❹-④雑誌撮影でご一緒に・・(D) (画像21枚)


あらこの人ととも・・と意外な人との出会いもあったようです。
何回も企画で会う女の人とは、噂がたったり、橋蔵さんも何人かこの人は・・と思った方もいたような・・・。

livedoorブログ__心の軌跡💞忘れえぬ人*大川橋蔵*投稿の画像とリンクさせているコーナーもお楽しみください。


⛵     ⛵ ⛵     ⛵     ⛵ ⛵     ⛵     ⛵ ⛵

​★(A) livedoorブログ__心の軌跡💞忘れえぬ人*大川橋蔵*投稿とリンクコーナー

🔶【❹雑誌撮影でご一緒に・・(A)(B)(C)からの続きとなります。】



(45)・・・●大川橋蔵・岡田茉莉子の結婚騒動 (1962年6月号明星から)
livedoorのブログ"心の軌跡"掲載記事とリンクさせています➡ 1962年6月号明星から


💛吹きだした橋蔵さん/おどろいた茉莉ちゃん
東映城の若さま・大川橋蔵さんと松竹のピカ一女優・岡田茉莉子さんが結婚する-----こんな記事が、二、三の週刊誌に書かれたから映画界は大騒ぎ。そこで-----
△ハッハと笑いとばして
『恋や恋なすな恋』が猛撮影中のある日。
橋蔵さんにインタビューするため汽車が尋ねたときです。
「見たかい、これ・・・」
そういって、橋蔵さんが一冊の週刊誌を指さしました。ごきげんがよろしくない。
いつもなら、まっさきに冗談の一つも飛び出すところですが、ムッとした顔つき。もちろん記者はその週刊誌に何か書かれてあるか、
ちゃんと読んでいました。
「見ましたよ、だけど、まさか・・・でしょうね」
すると、それまでの、くもりがちだった眉を、ぱっと開くかのように、「ハッハハハ・・・」めずらしく豪快に笑い飛ばしたあと、
「スーダラ節って歌があるだろう。こんな記事をスーダラ記事っていうんだぜ。無責任もいいとこだよ」
ムリもありません。ご本人が知らない間に、結婚の相手がきめられていて、それこそ、”見てきたような”記事が、スイスイとでっちあげられているのですから・・・。
岡田茉莉子さんの場合も、同じでした。
「ある朝、新聞広告を何気なしにながめたら、私の結婚って記事が出てるじゃない。へーえって驚いちゃったけど、よく考えたら、自分のことだから、吹き出しちゃったわ」
そして記事を読んだ後、思わずニヤニヤして、やたら、そんなことを「やっぱり商売ね、うまく書いてあるものだわ」やたら、そんなことを感心したそうですが・・・。
ところで、当のお二人に、それぞれのショックを与えたという記事を、かいつまんでご紹介すると・・・・・

△強くノー・コメント
週刊J誌は、
「東映の二つ看板の一人・大川橋蔵が、最大のショックを受けたのは、ライバル中村錦之助と有馬稲子が結婚したときらしい」
という書き出しで
「錦之助との激しい対抗意識を知る人たちは、”橋蔵は、今年中に必ず婚約するにちがいない”だれもがそう思っていた」と、おおよその状態を説明したあと、岡田さんとの婚約説をつぎのように”裏付け”ています。
「大晦日の日、ふたりは仲むつまじく、肩を組みながら、ピカデリー劇場へ『ウエストサイド物語』を見に行ったらしい」(松竹某シナリオ・ライターの話)
「つい十日ほど前、京都のナイト・クラブで、ダンスをしているふたりを見かけた人がいる」(Y新聞記者の話)
「近いうち、橋蔵に会いに京都へ行きます。そう。社長の命令で、婚約問題について打ち合わせるためです」(東映某受薬の話)
岡田さんの言葉を借りると、やっぱり商売ね、うまいこと書いてあるわ、ということになりますが、誰がみてもちょっと首をかしげたくなるのは、この”証拠”が、全部”某氏の話”という、いささかあやふやな感じを、ぬけきれないものであるということです。
それはとにかく、もう少し、上記の記事を引用させてもらいましょう。
「もう一度、ふたりの婚約説にもどって、大川橋蔵本人の口から確かめてみよう。
橋蔵は三月十六ひ、大島渚監督といっしょに作った野心作、『天草四郎時貞』の試写会のために上京した。
単刀直入、岡田茉莉子との関係を聞いた記者からの問いに、
”へえ『ウエストサイド物語』を見たことまでわかってるんですか。だけど、ちょうどあの日しか空いた日がなくて、見に行ったまでなんですがねえ”
と適当に笑いまぎらしながら
“相手を批判するわけじゃないですが、岡田さんには、いろいろとウワサがあるんじゃないですか。たとえ、ぼくのほうだけに結婚するという意識があっても、相手がその気持ちにならなければ、品がないし、向こうも気を悪くするんじゃないですか・・・”
否定派しないが、肯定もしないという口ぶりである。さらに追及すると、
“結婚の話はしゃべりたくない。これ以上は勘弁してください”
と返事をそらしてしまう」
と、ざっとこんなことが書いてあったのです。当の橋蔵さんは、
「だいいち、ぼくのところへ、インタビューにきてやしないよ」
と、きっぱり否定し、
「もう、この話は、ぜったいしたくない。ノー・コメントだ」
そういって、笑いを失った口元を、キュッとひきしめるのでした。

