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2005.10.01
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カテゴリ: das Kino
 この夏、NicoleKidmanとSeanPenn共演の映画 The Interpreter を例によって日本行きの飛行機で観た。

 アフリカ某国の大統領をNY国連本部で暗殺する謀議をたまたま耳にしてしまった通訳(Kidman)が命を狙われ、USテロ対策Teamの腕利きSecretService(Penn)が彼女の護衛を行う。クライマックスの暗殺計画に向けて起こるいくつかの犯罪を通じ、通訳自身の過去と現在を含めて、計画の背景と真相が徐々に明らかになる というのが大枠のあらすじになる。

 アフリカの小国で起きている虐殺とそれに伴う政治運動、および国連ロケという二つのKeyPointを除けばストーリー自身に目新しいものは無い。
 Interpreterと銘打ちながら、実際にはCommandoといった感じの作品展開、そして観客受けを意識した幾多のありえない設定や(=バス爆破後の被害状況、アフリカ内で白人の政治ゲリラ活動家は目立たないでいられるのか、等々)、様々な事件のDetailの非現実性。これらが観た後に釈然としない残滓となるが、誰かと映画館に観に行く娯楽映画としては充分元が取れる出来になっている。Kidman Maniacならストーリー展開の最初、眼鏡姿の知的な職業人の役柄にきっと息を呑むだろう。

 それだけなら敢えてここに書き残す必要はないのだが、一つだけ特記したかった点がある:この映画はSeanPennのものだ。

 高い演技力については噂に聞いていたが、彼の出演作をみることが無いままに過ぎてきた。元々Madonnaとの結婚や傷害事件など、ゴシップが飯の種のような廉価芸能人という印象しかなかったのだが、時間の経過が恵みに働いたのか、本作の地味な男の役柄は、演技ではなく現在の彼の”地”であるように感じる。

 終盤、川沿いの公園のなかで膝ほどの鉄柵に腰掛けながらKidmanと向き合って語る場面がある。
 錆びかけた太いコイルばねが じわじわと蓄えた歪み。中心線から2-3度ほど撓んだ軸心が復元する契機のこの短いシーンで見せるKidmanとの会話。乾いた笑顔の裏側に残る、男の内面の機微。

 孤独なUS人を、役柄を通じ(または地の演技で)見事に表現したSeanPennを同設定の連作としてもう一度観てみたい。


[追記]
 固有の軌道を周回する二つの遊星が じわじわと限りなく近づき、そ知らぬ顔で互いを通過する。鈍色の鋳物細工に滴下され、表面を伝う人肌ほどの暖かな液体。鋳物の温度が液体のそれに達することはないのに、そう信じそうになっていた事を不意に気付かされ、照れ隠しの笑みが浮かぶ。軽く曲げたまま痺れた掌の中を、ひらひらと舐めるようにゆらぎ、すり抜けていくシルクのスカーフをただ眺めているような無力感。
 スクリーンを通じてそうした記憶を増幅できる人であれば、淡すぎて色すらつかない場面の中に、自分だけの隠れた色彩を見つけることができるはずだ。
そして、体に馴染むこの淡さ加減を 書かずにいられなかったという事になる。

*** 補足 ***

The Interpreter





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Last updated  2005.10.30 00:41:59
コメント(12) | コメントを書く


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ショーン・ペン  
cozycoach  さん
いいですよね。イーストウッドが監督したMystic Riverで、娘を失った悲しみと怒りに苦しむ役もよかったです。The Assassination of Richard Nixonはまだ観てないのですが、是非観たいです。しかし、ちょっと気付いたんですが、なんか演技にむらがあるように思うんですが、気のせいでしょうか。それと、彼の監督作品も好きですね。The Pledgeしか知らないのですが、これはジャック・ニコルソンのすごい演技とともに、ちょっと忘れがたい作品でした。男の執念が人生には裏目に出てしまった、悲劇的な矛盾。The InterpreterはもうDVDに出てるのかな。是非借りなくちゃ。ところで、飛行機で観る映画はつまらないのが多くて、今回の日本旅行でも、全く寝てました。UK便は面白いんですかね。ああ、そうじゃなくて、航空会社のせいか。ぼくのはユナイテッド、これは食事も映画も駄目です。が、安いので。 (2005.11.01 15:00:37)

