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2006年03月15日
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カテゴリ: 露野
 私は後ろ髪を引かれる思いで、宿所にしていた部屋へ戻った。茵は片付けられていたが、部屋の中にはまだ微かに伽羅の香の薫りがした。私は、何としてももう一度斎宮に逢いたいと思った。

 だが、私に何が出来るだろう。

 ひとたびここを去れば、もう二度と伊勢を訪れることはあるまい。もし、斎宮が都にお戻りになったとしても、逢うことは叶わないだろう。斎宮になられた方は、たとえそのお役目を終えられたとしても、男と逢うことはない。ただ、宮御所の奥深くで、静かにその余生を送られるだけだ。帝ですら滅多に后に出来ないような尊い方に、私のような只人が近寄れるはずがあろうか。

 私は思い出の残るその部屋を見まわし、密かに溜息をついた。そして、微かな伽羅の薫りを胸に刻みながら、部屋を後にした。

 出発の刻限が近づき、私は馬に乗って、勅使の行列が整うのを待っていた。私はまだ諦めきれず、斎宮の御殿の方を見つめていた。

 すると、対の屋へ架かる渡殿に、一人の女童が立っているのに気がついた。よく見ると、あの夜斎宮の供をしてきた女童ではないか。

 私はとっさに、私の傍らに組んであった篝火の中から、燃え残った炭を一かけら掴み出した。そして、斎宮から賜わった杯を懐から取り出すと、裏に書かれた斎宮の上の句の傍らに、人に隠れて一筆走り書いた。


またあふさかの関は越えなむ

(また逢坂の関を越えて、あなたにお逢いしたい)





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最終更新日  2006年03月15日 12時03分47秒
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