

一字一句取りかえることのできない絶対的言葉をもって、三十一文字に個々人の思いを込める短歌。
古今東西、多くの歌人が様々な歌を詠んできました。内容もさることながら、歌の表記や形式に独特の工夫をして独自の世界を表現している歌人がいます。
「 會津八一 」は、短歌の原点は音声によって唱われたものであり、耳に聞いて理解し得なないものを排除するため、すべてを仮名で表記する方法をとった。
♪ あきづけ ば また さき いで て うらにはの くさ に
こぼるる やまぶき の はな
(秋づけばまた咲き出でて裏庭の草にこぼるる山吹の花)
♪ かすがの に おしてる つき の ほがらかに あき の
ゆふべ と なり に ける かも
(春日野におし照る月のほがらかに秋の夕べとなりにけるかも)
♪ もの みな の うつろふ むら の みち の へ に
かげ きよら なる みぞがは の みず
(もの皆の移ろふ村の道の辺にかげ清らなる溝川の水)
「 木下利玄 」は、利玄調(四四調)という独特のリズムの歌を作り上げた。二句目、四句目、五句目の七音を「四音+四音」の八音にするというもの。
♪ 梅雨時の執念(しふね)き湿りしづみ居る厨の隅の生姜(しやうが)のにほひ
(五、七、五、七、四+四)
♪ 遠方(おちかた)に鍛冶屋のかねうつ音すみて秋やゝうごく八月のすゑ
(五、四+四、五、七、七)
♪ 春ふかき大地の温気(うんき)にかもされて立ち来る草の瑞青太茎(みずあをふとくき)
(五、四+四、五、七、四+四)
♪ 日向路(ひゅうがじ)の街道埃(ほこり)灰ぼこり馬車にて日ねもす南(みなみ)し南す
(五、七、五、四+四、四+四)
「 石川啄木 」は、ご存じのように「三行分かち書き」にすることで感情表現や描写を強調しようとした。
♪ こみ合へる電車の隅に
ちぢこまる
ゆふべゆふべの我のいとしさ
♪ 友がみなわれよりえらく見ゆる日よ
花を買ひ来て
妻としたしむ
♪ 人がみな
同じ方角に向いてゆく
それを横より見てゐる心
♪ やはらかに柳あをめる
北上(きたかみ)の岸辺目に見ゆ
泣けとごとくに
「 土岐善磨 (哀果)」は明治18年生れで、啄木に多大な影響を与えた人で、ローマ字の三行書きや、句点・句読点を使った独特の三行分かち書きを初めて試行した。
♪ Kimi omou kokoro ni niru ka,-
Haru no hi no,
Tasogaregata no honokeki akarusa!
♪ 指をもて遠く辿れば、水いろの
ヴォルガの河の、
なつかしきかな。
♪ いまもなほ、青き顔して、
革命を、ひとり説くらむ。
ひさしく逢はず。
土岐善磨のように、100年も前にこんな新しい事を考えた人がいるということに、今更ながら驚かされる。
現代は、口語の歌がたくさん歌われているが、俵万智の歌が大きく影響しているのは言うまでもない。
これからはどんな歌が生れていくのだろうか。「ケイタイ短歌」なるジャンルもあって、若者が今風の歌を盛んに詠んでいるのはとてもいいことだ。
日本語の語彙の多さや表現の豊かさを身をもって感じて欲しい。その豊かな日本語を失わないためにも、「短歌」という奥深い文芸に親しむ人がもっともっと増えて欲しいと思う。
◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題してスタートすることにしました。
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