△一生、女優を・・・
話を、岡田茉莉子さんの側にうつしましょう。いま、岡田さんのまわりには、三つの話題がとりまいているのです。・・・・・
(ということで、ここ最近の仕事の話が書かれています・・・・ながくなるのでここの分は省略します)・・・・・
さて、話がちょっとそれましたが、話題の三つ目は、もちろん前述の結婚説。
そこで記者がロケ先イズ、大仁に尋ねますと-----。
なにごとも、ズバリ思った通りを言っちまうのが、茉莉ちゃんの特徴です。ところが、
「正直いって、あの記事については、なんにも言えない・・・としか答えられないわ」
と、いつになく慎重でした。
「橋蔵さんは、スターがどんどん結婚する中で、まだ残っている大スターの一人だし、私も残っている女優の一人だから、話としては一番おもしろいわね」
ケラケラと笑いとばすところは、さすが、貫禄というところでしょうか。
「いまは、橋蔵さんを、結婚の相手としては考えていないわ。でも、絶対、結婚しないとも断言できないし、かならず結婚するとは、もちろん言えるわけはないでしょ」
「だから、あの記事に抗議しようとは思わない。黙殺ってところね」
そういって、茉莉ちゃんは、器用にタバコをつまむと、さもおいしそうにふかすのでした。

△むずかしい”結婚の条件”
茉莉ちゃんは黙殺するつもりでも、世間は、そうはいきません。
どこへ行っても「おめでとう!」とか「よかったわね」そんな祝福のことばをうけて、ご本人が面くらう始末。
「でも、私のことをよく知っている人たちは、一向に信じてないわ」
と、岡田さんはいいます。
それというのが彼女の結婚の条件が、わりとむずかしいからです。その条件を、彼女に語ってもらうまえに、二人が、こんな会話をかわしているのをご紹介しましょう。
(“婦人公論”5月号より)
橋蔵 俳優の場合、男女とも、相手に理解がなけりゃ、結婚してもだめね。
岡田 その理解ということは、どういうことかということなんだな。私にはわからない。そのところが。
橋蔵 いや、わからなくないサ。
岡田 わからなくないサ、といったって、私にはわからないんだからだめよ。(笑)
さて、茉莉ちゃんの結婚の条件ですが、
「私って、結婚しても、ぜったい仕事をつづけたいの。つまり女優としての岡田茉莉子と、女としての私を一緒に愛してくれる人でなければ、イヤだな。そりゃあ、むずかしいと思うわ。でも、きっとそんな人が出てくれると信じたいな。早く現れてくれればいいんだ
けど」
ということになるのです。
ところで、さっきの対談をも少し引用させてもらうと、
橋蔵 どうして結婚なさいませんか。(笑)
岡田 お答えしなければいけないかしら。
橋蔵 差支えなかったら。チャンスがないわけですか。(笑)
岡田 エエ。私、イガイに簡単にしちまうのじゃないかと思うの。
橋蔵 あっ、そう。
岡田 お互いに希少価値ですからね。(笑)
ふたりの”結婚説”の周辺はざっとこんなところ。
2結婚ニュース”も、いろいろ波紋をまきちらしたわけです。




(44)・・・●仕事はゆっくり、恋はすばやく 対談: 美空ひばりさん 大川橋蔵さん
(1962年4月号近代映画から)
livedoorのブログ"心の軌跡"掲載記事とリンクさせています➡ 仕事はゆっくり、恋はすばやく


