株式会社SEES.ii

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2019.10.18
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ss一覧 短編01 短編02    ​ 短編03 ​   ​ 短編04
        《D》については短編の02と03を参照。番外としては​ こちらから。


―――――

 10月6日――。

 朝刊を眺めていた宮間有希の視線が、文化面のある特集のところで止まった。
「えっ」
 思わず声が漏れた。
 心臓が高鳴り、呼吸が乱れる。ココアの注がれた紙コップを持つ手が震え、目をパチ
パチと瞬かせる。

『現代俳句協会主催 名古屋城俳句祭り』
『最優秀賞』
『俳号 山田山子』
『季節、時事、人間心理などを美しく句に表現。秀逸である』

 特集に書かれた全文を見る。間違いなかった。
「……私が、優勝?」
 ……半年前に私がしたため、私が送った、私の俳句……。県が全面協力のコンテスト、
賞金は30万円と賞状と……。東急ホテルでの受賞パーティ、知事や文科省大臣からの
称賛……。
 信じられなかった。こんなことは、俳句を趣味としてからはじめてのことだった。誰に
も言ったことはないし、誰かに言うつもりもなかった。
「……優勝か」
 無意識のうちにそう呟き――次の瞬間、宮間は、笑みがこぼれるのを必死に堪えた。

 もう読んでいられなかった。宮間は新聞を畳んでホルダーに戻し、《D》の社員用休憩
スペースのソファから立ち上がり、飲みかけていた甘いココアを飲み干した。空になった
紙コップをゴミ箱に放り投げ、たった今読んだ記事の内容を忘れようとでもするかのよう
に、強く首を振った。耳元でティファニーのピアスが揺れるのがわかった。
「優勝……私が、認められたんだ……」
 そう呟き、足早く女子トイレへと駆け込む。いつものようにトイレの鏡に自分の姿を映
し、今朝の化粧や服装をチェックする。
 お気に入りでもあるシャネルの黒いパンツスーツに、茶色くて細いエルメスのベルト。
明るいクリーム色のシャツに、エルメスの腕時計。宮間はファッションに関しては持って
いるもののほとんどがハイブランドだ。……受賞パーティに行くとしたら、もっと控え目な
服装のほうがいいのだろうか? それとも、下品でバカな女をアピールしたほうがいいの
だろうか?
 宮間はそういう"一般人"的な思考がイマイチよくわからない。周囲にいるのは《D》と
いう個性的な企業に集まる、イカれたヤツらばかりだから……。
 クラブで働いていた頃は、男に媚びを売って自分を少しでも高く見せることだけを考えて
いれば良かったし、それ以外には興味もさほど湧かなかった。地味なスーツを着て、地味な
事務仕事、地味な庶務作業、地味な秘書仕事をするようになったのは、ここ数年――最近の
ことだった。
 でも……《D》での仕事は楽しい。カネ持ちも、貧乏人も関係ない。《D》に足を運ぶ
ような客は例外を除きほとんどがクズ――虚栄、慢心、欺瞞、偽善……それらを纏う無数
のクズどもからカネをむしり取るのが、愛知県名古屋市中村区にある、ブランド・貴金属の
リサイクルショップ《D》総務課長宮間有希の仕事だ。それには満足している。

 もしかしたら……家に県から授賞式の招待状が来ているのかもしれない。そう思うと、
鏡の中の自分から満面の笑みがこぼれた。どんな形であれ、どんなヤツらでもあれ、有象
無象の――大多数の人々から自分が称賛されるのは、やはり気分がいい。

「……当日は絶対に休んでやる……趣味は秘密にしてたけど……しかたないわね……」
 ひとりごとを言いながら総務部の自分のデスクに戻る。その時――また、さっきの新聞
記事が頭をよぎった。『最優秀賞』『秀逸』『賞金30万と賞状』『受賞パーティ』……。
 賞金30万なんてハシタ金に興味はないけれど……。宮間はつくづく思った。『山田山
子』の俳号に関しては……もう少し慎重に考えておけば良かった……もっと可愛らしい、
もっと私にふさわしい名前にすれば良かった……。


 デスクに戻った直後、背後から「……宮間」と、弱々しい声で鮫島が呼んだ。
 宮間は振り返り、鮫島に機械的な笑みを見せた。
「……悪いんだけどよ。ちょっと使いに行ってくれねえか?」
 首をもたげ、申し訳なさそうに鮫島が言った。「『出張買取』なんだけどよ……できれば
"美人"の査定士がイイって言われてさ……頼まれてくれねえか?」
 普段なら絶対に断るべき仕事だが――気分が高揚しているせいか、断る理由が思いつかな
かった。
 昼の休憩の前に、宮間は名駅前店を出た。
 その時はまだ、自分がこの後すぐにどうなってしまうのかなど、考えてもいなかった。

