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2006年09月30日
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カテゴリ: 孤舟
 あれから、もう何年経ったのだろうか。五十年、いや六十年か。

 左衛門尉はあの時のことを思い出す。初めてさきくさに出会った日のことを。

 数え切れぬほどの明かりが灯された御殿の煌びやかな輝き、賑やかな人々の笑い声、張りつめた鼓の音と透き通るような響きの歌声……。

 あの頃、左衛門尉はまだ元服してまだ間もなく、父が家司を勤めていた右大臣家の屋敷へ、見習として出仕し始めたばかりだった。武芸が好きで、鷹狩だ笠懸だと父の所領の野山を駆けまわってばかりいた左衛門尉は、初めての堅苦しい屋敷勤めに辟易していた。だが幸いなことに、すぐに右大臣の四の君である宰相中将殿に気に入ってもらえ、近習として側近く仕えることが出来るようになったばかりか、時には屋敷で開かれる宴の末席に連なることも許されるようになったのである。

 あの夜、左衛門尉は簀子の片隅で小さくなって座ったまま、御殿の南庭に設えられた舞台の上で今様を歌う一人の遊女に目を奪われていた。

 白く清らかな額から流れ落ちる艶やかな黒髪。ほんのりと上気した薄紅色の頬。はっきりとした二重の切れ長の眼差し。紅の袴に山吹襲の袿を着て、扇を手に舞いながら歌うその遊女の姿は、まだ大人になったばかりの左衛門尉には眩しいほどに美しかった。

 ああ、それにあの歌声……胸を締め付けるようなもの哀しい調べが、今も左衛門尉の耳に甦る。





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最終更新日  2006年09月30日 10時55分31秒
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