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今回は私の心をとらえた3人のピアニストの話。年齢もバックグラウンドも全く異なる3人をご紹介したいと思います。
まず先週から始まったBath International Music Festivalのアートディレクターも努めるJoanna MacGregor(ジョアンナ・マクレガー)
土曜日の演目は本人の編曲による「Lost Highway」と名づけられジャズ・ゴスペルに影響を受けた作品とAstor Piazzollaの「Six Tangos」(マクレガー編曲)の前半、バッハの「The Goldberg Variations(ゴールドベルグ変奏曲)」でクラシカルに締めくくる後半という構成。
前半はマクレガーのパワー溢れる演奏に絶句。身を乗り出して演奏したり、足でリズムをとってパーカッションがわりにしたり、演奏しながら立ち上がって、ふたのあいたグランドピアノの腱を押さえたり(こうすると音が響かなくなり、ピンピンとした機会音のようになる)、自由奔放で躍動感、生命感にあふれた演奏に圧倒された。
クラシック通の義父母には前衛的すぎたかと心配したら、才能はジャンルを超えるとはこのこと、義母は「あんなに大きなピアノの音を聴いたのは初めて」と言いつつも、その頬は高潮し相当気にいったようで「彼女のこともっと調べなきゃ」と私と同じことを考えていました。コンテンポラリーが苦手な相棒も、彼女のタンゴの演奏がたいそう気にいっておりました。
後半はうって変わってしっとりと繊細にバッハを完璧に演奏。本当に才能がある人はひとつの枠に留まる必要がないのかもしれません。ジャンルを増やすことで、一個一個がおろそかになるのではなく、更に広がっていく掛け算のような見本の演奏でした。スタンディングオベーションが起こったのも当然。
23日(英国時間・今夜7時)のフェスティバルでは70年代のロックシーン、80年代のアンビエントの立役者・Brian Enoとのコラボも期待されています。ニューヨークフィルやロンドン交響楽団でも数々のコンサートを行なった彼女に今後も注目!

次にご紹介したいのが、Freddy Kempf(フレディ・ケンプ)
4歳でピアノを始め、わずか8歳でロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団とモーツァルトの協奏曲KV.414を共演し、注目を集めた。1987年第1回 モーツァルト・コンペティション(イギリス)優勝、またわずか14歳で1992年BBCヤング・ミュージシャン・オブ・ザ・イヤー・コンペティション優勝、2001年にBrits賞 Best Young British Classical Performerに選ばれるなど輝かしい経歴の注目の若手ピアニスト。
1977年、ドイツ人の父と日本人の母のもと、ロンドンに生まれる。巨匠ウィルヘルム・ケンプの遠縁。若くて才能ある彼は、日本でも大人気みたいですね。
そこで相棒が更に数年前にBath Festivalで初めてケンプの演奏を聴いて、若いのにすごい、と思ったと言っていました。感動した私達は再び昨年London Barbican Hallでのベートーヴェン「月光」とショパンのエチュードのコンサートに出向いたというわけです。彼の演奏はとても穏やかで優美です。

そして最後にもうひとり、巨匠と呼ばれるオーストリア出身のAlfred Brendel(アルフレッド・ブレンデル)
彼は世界で初めてベートーヴェンのピアノ作品全てのレコーディングを果たし、モーツァルトのピアノ協奏曲全てをレコーディングした数少ないピアニストです。
私は昨年BBC Promsのロイヤルアルバートホールで彼の十八番(おはこ)ともいえるベートーヴェンのピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」を聴きました。巨匠の名にふさわしい、力強くかつ繊細で表現力のある演奏に翻弄されました。1931年生まれ、当時74歳。まさにUnbelievable(信じられない)なお方です!
このプロムがライブコンサートとしては、彼の引退コンサートだったのですが、まだレコーディングは継続するそうです。しかし、数年前にも引退したはずの巨匠、またひょっこりライブコンサートに復活してくれるかもしれないとひそかに期待しています。
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トニー滝谷 @リトルシアター 2006.11.02 コメント(20)
「The Queen」と夕日の続き 2006.10.01 コメント(19)