車で見るフランス

車で見るフランス

6泊7日パリ-南仏旅行2





~Orange オロンジュから東方へ~

Orangeの街の名はあまり聞いたことがなかったが、
随分と観光地化されているようだ。バカンス中に暇を持て余す
滞在者をなごませるような商店街が旧市街の目抜き通りに広がる。
その奥には古く、半分崩れかかったローマ時代のコロセアムがあり
その壁づたいの日陰と、そこから出た日向との暑さの違いに驚く。
カフェには人があふれており、みな、観光客であるかのようだが、
リヨンではよくみかけた日本人もここでは見ない。

ここから20km程南下すると、法王を迎え入れていた街であり、
現在は演劇の街として知られ、また半壊した有名な橋のある
Avignon アヴィニョンがあり、本格的なプロヴァンス旅行の
始まりとなるので、おそらくそこで多くの遠方から来る
観光客がフィルターにかけられてしまうのかもしれない。

ただ、orange の北西にはArdeche アルデッシュという峡谷が
あるので、車での旅行をする者にとっては大きな拠点ともなる。

我々はここで、それらの観光スポットから離れてD976をとり、
東の山間部へと入ることになる。

Orange から25kmほどいった小さな街Tulette に友人の実家が
あったのでそこへ行ってみようと考えていたのだが、
残念ながら電話が通じず無為に1時間程を潰してしまった。
サプライズで行こうとしたのが仇になってしまった。
後日聞いてみたところ彼も旅行で他の国に行っていたということで
いかにも当然のことに、バカバカしく感じる。

これらの小さな街は所によっては周囲に殺風景な箱形のマンション
がみられることもあるのだが、多くは古い町並みを残している。
アジア人にかぎらず、観光客自体がいないので、人ごみに疲れた
時はそうした小さな街のカフェで休むのも悪くないかもしれない。
少なくとも、単語の羅列程度でもフランス語を知っていれば、
店の人から、好奇心から見られることはあっても、
あまり邪険にされることはなく、ゆったりと過ごせる。

Bonjour ボンジュール、
En anglais et lentement, s'il vous plait(SVP)
オンノングレ エ ロントゥモン シルヴプレ、
Je voudrais un cafe, SVP ジュヴドレ アンカフェ シルヴプレ
Les toilettes, SVP レ トワレット シルヴプレ、
L'addition, SVP ラディション シルヴプレ、
Merci, au revoir メルシー オ ルヴォアー、といった程度で良いだろう。
(訳、上から「こんにちは」「英語でゆっくりお願いします」
「コーヒーひとつお願いします」「トイレはどこですか」
「会計をお願いします」「ありがとうさようなら」)



D976沿いのこのあたりには、ブドウ畑がひろがっている。
川沿いであり、なだらかな丘が続く一帯で、まとまった耕地が
得られるためだろうか。
そこからさらに20km程進んだNyons ニオンからは、
曲がりくねった峡谷沿いの道、D94をとった。
周囲の山は突然標高1000m程になり、眼下の川は緑色に輝く。



ニオンから一度南下してから東へ進むD72は、Mt. Ventou
モン ヴォントゥという標高1800m以上の稜線を走る。
そのまま東へ進めば、エタップホテルのあるSisteron シストゥロン
に入れるので距離的にはそれほど遠回りではないが、
orangeを朝に出て行くのでなければ時間が足りないだろう。
街から離れた稜線の道はどこも美しいが、時間の制限は
いつも悩ましい問題である。



6泊7日で行くパリ-南仏旅行(15)
~Sisteron シストゥロン~



ニオンから70kmも峡谷沿いの道を走っていると、
平均時速60km/h程度であっても相当にウンザリするものである。
やっとの思いで、南北に走る国道N75に到着し、そこから南下、
Sisteron シストゥロンへと向かった。
この道が、Route Napoleon ルゥトゥ ナポレオンである。



道はここで再び南北へ延びる平坦な地形へとかわる。
目的のエタップホテルは、建物も林もない一面見渡せる平原の
向こうにポツリと立っていたためにすぐに見つけられた。
どうも、南のMarseille マルセイユやAix エックスからのびる
高速インターの脇にあるようだった。

ひとまずチェックインを済ませ、荷物を置いてから、
今夜の夕飯の確保にとりかかった。昨日のように隣接した
ショッピングセンターなどとは縁遠い場所であったので、
フロントにどこか食事のできる所は、と訪ねることにした。

