悪魔に最も近いものは人間である 怖い話

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2023.10.05
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ごきげんよう。※初見でも今回は楽しめるよ
今回で17話目でございます。 
ではヒント16「助けたい人が死んでしまった」
初見の方の為に説明すると、物語は単発方式なのでここからでもギリギリ楽しめますが、最初から読んでいただければわたくしの持ってるものをなんでも一つ受け取れるギャンブルに参加できます。 
話も繋がり出してきてしまったので、1話から見るのをオススメいたします。

第十七話コカミタナ
第十六話魔女の美薬
第十五話お友達のお人形
第十四話人魚の花園

第十二話横浜の占い師と愉快な死神達 
第十一話金魚の奴隷 
第十話知らない人について行ってはいけない理由 
第九話怖いシミがあるアパート 
第八話人買い大男 
第七話ラブホで幽霊と対決したレア話 
第六話忘れられない煙 
第五話闇世界の悪魔ハンター 
第四話あなたの指は本当に正常ですか? 
第三話悪魔に最も近い人間との思い出 
第二話誰の手? 


それではいってら 下の広告を押してね。 
貧乏なわたくしに1円だけ寄付されるよ。 
居ないと思うけど、買ってくれたら作者に無茶苦茶お金が入るよ。















高級マンションの11階ににわたくしは家族と住んでいる。
高級なので、防音設備がかなりちゃんとされているんだが、真上の12階から地面を叩くような物音と花一匁の童歌と人が話してるような声が凄く聞こえて最近怖い。
その物音の正体を確かめる話である。

まずわたくしは、物音を立てている張本人である12階の人に接触を試みてみた。
12階の住人は、わたくしとは面識がないが、マンションの管理人さんなら面識があるはずだ。
だから、管理人さんに事情を話して、上の階に住んでいる住人にそれとなく注意してもらうことにした。
ところが管理人さんからは意外な答えが返ってきた。

管理人「防音がウリのうちのマンションでは、そんなことありえないし12階のあの部屋はもう誰も住んでないんですよ」

つまり12階の物音は、上の人が立てた音ではないのであるーー
となると、一体12階のあの物音は何だったのだろうか? わたくしはその音を聞き続けて以来ずっと悩んでいる。


管理人に話を聞きに行ったのが実は1年前で、ここからが本題


2017年12月6日
実は最近になって、上に人が引っ越してきた。
人気なマンションだから、当たり前でね。
ロビーですれ違った時に挨拶をすることになったんだが、その引っ越してきた人物仮に武田さんってことにしましょう。
少し世間話したのちに武田さんにこう言われた。


武田「このマンション安いし凄い部屋が広いしうちの子たち大はしゃぎで」

ちなみにこのマンションは宣告言った通り高級マンションである。

安いってフレーズにつっこもうかと思ったが……辞めた。
価値観は人それぞれだもんね。
ただ、やっぱ安いってフレーズにはかなり違和感を覚えた。
年収1000万円くらいの人でもヒーヒー言ってるのに、おかしな人だなって

わたくしはその話を管理人さんに話した。
少し説明を加えるね。
後出しで悪いけど、12階が最高階なんだ。
それ以上上はなくて、8階が3000万円くらいだとすると4階は3100万円って言った具合に階数によって値段が上がるタイプのマンションでね。
12階を安いって言うのはちょっと無理があるとずっと思ってた。。
だから、わざわざ聞いたんだ。
そもそも管理人とは仲が良いからね。


管理人「………」

管理人は押し黙ってしまった。
何か言いづらいことでもあるのだろうか? 苦悶の表情を浮かべるわたくしに管理人はこう告げた。

管理人「実は……」

と言いかけたが、その言葉を呑み込んだ。
そして、こんな話を始めたのだ。

管理人「内緒だよ。あの部屋のローンは…」

一応秘密なんでそこは割愛するね。
簡単に言えばわたくしの家のローンが5000万円だとすると、上の階の人は1000万円くらいだったんだ。

『え…そんなバカな』
上の階なのに驚くほど低い価格にわたくしは愕然とした。
なんで?どうして?というか疑問がもちろんふって湧いて出る。

立て続けに聞く。
『なぜ?一体どうして?そんなに安いんですか?』

管理人は、「……実はあの家は神隠しの家でね。前の借り手もその前の借りても全員知らない間に消えたんだ。
消えただけで、特に死体も出てないし事故物件扱いはされてないが…契約してもらっても持ち主が次から次へと消えるものだから、値段はあの価格で間違っていないんだ」と呟いた。
わたくしの疑問を断ち切るかのような管理人の言葉にわたくしは、言葉を失った。
そこでわたくしにもふと頭によぎったことがあったんだ。