Re:ショーン・ペン(10/01)  
JAWS49  さん
cozycoachさん、ご無沙汰してます。

>イーストウッドが監督したMystic Riverで、娘を失った悲しみと怒りに苦しむ役もよかったです。The Assassination of Richard Nixonはまだ観てないのですが、是非観たいです。

 さすがに良くご存知ですね。

>しかし、ちょっと気付いたんですが、なんか演技にむらがあるように思うんですが、気のせいでしょうか。

 この映画しか知らないのでムラに関しては未だ気付かないのですが、多くの役がこなせるようには感じられませんね。実際は器用なんでしょうか。

>それと、彼の監督作品も好きですね。The Pledgeしか知らないのですが、これはジャック・ニコルソンのすごい演技とともに、ちょっと忘れがたい作品でした。男の執念が人生には裏目に出てしまった、悲劇的な矛盾。

 そうですか。意識してみます。

>The InterpreterはもうDVDに出てるのかな。是非借りなくちゃ。

 日没帝国でももうSell版が出てますね。因みに上に追記しました。ご参考までに。

>ところで、飛行機で観る映画はつまらないのが多くて、今回の日本旅行でも、全く寝てました。UK便は面白いんですかね。ああ、そうじゃなくて、航空会社のせいか。ぼくのはユナイテッド、これは食事も映画も駄目です。が、安いので。

 日本に行かれてたんですか?(15日から23日まで自分は東京に居ました。)
 Lufthansa主義者なのですが、BAの陰謀かヒースロー発の日本直行便がない為、JALまたはANAにします。因みに他にも書いておきたい映画を観ることができました。Unitedは確かに厳しいですよね。。。
(2005.11.02 11:05:34)

ショーン・ペン  
ももにゃき  さん
ミスティック・リバーも上手でしたよ。
彼は本当に演技が上手いでしょう、私も感心しています。あんなだったのにね(笑)

unitedは乗ったことが無いのですが、そんなにひどいのかぁ~(笑) (2005.11.04 13:14:31)

Re:ショーン・ペン(10/01)  
JAWS49  さん
ももにゃきさん、こんばんは。

>ミスティック・リバーも上手でしたよ。

機会があれば観てみたいですね。

>彼は本当に演技が上手いでしょう、私も感心しています。あんなだったのにね(笑)

 もともと役者さんの演技を見分けられない自分なのですが、本作では非常に印象に残りました。結局、脚本で要求される人物像と自分の期待が重なる位置に彼がいたという事かなと理解しているのですが。

ところでTriviaにこんなのがありました:
 Sydney Pollack approached Naomi Watts about the lead role of Sylvia Broome, but she declined, knowing that her good friend Nicole Kidman wanted to play that part.

 Naomi Wattsのほうが全体の嘘臭さが減ると感じます、が、SeanPennとの関係という点では甘味に欠けるKidmanの方が無難かも。

>unitedは乗ったことが無いのですが、そんなにひどいのかぁ~(笑)

「Stewardessはババアばっかり」、とかつて日本の上Xがのたまいましたが、自分の印象は敢えてノーコメントにしておきましょう(=日系航空会社以外はそれが一般的なんですけどね。) (2005.11.06 10:25:10)

マドンナの元旦那だったんだよね  
ヤギ福  さん
そうそう、ミスティック・リバーでなーんかどっかで聞いたことある名前だったよなあ。とか思いながらも、そのまま油みたいな水面そのものイメージとだぶらせて彼の演技に感心して失念してました。
っていうか、あの頃の彼はなんかヒモです。すみませんって感じでしたもんね。
名前まで覚えてなかった。
ももにゃきさん、なんかコメントが控えめ(笑)
最近、映画見てないです。本ばっかり。時間ないもんで。映画見たいなああ (2005.11.08 20:30:34)