ここでまた事前に調べておけばわかることだったのだが、
Sisteron という街はきちんとした観光地であったようだ。
50m程はあろうかというこの川には時折小さく湖状にひろがった
場所がいくつかあるようで、Sisteronは、その湖を擁する
古い集落からなっていた。

ホテルから川面をみおろす断崖の道沿いを2~3キロ走ると、
岩をくり抜いた作ったトンネルの手前に一筋の集落の入り口があり
そこにできた10台分ほどの駐車場に車をとめると、
眼前には、三角錐の高い岩がそびえ立っていた。
いくつもの縦に彫られた筋が川面から頂上まで走っている。
標高差はどれくらいだろう。2~300mはあるのだろうか、
ロッククライマーはみかけなかったが、灰色の堅そうな岩で、
おそらくルートはいくつかあるだろう。

駐車場から街の方へ入ると、濃い黄土色の建物はどれも
土産物屋ばかりであった。あまり中は覗かなかったが、
スカーフだとか、昔の鎧や剣、絵はがき、バッジなどを売る
典型的であまり特徴のない店ばかりで興味は湧かない。
ただ、ここが観光地であるということを知るのみである。

この100m程の通りをすぎると、ちょっとした広場にいくつか
レストランがあり、そこから坂を降りると広いプールがあった。
どこからやってきたのか、随分と人で賑わっており、
その下の湖で泳ぐ人もみられた。

巨大な岩が周囲のやや単調な風景に強烈なインパクトを与え、
それがここを観光地にしたようにも思われるが、
こんなところでのんびりとプールを楽しむのは確かに悪くない。
泳ごうかとも思ったが、家内には時間もかかることだと思い、
隣りのベンチでしばらく時を過ごした。
その後適当なカフェで夕食をとり、ホテルへ戻り、友人と二人
隣りの同系列ホテルのバーで軽くビールを飲んで就寝となった。



6泊7日で行くパリ-南仏旅行(16)
~地中海へ出る~

ここからはナポレオン街道を30km程通り、再び山間部へと入る。
ナポレオン街道はその後、香水の街Grasse グラースへと、
南東に降りていくが、我々は東方へと向かう。
このN202は、ニースからの電車旅行では日本のガイドブックにも
紹介されている山間部の鉄道に沿っており、急峻な山上に作られた
古い街を見てまわるのに良い道路で、さらには、その北部の
スキー場リゾートの入り口のような道路でもあり、
それなりの期待を込めていたのだが、あいにくにも、強い雨に
見舞われてそれらは霧の中に隠されてしまっていた。

東へ向けて一路進むこと90kmあまりで、ついに南へと折れた。
もう20kmもしないで海に出るのである。
3日間の旅行を終えてついに念願の地中海を見ることができる。
TGVでたった3時間で見るのとは感慨の深さが違う。

雨は山間部に限られていたのか、道路も濡れていない。
空はきれいに晴れ上がり、夏の濃い青空が広がる。
「く」の字に曲がりながら徐々に高度を下げていく道からは、
時折、海の光のようなものを見る事ができた。心が躍る。

海を目前にして、東のMenton モントンへ向けて高速に乗る。
海岸線を走るのを心待ちにしていたし、どうしたって、
景色は素晴らしいのだが、バカンス地の海沿いの交通渋滞は
長旅の後にはつらい。またモントンで落ちついてからにしよう。

この高速は、海への最前線となる最後の山間部を縫って走る。
かなり上りの勾配がきつく、極端に速度の落ちるトラックが
時折道を塞いで軽い渋滞さえ起こすのが難点だ。

モナコの北側にBeausoleil ボーソレイユというサービスエリアがあり、
そこからのモナコの景色が良いので地中海凱旋記念に立ち寄る。
もちろんトイレ休憩でもある。

すばらしい松がいたる所に生える見晴し台からは、
モンテカルロのカジノの緑屋根がみえる。ちょっと霞がかかり、
あまりクリアには見えないが、屋根の上の金色の飾りが
光っているのは確認できる。
その向こうには静かな地中海が広がっていて、大小の白いヨットが
何艘も行き交っているのが見えた。
水平線と空の境い目が薄い水色で見分けにくくなっていた。



