グリザベラの館

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H15.5.14  緊張しまくりの入院日



 前回の診察で“複視になるかも”という言葉がひっかかり帰ってからネットで複視について調べたのだが不安な気持ちは消えてはくれなかった。とうとう入院日が来てしまった。


 いつもは朝が苦手な私なのに入院のため緊張しているのか5時に目を覚ましてしまい、もうひと寝入りして6時半に起床した。とても緊張しているのが自分自身わかった。8時45分に手配していたタクシーに母親と一緒に乗り入院のため病院へ向かった。これまで何度か通院していたけれど、こんなに緊張して行くのは初めてだ。


 9時ちょっと過ぎに着いて、入院の手続きを早々と済ませると西6F病棟のナースセンターに向かった。婦人混合病棟だった。


 まず初めに身長と体重をはかり、それから606の病室に案内された。病室用のウェアに着替えてから看護師さんに渡されたアンケートを記入しているところに病棟の主治医があいさつにこられた。入院診療計画書と手術同意書と手術前の注意事項が書かれた用紙を渡された。ますます落ち着かなくなってきた。そんなところに看護師さんがバイタルサインのひとつである血圧を計りに来た。右で102といつもより高かったので心配になり、左も念のため計ってもらうと91だった。その後、看護師さんよりこの病棟の案内をされルールそして明日の手術に必要なものが告げられた。


 正午になり昼食の時間となった。パスタ(ミートソース)と野菜サラダと杏仁豆腐だったのだが、緊張してるせいかあまりのどに通らなかった。術前診察は14時以降だったので時間が沢山あり、先程看護師さんに準備しといてと言われたT字帯やバスタオルを下の売店で購入して、病室に戻ってからは入院直後にいただいた書類に目を通した。さらに落ち着かなくなってきてこれではダメだと思い、持ってきていたCDのうちの1枚『MAM―MA MIA』を聴いた。この緊張感・恐怖感から少しでも逃れるために。


 CDを聴いていると時間が経つのは早いものである。外来に行く時間になったので看護師さんに先ほどの手術同意書を渡してから、母親と向かった。午後からのスケジュールは教授回診と眼科の諸検査と主治医の診察と麻酔科の診察といっぱいだ。


 待つ事30分くらい…教授回診が私の番となった。TVドラマで先生方が大名行列のように病棟を歩いてるシーンを見たことがあるのだが、眼科は違うらしい。患者が外来で診てもらうようだ。どうやら私が最後のようだ。HPでは見たことあったが、直にH教授を見たのは初めてだ。眼底検査や目の動きの検査をしてアッという間に終わってしまい、拍子抜けしてるところにH教授からひと言“明日、頑張ろうね!”と。


 一度待合に戻され母親が帰ってから30分くらい経った頃、眼科諸検査で名前を呼ばれた。こちらの検査はいろいろあり、視力・目の動き・複視・斜視角度の確認などがあるのだが、非常に疲れる検査でもあるのだ。ちょうど疲れ始めた頃、向かい側の麻酔科に呼ばれ中断し、麻酔科が終わってから再開することとなった。


 麻酔科は何か独特の空間だった。外来で麻酔科に入ったことが無かったからかもしれない。問診のあと、全身麻酔の説明を伺い、疑問に思っていることやしてほしい事を伝え、同意書にサインした。点滴の事ばかり気にしているので先生に笑われてしまった。先生いわく
“オペとても怖がってるみたいだけど、目のオペはオペの中でも簡単な方なんだぞ。点滴はオペ室に入ってからするので、そんなに長い事しないけれど、心配ならS先生に聞いてみたら?”


 麻酔科の先生はとても怖がっている私を少しでも安心させようと仰って下さったのだと今は思えるのだが、その頃はそんな余裕も無く『オペ受けるのは私であって簡単・難しいなんて関係ないよ。怖いものは怖いんだよ!』と思っていた。


 それから、食事制限の説明で本日の夜以降飲食ダメと言われ、病院の夕食よりも日常では遅いことを先生に告げると
“しょうがない!夜は9時まで食事OK!飲水は翌朝の6時までだけど、5時から6時はコップの半分まで。間違えて飲んでしまったら、すぐに伝える事”
と私の意見を尊重して下さった。


