曹操注解 孫子の兵法

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Aug 21, 2012
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カテゴリ: カテゴリ未分類
国連のシリア監視団撤退を開始

4月の国連安全保障理事会決議を受けて派遣された監視団は6月、アサド政権と反体制派との戦闘激化に伴い活動を事実上停止。7月20日の安保理会合で30日間の任務延長が決まったが、その後も戦闘が続き、16日に撤退が決まった。
国連は監視団が撤退した後、首都ダマスカスに新たな国連の基盤として「国連連絡事務所」を設置する。国連とアラブ連盟のシリア問題合同特別代表に就任するブラヒミ元国連アフガニスタン特別代表を支えつつ、混迷するシリア情勢の打開を目指す。
産経新聞 [8/20 11:30]
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
シリア情勢の混迷を受け、私にも召集がかけられ、急遽ウィーンの国連平和維持軍司令部に参加することになった。
さて、今回の問題は国連事務総長パンギムン氏の不決断が招いた事態であることを率直に指摘したい。
実際、パン事務総長は希望的観測に支配されているようだ。

パン氏は韓国人だから、軍事政権がエジプトのように、結局は民政移管に同意するだろうという楽観を手放さなかった。
それがそもそもの原因だろう。
問題の本質は複数のイスラム教の宗派、アサド大統領の少数アラウィ派、多数派のスンニ派、それに次ぐシーア派が混在する部族単位の社会が、シリアの国情だということにある。
アラウィ派は少数派だから権力と軍事力で諸部族を圧倒し、政権を独占してきた。
いざ内戦となると、実際に武器を多用して住民を虐殺した。
これは民政移管には決して応じないという退路を絶った軍事行動であり、
リビア政権の末期と同じ状態である。
しかし、そうなることは国連の軍事専門家は予測していたはずだ。
リビア政権の崩壊にはフランスとイギリスが積極的な空爆で反体制派を支援した。
それでもリビア軍の崩壊には半年かかった。
停戦監視団は、パン氏の希望的観測に基づいて組織された。

ゴラン高原の駐留軍内に補給基地を設営、
隣国のヨルダンの首都アンマンに兵力を蓄積、
国連決議を待って、非武装中立地区を設定して、住民や難民の保護にあたるべく人員と物資の投入をおこなうべきだった。
しかし、国連は内戦の当事者たちが停戦に応じたことから、
内戦がさらに激化した場合の対応策を棄却してしまったのだ。

反体制派が停戦に合意したのは、負傷者を収容したり、当面の食料や国連の人道援助を受け入れるために必要な措置だった。
近隣のヒズボラやイランなどの軍事支援をとりつけるヒマはない。
シリアはイスラエルとイラク、トルコしか国境はないのだから、
トルコからNATO軍、イラクからアメリカ軍が支援をしなければ反体制派に補給物資は輸送できない。
つまり、停戦合意は結果的にシリア政府軍の弾圧の強化、反体制派の孤立を深めただけであった。
静観したアメリカ政府がようやくシリア政府に化学兵器の使用制限を要求したが。
イスラエル軍はレバノンやパレスチナのガザで化学兵器を使用しているのだから、
これは無意味なアクションだ。
イラクからシリアの軍事施設にアメリカ空軍が空爆をおこない、
のんびりとかまえているシリア軍の将軍たちを基地もろとも爆死させることはいとも簡単なことだろう。
しかし、アメリカはそれをしない。
反体制派はイスラム教の支配色が濃いので、
新政府がエジプトのようにアメリカの敵対勢力に変化する可能性を恐れるのだ。
国連の使命があるとすれば、やはり内戦の犠牲になる一般市民の死傷者数を減らすために、
非武装地区をつくっておくことが最大の任務だったはず。
それをしなかったから、監視団を撤退させ、シリアを放置する結果となったのだ。
それは結局、シリアの停戦合意はそのまま休戦となり、アサド大統領の退陣になるのではないかと希望的観測に終始した国連事務総長の優柔不断にある。





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Last updated  Aug 21, 2012 04:32:18 PM


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