☘おたがいに、今年の初仕事が大作とあって、おおいにはりきっているひばりちゃんと橋蔵さん。
お二人に今後の抱負やら、親友の間がらである私生活の話など、さては、ご自分の夢などを存分に語りまくっていただきました。

◇お料理はなァに?
橋蔵   マミイと去年会ったきりだね。
ひばり   そうね。
橋蔵   久しぶりだね 、たまに会うと 本当にいい・・・(笑)
ひばり   (笑)そうね、ひと月しか経たなくても去年は去年ですものね(笑)
橋蔵   そうなんだよ(笑)
ひばり  ( 指折り数えて)ちがうわよ 。ひと月どころじゃないわ 。お会いしたのは「弥次喜多」の時ですから十二月よ。
橋蔵   じゃ、ふた月は過ぎてるじゃないか・・・ やっぱり、ほんとの久しぶりなんだよ・・・(笑)
ひばり  あらめて新年明けましておめでとうございます。 今年も相変わりませぬよう、よろしくお願いいたします。
橋蔵   これはこれはこちらこそ、よろしくお引き立てのほどお願い申し上げます。(いつものように、お二人が寄れば、話はつきま
     せん。仲の良い雰囲気が会場をいっぱいにしてくれます)
ひばり  (食卓のお鍋をさして)このお料理はかわってますね。
橋蔵   カッパの脳ミソ なんだそうよ・・・(笑)
ひばり  えッ?
橋蔵   マミイにね、ぐっと精を つけてもらって、大作にぶつかってもらわなきゃ・・・。
ひばり  あら、 社長さんみたいよ(笑)
橋蔵   (一箸つけて)うまいよ。
ひばり  食べて、精がつきすぎちゃったら、どうしよう・・・(笑)
橋蔵   駆け出せばいい 。それでバランスをとるのよ・・・(笑)
ひばり  オリンピックですね、まるで・・・(笑)
橋蔵   (笑)ほんと、ほんと・・・。

◇素晴らしき映画
橋蔵   あッ、マミイ、 この洋服どうもありがとう。
ひばり  いいえ、 よくお似合いになるわ・・・。
橋蔵   こうして二人でお揃いも いいね。ほんとに、マミイに感謝している・・・(笑)
ひばり  うそおっしゃい、 どうでもいいと思ってるんじゃない?
橋蔵   そんなことはない (笑)こんど東京に行った時も、着てましたよ・・・。
ひばり   胸の飾りなんですけれど 、イニシャル より、 このわしのほうが良かったわ。 成功したわ。
橋蔵   はじめは 、イニシャルをつける予定だったものね。でもね、 この上着の生地が、とてもホコリがつくんだ。
ひばり  毛ですもの、でも、 トミイがどこへ行ってきたかすぐわかるんじゃない。行き先のホコリがついてきたらですよ・・・(笑)
橋蔵   それはそうだ・・・悪いことはできないね(笑)
ひばり  最近、どこかへ行った?
橋蔵   どっこへも行かない。マミイは?
ひばり  それこそ、私はどこへも・・・ そうそ、 映画をみに行きました「ウエスト・サイド物語」。
橋蔵   僕もみた!
ひばり  あれ見たらミュージカルを撮るファイトがなくなるわ、圧倒されちゃって ・・・。実に素晴らしいの一語よ・・・ああいう
     のはアメリカだからできたのよ。 日本じゃ、あれに匹敵するものはできないわね・・・。
橋蔵   話を聞いたんだけどね、製作日数だけで半年、 あの作品の準備期間というか、 レッスンの時間というか、実に4年間もかか
     っているんだって・・・。
ひばり  私はただ一言、 羨ましいと思う 。主演のナタリー・ウッドさんというは、確かに声はきれいよ。そのわりにお芝居とか踊
     りはたいして感心するほどうまいはいえないでしょう 。それなのに、まわりに、あんな立派なバイブレーヤーを使ってい
     る。 同じ女性として本当に羨ましくなっちゃった。アメリカに生まれていたら、あのようなものを撮らしてもらえるのにと
     思ったわ。 情けなくて食事も進まなかった。
橋蔵   ミュージカルものを希望しているマミイの気持ちがわかるね 。ぼくのような、素人が見ても、ものすごく感じたも・・・。
ひばり   (いささか興奮して)ステキですよ。 出だしからドギモを抜かれちゃったわ 。飛行機から撮っている トップ・シーン 。
     それに あの音楽・・・。(たまらないといった感じ)
橋蔵   ミュージカル という 芝居 なのか 普通の生活なのか、はっきりした差別がないんだね 。歌でも生活に結びついているでし
     ょう。
ひばり   ・・・たまらないわ・・・。
橋蔵   マミイの香港で撮るとかいった ミュージカルはどうしたの>
ひばり  今年中には何とかまとまりそうなの・・・。トミイも現代劇に出るんですって?
橋蔵   僕自身には、あまり はっきり話がわからないけど、 去年、 現代劇も演やってみたいなァと話したことあったのよ 。それ
     が、新聞に流れたのかもしれない・・・。
ひばり  でも、何かあったわけでしょ?
橋蔵   撮りたいと思ったものが?あるにはあったけど、 でも、結局だめだね・・・(笑)

