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2014年03月19日
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カテゴリ: 羅刹
 今宵は空が掻き曇り、月はおろか星明り一つ見えない。

 辺りは漆黒の闇だ。

 だが、少し暗闇に慣れた目なら、痩せた数本の柳の並木が見えるだろう。微かに水の流れる音も聞こえてくる。

 ここは平安京の大内裏の東端に沿って走る東大宮大路。

 通りの中ほどを、細い掘割が通っている。内裏へ引かれて宮庭の御溝水(みかわみず)となっていることから、大宮川と呼ばれているものだ。

 その傍らに、藤原能季と藤原師実は、それぞれに従者を連れて立っているのだった。

 視線の先の一本の柳のこずえに、白っぽい布切れのようなものが結びつけられている。

 時折吹くじっとりと湿った風に、その布切れがゆらゆらと揺れていた。まるで、女の白い手がゆっくりと手招きしているように。

 そう思うと、さすがに能季の方もぞっと背筋が寒くなるのを覚える。



 それは、女の怨霊が出る、ということだった。


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最終更新日  2014年03月19日 16時11分25秒
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