―――――

「では、行ってきます。標的は宮間有希と……あのクソ野郎、川澄奈央人の……ですね?」
 歓喜と狂気の入り混じった下卑た声がそう言い、田中陽次は部屋を出て行った。屋敷の
階段を駆け降りる軽やかな靴音がし、それに続いて車の排気らしき音が聞こえた。
 楢本ヒカルはひとりになった部屋の中を見まわした。静かだった。屋敷の外では《F》
の信者の子供たちがボール遊びをしている声や音が聞こえた。

 不安や心配する気持ちはなかった。"未来"は私の味方なのだ。あの女――伏見宮京子に
比較的近い宮間有希が何時何分にどこへ向かうのだとか……田中からカネ(後に私のもの
となったはずのカネ)を奪った、あの川澄とかいう男の秘密も……私は知っている。

 ……不思議ね。でも、しょうがないじゃない。"未来"が変えられるんだから……。
 伏見宮に関わる者が不幸になることを考えると、息が弾んだ。

 ヒカルはゆっくりと立ち上がり、部屋の隅にある母の写真が飾られたキャビネットの前
まで行った。40歳で死んだ母と当時中学生だった私の写真にチラリと目をやってから、
キャビネットの引き出しを開け、そこから分厚い日記帳を取り出した。

 ソファに座ってティファールのスイッチを入れ、サーバーにティーバッグを入れてから、
ボロボロに擦り切れた日記帳を広げる。タイトルには『神託』とあり、当時ヒカルが感じ
た経験や経緯が綴られていた。

『夢を見た』
『自販機の下に500円玉が落ちていた』
『私はそれを使って喉を潤した』

 日記帳の字は指が震えたかのように歪で、ところどころが掠れて読みにくくなっている。
当時の細かい心理状態まではわからないが、紙に染みた汗や涙はくっきりと残っている。
 そう。あの日はとても寒かった。寒かったし、お腹も減っていた。何日も何も食べてい
なくて、本当に、もうどうしようもなく困窮していた。

 ヒカルはサーバーに湯を注ぎ、もう何百回と読んだ自身の思い出に目を走らせた。

『夢を見た。雪の降る日、私は外に出て、自販機の前に立っていた。自販機の下を探ると、
500円玉が落ちていた。私はそれを使って暖かい缶コーヒーを買ってそれを飲んだ。

 次の日の朝、雪が降っていた。私は何も考えていない。何かを考える気がしなかった。
たぶん、このまま雪に埋もれて死んでもいいと思っていた。悔しかった。悔しかったけど、
それもいいかなと思った。それもまた、悔しかった。

 夢の内容を思い出し、外に出た。寒かった。すごく寒かったし、おカネもなかった。
コンビニでおにぎりを買うカネすらなかった。惨めだった。

 夢で見たものと同じ自販機があった。何も考えていない。何も考えず、自販機の下に手
を伸ばした。この時も私は何も考えていない。通行人から冷たい視線を浴びたけれど、そん
なことすらも、何も考えていなかった。

 信じられない。本当にあった。本当にあった。本当にあった! ほんとうに!

 500円玉があった。あった。信じられない。


 ここで少し冷静に考えた。予知夢? 未来視? 既視感? それとも飢えと渇きで頭が
イカれたのか? わかんない。わかんない。わかんない。
 "夢"が予知だとすれば、私は缶コーヒーを買うべきなのだけど、わかんないから。何も
わかんないのだから、私は"コーンポタージュ"を買った』

 ヒカルはページをめくった。次のページには翌日のことが綴られていた。

『前日の夜と同じように、母のマネをして、フィラーハ様への祈りを捧げてから寝た。
すると、また夢を見た。
 私がよく行くスーパーの女子トイレだ。女がひとり入って来る。女は用を足すわけで
もなく、鏡の中で自分の顔を見ていた。鏡の中の女は、私もよく知っている女。私をクビ
にした工場長の妻だ。顔を見ただけだけど、ムカついた。夢の中だけど、ムカついた。こ
の女はいつも私の挨拶を無視し、まるで虫ケラを見るかのような視線を向けていた。


