We love コミック日記

♯６

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　♯６「忘れてたら忘れてたで嬉しい事もある」

　あぁ　暑い　暑い　寝れない

　ゴールデンウィークに相談がどっと来て疲れているのに　暑くて寝れない

　まだ春だと　甘く見ていた俺が間違っていた　…今日は熱帯夜だ

　相変わらず　毎日の仕事はきつい　祝日だろうが関係なく客は来る

　ただ　戦ったりする仕事はほとんど無いに等しく　やっぱりどこかの仕事の手伝いとかが多かった

　そうやって色々考えてから　ぼーっとしてたら　いつのまにか寝ていた

「おはようございまーす」

　今日も元気に　二人が来た

　カレンダーを見たら５月６日　今日は…特に何もなかったかな？

「じゃあ　いつも通り仕事を…」

　俺はそうやって色んな書類を取り出したが　二人は俺を止めた

「今日ぐらい堅苦しい仕事は止めよう　馨」

　才助さんはそう言うと　書類を全部引き出しに戻した

「え…ちょっと」

「最近働きすぎなんですよ　だから今日ぐらい大丈夫ですよ」

　弥生さんも仕事をやる事に　さらりと反対した

「今日は　俺が面白い依頼も持ってきた」

　才助さんがそう言って一枚の紙を懐から取り出した

「え…どんな？」

「ある男女二人からの相談でな　その二人は付き合ってるらしいんだけど…

　何か…デートをするらしくて　…今のところ遊園地決定らしいけど

　で　その遊園地がどんな所か　どこがおススメか　見てきてほしいらしい

　報告はいらないって　後ろから見てるからって」

　才助さんがぶっきらぼうにそう言った

「これなら　仕事といっても遊べるからいいだろう」

「え…ちょっと　後ろから見てるんならその時間　遊園地で遊べばいいじゃん」

「それについては　ノーコメントだそうだ」

「いや…　ちょっ…　遊園地って…　ちょっと…」

　俺は意味が分からなくなって　何も言えなくなってしまった

「その依頼に来た人の名前ぐらい教えてよ」

「終わった後に教えるから大丈夫です」

　弥生さんが笑顔でそう言った

　…なんだろう　何でこの二人が依頼を持ってきたんだろう？　不思議でたまらない

　才助さんと弥生さんは目を合わせてにこにこしていた

　そしてよく分からないまま　遊園地

「ただ　楽しく遊んでるだけでいいからな」

　才助さんはそう楽しそうに言って　俺の背中をぐいぐい通した

「カップル二人からフリーパス貰ったので　乗物に乗り放題ですよ

　入場料の分も貰ったので　今日はタダですからね!!」

　弥生さんも楽しそうにそう言って　俺を遊園地の中にぐいぐい通した

「あれ乗ろう!!ジェットコースター!!」

　才助さんはそう言って　俺の顔をチラリと伺った

「うん…良いよ　乗ろう乗ろう!!」

　俺はもうやけくそになって　ジェットコースターの方に走った

「ギャーーーーーーー!!!!!!!」

　思っていたよりも　そのジェットコースターは恐ろしかった

　俺は手を上げて楽しんでるように見せながら　白目になって内心ガタガタ震えていた

　それから　メリーゴーランド（名称が定かではない）に乗った

　弥生さんが楽しそうに乗ろう乗ろう言うので　俺も乗った

　才助さんは外に出て　カメラで楽しんでる俺たちを撮っていた

　幼稚な乗り物だけど　…案外楽しかった

　お化け屋敷にも入ることになった

　俺はガクガクしながら　後ろを振り返った　そしてため息をついた

　例の男女の一組のカップルが　本当にいるように見えないからだ

　後ろにいる男女といったら　才助さんと弥生さんしかいないじゃないか

「はやく　入るぞ」

　才助さんはそう言ってずんずん中に入って行った　弥生さんはその後ろにぴったりくっついて入って行った

　俺も　後から続いていった

　すると　才助さんは弥生さんを振り払って　俺の方を見て

「そんな離れてないで　３人仲良く行こうじゃないか」

　と言って　俺の手を引いた　弥生さんも俺の手をぐいと引っ張った

　結局　俺を真ん中にして　３人並んでお化け屋敷に挑む形となった

　なんだか　家族みたいで　３人並んで歩いて行くのが楽しかった

　……結局最後は　みんなギャアギャア言ってバラバラになっちゃったけど

　他にも色んな乗物に乗ったけど　まだ乗ってない乗り物があった

　それは　観覧車!!

　…というか　その前にまだその男女の二人と言うのが見当たらない

　今回は一応仕事だったけど　すっごく楽しかった

　でも　その男女二人に見てもらってなかったら仕事は失敗なのでは？

　……そのことは全く気にしてない弥生さんと才助さんは置いといて…

　俺はもう一度周りの人を見てみたが　やはりそれっぽい人は見当たらなかった

　観覧車に乗って　俺はボーっと外の景色を見ていた

「オイ　馨!!!!」

　才助さんがいきなりそう叫んだので　俺はびっくりした

「高山先輩…これを……」

　すると　弥生さんがそう言って何かを俺に手渡した

　それは　日本刀だった

「え…これは…」

「それは　俺と弥生で買った刀だ　お前がもってるぼろ剣だったらこの先危ないからな

　結構良いヤツだからな　大事に使えよ　馨」

　俺はぽかんとして　その刀をじーっと見た

「え…何でいきなり…」

「今日は高山先輩の誕生日じゃないですか!!!!　誕生日プレゼントですよ」

　弥生さんはそう言って　俺に温かい拍手を送った

　……すっかり忘れてた　俺の誕生日…

　覚えててくれたんだ　二人とも……

「今回の仕事の…まぁ　相談に来たって言うのも仕事っていうのも　嘘なんだけどな

　男女の依頼人っていうのも架空だ　あえて言うなら俺と弥生だな

　こうでもしないと　お前絶対仕事優先させそうだからな……」

　才助さんはそう言うと　俺の頭を優しくなでた

「誕生日おめでとう」

「あ…ありがとう　才助さん　ありがとう　弥生さん」

　俺は嬉しくて嬉しくて　涙が止まらなかった

　こんなに温かい仲間と出会えて　俺は幸せ者だ

　生まれてきて良かった　ありがとう　神様……

　俺はその日　ずっとその日本刀を握って離さなかった

　やっぱり　誕生日って　良いな

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