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大谷翔平が大活躍した 1 年が終わった。お父さんが子供のころ、生粋の日本人がメジャーリーグでホームラン王になるとか MVP を取る選手になるなど想像もできなかった。日本のプロ野球とメジャーリーグには天と地ほどの差があり、そもそも日本のプロ野球はメジャーリーグの一つ下である3 A でも勝てないと思われていた。
すでに日本人が活躍しているので少し異なるが、バスケットボールの国内リーグである B リーグと、アメリカの NBA ぐらいの差を感じていた。
大谷の活躍は例外的としても、今の日本人スポーツ選手はサッカーもバスケも野球も世界で活躍する選手が当たり前のように存在している。栄養学やスポーツ医学などが発達して日本人の体格がよくなったこともあるし、何よりも昭和のころのスポーツというか部活の負の部分がなくなったことも大きいと思う。
精神力だけで行ったら、昭和のスポーツ選手のほうが強かったかもしれない。先輩や監督・コーチの理不尽極まりない指示に「はい」の一言ですべて従い、暴力的な扱いをされることも日常茶飯事だった。
練習中に水を飲んではいけないのは当たり前で、それが運動部というものだと思って疑うこともなかった。おかげで社会人になって理不尽なことがあっても、きつめに怒られても思い悩むほど落ち込むこともないのだが、逆にちょっときつめに行っただけで思い悩んでしまう部下に悩んでいる。彼らの気持ちがまるで理解できないからだ。
それにしてもどうして日本人のスポーツ選手が世界でこんなに活躍できるのか最初はとても不思議だった。ところが息子が中学校でバスケ部に入ってから、なるほどと思ったことがいくつかある。
まずは練習がとても合理的であるということだ。強い部活は練習時間もそれなりに長いし、練習強度も強い。しかしながら、昭和なら 1 年生は球拾いとか道具の整備とかさせ垂れていたのに、今は入部してすぐ先輩たちの練習に参加できるようだった。もちろん体力的についていけないところはやらなくてもよいという特典付きだ。
どんな球技でも球拾いをしてうまくなる選手はいないだろう。道具の手入れや掃除は大事だと思うが、すべて 1 年生の仕事とせず、 3 年生も含めて皆でやるほうが理にかなっている。うまい下手に関わらず、きちんと練習をさせてもらえるのだから、ボトムアップ的に全体の質が上がるのだと思う。
次に、強い部活は専門家の指導者が見ているということだ。お父さんが学生のころは、先輩からの伝統的な練習が基本で、監督やコーチというより顧問の先生が何となく指導していたことのほうが多かった。専門的かつ合理的な練習などまったくといっていいほどなかったと言える。
見た目だけは怖いというか凄みのあるチームであっただろうが、現在のチームと 30 年前のチームが試合をしたら、圧倒的に現在のチームの勝率が高いと思う。
お父さんの住む東北地方は、意外とスポーツが盛んである。都市部ではスポーツに力を入れる子供がいないわけではないが、部活動に強制加入などという制度はほとんど残っていないだろう。部活はやりたい人がやるだけで、帰宅部をはじめあらゆる選択肢が許されている。難関大学を目指す学生は中学に入学する前から部活やスポーツよりも勉強に力を入れている。本当に多様性が認められているのだ。
結果として運動部やスポーツクラブには、そのスポーツをやりたい人だけが集まる。だから余計ないじめをする先輩なども少ないだろう。みんなうまくなりたくて、強くなりたくて練習をしているのだから、無駄なことはしない。
好きでとか、やってみたくてで始めたとしても、向いていないと判断すればすぐにやめることもできる。部活をやめるときに先輩に囲まれるなどということもないのだろう。実に合理的な世のなあになったとうれしく思う。
どのみちどんな世界でも大成するには厳しい練習は必要不可欠である。大谷をはじめとする世界で活躍するスポーツ選手は合理的だけでなく、とてもストイックに練習をする人たちである。
地方にはまだそこまで意識変化が進んでいない部分もあるだろうが、お父さんの孫が活躍するころには、さすがに今の関東圏の意識と同様にはなっていると思う。子供の数が減っているのが心配だが、世界で活躍する日本人スポーツ選手はこれからも増えていくと期待している。