このサービスエリアから今度は下っていくと、すぐにMentonへの
出口となる。知り合いの家のすぐ横の道を通り、予約していた
アパートへと向けて、熱帯系の木々と花で飾られた通りを
海へと降りていく。
国鉄の線路をくぐり、つきあたりのカジノを曲がると、
もうそこはMenton の海岸線である。

ウィークリーマンションは、2月頃に予約しないと家族サイズの
良い物件は埋まってしまうのだが、2人分の部屋ならば、
5月頃であっても、海沿いのテラスつきの部屋が
なんとかみつけられるかもしれない。
多くは英語でも問題なく予約できるので、個人であっても
なんとかできるだろう。
Location de Vacances ロカシオン ドゥ ヴァカンスで検索すれば、
英語サイトでもみつけられる。



6泊7日で行くパリ-南仏旅行(17)
~Menton モントンの夜~



Menton のアパートの手続きを済ませた後、食材などを
買いに歩いて外にでかけた。
毎晩レストランというのは、懐に厳しいが、実際のところ
胃袋にも厳しい。自炊ができるアパートはこれが良い。

海沿いであっても、同市の値段の高い物件に比べると安い所を
借りたので、中心街までは1キロ近く歩き、よって、
大きめのスーパーも近くない。
もっとも中心街だと夜中にいつまでもうるさいので、
少し離れた所で正解だったのかもしれない。
小さなスーパーであれば所々にあるので、それほど不自由もない。

とりあえずビールをケース買いし、他の食材も買いそろえる。
買い物も楽しいが、これにばかり時間をとられたくはない。
フランスのレジ進行の遅さは、日本に慣れていると精神上悪い。



広いテラスであるということは予約時にわかっていたのだが、
建物の最上階で、居室の面積を削ってのテラスであったので、
BBQパーティができる程であった。
(実際、BBQセットもおいてあった)
日光浴用の折りたたみ式の長椅子もあり、快適だ。

実はこの旅行中、他の友人が入れ替わりで来る予定だった。
いちおう2~3人用のベッドはあるのだが、
結局のところ私と一緒に来ていた友人(つまり男性陣)は、
外に寝ることになってしまった。
長椅子に、余っていた毛布をおいてその間に入りこむのだ。

夏だから問題ないと思っていたのだが、随分と冷え込んだ。
長袖を着込んで毛布をかぶってやっとなんとか寒くない程度だ。
しかし風はほぼなく、海の音を聞きながら、星を見ながら寝るのは
海沿いのアパートの醍醐味を完全に満たしてくれた。

ただ、パリではほとんどみかけなかった蚊が少々やっかいだった。



6泊7日で行くパリ-南仏旅行(18)
~イタリア小旅行~

朝、明るくなるとともに、寒さがひどくなってきたので起きると、
東の山の向こうに太陽が昇ろうとしていた。
海岸にはすでに何人かの人が散歩をしていたが、
ほとんどは年輩の人であったろう。
足だけぬらして沐浴している人もいる。

あいかわらず風も弱く波も穏やかだが、驚くのは、
潮のにおいがあまりせず、ベタつかないことだ。
前にブルターニュに行った時には、潮のにおいを感じたのだが、
いずれにしても、日本のようにはにおわない。
潮のにおい自体はここち良いのだが、ベタつくのが困りもので、
それから解放されるこの地中海は本当にうれしい。

東の山の向こうはもうイタリアだ。山の端をよく見ると、
かつてパスポート提出を求められていた国境の検問所が見える。
そこからずぅっと一面海が広がっている。
この湾は、全長で6、7kmくらいはあるのではないだろうか。

アパートは海沿いとはいえ、北側に位置している。
従って、テラスから海の東半分をみることはできるが、
全体を目の当たりにすることはできない。
そのあたりもシビアに値段に反映されているので仕方ない。

順次人が起きてきて、朝食になった。
オレンジジュースとコーヒー牛乳と、シリアルなど簡単なものだ。
こんなことならば、エタップホテルでも自分たちで用意していれば
わざわざ4~5ユーロもとられることはなかった。

まだまだ涼しいが、いずれ日が完全に出て午後にでもなれば
また大変な日差しになるので旅行は午前中に済ませることにする。
旅行の詳細はまた別の機会にゆずるが、今回はイタリア国境を渡り
150km東に行ったジェノヴァ(仏名Gene ジェーヌ)だ。
これを高速道路を使わずに海沿いをずっと走って行き、
ジェノヴァでちゃんとしたパスタを食べて、高速で帰ってこよう、
というものだ。



