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2006年06月11日
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カテゴリ: 読書ノート


実録アヘン戦争

 陳舜臣 中央公論新社



アヘン戦争って戦争で勝つために中国の兵隊や国民の体力を落とすためにイギリスが中国人にアヘンをやらせたっていうことかと思ってたのですけど、ぜんぜん違ってたみたい。
なにしろ、学校の歴史の授業じゃこのあたりの事情なんて詳しくやらないもの。

でも、この本わかりやすくて、面白かった。近代導入部の中国がよくわかりました。

アヘン戦争ってとにかく細かいことは知らなかったけれど、イギリスが悪いと思っていました。実際そうなんだけど、でも、読み進めていくと中国という国の政治自体が腐ってます。これじゃイギリスにガタガタにされても仕方なかったかも。

当時もあの有名な科挙はあったんですね。中国中の多くの優秀な人材がみんなあの試験に受かるために一生をつぶしてしまう。ナーンてもったいない。しかも、選考基準が字の上手さだったりしてる。こんなことやってたら、国が腐るのも外国からいいようにされちゃうのも無理ないでしょうね。それでも、そんな国でも、優秀な人材はいたんですね。そうして皇帝に取り立てられて大臣として、アヘン戦争のスタートポイントになる広州に向かう。その名前が 林そくじょ

それでも、男の嫉妬って怖い。こんな優秀な人材が国のために必死に戦っているのに、皇帝の周りの側近たちは自分の保身しか考えない。そして、林ソクジョは解任されてしまう。自分が一度信じた男を周りのちょっとした発言でころころ変えるこの皇帝も皇帝だと思いますけどね。自分の決定に自信持ってない証拠だよね。

この当時イギリスは西の、中国は東の、それぞれトップ大国だったわけで、その、東西のトップ大国同士の激突でも、あったんですね。

それぞれがそれぞれに自分の国が世界で一番えらいんだと思っていて、だから、お互いに譲らないし、相手の立場も考えないし、自分の都合だけを押し付けあおうとする。読んでいると今の日本とアメリカの関係に似ていなくもないなあと思ったのです。

急速な産業革命と技術発展により、世界へと進出し、植民地化や、貿易を進めるヨーロッパ社会。
紅茶が好きでお茶っぱが欲しいイギリスは中国からたくさんのお茶を輸入します。けれど、そのお茶と同等にイギリスから輸入したいと思うようなものが中国側にはない。貿易の不均衡を是正するためにイギリスはアヘンを中国に売りつけ始めます。アヘンは麻薬ですから、当然中国政府は、アヘンの輸入にストップをかけようとします。アヘンを売りつけたいイギリスとそれを阻止したい中国との戦争がアヘン戦争なのです。

自分達はやらないそんな人体によくないものを他国にならへいきで売りつけようとするイギリスは、狂牛病の牛肉を売りつけようとしているアメリカとそっくりです。農薬をたっぷりつけたグレープフルーツとかもね。アメリカ本国では、もちろんこんな果物は出回っていないはず。自分達が口にしたくないものを圧力をかけて他国に売りつけようとするアメリカ、そして、イギリス。そっくりでしょ。

今の日本は、この時の中国のような横柄さはないと思うけれど、そして、いろいろと外国製品を買おうとはしているけれど、貿易の不均衡を調整するのはなかなか難しそうです。そして、わが身が一番かわいくて私腹を肥やすのに一生懸命な日本の今の政治家とこの時の中国の側近達もそっくりです。

今の日本がこの時の中国のようにアヘン戦争ならぬ、『狂牛ビーフ戦争』になったりしないのかなっと思わず想像してしまった。今の日本はもちろんこの時の中国とは違って技術力もあるし相手国の事情も状況もよくわかっているんでしょうが。

西洋の世界進出は避けられなかったのかとか、ここまで押し付けがましく貿易をしようとするイギリスが悪いのか、世界状況にうとすぎる中国が悪いのか、うーん、結論はでにくいのです。

でも、こんな小競り合いや、いさかいや、戦争を潜り抜けてやっと、現在の世界レベルの倫理観、道徳観、ルールが作り出されてきたんでしょうね。この当時はまだまだ自国の利益最優先なのもしかたない部分もありでしょうかと。

今の日本もアメリカももっと成長して欲しいです。

とにかく小説ではないので、作家の都合で真実が変更してあったりということもなく、史実が史実のまま書いてあったし、とてもわかりやすく書いてあって勉強になりました。



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最終更新日  2006年06月11日 09時57分39秒
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中国の歴史、面白いですね。  
中国の歴史、面白くて、私大好きなんですけど。
でも、civakaさんは政治の方に興味があるのでしょうか。自国の政治はどうにもならなくて、いらいらしますね。 (2006年06月11日 21時45分27秒)

Re:中国の歴史、面白いですね。(06/11)  
civaka  さん
ママちゃん7279さん
★そうですね。自国の政治は自分達の生活にダイレクトに影響するのでよけいイライラしますね。
中国の過去の歴史は所詮他人事ともいえるかな。
それでも、学べる部分も多いですね。
今の時代と共通する部分も多いですからね。
西洋史に比べると知らない部分が多い。
ゆえにいまさらながらまじめに読んでみると新鮮でおもしろいです。

(2006年06月12日 08時13分39秒)

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