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2007年10月11日
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カテゴリ: 蒼鬼
「先ほど、内裏に参内してまいった。そして、ようやく主上にお会いできたのだったが……面目ないことに、うまく逃げられた」

 明子はさほど表情も変えずに、小さな惟仁親王の拳に自分の細い指を握らせて、微笑みながら言った。

「主上は何と」

「こちらの惟仁親王が東宮にふさわしいことは、主上も良くご承知なされておるはずだ。だが、主上は思った以上に強情でな。どうしても惟仁を東宮にするとはおっしゃらない。それだけ、あの惟喬親王が可愛いのであろうが。とうとう、こんな馬鹿なことを仰せ出された」

「何でございます」

「次の東宮を誰にするか、競馬で決めると」

「競馬?」

 さすがに明子も驚いたのか、眼を丸くした。

「昨夜、主上の夢枕に天照大神がお立ちになって、そうご託宣を述べられたのだそうだ。いやはや、馬鹿馬鹿しい話だが、神のご託宣とあっては無碍には出来ぬ。それに、もうこのことは内裏中に広まってしまってな。こちらも受けて立たざるを得なくなった。だが、安心するが良い。我が家にはこの国でも指折りの名馬をあまた揃えてある。もっと良い馬も東国へ使いを出せばすぐに手に入れられよう。あの名虎ごときに負けるわけがない。次の東宮は、もうこの若宮に決まったも同然だ」





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最終更新日  2007年10月12日 10時38分05秒
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