 女は財布と腕時計を外して、化粧を直し始めた。見ていて気持ち悪かった。
 でもそこからが"夢"の本当の意味だった。女は財布と時計をトイレに忘れて出て行った
のだ。出て行った。出て行きやがった! 
 腕時計の針は14:20を示していた。本当に信じられない夢だった。

 女が戻って来て、財布と腕時計を見て安堵していた。チラりと見た腕時計の針は、何と、
14:34分だった。わからない。わからないけど、どうすればいいのかは、わかった。

 これが"夢"の意味だった。見せてくれたのは、フィラーハ様? それとも母さん?』

 ヒカルはまたページを捲った。

『やった。やったよ!
 本当にあった。私が14:25分にスーパーのトイレに入ると、本当にあった。あの女の
持っていた財布と腕時計が、本当にあった。もちろん、私はそれを盗んで外に走った。
 盗んだ、とは思わない。これは拾ったのだ。拾ってやったのだ。横領だとか、窃盗だと
かはどうでもいい。どうでもいいに決まっている。落とした女が悪いのだ。

 夢は未来を教えてくれる。しかも未来は自由に変えることができる。変えられる。 変え
られるんだ! 私のクソみたいな人生が変えられるっ!』


 ページの最後にはこう締めくくられていた。

『フィラーハ様、フィラーハ様、私はあなたに永遠の忠誠を誓います。私の神。私の父。
私のすべて。何もかもすべてを、あなた様に捧げますっ!』

 ヒカルは日記帳から顔を上げ、また母の写真を見つめた。今はもう、母のことを狂人だ
とか、嘘つきだとは思わなかった。処女受胎のことも含め、すべてが真実であったのだ。
だが、当時の悔しさや憎しみ、妬みや嫉みの心までは消えてはいない。

 それから――ヒカルは"予知できる夢"の力を得て、"未来を変えられる現実"の力を得た。
その過程で出会う人々はヒカルを『聖女』として畏敬の念を持ち、縋った。そして《F》
を設立し、名古屋の郊外に広い屋敷を構えた。信者の数は年々増え、今では100人規模
になっていた。《F》の資産も10数億にまで膨らんだ。
 だが、やはりヒカルには疑問も残っていた。
 ……フィラーハ様の神託があの"夢"だとしても、その意味は? 何?
 でも、もう、それも氷解した。すべては……絶対神の御心のままに……。


 ヒカルはペラペラと日記帳をめくり――とある一文に視線を落とした。

『私は誓います。あなた様の使徒となり、聖女となり、奴隷になります。どんな命令にも
従います。人だって殺します。いえ、神様だって殺します……』

 ヒカルは日記帳を閉じて薄く笑った。そう。絶対神からの命令は下ったのだ。

―――――

 午後1時。《D》大須店支店長の川澄奈央人はひとり、大須にあるトランクルームの
ビルの廊下を歩いていた。あくびをし、自身の借りている倉庫の鍵を胸のポケットから
取り出す。今夜、岩渕と食事に行く約束をしていたことを思い出す。……100万もあれ
ば良いかな? と思いながら倉庫の前に立つ。
 扉が半開きになっている。
 ……え?
 思わずたじろぐ。
 ――倉庫は開いている。
 考えるまでもない。泥棒に入られたのだ。
 ……うわぁ、ヤられたかな?
 苦笑しながら扉を開き、中へ入る。この時点ではまだ"怒り"は湧かない。悪いのはカネを
放置した川澄であり、盗んだ泥棒には拍手さえ送りたい気分だった。……この時までは。


 川澄が借りているトランクルームは名古屋市に数ヵ所あるが、大須の倉庫には現金だけ
を隠し置いてある。著名な人物を脅して得た現金や、警備の甘い富豪の家から盗んだ現金
や、盗品や密輸品や違法な品を売り払った現金が約1億――あったハズだった……。
 ……空っぽか。
 チリひとつ残さず片付けられた部屋の中を見まわす。すると視界の隅に、壁に貼られた
小さなメモ用紙が入った。
 ああ……そういうことか。
 川澄は壁に貼られている紙をそっと指で摘み、見た。

『天罰』

 そう。それは川澄が最も嫌いな言葉のひとつだった。神様や幽霊やUFOの存在を疑って
いるワケでもない川澄だが――例えそんなヤツらがいたとしても、そいつらから罰を受ける
いわれはないからだ。
 ……不愉快だね。
『天罰』――瞬間、川澄の脳裏にある人物の言葉の断片が横切った。確か――『聖女』だと
か、『フィラーハ様』だとかをほざいていた男……田中陽次、か。
「……ケダモノの知能でどうやってココを突き止めたのか……じっくり聞いてみないとね」
 そう呟いて川澄は笑った。沸々と怒りの感情が湧くのがわかる。
 そう。
 心からの笑いと――怒りだった。



