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2012年05月28日
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カテゴリ: きりぎりす
 堀河は声をひそめて言った。

「確かに、わたくしはあの男を匿もうておる。じゃが……」

 その時、どやどやと音がして、大勢の官人たちが車宿りにやって来た。どうやら、両院がこの法金剛院を退出されるらしい。

 車が立てこみ、人に見咎められぬうちに、ここを出なければ。

 堀河は手に持っていた桧扇を老僧に渡して言った。

「わたくしは待賢門院様にお仕えする女房で、堀河と申す。これを持って、西山にあるわたくしの山荘へ行くがよい。この扇にはわたくしの手蹟(て…筆跡のこと)で歌が書いてある。山荘の留守番の者ならわたくしの手蹟を知っているから、そなたを無碍(むげ)に扱いはしまい。その山荘で待っていておくれ。いずれ、そなたの主をそこへ連れて行こう」

 そう言い残すと、堀河は牛車の後簾を下ろし、舎人に命じて車を出させた。

 門の前でそっと振り返ると、老僧は桧扇を握り締めながら、牛車に向って深々と頭を下げていた。


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最終更新日  2012年05月28日 16時29分09秒
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おお・・  
千菊丸2151  さん
堀河の前に突然現れた老僧の正体がなぞめいておりますね。

Re:おお・・(05/28)  
千菊丸2151さん

この老僧は、結構重要人物です。
何故なのかは、もう少し先のお楽しみ(*^_^*)

堀河の体調の方は…嘘も方便ってところでしょうか(^^ゞ
(2012年05月29日 17時04分41秒)

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