2013年07月07日
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カテゴリ: 文芸あれこれ




与謝野晶子には、京都のことを詠んだ歌が多く、
そうした歌碑も市内のあちらこちらに残されています。

この歌もその一つで、晶子が与謝野鉄幹と一緒に、
京都を訪れた時に、詠んだ歌であるとされています。



蹴上浄水場歌碑.jpg

蹴上浄水場の歌碑



与謝野晶子は、生まれが大阪の堺で、代々和菓子を商っている老舗の商家で育ちました。

幼い頃から古典文学に親しんでいた晶子は、
若くして歌にその才を発揮していたといい、
そうした中、堺で行われた歌会において、与謝野鉄幹と知り合うことになります。

たちまち、鉄幹に恋心を抱く晶子。

しかし、鉄幹自身は、妻子を持つ身であり、
それに加え、晶子と同じく鉄幹に思いを寄せる、もう一人の女性がいました。

それが、新進の女流歌人である山川登美子。

やがて、登美子は、歌の道において、さらに、恋においても、
晶子のライバルとなっていくことになります。


師弟をめぐって続いていく、微妙な三角関係。

しかし、そんなある日。鉄幹は、2人を京都へと誘い出しました。

泊りがけで、秋の京都へ。

鉄幹・晶子・登美子の3人は、紅葉色づく永観堂を訪ね、
池の鯉に、椎の実を投げたりして遊びに興じます。

才気にあふれ情熱的な晶子と、清楚な風情を持つ登美子、
対照的な2人ではありますが、それぞれ、鉄幹に向け想いを寄せていきます。


しかし、結局、登美子は、親が勝手に決めてきた縁談を断れなくなったことから、
故郷の福井へ、帰らざるを得ないことになってしまいました。

そして、その後の晶子は、鉄幹の後を追って上京。
鉄幹も前妻と離婚し、鉄幹と晶子は結婚することになります。

こうして、恋の勝者となった晶子。
歌の方でも、さらなる冴えを見せ始め、「みだれ髪」が大好評を博して、
当代を代表する女流歌人となっていきました。



八坂神社歌碑.jpg

八坂神社の歌碑



 清水へ 祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふ人 みなうつくしき



与謝野鉄幹が、京都で生まれ育った人だったということもあって、
晶子は、その後も、鉄幹と一緒に京都を幾度も訪ねています。

特に、永観堂には良く行っていたようで、
かつて、鉄幹と初めて京都を訪ねた時の思い出も、歌に残しています。



永観堂歌碑.jpg

永観堂の歌碑



 秋を三人 椎の実なげし鯉やいづこ 池の朝かぜ 手と手つめたき



一方、鞍馬寺には、晶子の書斎だった建物もあります。



冬柏亭.jpg



この書斎は、晶子が50才の誕生日のお祝いとして、
弟子からもらったものだったといい、
元々は、東京の荻窪にあったものを、ここに移築したのだといいます、



鞍馬寺歌碑.jpg

鞍馬寺の歌碑



 何となく 君にまたるるここちして いでし花野の 夕月夜かな



与謝野晶子の歌を、改めて、こうして並べてみると、
みな、どことなく、おしゃれで、綺麗な歌が多いですね。
それでいて、すごく情感がこもっている。


歌づくりについて晶子は、
「和歌がうまくなりたければ、恋をしなさい。」
と、常々、弟子たちにそう話していたといいます。


与謝野晶子は、情熱的な歌人と評されることも多いですが、
その一方で、恋する人のみずみずしさが表れているということが、
晶子の歌に、より魅力を与えているのでは、と、そんな感じがします。





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最終更新日  2013年07月07日 22時01分20秒
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Re:与謝野晶子と京都(07/07)  
与謝野晶子の歌集、読んだことが有るのですが、あまり覚えていないのです。
でもこの京都の歌碑にの頃歌は、自信にあふれた晶子らしい歌ですね。
中山道、東海道など旅していれば当然、多くの歌人の歌碑にも出会いますがなかなかしっかり読め無いのが残念ですね。やっぱり歌碑だけじゃなくしっかり下地を読んで、知っていてこそ立ち止まれるのですね。 (2013年07月07日 23時03分51秒)