 川澄が慌ただしく考えを巡らせていた時、スーツの中のポケットで携帯電話が鳴った。
 ポケットに手を入れ、通話ボタンを押す。
『もしもし、川澄か?』
 強ばった岩渕の声が耳に届き、川澄も反射的に表情が硬くなった。
「何? 今忙しいんだけど……」
 最近は穏やかなはずの岩渕の声は、電話でもはっきりとわかるほどに緊張していた。
 瞬間、ドス黒く冷たい不安が川澄の背に覆い被さった。
「……まさか……他でも、何かあったのか?」
 自分だけじゃない……そんな気がしたのだ。
『宮間が強盗に襲われた。名城病院にいる。お前も後で来い』
「はあっ?」
 頭の中が白くなりかけ、思考が極端に狭まっていった。 
『……?  ――お前にも何かあったのかっ? 川澄っ!』
「…………」
 岩渕に言葉を返す前に川澄は携帯電話を落とした。そして……倉庫の壁を背に、もたれ
るようにしてズルズルと座り込んだ。ここまで動揺するのは久しぶりのことだった。
 ……田中には仲間がいた……宮間の行動もすべて把握していたに違いない……僕が知ら
ない情報網を持つ……まるで――そう、予知? ……超能力? ……それ以上の存在?

 僕は微笑む。どういうわけか――僕は僕が思っている以上に、負けず嫌いな性格だった
ようだ。僕は僕の性格を理解する。当然、田中陽次を許しはしない。
「聖女だがフィラーハ様だかよくわからなことだらけだけど……万能じゃあないみたいだ
しね……弱点はありそうだ」

 倉庫の床に転がった携帯電話から岩渕の声が続いていた。だが、川澄奈央人にはもう、
何も聞こえなかった。 

―――――

   『聖女の《F》と姫君の《D》!』 dに続きます。













 今回オススメはもちろん? seesも好き『ずっと真夜中でいいのに。』様……。




 『ずっと真夜中でいいのに。』
 たぶん、知名度はそんなにないのだけど……動画では1000万再生越えもちらほらと……
seesも一瞬で好きになりました。……というか、ホンマにワシってこういう『感情的に歌う
女性ボーカル』て好きなんやな……。
 丁寧な歌詞に感情的な声量、音域はやや狭いかもだけど、不思議と迫力がある。キーが高
くても音割れしないし……(安いスピーカーだと、こういう音楽割れるからイヤ)。
 ヨルシカ氏にも似てるし……広瀬香美にも似てるし……うむむ、類似した方が多いのも、
『ずとまよ』の課題かも💦

 ……曲もアニメも良いのだけど……やはり方向性が迷走しているような気も……。
 ……いろんなジャンル混ぜたような曲はどうかと思う、seesでした。





アルバム『潜潜話』(ひそひそばなし)は……買う、かな(^^♪





 雑記

 お久しぶりです。seesです。
 さて、前回の雑記でも述べましたが……新しい時計買いました。自動巻きのスケルトン、
定価は3万ほどで、セールしてたので買ってまいました。……そこまでは良かったのです
が……sees、やはり知識のないモノを買うのはダメですね。そう。自動巻きって、少し
放置するだけで『止まる』んです( ;∀;)
 いやね、朝昼晩と手首につけっぱにしているワケにもいかないんスよ……。でね、夜に
寝て、朝起きたら数時間時計ズレてるとか……昼間ロッカーに入れてたらキチンとズレて


 しかたなく……楽天でワインディングマシン購入……5000円の出費(・□・⚡)そして
――その後、リサイクルショップでも売っているコト判明。またショック⚡
 ワガママなヤツ買ってもうた……。・゚・(ノД`)・゚・。

 今話は……ヒカル氏の説明最終回と、邂逅です。ターゲットにされた宮間氏には合掌✋
少しヒネった作りにしたかったケド……まぁ、これでいいのかな? 他人の小説のセリフを
そのままパクったかのような描写もあるけど、それはソレww女性の言葉使いってムズイ
のよwホント( ´艸`)

 岩渕氏の登場回数少ないのは……今だけ。後半は出ずっぱりの予定ww

 次回は、邂逅編その2、ついに社長――澤サンにも神(魔)の手が……。京子様の周辺
で次々と起こる事件の数々に、岩渕氏はどうするのか、どうなってしまうのか……。それ
はseesにもわからない(嘘)。…それと、宮間氏におきた事件の詳細あれこれ……。



 seesに関しての情報はもっぱら​ Twitter ​を利用させてもらってますので、そちらでの
フォローもよろしくです。リプくれると嬉しいっすね。もちろんブログ内容での誹謗中傷、
辛辣なコメントも大大大歓迎で~す。リクエスト相談、ss無償提供、小説制作の雑談、いつ
でも何でも気軽に話しかけてくださいっス~。"イイネ"もよろしくぅ!!


