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2012年05月29日
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カテゴリ: きりぎりす
 堀河は出来るだけ車を急がせて、三条西殿へ戻った。

 御殿の中はしんと静まり返り、人っ子一人姿が見当たらない。遠くの西の対で残り仕事をしているらしい工人が槌(つち)を振るう微かな音が響いてくるだけだ。

 堀河は車宿りで牛車を降り、自分が呼ぶまでここで待つように言い置いて、自分の局のある東北の対へ向った。

 先程会ったあの老僧。逸(はぐ)れた従者だという者が現れたと言ったら、獅子王はどんなに喜ぶだろう。ずいぶん世話になったと懐かしげに話していたから。

 そうだ、これからすぐこの御殿を出て、西山へ行こうか。どうせ誰もいないから、夜遅くなるまで待って人目を忍ぶこともあるまい。

 そう思って、堀河はにっこりと微笑みながら、自分の局の妻戸を開けた。


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最終更新日  2012年05月29日 17時00分29秒
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