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2009年04月23日
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カテゴリ: 山吹の井戸
 妹は手に持っていた古い文を読み終わると、二つに裂いて火鉢の炭の上にくべた。

 もしかしたら、妹は自分の命がもう短いのを悟って、自分の身辺の整理を始めたのだろうか。

 少将は胸を衝かれたような気がして、水の入った角盥を傍らに置きながら妹に優しく言った。

「文反故の整理など、またいつでもできよう。疲れるといけないから、もうお休みなされ。冷たい手拭いを額に当ててあげるから」

 だが、妹は文の整理を止めようとはせず、薄笑みを浮かべながら少将に言った。

「今まで詠んだ歌がこんなに溜まったから、そろそろ自分の歌集を編もうと思って。それで、あまり出来の良くない歌や、つまらない人からもらった歌なんかを整理していたのですよ」

 なるほど、明日をも知れぬ身でありながら、まだ自分の歌に執着しているというわけか。

 身辺整理だと思って妹を哀れに思った自分に、少将は密かに苦笑いした。

 側に散らばっている紙類を見る。



「ずっと前に一度まとめてみたのだけれど、その後にもらったり作ったりした歌もあるから」

 少将に頼んで墨をすってもらうと、妹は脇に取り除けた歌の草稿の中から一枚取り出して、冊子に書き込み始めた。


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最終更新日  2009年04月23日 14時53分46秒
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