イタリアはフランスよりも物価が安いため、フランス人を含めて
浜辺は若い人でごった返す。ちょっとした浜辺であっても
路肩に車やバイクを停めるなどして泳いでいる。
途中までは山が入り組んでおり、小さい浜が点在しているため、
絶対的な利用者数も少なく、海がきれいだ。
やはり大きな街の大型の浜辺にいくと何やら濁ってくるが、
便利さをとるか、海のきれいさをとるか、なかなか悩ましい
所でもある。

一般的に山がせり出している海辺の道は細く、カーブが多く、
抜け道がないために渋滞を起こしやすいが、イタリアでは
それに加えてどうやら街の造りが混みいっており、
渋滞はさらに厳しくなる。
どうもイタリア車はフランス以上に小型車が多いと思ったが、
もしかしたらそういう街の事情があるのかもしれない。

フランスであれば150kmは、3時間もあれば行ってしまうが、
そうした渋滞事情もあいまって、5時間近くもかかってしまった。
大きな計算違いをしてしまった。
さらに、ジェノバについての情報もあまり集めていなかったため、
結局街をグルグルと走りまわった上に適当なレストランもなく、
何やらあやしげな店で、あまりおいしくないパスタの洗礼を
受けることになった。
後々友人に聞くと、「パスタは南イタリア」ということで、
既にそこからして情報不足であったことを思い知らされた。

高速で帰り、海に出て、ヤレヤレと落ち着いたが、
まだ少しドライブ疲れが残っていたようだ。リッターカーは
あまり長距離旅行にはむかないのかもしれない。



6泊7日で行くパリ-南仏旅行(19)
~Menton から西へ~

モントンからCote d'Azur コートダジュールを西へ行くと、
200kmほどでMarseille マルセイユとなる。
その辺りから先はProvence プロヴォンスや他の地方となるので、
コートダジュール小旅行と言うならば、ブリジット・バルドーで
有名なSt. Tropez サントロペあたりまでが妥当だろうか。
今回はそこから山ひとつ手前のカンヌまでをザッと紹介する。

モントンから海沿いに西へと向かうと、モナコまでの崖沿いの
道路、モナコから鷹の巣城のEze エズへ上り、Nice ニースに降り
Vieux port ヴューポー(旧港)から小さい岬をまたいで
promenade des Anglais プロムナード デ オングレ(英国人の遊歩道)
の名のあるニースの長い海岸を流し、ニース空港の方へ抜け、
また広い海岸線を通りながらAntibes オンチーブ、Cannes カンヌ
へと見所たくさんのドライブコースとなる。

ここはProvenceと異なり、山がせり出しているため、
海岸線と断崖の岬とで眼前の風景が異なり、飽きがこない。
モントンとモナコの間にはVille Franceh sur Mer ヴィルフロンシュスユメール
などの小さな街が点在しており、このあたりで休憩をしたり、
あるいは海水浴をするとゆっくりできる。
イタリアの小さい浜辺と同様にちょっと隠れ家的な浜である。



モナコは、ドライブコースにしては街がごみごみしているので、
F1コースを一周してみたり、大きなクルーザーを眺めたりする
以外には、景観としては、あまり「美しい」という印象はない。
ただF1のコースは、グリッドラインや、カジノ前からの
連続ヘアピンの赤白の路石、その後のトンネルなどテレビで
見ているものをそのままに自分の車のコクピットから目にする
事ができるのでたまらない。



海から離れて鷹の巣城へ上ってみても、
そこから見下ろす景色は素晴らしく、
確かに感じる涼しさの中で真夏の海や街の風景は格別だ。
海沿いのホテルも良いが、この高台に点在するホテルに泊まるのも
全く違った良い思い出となるに違いない。



ニースは、なんといってもコートダジュール最大のリゾートで
大きなホテルが立ち並び、旧港を西に越えた旧市街地も
陽気な色の建物がひしめき、花市場などで大変な賑わいがあるが、
鉄道の北側になると所々治安の悪そうな場所もみられ、
あまり迷い込みたくないような気持ちにもなる。
また、この海岸沿いの道路は速度取締りや飲酒検問なども
盛んに行われているため、注意が必要だ。

