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2009年04月27日
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カテゴリ: 山吹の井戸
 少将は妹の姿を見ながら、その執念深さに少々あきれてしまった。

 歌詠みというものは、これほどまでに自分の歌に執着するものなのか。

 少将も宮中で時折歌を詠むし、よくできたと思うものを少しは手元に残している。でも、瀕死の病を押して、上がらない枕から無理に頭を上げてまで、自分の歌を後世に残すための努力をしようなどとは、少将には思いも寄らなかった。

 妹はしばらく自分の草稿から歌を撰んだ後、今度はまだ閉じたままの文箱を一つ手に取って、掛けてある紐を解いた。蓋を開けると、しばらく中を見つめたまま黙っている。妹はふいに少将の方を向くと、小さな声で聞いた。

「姉様、井戸の周りの山吹の花は、もう咲きましたか」

「ほんの少し、蕾が緩んだだけじゃ。綺麗に咲くのは、まだ幾日か先になろう」

 妹は重い吐息をついて、手に持っていたその文箱を脇に置いた。そして、腰に引き掛けていた綿入れの夜着を被ると、褥の上に疲れたように伏してしまった。

 少将は散らかった紙類を片付けながら、さっきまで妹が持っていた文箱を手に取った。中には、朽葉色に染められた薄様の文と、紙でできた山吹の造花が一枝入っている。

 少将は妹が横になって眠ってしまったのを確かめると、その文を取り出して中を見た。それには、見覚えのある手蹟で、歌が一首書かれてあった。




(あなたと一緒に過ごしたあの井手の里……井戸殿が恋しく思われてなりません。私もあなたと同じつらい思いをしながら、一人で過ごしております)


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最終更新日  2009年04月27日 18時10分15秒
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