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仕事への情熱が失われた気がする。
立ち直らなくてはと思うのだが、空虚な気持ちをまだ切り替えることができない。
思えば、彼女が職場に居たから。
職場に出ると、いつも彼女が優しい笑顔で迎えてくれたから。
仕事に燃えたのかもしれない。
何のための仕事なのか。
彼女が一番の理解者だった。
どんなときも彼女は、味方をしてくれた。
振り返ってみても、彼女が、僕を非難したことは
一度もなかった。妻でさえ非難したであろうことも、
彼女は、僕の立場を、まず理解してくれようと試みた。
それに比べて、僕は如何に自己中心的であったことか。
僕自身を嫌悪したくなる。
一緒に暮らせば、病気にはならなかったかもしれない。
発症は1年前ぐらいだから、その前に手を打てたかもしれない。
毎日のようにメールをやり取りしていたのに、彼女の不調を
いつも口癖だった肩こりや腰痛の一種だと信じていた。
彼女がこよなく好んだ温泉や整体、マッサージで解消すると信じていた。
迂闊だったな。病魔がこんなにも急速に、彼女の健康を蝕んでいたとは。
彼女が生きがいそのものだったのに、大切なものへの配慮が足りなかった。
XX年前に読んだカミュの「異邦人」だったかな。人は、枯れ行く木の中に閉じ込められた
若いときの経験や思い出を一生、食いつなぎながら、残りの人生を
過ごすというような意味のことが書かれていた。
今はじめて、その心境がわかるような気がする。
今夜は、ともかく眠ろう。