Re:マドンナの元旦那だったんだよね(10/01)  
JAWS49  さん
ヤギ福(母)さん、こんばんは。

>そうそう、ミスティック・リバーでなーんかどっかで聞いたことある名前だったよなあ。とか思いながらも、そのまま油みたいな水面そのものイメージとだぶらせて彼の演技に感心して失念してました。

 ここにもミスティック・リバーが、、、。こんなにも有名作品だとは知りませんでした。。。
 皆さんのご意見が一致しているようにやはり演技上手ということなんですね。

>っていうか、あの頃の彼はなんかヒモです。すみませんって感じでしたもんね。名前まで覚えてなかった。

 本当に青二才(というかチンピラ)という感じでしたもんね。 

>ももにゃきさん、なんかコメントが控えめ(笑)

 ももさんはまずご自身のサイトにレビューされようとしているのかも(或いは完全な意見の不一致?)

>最近、映画見てないです。本ばっかり。時間ないもんで。映画見たいなああ

 ではもう少し映画系ヨタ話を載せても良さそうですね。忘れないうちにどうしても書きなぐっておきたいのが2-3作あるので。。。

 最近はどんな本を読まれているのか興味があります。是非教えて下さい。 (2005.11.09 09:14:34)

最近、読んだ本  
ヤギ福  さん
帚木蓬生「閉鎖病棟」
新井 勲「日本を震撼させた四日間」
そして、今読んでるのが浅田次郎の「シェエラザード」です。
なんか日本ものに偏ってしまったのは、どうしてかな。
ちょっと前は池田理代子の「オルフェウスの窓」
(知らないだろうな。少女まんがです)を読んで、しばし青春時代に浸りましたが。 (2005.11.10 05:48:32)

Interpreter観ましたよ  
cozycoach  さん
娯楽作品として大いに楽しみました。僕はこういうコンスピラシーものが好きなので。シドニー・歩ラックは時々いいのを作るんですよね。最近ではRandom Heartsも地味ですが悪くなかったですよ。古くは邦題は「一人ぽっちの青春」とかなんとかいうんじゃないこと思いますが、ジェーン・フォンダが絶望的な役をやったのが記憶に残ってます。原題はThey shoot horses, don't they?というんだったか。ショーン・ペン渋くていいですね、将来的にはクリント・イーストウッドを超えるでしょうね。 (2005.11.19 17:43:24)

Re:最近、読んだ本(10/01)  
JAWS49  さん
ヤギ福(母)さん、
コメント頂いてから時間が空いてしまいました。再手術を終え、やっと何か書くことのできる気分にまで盛り返してきました。。。(まだ鎮痛剤で凌いでるんですけどね。)

>帚木蓬生「閉鎖病棟」
>新井 勲「日本を震撼させた四日間」
>そして、今読んでるのが浅田次郎の「シェエラザード」です。なんか日本ものに偏ってしまったのは、どうしてかな。

 なるほど。残念ながらどれも読んだ事がありません(=読書量が少な過ぎることの裏返し)が参考にさせて頂きます。「閉鎖病棟」の書評をネットでみましたが、高評価でした。浅田次郎と言う人は好き嫌いが分かれる作家のようですね(=言わずもがな、未読。。)

>ちょっと前は池田理代子の「オルフェウスの窓」
>(知らないだろうな。少女まんがです)を読んで、しばし青春時代に浸りましたが。

 池田理代子って"ベルばら"の人でしたっけ。少女漫画は不勉強ですが、姉の影響で小さかった頃りぼんを読んでました。
 一条ゆかり(”デザイナー”でしたっけ)とか弓月光(80年代から青年誌にも登場するようになり作品レベルが落ちてしまいましたが)は憶えてますよ。
(2005.11.25 07:13:17)

