October 2, 2009
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カテゴリ: 未来社会の構造
●技術進歩による生産力の飛躍的増大は、経済システムの抜本的変革を要求する。従来の資本主義経済システムでは機能不全に陥ることが必然である。このことは、ロボットが普及し、ロボットが生産活動の大半を担う社会を想定すれば誰の眼にも明らかになる。

●下記の本は、来るべきロボット社会に向けて、社会・経済システムを根本から見直す必要性を説いている。


労働はロボットに、人間は貴族に
『ロボット ウィズ アス』
小野盛司


■労働はロボットに、人間は貴族に

●資本主義経済システムが未来の経済システムではありえないとするいう要点を下記に抜書きしてみた。

 労働をロボットに任せることができるようになると、現在の資本主義のままでは経済が成り立たなくなる。
(1)『働かざるもの、食うべからず』という考えが問題だ。未来社会では、ロボットが労働をするようになり、
(2)『人間は労働をしなくてもよい』という方向に動いていく。
この(1)と(2)を合わせると『人間は食うべからず』という結論になる。つまり、人間にとって地獄の社会となる。逆にロボットは働くのだから食って良い、しかしロボットは食う必要がない、ということでうまくいかない。ロボット時代には資本主義の矛盾が露呈する。

 失業者だらけの社会。雇用なき繁栄。これはすでに世界中の先進国で始まっている。その直接の原因が、ロボットとは言えないかもしれないが、コンピュータの進歩が確実に生産性を上昇させ、雇用を圧迫している。

……いくら物をつくっても売れなければ何もならない。人を使わなくても物はつくれる。経営者にしてみれば、従業員にお金を支払わなくてもよいから、利潤追求のためには良いことかもしれないが、労働者にとっては全然よくない。失職して収入が無くなり、何も買えないということになる。誰にも買って貰えないのなら経営者にとっても、ビジネスは成功しない。これはロボットに労働を任せようとしたとき、現在の経済システムでは、うまくいかないから経済システムの分配という点で根本的な改良が必要だということを意味している。

 「市場経済においては『神の見えざる手』によって需要と供給が自然に調整される」というのはアダム=スミスの有名な言葉だ。供給量が需要よりも少ないと、必要としているのに物が少ないわけだから、値段は上がる。逆だと物が余るので、値段は下がる。そのような市場価格の変動が、自然の調整機能として、効率の良い資源の分配を行っている、というもっともらしい理屈だ。しかし、アダム=スミスが予期しなかったロボットが活躍し始めると供給は伸びても、雇用は生まれず、やがてそれは需要不足を生じさせる。『神の見えざる手』もそこまでは届かない。

 資本主義が崩壊しつつある。もしも、為政者達が、現在の経済システムが限界に近づいていることに気が付かなければ、失業者は増え続け、自殺や犯罪が増え、不穏な社会となる。「大企業の一人勝ち」がどんどん進み、人間にとって暮らしにくい社会になっていくだろう。
 しかし、もし為政者達がこの限界を理解するなら、経済システムの大改革が必要だと気付くだろう。そして、どのように対処すればよいかを知れば、そこで新たに生まれる社会は『労働はロボットに、人間は貴族に』という夢のような世界となるであろう。

……出生率の低下は憂うべきことではなく歓迎すべきこととなる。労働力不足は、人口を増やして補うのではなく、ロボットを増やして補えばよいのである。
 『労働はロボットに、人間は貴族に』という夢の生活は、最初は先進国で始まる。もしも人口増大を食い止め減らすことができれば、これは徐々に世界中に広まっていくだろう。

 未来社会は決して小さな政府にはならないし、すべきではない。人間の職場がロボットに奪われた後、人間にお金を渡せるのは誰なのか。それは民間企業ではあり得ない。人間にお金を渡せるのは政府しかいなくなるのだ。それは大きな政府を意味している。

 未来の社会では、社会のために働くのはロボットであり、人間を働かせるために存在したお金の位置づけが変化してくる。お金は、ロボットに供給された財・サービスをすべての人間に分配する手段という位置づけに変化していく。


●現代世界は、産業革命以来何百倍にも生産力が増大しているわけだから、お金の分配方法次第で、ユートピアになっていてもおかしくは無いはずである。

参考
未来の経済システム(説明文)

●著者の小野盛司さんが想定しているのは 『政府貨幣発行で日本経済が蘇る』 で述べている政府貨幣の発行である。

●著者はベーシック・インカムという言葉を用いることはしていない。未来社会では、「ベーシック・インカム」の「ベーシック」などという控えめなものではなく、生活するに十二分の「インカム」を政府貨幣がすべての国民に配分されることを想定している。そうでなければ、社会・経済システムが機能しなくなるからである。





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最終更新日  October 2, 2009 09:18:09 PM
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