ます。何かご質問があれば、ぜひぜひ。ご拝読、ありがとうございました。
 seesより、愛を込めて💓



 適当ショートショート劇場 『ドキッ❕ ツッコミだらけのカラオケ飲み会~😲』

 sees     ……タリいな。
        そう。今夜は職場の同僚たちによるカラオケ会……。誰が言い出したのかは
        知らないが、年に2~3回ヤルそうな……。あー帰りて。

 若手男   「――米津玄師、『レモン』イキま~すっ!」
 sees    (うぜ―な。しかもヘタw商売用の案件歌しか作れなくなった米津に用はねえ、
       《ハチ》の歌は好きだしドーナツホールは大好きだが……)

 若手女   「――西野カナ、『トリセツ』で~す」
 sees    (……キモい歌詞やな。愛やら恋だら失恋だら……しかも歌い手は獣女子。
        手に負えんな……一応拍手はしてやるが……あーマジ嗚咽ですけどw)

 部長    「よし、歌うぞ~――長渕で「とんぼ」やっ!」
 sees    (長渕かよっ! 剛かよっ! 知らねえしっ! お前は清原かっ! 勘弁してくれっ
        ……しかもウマいのかよっ! どんだけ長い間歌い続けたんだよっ! 子々孫々
        まで語り継ぐ気かよっ! ……ナウシカかよっ!)

 同僚a    「よーし、ルパンで~『炎のたからもの』です」
 sees    (――ふざけんなっ! それワシの歌やぞっ!!!(# ゚Д゚)💢)
 同僚a    「『あなた~にだけは~わかぁ~ってほしい~……』」
 sees    (クソッ! クソッ!  わかってヤルわけねーだろがっ! 今後、てめーとは
        一切口きいてやらねーからなっ😡ヽ(`Д´)ノプンプン)

 同僚b   「――盛り上げるために、AKBの『フラゲ』イキま~す」
 sees    (――……うわあ。40男のアイドル曲はキツいな。脳がトロけるシチューに
       なりそうな……想像以上の破壊力やな……)

 局長    「よし……『マジンガーZ』、イクか」
 sees    (……………素晴らしい。選曲、キー、盛り上がり、パンチを繰り出す仕草、
        まるで本物の水木一郎先生や……帝王や)

 総務長(女)「……菅田将暉の『さよならエレジー』いきます……」
 ses      (――めっちゃ歌い込んでるしっ! 好きなのかよっ! オバハン、菅田ちゃん
        好きなのかよっ! ワシも好きだよっ! Wも好きだよっ! 最高だよっ!)
                       ……はぁはぁ、疲れる。
         ただ聞いているだけなのにこの疲労……帰ったらビールで乾杯やな(?)
         ……しっかし、コヤツら……ツッコミ所多すぎww疲れるわワシ……。

 同僚c    「……seesさんは、何歌います?」 
            う~ん……ルパン三世のテーマか? しかし……こいつらに男の世界と美学を
        教えたところでムダだろうし……なら…つい最近までラジオで垂れ流され、
        洗脳教育されかけた…あの歌なら……歌えるかな??

 sees     「……じゃあ、私は、あいみょんの――『マリーゴールド』歌いま~す」
        ざわ。
        え?
        ざわざわざわざわ……。
        漏れるヒソヒソ話。隠れてない苦笑い。聞いてもいない老害たち。ケータイを
        いじる若手。誰かが言った「……えっ? seesさんて、そういう趣味なの?」

        いやいやいや……いやいやいや……え? ダメなの?  
        ワシみたいなんが10代の流行り歌ったらアカンの?
        教えて……ねえ……教えてや……いや、教えろやっ、世間っ!!
        seesは見た、身をもって体験した、カラオケ社会?の闇を……。



                       想定より長い話になっちまった……。
                                 了。゚(゚´Д`゚)゚。





こちらは今話がオモロければ…ぽちっと、気軽に、頼みますっ!!……できれば感想も……。

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Last updated  2019.12.29 01:35:01
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