お酒のせい。」






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Last updated  Feb 24, 2006 04:11:59 AM
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