GOAL通信

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2009.03.17
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カテゴリ: 教室の運営




 大まかに分けた場合の話なので、実際には両者が混ざって展開される。

 当たり前に感じるかも知れないが、この比重をどちらに置くかで、

 生徒たちの受けは大きく変化していく。




 ある先生がいる。


 生徒たちを前に、細かく丁寧に説明を加える。

 ボードは解説でびっしりだ。

 生徒はそれをじっと眺め、時折小さく頷いている。



 あれもこれもと自分の知識を総動員させ、熱心に説明している。


 さあ、時間をかなり割いたのちに、生徒たちに問題を解かせてみる。

 みんな結構出来ている。

 こうすればいいという手順も、注意せよと指示したところも、

 しっかり守られている。


 先生は自分の指導を正しく 「理解」 してくれたと思い、

 また次も同じような展開を続けていく。



 典型的な 「説明型」 の授業である。



 説明8割、演習2割くらいだろうか。

 この先生は自分の指導によって生徒が理解したと思っているが、

 ここにとんでもない落とし穴がある。




 これは説明を踏まえた演習をかじっただけであり、

 導入を説いたにすぎない。

 じゃあ解いてみようかと、

 ほんの数問を体験しただけにすぎない。


 課題はその先の無数の反復演習にあり、





 この先生の授業では、翌週に同じような問題を解かせてみたとき、

 恐らくかなりの生徒が解けなくなっているのではないか。

 コツを掴む領域まで仕向けていないからだ。

 定着に至る演習が、絶対的に足りないのである。




 説明というものは、段階を踏んで与えていけばよいと私は考えている。

 あるものを解く時に、

 「知識+解法の基本」 と 「注意点」 と 「設問のベクトル」 を示してあげる。

 私などは、いつもそれだけだ。


 そしてまず解かせてみる。


 入念に100%説明していないので、簡単には解けない。

 それでいいのである。


 解けないと悩ませることで生徒は本能的に知ろうとする。


 その課題に対して第二弾、第三弾の解説を施していく。

 段階を踏むことで、彼らも自分の押さえるべき領域が見えてくる。

 弱点や曖昧な部分が分かれば、そこを強化するメニューも導入できる。



 私は解かせながら、彼らのペンの動きを常に観察している。

 ペンが止まり悩んでいる生徒には、ヒントになる部分を示してあげる。

 とにかくやらせ、何題も解かせ、

 その中に見えてきた課題を共有していく手法を取っている。

 詳しくは以前に 「私の指導法」 という記事を書いているので、

 そちらを参照していただきたい。



 生徒たちにとってみれば、「説明型」 の授業は楽だ。

 ただ聴いていればいい。

 だが 「演習型」 の場合はそうはいかない。

 解くという課題が発生するため、「分からない」 と逃げようとする者が出る。

 分からないのなら、そこを徹底して掘ればいい。

 師が音頭を取り、分かるまで課題と向き合わせればいい。


 そういったカベを適度に与えるからこそ、

 一定期間をおいても使える免疫が残るのである。



 塾で教わったことがどれだけ定着しているかは、

 後日行われる定期テストにおいて、その成果として表れてくる。

 「説明型」 が悪いというのではない。

 配分と、本物の 「理解」 にまで持っていく組み立ての問題であろう。



 一流シェフのセミナーに何度通っても、

 実際にフライパンを握らなければ、料理はうまくならない。

 仮に調理実習で何かを作ったにせよ、それはマスターしたのではなく、

 体験したに過ぎないだろう。


 場末の中華料理屋にバイトに行き、

 いきなり 「作れ」 と指示された方が、上手くなるものなのだ。

 何度も焦がし、失敗しながら、少しずつコツが見えてくる。


 師として見た場合、一流シェフと中華屋の主人はどちらが上なのか。

 私が何を言いたいのか、分かっていただけるかと思う。



 技術を定着させるためには、まずそこに身を置かなくてはならない。

 その環境を操作し、自分の立場を把握し、

 仕向ける視点を正しく理解している。


 さらに言うならば、生徒ごとの手順が組み立てられ、

 日々の自分の指導がシュミレーションできる。

 そして常に数ヵ月後の状態を視野に入れた、

 計画性のあるやりとりが、

 生徒に気付かれないように自然にできる。


 それが本物の師だと思う。



 理解の度合いを測るのは、師ではない。


 生徒たちの 「ものさし」 なのだ。





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最終更新日  2009.03.17 11:15:24
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