◇同じ仲間ネネ
橋蔵   マミイ、おそくなって申し訳ない 。ブルーリボン賞おめでとう・・・。
ひばり  (照れて )いいえ、 どうも。
橋蔵   感想ってなものは?
ひばり  そうね・・・ とにかく 理屈抜きに 、本当にうれしいですね。 これをいただいたことによって 、いままで何年か 苦労して
     きたカイがあったような気がするんです。
橋蔵   ぼくが考えるには、 マミイの場合は、もっと早く もらっているのが当然じゃないかと思った。
ひばり  まさか・・・。でもね。いままではファンの方が愛されてきたけれど、 形として現れなかったといえるんじゃないかしら
     。大衆賞というのは、その意味から形みたいなものでしょ 。それをもらい得たということは、あたしにとって感激で
     す。・・・ この気持ちを大事にしていなくちゃア。
橋蔵   ほんとだよ。
ひばり  また、雑誌の投票でも同じようなことがいえると思うんです。年に一度、 自分たちの努力があらわれたんですから、うれし
     いわ。
橋蔵   ファンが支援してくれるということ、は非常にうれしく思うんです。
ひばり  それに 誰が投票してくださったか、 もちろんわからないわけですけど、その陰の 協力者というのでしょうか。その誠意が
     すごく ありがたいんです 。
橋蔵   ぼくも同じ気持ちだね。
ひばり  ですからあたし、 将来お嫁に行くでしょ?(笑)
橋蔵   (すかさず) どこへ(笑)
ひばり  チャチいれないの (笑)
橋蔵   お嫁に行くとき?
ひばり  一番大事にもっていくのは、いままで貰った賞品だと思っているの・・・おかしい?
橋蔵   いや、おかしいことなんかないよ。立派なことよ・・・。
ひばり  しかし、とうとう独身者は、トミイ独りになっちゃったわね。(笑)
橋蔵   どうもすみません(笑)自分だって独りじゃない?(笑)
ひばり  あたしは女ですもの。
橋蔵   女の子は早くいかなくちゃだめじゃないか(笑)
ひばり  あら、マミイが女の子?(笑)でも、みんなに悪いわよ。
橋蔵   マミイと二人じゃないか。残り少なくなった仲間として、大いに生活を楽しもうじゃないか(笑)
ひばり  (笑)あら、うまく逃げちゃったわ・・・。
橋蔵   しかし実際不思議に思うんだけど、他が結婚したから、まだかまだかと追い込まれてしまうような気がする。
ひばり  追い込まれてするの、いやァね・・・。あたしのお友達はほとんど結婚してるでしょう。ノニ(江利チエミさん)にして
     も・・・だから、世間から、まだ?なんて聞かれると、しないのが悪いみたいね。
橋蔵   実際そうなんだよ。誰に会っても、そのことだり・・・(笑)
ひばり  すみませんっていわなきゃならなくなる・・・(笑)

