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2013年07月17日
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カテゴリ: きりぎりす
 あの頃、待賢門院の心を慰めることができたものは、ただ御仏の慈悲だけだったのかもしれない。

 待賢門院は度々あの法金剛院に篭り、ただ一人で阿弥陀仏の前に額づいては、長い間経文を誦していることが多くなった。

 そして、とうとう康治元年に、その法金剛院において出家なさったのである。

 その時、待賢門院は四十二歳。

 美貌で知られた女院はまだたいそう若々しくお美しかった。その見事な黒髪を削いだ待賢門院の御子である信法法親王は、哀しみとその黒髪を惜しむあまり、手を震わせておられたそうな。

 そして、待賢門院は真如法という法名を授けられ、それからは法金剛院や三条の女院御所で念仏三昧の日々を過ごされるようになったのである。

 堀河は傍らの白い瓶を眺めながら、まだ白河院がご存命で華やかに時めいておられた頃の待賢門院を思い出していた。そして、思わずこう呟いた。

「この瓶を賜わった頃には、あのようなことになるなど、考えもしていなかったものを」

 堀河の呟きを聞いた西行は、また桜を一枝折ると、それを持って戻って来た。



 手に持った枝を不器用に瓶に刺しながら問う西行に、堀河は格好良く枝が向くように手を添えながら答えた。

「待賢門院様が呪詛など。女院様はそのような卑劣な振る舞いをなされる御方ではない。あれはすべて、女院様のお立場を悪くしようと画策していた忠通公らの言い掛かりじゃ。確かにあの一件の後すぐに待賢門院様はご出家なされたが、それが理由ではないとわたくしは思っておる。待賢門院様はお寂しい御方であった。無理はないのかも知れぬ。あのように若くして出家なされたのも。まあ、そなたほどではないがの」

 それを聞いた西行は、また顔に浮かんだ奇妙な表情を隠すように、匂欄にもたれかかって言った。

「あなたこそ、どうして女院様に従ってあっさりと出家してしまわれたのです?」


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最終更新日  2013年07月17日 14時40分09秒
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