 麻酔科の診察が終了して、明日はお願いしますとあいさつしてから眼科の待合に戻った。麻酔科の診察で目の疲れは随分とれたが、手術に向けて事が運ばれているんだと思った。もう一度、視能訓練士の先生に呼ばれ、検査が再開された。ただ、今までとは違うなぁと思ったのは何かうなずきながらされている事…私の入院日まで時間があったのでカンファレンスしていただいて、その最終の確認だったのかもしれないが…術前最終の検査ということもあり、質問できるのも今日が最後だと思い、視能訓練士の先生に気になっていた事を尋ねてみた。気になっていた事とは…


① 検査のたびに見え方が変わるが、こんなに変わるものなのでしょうか。ちゃんとデータになっているのか心配。
⇒見え方が変わる事はありえる事だから心配しなくていい。

② 初診の時、ハエや豆の検査を行ったが、術後改善の見込みはあるのでしょうか。近頃、はやりの3Dとか普通の人は見えるようですが。
⇒主治医にきいてみて。3Dは普通の人でも見れない人がいるのよ。


 眼科の諸検査が終わり、あとは主治医・S先生の診察を残すのみ。どれくらい待っていたのだろうか。検査で目が疲れたのだが、待合の長椅子で休んで楽になった頃、ふと周りを見ると私しかいなかった。多分、私が最終なのだろう。そう思ってる頃、S先生に呼ばれ、診察室に入った。カチコチに緊張してるのが先生に伝わったらしく
“緊張してるよね。”
と優しく声かけられた。私はもうダメだと思い、今の気持ちを全て先生に打ち明けてしまった。入院前、手術のことで頭いっぱいになり発熱したと告げると
“大丈夫?手術室ひとりで行けるかなぁ。お母さんについて来てもらう?”
と心配され、私は心の中で『ぱ、ぱす~大の大人がひとりで手術室に行けないなんて情けないじゃん!』と思いながら先生にもう大丈夫ですのでと返事した。それから麻酔科の先生に言われたことを思い出し、点滴の事を伺った。先生は不思議そうに
“術後当日の夜から、食事の予定よ。ただ、気持ち悪かったり吐き気がある場合は食事が摂れないので点滴になるわね。”
と応えて下さった。そしてまた、麻酔科同様に大人気ない事を先生に伝えてしまった。
“先生、私注射嫌いなんです。点滴するのが怖い。他の患者さんの点滴を見てしまうだけでくらくらしてしまうんです。”


 先生もまさかこんなに大人気ないことを大の大人の私から聞かされるとは思ってなかったのでしょう。幼い子供を諭すように
“大丈夫よ。やわらかい針を使うから、そんなに心配しないで…”
と励まして下さった。あとハエと豆の検査において術後改善の見込みがあるかどうかともしも複視が残った場合の処置について伺った。


① ハエと豆の検査において術後改善の見込みがあるのでしょか。
⇒今と同様、日常生活は困らないけれど、検査となると小さい頃の経験も関係してくるからね。

② もしも複視が残った場合の処置について教えてください。
⇒ 最終的に残ってしまうようだったら、オペするしかないわね。


 術前に出来る質問が今日で最後だったので私の質問にすごく時間をとってしまったのだが先生はひとつひとつ丁寧に答えて下さった。それからやっと主治医による様々な検査(眼底検査および眼の動き・複視・斜視角度などの検査)を受け、最後に目の位置をカメラで撮影されて今日のスケジュールは終了した。疲れた~の一言に尽きる…


 夕食まで少し時間があったので気分転換のため屋外に出てメールで今日の事を伝えてから病室に戻った。病院の夕食はとても早い。18時である。早いなぁと思いつつ翌日の朝と昼が抜きになるので、無理やり食べた。いくら明日の手術が怖くても私の場合、食欲が落ちる事は無いようだ。食後には当分、洗髪・洗顔ができないのだなぁと思いつつシャワーを浴びた。普通にしていたことに急に制限がかかると手術のためとはいえ悲しいものがある。就寝は21時であるのだが、緊張しているはもともと夜型人間なのでこんなに早く寝れるはずがない。検査で疲れているのにである。そこで持参のCDを聴いていたのだが2枚目を聴いていても全然眠たくならない。もう、いいかげん寝なきゃいけないと思い、CDをやめて寝ようと思うのだが熟睡できない。



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