ずっと昔から21年間住んでいて、上の階の人ともすれ違うけど、上の階の人の入れ替わりだけが異常に激しかったなと。

名前と顔を覚えても次の週には引っ越しをしたとか里帰りして帰らなくなったとかで、とにかく知らない間に居なくなっていた…

でも、全員居なくなってるってわけではなくて、今思えば“その部屋”の住民だけが入れ替わり続けていたんだなと妙に納得してしまった。

『管理人さん、なんでそんなことになってるんですか?』

当然の疑問さ。
怖い話や体験に耐性はあれど、まさか上の階でそんなヤバいことになってるとは思わなくてね、唇は震えて、目は泳ぎ続けていたと思う
管理人はこう言ったよ。

管理人「ずっと昔からだよ。
僕にも何故かはわからない。」

のちに近所のお婆さんに聞いたが、このマンションは昔から神隠しがあるなんて噂もあったんだそうだ。


長年住んでいたのにそんな曰く付きの物件があるとは知らなかった……。
そしてこの話を電話で友人のもみじにしてみた。
もみじというのは昔の同僚で、腐れ縁の……「過去話の赤い部屋」とかに出てきたんで、良かったら見てください。
端的にいうと幽霊やオカルトに詳しく対処もできる便利屋さん。


そのもみじにわたくしは洗いざらい全部話した。
途中でうんうんと頷いて、全部丁寧に彼女は聞き終えてくれた。
どうやら考えているようでしばらくの静寂ののち、こう答えてくれた

もみじ「あぁ…それ、多分ね、なんかあかん儀式をどっかの世帯でやってもうたんとちがうかな。
かんにんな、強いてアドバイスできるとしたら、その部屋には絶対に近づかへん方がええ。
今から真相を教えるさかい。
花一匁(はないちもんめ)を歌うとったんやん?
あら元々遊びやなしに、歴とした術式を伝えるための伝承歌付きの遊びなんや。
前回勝った組から「か~ってうれしいはないちもんめ」て歌の一節を歌いだす。
歌うてる組は前に進み、相手の組はあとずさりする。
はあらへんちもんめの「め」の部分で片足を蹴り上げる。
負けた組は「まけ~てくやしいはないちもんめ」て唱える。
その後に、「タンス長持ち あの子欲しい あの子ぉじゃわからん 相談しましょ そうしましょ。」て歌の一節を交互に歌いながら前後に歩く。
歌終わると、それぞれの組で相談して、相手の組から誰をこちらの組にもらうかを決める。決まった組は「き~まった」て叫ぶ
それぞれの組は手ぇつないで一列に並んで向かい合い「××ちゃんが欲しい」て前に進みながらもらいたい相手を披露し、双方の代表者がじゃんけんを行い、勝った組の主張どおりにメンバーがもらわれていく。
片方の組からメンバーがいーひんようになったら終わり。」

もみじはこの遊びの大まかなやり方を今話してるけど、聞いていて思ったことがあった。
「タンス長持ち」ってどういう意味だろう…その時話を折ってしまうのは嫌だったけど、聞いてみた。


『ごめん、もみじ…タンス長持ちってどういう意味?』

もみじ「あぁそらね…世間では人買いの商人子供を見定めてる時に親がどの子供がええか聞いてるシーンを表してるとされてる。
そやけど、ええとこをついてくるなぁ。
タンス長持ちは重要なんやわぁ。
重要やさかい長持ちって意味を簡単に解釈するとね、〈ものが長いあいさ、状態を変えへん、または役に立つこと〉とされてる。
この術式にはタンスを使うんやで」

タンスを術式に…?

意味がわからない。
意味がわからないから、話を聞くことしかできなかった。

もみじ「 続けるね。 私の知ってる知識では元々花一匁は人買いの歌ではなくて…いや、厳密に言えば人買いの歌なんだけど…

『え?』

人買いの歌じゃない…?
オカルトは好きだから、花一匁が少し怖い歌ってことは知っていた。

でも、ますます意味が分からなくなった。
本当はどういう歌なんだろうか…?わたくしの興味バロメーターは急上昇したよ。

もみじ「…人買いとはやっぱちゃうかな、だって買うとったのはタンスに入ってる半壊してる子供のほぼ死体やったさかい…」

半壊してる子供のほぼ死体…!?
どういうこと…!?
ってか、ほぼってことは生きてる…ってことだよね。
仮にそんなのが取引されていたんだとしても何故…?

