其の先に或る写真2

其の先に或る写真2

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2007.04.22
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僕は夢を見た
会社で寝てたら
夢を見た
知らない家で
座椅子に座り
部屋の電気を消し
テレビはついてるけど
プログラムは既に終わっていて
画面は砂嵐になっている

ビールを飲んでいる

そこに両親が帰ってくる
両親と思われる人達が帰って来た音が
扉の向こうで聞こえた
父親らしき人影は
扉を開けて部屋に入って来た
僕に近づいてきて
僕の正面に座った
部屋は窓から入る外の夜の闇と
テレビの砂嵐の光が
入り交じっていた

白と黒と鼠色の世界
そんな世界にいる所為で
部屋に入ってきた父親らしき人影の顔がハッキリ見えない

母親らしき人は扉の向こうの台所で
買い物してきた食材を片しているようだ

『どこに行ってきたの?』
僕はかなり酔ってるようだ
父親らしき人影は答えない

台所の母親らしき人が食材を片している音が五月蝿くなる

父親らしき人影が言う
『モルヒネを打っていたんだ』
僕には『愛してあげる』
そう言ったように聞こえた
そしておもむろに僕の顔を舐めた
何回も『(モルヒネを打っていたんだ)愛してあげる』と言い
顔を舐めた
暗闇で父親らしき人影の顔が良く見えない
『(モルヒネを打っていたんだ)愛してあげる』
顔を舐めた



『(モルヒネを打っていたんだ)愛してあげる』






顔を舐めた






ふと


気付いた事がある



顔を舐められている時だけ

台所の音が止む

(モルヒネを打っていたんだ)愛してあげると言われた時までは
片している音がするのに




舐められながら

それに気付いた瞬間


耳元で名前を呼ばれた














『ひろくん』










って











その声は

男が女の声を真似たような

女が男の声を真似たような

そんな声だった…





その声は
酩酊の俺の神経と
モルヒネを打って
感覚が麻痺している舌と唾液と絡まり
黒と白と鼠色の世界で起こった事柄
俺の意識は朦朧としていたが
耳元で発せられた言葉は
心の奥に突き刺さるくらいに
リアルな母親の声だった。





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Last updated  2007.04.22 23:02:00
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