Re:Interpreter観ましたよ(10/01)  
JAWS49  さん
cozycoachさん、
初回に比べ、今回の手術は回復に思いのほか時間がかかってしまいました。気力不足で何も書けませんでしたが 悪しからず。。。

>娯楽作品として大いに楽しみました。僕はこういうコンスピラシーものが好きなので。

 そうなんです。娯楽映画としては元が取れますよね。あの大統領役のアフリカ系俳優さんの面構えが印象に残ります。
 自分もコンスピラシー物は好きです。特に60-70年代にTV映画などを含め粗製濫造されたとされる冷戦関連スパイもの贔屓で、映画マニアの先輩には馬鹿にされてましたが。

>シドニー・歩ラックは時々いいのを作るんですよね。最近ではRandom Heartsも地味ですが悪くなかったですよ。古くは邦題は「一人ぽっちの青春」とかなんとかいうんじゃないこと思いますが、ジェーン・フォンダが絶望的な役をやったのが記憶に残ってます。原題はThey shoot horses, don't they?というんだったか。

 ううっ、すみません。予備知識が全くありません。。シドニー・ポラックの知名度は理解してますが、本作以外の監督作を観た事は無いので。

>ショーン・ペン渋くていいですね、将来的にはクリント・イーストウッドを超えるでしょうね。

 そっ、そこまで買いますか。顔の造作でやや分が悪い気がしますが。。。
(2005.11.25 07:53:34)

みんな、どうしたのお  
ヤギ福  さん
先日、絵本美術館に行って素敵なというか、すごい作家を発見したのに彼女も体調不良なんです。JAWSさんもだし。なんてこったい。私は義母の認知症もなんのそのの義母とボケた会話を繰り返し、日々元気にやっております。
主人は、先日上海に行ってドイツ人家族と上海カニを食べたそうで、その際ドイツ人の子供がグラスを噛み割り大騒ぎ。でも怪我もなく、さすがドイツ。人間すら丈夫。質実剛健。身体堅固。
一条ゆかりの「デザイナー」!びっくり!
JAWSさんも守備範囲広いですね。お体お大事に。 (2005.11.27 18:54:16)

Re:みんな、どうしたのお(10/01)  
JAWS49  さん
ヤギ福(母)さん、
>先日、絵本美術館に行って素敵なというか、すごい作家を発見したのに彼女も体調不良なんです。

 絵本美術館とはなかなかいいご趣味ですね。因みにその作家の方のお名前を教えて頂けますか? ググりますので。
 ところでヤギ福(母)さんは ”ふたりはともだち”をご存知ですか? かえるくんとがまくんのエピソードのひとつ、『おてがみ』を読むと自分はとろとろに融けてしまいます。。。

>私は義母の認知症もなんのそのの義母とボケた会話を繰り返し、日々元気にやっております。

 逞しいなあ。明るさを維持できるのは素晴らしい才能ですね。

>主人は、先日上海に行ってドイツ人家族と上海カニを食べたそうで、その際ドイツ人の子供がグラスを噛み割り大騒ぎ。でも怪我もなく、さすがドイツ。人間すら丈夫。質実剛健。身体堅固。

 それは危なかったですね。ところでその家族は本当に人間でしたか?
 いつかドイツの子供話を取り上げてみましょうか。野生的ですもんね、彼ら。

>一条ゆかりの「デザイナー」!びっくり!

 内容は全く思い出せません。表紙絵のレイアウトが実に奇麗だった印象しかないのですが。
 蛇足ですけど 少女マンガといえば里中満智子さん(ご自身)の上品な美しさが印象に残ってます。

>JAWSさんも守備範囲広いですね。お体お大事に。

 どうも有難うございます(広くないんですけど。)
しかし最近は病気の話ばかりのLogに成り下がっている気が。。。。
(2005.11.30 09:25:52)

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