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2007年01月22日
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カテゴリ: かるかや
 父はしっかりと新発意の手を握り、大股の足取りで道を歩んでいた。新発意に話しかけることもなく、ぐいぐいと新発意の手を引っ張って進んでいく。

 新発意は父の歩調について行けず、ほとんど引きずられるようにして歩いていた。疲れて時折立ち止まっては、父の手を振り解こうとするが、父はがっしりと新発意の手を握り締めて離さない。

 その力強い手の感触を、新発意は鮮明に覚えていた。

 大きな肉厚の逞しい手。木刀の握りだこなのか、親指の付け根にひどく硬い部分がある。そう言えば、父は剣術がたいそう好きで、屋敷でも暇さえあれば木刀で素振りをしていたという。

 あの草いきれの道を、何のために父と二人で歩いていたのか、新発意にはまったく記憶がない。そこがどこだったのかも、どこへ行こうとしていたのかも、覚えていない。

 ただ、あの時の父の手の感触だけが、いつまでも忘れられずに染み付いていた。

 考えてみると、父の確かな記憶と言えるのは、その手の感触だけなのかもしれない。それほど、父は新発意にとって遠い存在だったのである。





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最終更新日  2007年01月22日 17時31分43秒
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