ニース空港から西もやはり同様にリゾート地が続いていく。
Cannes カンヌは映画祭で有名だが、やはりブティックや
きれいなカフェ、レストランが立ち並び、オシャレに旅行したい
という人にはやはり見逃せない街だろう。



カンヌから北西に上れば、今でも多大な影響力があるという
香水の街Grasse グラースがあり、南西を海沿いに行けば、
Massif de l'Esterel マッシフ ドゥ レステレルという錆色の赤い山と
緑色の透き通った海の対比の美しい海岸線から、やがては
St.Tropez サントロペへと抜けることになる。



6泊7日で行くパリ-南仏旅行(20)
~Menton モントン~



ドライブから帰る頃にはもう、暑さでぐったりとする。
2004年に大きな問題となった猛暑から、車にはエアコンが
どんどん半標準装備で売り出されているが、
古い車は依然としてエアコン非装備が標準である。
窓を全開にして高速を走っていても、焼け付いた道路から
発せられる温風が入ってくるばかりで涼しくはならない。
こんなところで渋滞にはまると大変なことになってしまう。

部屋で水着にきがえて、バスタオルとちょっとした上着をもち、
海岸に出ると、土日はイタリア人などでごった返す浜も、
平日ならば空いており、ニースなどのような混雑はない。
(いづれにしても日本よりは空いているが。。。)
モントンを初め、南仏の海岸はにぎり拳大の小石が敷き詰め
られている所が多いようで、日光浴に慣れるまでには
しばらく痛みへの慣れが先行する。
このPlage de gallet プラージュ ドゥ ギャレ(小石の浜辺)が
作られる理由はまだ人には聞いていないが、
風が吹いた時に砂が舞い上がるのを嫌っているのかもしれない。

反対に、大西洋側の浜の多くはきれいな砂浜ばかりのようで、
混雑や、値段、ひどい日差しなどの問題から、大西洋側を
選ぶフランス人は多いということだ。

波が静かな日は、海の底までよく見え、平べったい熱帯魚
のような魚が泳いでいるのを目にする。
一度釣ってBBQで食べてみたが、あまり食用には適さない。
ブイのある所まで泳いで浜辺の方をふりかえると、
後方を標高700~1000mもの岩ばかりの山で抱かれた
モントンの街をぐるっと見渡すことができる。

現地人によると、リゾート化が絶え間なく進んでいるとのことで、
たしかに、小さい街と異なって新しいコンクリートの建物ばかりが
目につく。ただ、造りはそれなりに気を使っているようで、
きれいなテラスや柱の装飾のついたホテルが多い。
郊外の、窓がついているだけの箱形マンションは本当に殺風景で
見ているだけでなんとなく気が滅入ってしまうが、
さすがにそういう事はない。

東の旧港との境には旧市街の小高い山がみえ、その頂上には
サンミッシェル教会のピンク色の尖塔がわかる。
そこからオレンジ屋根の町並みが浜辺まで降りてきて、
岬の先端にはジャン・コクトーの小さな美術館となっている
小石などがうめこまれた灰色の城がある。
時折日本の観光バスも止まっていることもあるが、
70年代頃の仏文ブームが反映されているのかもしれない。

フランスの夏の夜は長く、夜の10時頃まで明るいものだが、
高い山のためにここでは7時ころには暗くなり始める。
防波堤ともなっている大きな岩の堤防の隅で軽く焚き火をすれば
海岸線のレストランの照明と、旧市街のオレンジライトをバックに
小さなBBQが楽しめる。

旧市街の目抜き通りにもいくつものレストランが並ぶが、
海岸線の歩道に作られた席で、夜風に吹かれながらの夕食も良い。
特に、旧港側には陽気な雰囲気のレストランが立ち並び、
夕食だけでなく、食前、食後のお酒も楽しめる。
夜中過ぎまでついつい飲みながら話し込んでしまう。



6泊7日で行くパリ-南仏旅行(21)
~パリへの帰路~

Menton からParis までの帰路は行きとは異なり一日での移動だ。
旅の終わりはなんとなく寂しいものだから、そんな気持ちを
ひきずったままで旅をしていくのがなんとなくためらわれるのだ。

帰りのルートは二つ考えられる。
ひとつは西にでてマルセイユの方へ行き、そこから北上、
リヨンを通過しながらパリまで行くというものだ。
これが一番単純だが、バカンス時期の土曜の日中に渋滞に会うと
悲惨なので、もう一つのルートであるイタリア経由で、
アルプストンネルを抜けてリヨンに降り、パリへ向かうコースを
とることとした。