Re:与謝野晶子と京都(07/07)  
picchuko  さん
gundayuuさん、こんばんは!
おお、与謝野晶子だあ。^^
私、昔 彼女のことが大好きで、堺まで彼女について展示してある博物館(ミュシャの作品も展示してあります)を訪れたことがあります。仁徳天皇陵とセットで見学。(笑)
彼女のことは本でも読んだことがあって、あの熱さに異常に惹かれました。
やっぱり人間、熱くなくちゃ!(笑)
でも、私的には鉄幹はあんなに才能ある二人の女性が恋焦がれるにはイマイチ魅力的には見えなくて、それがちょっと不満でした。
晶子の方がよっぽろ男らしいしカッコいい!
時代はまったく異なるのですが、私の中では額田王と晶子の熱さにどこか同じものを感じます。
あ、熱い人といえば、平塚らいてうも。
「原始、女性は太陽であった」めちゃくちゃ好きな一文です。^^

gundayuuさん、いつも素敵なコメントをありがとうございます。
コメントの返事にも書きましたが、ホント、本島にいつか来てみてくださいね。^^
瀬戸内海の歴史は日本史の中でも古く、非常に貴重で珍しいものも残っています。
そして、それが荒らされていない。
私も今後、どんどん島探検してみようと思ってますので、gundayuuさんの興味を引けるような島、見つけたいと思います。^^ (2013年07月08日 21時36分17秒)

Re[1]:与謝野晶子と京都(07/07)  
灰色ウサギ0646さん
おはようございます。

>与謝野晶子の歌集、読んだことが有るのですが、あまり覚えていないのです。
>でもこの京都の歌碑にの頃歌は、自信にあふれた晶子らしい歌ですね。
>中山道、東海道など旅していれば当然、多くの歌人の歌碑にも出会いますがなかなかしっかり読め無いのが残念ですね。やっぱり歌碑だけじゃなくしっかり下地を読んで、知っていてこそ立ち止まれるのですね。

晶子の自信にあふれた歌、確かにそうですね。
色んなところで歌碑を見かけたりしますが、説明板がないとよくわからないし、見過ごしてしまいますよね。これら京都の歌碑は、ほとんどが傍らに説明板がありました。
八坂神社のは、説明板なかったと思いますが、南門を出たとこの石灯籠の陰にあるので気づきにくいと思います。
浄水場は、年に一度の特別公開の時しか中に入れません。
この歌碑が見たいがために、特別公開に行ってきました。
ツツジがきれいでした。
(2013年07月13日 09時53分36秒)

Re[1]:与謝野晶子と京都(07/07)  
picchukoさん
おはようございます。

>おお、与謝野晶子だあ。^^
>私、昔 彼女のことが大好きで、堺まで彼女について展示してある博物館(ミュシャの作品も展示してあります)を訪れたことがあります。仁徳天皇陵とセットで見学。(笑)

へ~え、picchukoさん与謝野晶子好きだったんですか。
堺も行かれたことあるんですね。

>彼女のことは本でも読んだことがあって、あの熱さに異常に惹かれました。
>やっぱり人間、熱くなくちゃ!(笑)
>でも、私的には鉄幹はあんなに才能ある二人の女性が恋焦がれるにはイマイチ魅力的には見えなくて、それがちょっと不満でした。
>晶子の方がよっぽろ男らしいしカッコいい!

確かに、鉄幹がなぜ、そんなにもてたのかイマイチ良くわからない。
でも、そういう雰囲気を持った人だったのかも知れないですが・・。
結婚してからも、歌人としては晶子の方が断然優れていて、そうした点で晶子の尻にしかれていたような感じがします。
与謝野晶子、情熱を感じる人ですよね。私は和泉式部とイメージが重なります。


>時代はまったく異なるのですが、私の中では額田王と晶子の熱さにどこか同じものを感じます。
>あ、熱い人といえば、平塚らいてうも。
>「原始、女性は太陽であった」めちゃくちゃ好きな一文です。^^

額田王と平塚らいてうですか。これも意外(笑)
額田王の歌も素敵ですね。万葉集の中でもきらめいているような感じがします。
平塚雷鳥のことは、そんなに詳しく知らないですが、前から興味を持っています。
女性運動の先駆者、一度、詳しく調べてみたい一人ですね。

>コメントの返事にも書きましたが、ホント、本島にいつか来てみてくださいね。^^
>瀬戸内海の歴史は日本史の中でも古く、非常に貴重で珍しいものも残っています。
>そして、それが荒らされていない。
>私も今後、どんどん島探検してみようと思ってますので、gundayuuさんの興味を引けるような島、見つけたいと思います。^^

瀬戸内の島々って、きっと素晴らしいところなんだろうと思います。
塩飽諸島の本島、重要伝統的建造物群保存地区に指定されているって、香川県では一ヵ所だけみたいですね。大阪も1か所、富田林だけです。
古くからの町並みもそうですが、何より水軍の歴史の残るところですよね。
一度、行って見たいですね。今年は、色々忙しくて時間がとれないですが、来年とか、ゆっくりと時間をかけて見て回れればいいなと思っています。
それくらい、貴重なものが残されているところなんじゃないかと思いますね。
(2013年07月13日 10時04分10秒)

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