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2006年02月06日
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カテゴリ: 露野
 でも、そのうち、私にもだんだんとわかってきた。

 母を失って初めて、私は母の本当の愛情を知った。母は誰からも愛されない人だった。父からも、そしてたった一人の息子の私からも。だが、母は母なりにずっと私を愛し続けていてくれた。たとえ愛し返されなくても、想いが伝わらなくても、それでも愛し想いつづけるのが、本当の愛なのだと、母は私に教えてくれた。

 そして、五条の姫君には、本当の愛というものは、たとえ相手に手ひどく裏切られようと、仲を引き裂かれようと、住む場所も身分もあまりにも遠く離れてしまったとしても、決して消えてしまうものではないことを、私は教えられた気がする。

 小さな愛情深い老婆として母を弔った日、朧月の下で白梅の花を見つめながら姫君を想って泣いたあの夜から、私は変わった。

 人を、本当の意味で、愛することの出来る人間になった。それからも、私は今まで通り様々な恋をした。だが、私の心の中のありようは、以前とはすっかり変わっていった。女たちに対してだけではない。今、奥の私の部屋で眠っている幼い孫たちを心から愛しいと思う気持ちも、以前の私にはなかったものだ。

 すべては、母と五条の姫君が私に与えてくれた賜物だった。

 だが、母はこの世を去り、五条の姫君は永遠に私から奪われた。いくら後悔しても、今更自分の愚かさをどれほど悟ったとしても、もう遅い。そして、二人から与えられた賜物を、私から少しでも贈り返すことも、もう叶わない。

 私はいつしかそれを、それから後に出会った女たちに分け与えることを願うようになった。もちろん、私の独り善がりに過ぎないかもしれない。今まで散々罪を作ってきた私が、今更偉そうに言えることでもないし、そのような女たちに口に出して殊更に感謝されたわけでもない。

 だが、ほんの僅かでもいいから、母と五条の姫君にはもう返すことの出来ぬ賜物を、その女たちに返すことが出来ていたら良いのだが。





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最終更新日  2006年02月06日 13時47分34秒
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