この時はちょうど、アルプストンネルの安全性に関する
騒動が盛んで、時折突然運動家によってバリケードがされる事が
あるとのことであったため、イタリアのTorino トリノから
西に進み、グルノーブルの辺りからリヨンへ降りることにした。



モントンからトリノまでは、高速で行こうとすると、一度
ジェノバの近くまで行かなくてはならず、三角形の二辺を通る
ことになって随分と遠回りになるため、モントンの東の街で
イタリアのVentimigliaヴェンチミリアから直接北上し、
国道S20 (Strada 20) でトリノを目指すことになった。

この道は標高差が大きく、切り立った峡谷を縫いながら北上する。
鉄道が通っており、狭い川の両岸をたがいに行き交い、
また高度の上下を入れ替えながらともに北へ向かう。
鉄道は、トンネルの中で円を描きながら高度をあげる。
日本でも群馬と新潟の県境近くの谷川岳の入り口となる
土合駅でこうしたループ状の登坂路を見た。

道路は再びフランス側へ戻り、国道N204となって、
一路Col de Tende コル(峠) ドゥ トンドゥを目指す。
このあたりにもいくつか小さい街がみられ。古い建物が
残されているが、Sisteron シストゥロンのように泳げる場所や、
大都市からのアクセスが悪いことが原因してか、あまり
観光地的な気配はしない。
ただ、この国道の西側にはMercantour メルコントゥール国立公園があり、
おそらく所々にはホテルなどもあるのかもしれない。

Tende峠のトンネルを抜けると、またイタリアに入る。
そこからは視界はぐっと開け、バカンス施設が目立つ。
おもしろいことに深い峡谷を縫って上り、標高1200mのトンネル
を抜けた後は、視界が突然開け、平地がひろがる。
40km程おりた大きな街 Cuneoクネオは、西と南を山で囲まれて
いるし、さらに北のトリノやその東のミラノなど、イタリア
北西部のこの広大な平野は、北と西のアルプスだけではなく、
海に出る直前にも標高1000m近い山脈を擁しているのだ。
東だけが平地のままの巨大な盆地と言えばいいのだろうか?
不思議な地形だが、それなりの理由は知られているのだろう。

イタリアに入ってしばらくすると、広い平地の中ですっかり
方向感覚を失ってしまった。トリノに行きたいのだが、
道路標識のどこを見てもTorinoと書いてあるようで、
どうもどれを進んでいいのかわかりにくい。
よくわからないまま人気の少ない更地の道路を走ると、
偶然にも高速道路らしき標識が目にとまり、ようやく
トリノまでのはっきりした道が確保できた。
中心街へとたどりついた時には、モントンから直線距離にして
まだ150kmしか行っていないのに、もう昼過ぎになって
しまっていた。

とりあえず昼食をとり、再び車に乗り込む。
トリノの中心街は灰色の石でできたしっかりした大きな建物が
目立ち、少しグルノーブルの建物を思い出させたが、
相変わらずの進路表示の混乱と、
郊外へ抜ける途中での信号無視の多さに注意を奪われ、
自分にしては珍しくほとんど周りの景色を楽しむことなく、
西へ向かう高速道路A32へと抜けていった。

イタリアからフランスに入る最後の国境のトンネルを抜けると、
リヨンまでは高速を一気に駆け下りるだけだった。
急峻な山の風景も、この旅の間に見飽きてしまったような
気もするが、またしばらく見られないと思うと名残惜しい。

リヨンでは、北東近郊を大きく迂回するN346沿いに
大型ショッピングセンターをみつけて給油をし、
A6へと合流して北上した。
途中日暮れ前に、非常に激しい集中豪雨にあり、
ほとんどの車がハザードを炊いて路肩に停める
というハプニングがあったが、他には問題なく、
夜の22時頃に無事に到着した。

思い起こせば、この旅行の最後の食事は、高速サービスエリアの
茹で過ぎかつプールで泳ぐパスタであった。
どうもパスタを食べ足りないという友人に乗せられたのだが、
全てを台無しにするようなとんでもない代物だった。
パリ到着後改めて口直しにケバブを食べに行ったのは
言うまでもないことである。



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