ラジェンダ エリコムリ            L'agenda d'erikomri

クリスマス・バラード

la seine

クリスマス・バラード     ヨシフ・ブロツキ

変わらない暗闇のなかに浮かぶもの
煉瓦の大きさの狭間に
小さい小さい夜の船
それはまるで
アレクサンダー・パークを漂うように
それはまるで
一人で立ち尽くす街灯のように
というよりも
夜に立向う黄色いバラのように
それは、せわしない通りを駆け下りる
恋人たちのために

変わらない暗闇のなかに浮かぶもの
ミツバチの雄 
それは酔っ払った男。やがて眠る
暗闇に包まれる街にひとり
旅人は、短い眠りに落ちる
いまや、オルディンカへ
タクシーは引き返す
気違いの表情を浮かべながら
死に陥った人々が
家によりかかる

変わらない暗闇のなかに浮かぶもの
悲しみの詩人
ここでは
丸顔の男が灯油を売る
その守衛は、悲しみの表情
土埃のけだるい通りを
女たらしの年寄りがいそいそと
まもなく
新婚二人の真夜中の航海が
暗闇の中に

モスクワの外に浮かぶもの
絶望の中、でたらめに泳ぐ男
憂鬱な階段を迷い下りる
ユダヤ訛りの人々
愛から不幸まで
新年の前日まで
日曜日まで
売春婦は漂う
その娘は失ったものを
言い出せないままに

あなたの目には寒い夜が浮かぶ
そして
雪が車の窓にまばらに落ち
風は氷のごとく
青ざめて、あなたの赤い手のひらに封をする
夜のひかりは蜂蜜のごとく
蜂蜜と胡麻のキャンディの香りが
そこらじゅうに
クリスマス・イブが甘さを
ふくらませる

群青色の波を漂流する
鬱陶しい街沿いの海を横切って
そこに浮かぶのは
あなたの新年の前日
それはまるで
人生があたらしく始まるように
それはまるで
日々にあるひかりが
迷いなく進んでいくように
ひもじい思いも
しなくていいように

つまり
左がわに進んでいた人生が
右がわに転がっていくように




By Joseph Brodsky
Translated from Russian to E by Glyn Maxwell
From E to J by Erikomri (pardon for my mistakes!!!)

© Rakuten Group, Inc.
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