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彼女に参っている、と僕は思う。それも半端なことじゃあない。かなり深くだ。もちろん中学生のような恋愛はとっくに卒業しているから、寝ても覚めても、という訳ではない。ただ同じ稽古場にいて、彼女の姿を目で追っている。目をつぶり、彼女の声を聞き入っている。それだけで僕は幸せとなる。女優と演出家という関係は、信頼がないとやっていられない。そりゃあそうだ。そんなに舞台は甘くない。半年以上もの時間を、一円の得にもならないようなものにつぎ込むのだから、おたがいに信頼し合い、一丸となって立ち向かっていかなければ意味もない。だから、そのつながりは、男女の恋愛の比ではない。お互い高みに向かわせる何か、だ。そしてその大義名分を僕は持っている。狡猾な僕はそれをうまく利用する。僕は彼女への愛の言葉を他の役者に喋らせ、そして彼女に言って欲しい台詞を喋らせる。それは何よりも幸せだ。他の役者、特に女子部の連中は、僕が彼女に肩入れするのを差別だと言う。僕もそう思う。差別だ。それは当然の行為だ。この現場は僕が作り上げている。僕が、僕の作品の為に作り上げた現場だ。僕の好きなタイプの女性に肩入れして何が悪い?飲み会の席で、いつも隣にいる彼女について、若いスタッフが「あの二人は出来ているんですか?」と尋ねたらしい。それは違う。そして別に僕はそんなことは求めていない。言ってしまえば、彼女は僕のペットなのだ。気位が高く、わがままで、一歩でも扱いを間違えるとプイとそっぽを向く、そんなペット。
2007/11/25
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またか...と彼は思う。また奴のアレがはじまった。しばらくご無沙汰だったから、もぅいい加減に収まったと思っていた。前回のあの時だって、アレのせいで団体が一つ潰れた。「いい加減にして下さいよ。僕はあなたのソレの為に活動しているんじゃあないんですからね!」ファミリーレストランでシラフで2時間ものお説教。あまりにも机を叩くものだから、隣の席はおろか、向こうに座っていたカップルまで何事かと首を伸ばしてみていたっけ。こぼれた水をペーパーで拭きながら、仕方ないじゃあないか...と首をうなだれていたのはどこのどいつだ。大体コレで何回目だと思っているんだ?4...5回目か?おぃ、ちょっと待てよ。じゃあ奴はそんなに何度もそんなコトをやってきたんじゃあないか。ちょっとおかしくないか?40歳ものジジイだぜ。そりゃあ昔はアパレル業界にいたとか、海外在住していたとか、真っ赤なスポーツカーを飛ばしていたとかなんだとか言ってるものの、今じゃあ立派な小デブのオヤジだ。奴が何を持ってる?才能は認めよう。奴は確かに面白いものを書く。うまいんだかヘタなんだかよく判らないが、よくまぁこんなことを思いつくもんだ、と感心はする。それは認めよう。でもそれ以外は?お金もない、社会的地位もない。おまけにこぶ付きだ。二人の子供たちは別れた奥さんの元で育てているらしいが、養育費だってマトモに払っていないそうだ。親として失格。男として失格。なのに、なんだ、この現状は?なんで奴はモテるんだ?いや、モテている訳じゃあない。大抵奴の方から相手の娘にイカレちまっているんだから、決してモテている訳じゃあないな。つまり奴はうまく相手を掴んじまってる。どうして?どうやって?だっておかしいだろう。奴の何処にそんな魅力がある?4人も5人も、倍近く歳の離れた娘たちをコロリと落としちまう魅力が。男には判らない魅力だなんて信じないぞ。モテる奴は他にも沢山いる。そいつらは大抵同性から観ても、こいつはモテるだろうなぁ...と判るもの。容姿だけに留まらず、性格、所作、どんなポイントだって判るものさ。しかし、奴にはそれがない。まぁ皆無だとは言わない。面影は確かにある。しかしそれはもぅ10年前の話だ。かすかな面影、に過ぎない。...まぁいい。これ以上彼の解剖は。意味がない。意味があってたまるか、そんなもん。問題は、だ。奴のアレをどうするか。放っておくのか?取り締まるのか?...どうするべきなのか。
2007/11/23
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