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2012年10月12日
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カテゴリ: きりぎりす
 実能の声は暗く低い。堀河と桜子は、恐ろしさに身を寄せ合った。

「それは髑髏(どくろ)のように痩せ衰えた老人の姿をしていたそうだ。その翁は師房殿に言った。私はすべての死人を支配する者。死人の主である私に何のことわりもなく、なにゆえこれらの死人の骨を取り集められたのか、とな。そして、長い爪の生えた皺ばんだ手で掴みかかり、師房殿の首をねじり切ろうとしたのだそうだ」

 桜子は自分にその手が向ってきたかのように首を竦(すく)めた。

「師房殿はそこで目覚めた。だが、その日からひどく気分が悪くなってな。十日も経たぬうちに、枕から頭が上がらなくなった。どうしてこのように急に病になられたのかと、俊房殿をはじめ子息方は不思議がられたそうだよ。そして、結局病は癒えることはなく、そのまま師房殿は亡くなったのだ。もちろん、師房殿の死がその翁の霊の仕業であったかどうかはわからない。師房殿はもうお年だったしな。それに、俊房殿は師房殿から秘術の書物を渡された後、好奇心にかられて、焼く前にその大事な部分だけをこっそり写し取られたらしい。そして、師房殿の死後しばらくして、実際に人を造ってみたのだそうだ。俊房殿ももう亡くなられたが、それは人を造ってからずっと後のことだった。だから、人を造ったからといって、みんな直ちに死んでしまうというわけではないのかも知れぬ」


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最終更新日  2012年10月12日 16時03分00秒
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