もみじ「その瀕死の子供を使うてな、擬似的に座敷童子を作っとったんやわぁ。 腕も足も削がれて小さなタンスの中に出来るだけご飯も与えて拝んで生かし続けて、長う生きた場合1週間で10年その買うた家の幸せは約束されるとされたいた。 花一匁の〈花〉は若い子供のイメージ〈一匁〉ちゅうのんは昔の通貨みたいなもので、要するに価値の値…有名やったかな」

愕然としてしまい、口をひらくまでに10分はかかったような気もするし10秒だったかもしれない。
わたくしは話以上に疑問があったので聞いてみた。

『そ…そういう儀式があるのはわかった。
でも、今回の話とは関係がない気がするよ』

もみじ「………大有りよ その取引をした商人ちゅうより、お金持ちがどうなったかわかる? 全員消えたんや。 残された家には愛用しとった家具や食べかけの食事……それから小さなタンスだけを残してな。 タンスの中には血の跡と子供の死体残っとって、そのタンスを神社側が引き取って全部埋葬したけど、力がついた子供の霊ちゅうのんは大人の霊の100倍厄介でね。
夜中中暴れ続けては神主を困らしてしまい、どっかの神主対処方法を見つけたとされてる。
その対処方法であり、悲劇を伝えるための伝承方法花一匁や。
歌で子供の魂を沈め、悲劇を次の世に知らせ続けた」

これが本当だとしたら…?
12階で起きてることと照らし合わせると、大体こんな感じだろうか…
どこかの世帯でこの儀式を知った人が子供の腕や足を切り落とし

タンスに入れて、幸せになるつもりだった。
でも、実際は失敗。
家族はみんな神隠しにあって、滅亡。
そのタンスの効果というより、力をつけた子どもがまだずっとそこに居て、入居者を闇雲に消し続けている。

そんなの悲しすぎるよ

もみじ「 なんとなくわかったかな ?」

『この儀式で人が幸せになったことってあるの…?』

なんでそんなことを聞いたのかわからないけど、ぼろぼろと無意識に流れる涙と震える声でそう言った。
その声は子供みたいな声だったらしい。


もみじ「残念やけど、あんで。
ただ、力強うあるものが正当な手順を得て、子供も人を恨まへん子供でなかったらならへんかったらしおす。
一般にタンスの儀式…名前は「コカミタナ」 似た儀式に「コトリバコ」や「コケシ」が存在するわ。 どれも子供を使うた非道な儀式やわぁ。

絶対真似したらあかんわ… 私仕事あるさかい」

〔ツーツーツー…〕

電話が事切れた。
1人和室でなんとなく白いベッドの上に横になって涙がその日は止まらなくて眠くもないのに無理矢理寝た。

数日経って考えてみた。
もしもあの話が本当なら、今もまだコカミタナに用いられるタンスは12階の真上にまだ残っているんじゃないだろうか。
でも、もしもそうだとしても、子供1人入れるくらいのタンスが家具付き物件ではないので放置されているってことは絶対あり得ない。
そう考えて少し行動に出てみた。

行った先は……エントランスホール。
武田さんは朝の6時に出勤するから偶然を装って待ち伏せしてそれとなく世間話をして聞いてみたんだ。

『へぇーそうなんですね。安かったんですね、あ、家具とかって置きっぱなしじゃ無かったんですか??
よくあるんですよー』

白々しい演技だったと思うけど、普通に話す時人間は大抵相手を疑わない。
笑顔で武田さんは花瓶が置きっぱなしだったことやら色々話してくれたよ。
でも最後に。

武田「……あ、そう言えばね、押し入れからたまに物音がするのよね。
事故物件でもないみたいだし、ネズミとか住んでるのかしらw」


何故か不意に嫌な予感がした。
喉元に切先が尖った枝一本寸止めされてるような確かな恐怖。

あぁ…全部わかった……どこかの世帯で誰かが押し入れを使ってコカミタナを発動したんだ。
タンスじゃなくてもいいのかもしれない。
コカミタナもタンスではなくタナって書いてあるし、暗くて狭い場所に放置して多分何か特別な儀式を加えればいいのかもしれない……

その考えに辿り着いて、家に帰ってまた寝た。
眠る前に考え事をするタイプなんだが、こう考えていた。

そこまでして幸せになろうとする人間ってどんな生き物よりも悪魔だな…って

そして、眠りに落ちる寸前歌が聞こえた。

〈かって嬉しい花いちもんめ、負けて悔しい花いちもんめ、隣のオバサンちょっとおいで、鬼がいるからよぉいかん、あの子がほしい、あのこじゃわからん、この子がほしい、この子じゃ分からん、相談しましょ、そうしましょ〉





END「コカミタナ」

コカミタナってさ、棚に閉じ込めた子供を神様扱いして、力を無理矢理引き出す下方だよね。
今回の嘘と誠の配合率は5.5。
上が今でもうるさい……人、いないはずなんだけどな。
武田さんはそのあと夜逃げしたことになってるよ。

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最終更新日  2023.10.05 20:11:45
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