ヨレヨレお散歩日記

2004年11月16日
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今日は長文です。。。。

拉致問題での北朝鮮の回答、予想通りとはいえ「バカにしてるのか?」と腹立たしく思う人は多いと思う。確かにバカにされているのかもしれないが、もしかしたら北の人たちは、「こんなところで納得するだろう」と半ば本気で思ってるのかもしれない。

日本民族の感情表現と朝鮮民族のそれとは、スタイルがかなり違う。日本ではどんなに正当な理由があろうとも、あまりにも露骨な感情表現は受け入れられない。特に怒り、悲しみ、恨みといったネガティブな感情に関しては抑圧する。むしろ抑圧する姿(じっと涙目で悲しみや怒りに耐える姿)こそ立派なものだと評される。イラクであの「3バカトリオ」が人質になったとき、感情的になって騒いだ家族が反感を買ったように。

しかし、中国や韓国では事情が異なる。葬式に「泣き女」を雇って盛大に泣き叫ぶことが故人への愛情表現だったりするように、悲しいときは絶叫して泣き叫び、怒りを感じるときは誰彼と見境なく激昂し、身を震わせて罵倒し、女性だったら次々と失神するくらいまで「表現」しなければ「身を裂くような悲しみ」として認めてもらえないのである。同じくイラクで韓国人が人質になったとき、家族たちの阿鼻叫喚の様子は、日本人家族の比ではなかったが、かの国では誰もそれを「いくら家族の命がかかっているからといって、人前であんなに騒ぐのは行きすぎだ」などと思っていなかったはずだ。

で、拉致問題である。

日本の拉致被害者の家族は一様に怒り、悲しみ、いらだちを表現しているが、あくまでもそれは「日本的スタイル」での表現だ。誰も机を叩いて激昂したり、大声で泣き叫んだり、失神したりしない。もちろん、日本ではそんなスタイルは到底受け入れられないので、そうする必要はないのだが、かの国の人々には多分、家族の悲痛さは言葉ほど伝わってないのではないだろうか。

それでも以前、蓮池さんのお兄さんは迫力ある「怒り」を十分に表現していたが、今はもう家族会の代表として会見しないので、注目されるのは横田さんのご両親である。私は個人的にはご両親を非常に尊敬しているが、横田さんのお父さんは会見で話をするとき、常に口元が微笑んでいるように見える。無意識にそうなってしまう癖なのだろうが、たとえばテレビの音声を消して表情だけを見ると、伏し目がちに微笑みながら、何かを遠慮しいしい話しているように見えないだろうか?また、横田さんのお母さんは非常に理性的で、厳しい言葉を使うことはあっても口汚く罵倒したり、我を忘れて怒りに身を任せたりということは決してなく、それだけに悲しみの深さがひしひしと伝わってくるのだが、これは日本人同士だから伝わってくるのであって、かの国の人々から見れば「怒り、悲しみが最高潮に達している」ようには見えていないと思う。

もちろん拉致問題は世論の支持、支援を得ることも大切というか、そうしないと日本政府は動かないのだから、ここで拉致被害者の家族が、かの国のスタイルにのっとって泣き叫んだり、机を叩いたり、地団駄を踏んでみせたりした方が良いとは思わないのだが、もう少し鬼気迫る「怒りの表現」を意識した方がいいのではないだろうか。被害者家族だけではなく、この問題でマスコミ報道される際、画面に登場する日本人(政治家、コメンテイターなど)も、そのへんまで計算して演技するくらいのしたたかさがあってもいいように思う。ただ憮然としているだけでは、かの国では何も伝わらない。

何年か前のこと、北と南が交渉している席で意見が衝突した際、北の代表は「いいか、次はお前らのソウルを火の海にしてやるから覚えとけ!」と激昂していたし、それを受けた南の代表も「やれるもんならやってみろ!」みたいな戦闘的態度だったことがある。そのときは「外交の席上で低レベルの喧嘩しちゃって…」と呆れたが、よくよく考えればこれが彼らの標準的スタイルなのだ。正当な理由があって本当に怒ったときは、どんな場であろうと相手につかみかからんばかりに激昂していいのである。というか、激昂しなければ「怒り」が伝わらない文化なのだ。


私は仕事でソウルに数週間滞在したことがあるが、そのときいくつかビックリするような場面を目撃した。ひとつは「高速道路で殴り合いをしている男たち」。突然、高速が渋滞し始めて不審に思っていたら、あろうことか高速道路の真ん中(路肩ではない)で、車を停めて外に出て、お互いの襟首をつかんで殴り合っている男が二人いたのである。ヤクザやゴロツキの類ではなく、ちゃんとしたスーツ姿の中年男性である。通り過ぎる車のドライバーたちは迷惑がっているのかと思えば、面白がって窓を開けて野次ったり煽ったりしている始末。私の車に乗っていた韓国女性も窓を開けて何やら叫んでいた。少なくとも喧嘩している男を「迷惑だ」と責めるような雰囲気はどこにもないのである。
もうひとつ、「ランチに行くOLさんが女同士で手をつないだり腕を組んだりしている」場面にも驚いた。日本ではどんなに仲がよい同僚であっても、社会人になった女同士でこんなにベタベタすることはない。しかしソウルではギュッと手をつないだり、身を寄せ合うようにして腕を組んだりするのが普通らしく誰も驚いている人などいないのだ。
怒りにしろ、親しみにしろ、とにかくあらゆる「感情」はあるがままに発散し、ホットに表現するのが朝鮮のスタイルなのである。

藪中さんをはじめ、日本側のお役人は総じて知的でクールで、落ち着いて粘り強く交渉を進めているに違いないと思うが、ときには激昂して怒鳴り散らすくらいの「感情」を見せた方が、百の言葉を費やすよりかの国の人には伝わるものがあるのではないかと思ったりする。そういう文化なのだから。

韓国では最近、日本のドラマが解禁されたようだ。「日本のドラマはどうですか?面白いですか?」との問いかけに対して「登場人物の感情の起伏が少なくて物足りない」という答えが多かったという。さもありなん。私が日本語教師をやっていたときも韓国人の学生から「日本人は冷たい」とよく言われた。よくよく話を聞くと、決して意識的に冷たくされているような状況だとは、日本人の私には思えないのだが、やはり彼らから見ると日本人の感情表現は物足りないのだろう。

経済制裁も結構だが、その前に「日本人は拉致問題に関しては心底怒っている、絶対に許さない」ということを、言葉だけではなく態度で(日本的に見ればオーバーなほど)ハッキリとあからさまに表現してみせることもときには必要なのではないだろうか。でなければ見くびられたまま、そのうち諦めるだろうとタカをくくられて、これからも無意味な交渉で時間稼ぎをされるだけである。かの国の人から見ればおそらくその程度の「怒り」にしか見えていないのだから…。





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最終更新日  2004年11月17日 03時40分17秒
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