◇お二人の抱負
ひばり  でもあたしまず第一にお仕事に気が取られちゃう。だから 恋人もできないのかな・・・?
橋蔵   仕事の方は「千姫と秀頼」 でしょう?
ひばり  そうなの。
橋蔵   もうそうとうクランクが進んでる>
ひばり  そんなでもないわ 。もっともこの記事が出る頃はね・・・トイの方は?
橋蔵   もうじき クランク・インするけど 。
ひばり  意気揚々なわけね。「 天草四郎時貞」にはいる気持ちとして・・・。
橋蔵   いや、自信はない。 ただ、 キリストのためでも百姓のためでもない。若い血を持っていたがゆえに 、指導者に祭り上げら
     れる 天草四郎。 その人物になりきりたいと思うね 。大島監督もいってたけど、現代に通じる 天草四郎をやりたいわ
     け・・・
ひばり  おおいに頑張ってくださいね。 陰ながら応援してます。
橋蔵   マミイも千姫を演るんだから、大作 じゃない・・・?
ひばり  ええ、 ですから 責任が重大だと思っています。 今度の場合は、今まで 世間に印象付けられた千姫とはちょっと違うように
     描かれています。あたしの場合、 今までの千姫 はできないと思うの 。小柄で肉体美でもないし 、男を手玉に取る という
     タイプでもないし、私なりの千姫、あくでも女性の面から描く千 姫なんです。
橋蔵   世間では、 マミイの千姫 は彼女にとって飛躍の作品だといっているよ・・・。
ひばり  さあ、飛躍かどうかはわかりませんけど、真剣にぶつかっています。
橋蔵   ようするに 、その作品に挑む態度の立派さは大変なものよ。 マミイの今年の抱負としては 、千姫 もはいっているだろうけ
     ど、 ミュージカルもの?
ひばり  そうね 。本命はやはり ミュージカル。 その最高なものができたら 万々歳 ね。あたとしては・・・。なにもいい残すこと
     はないわ ・・・。
橋蔵   完全に取り憑かれちゃったね 。マミイは・・・。
ひばり  すぐチャカス・・・!ひとにだけ聞かないで、自分のことを話したら どうなの?
橋蔵   ぼくは、のんびりと追い込まれずに、仕事がしたいということ。 それが今年の抱負ですよ。 追い込まれながら仕事をする
     のは、実際もっていやだね。いろんな意味において・・・。のんびりと仕事がしたい。 これから先もずっと・・・
ひばり  お仕事はのんびりと、恋愛は急いで・・・?(笑)
橋蔵   そうなんだ。 僕もその線でいこう・・・(笑)
ひばり  仕事でも私生活でも楽しく朗らかにね (笑)
橋蔵   そうなんだ・・・(笑)
ひばり  たまには、こうして会っておしゃべりするのも、お仕事の疲れをとる意味でいいと思うわ。
橋蔵   それはそうさ・・・・。
ひばり  でも結局、お互いに時間がありませんのね。
橋蔵   そうなんななんだよ・・・。








(43)・・・●初春放談・2「思い出は夢のハワイ・香港」 大川橋蔵さん  岡田茉莉子さん (1962年2月号近代映画から)
livedoorのブログ"心の軌跡"掲載記事とリンクさせています➡  「思い出は夢のハワイ・香港」


◆お腹をかかえてゲラゲラと笑いだしたくなるような話題までとびだして、今宵はまるで漫才コンビのような楽しいお二人です。別荘もつならスイスがいいと橋蔵さん。こんどはヨーロッパへ行ってみたいという茉莉ちゃんです。人気スタアも人の子、せめてもの初夢を胸の中でくりひろげているのです。

😉三枚目はいかが
岡田 しばらくね。
橋蔵 やあ。
岡田 早くきたの?
橋蔵 うんちょっと前。
岡田 なんだか眠そうね。
橋蔵 眠くはないけどもね。昨日来たの東京へは、すぐまた明日帰る。(あらたまって)お元気ですか。
岡田 ええ。
橋蔵 きれいな洋服着て・・・。
岡田 洋服だけ・・・。(笑)
橋蔵 いや、みんなきれいですよ。いまなにやってるの?
岡田 「今年の恋」っていうの。
橋蔵 面白い題名じゃない。
岡田 もう一つ「千客万来」っていうの。
橋蔵 千客万来とかさ、今年の恋とか・・・いい線だね。(笑)
岡田 いい線でしょう。(笑)
橋蔵 「今年の恋」はどういう話なの?
岡田 久しぶりで木下先生の喜劇なのよ。ここんとこ思い役ばかり続いたからとても楽しいわ。出てくると怒ってばかりいるの。
橋蔵 ヒステリックな女の子なんだね。
岡田 自分の弟を不良にしたのは、相手の男、つまり恋人の弟が悪いからと思っている女性なの。それだけ弟思いなんですよね、そう
   いう役よ。
橋蔵 たいへんな弟思いだ。
岡田 そうなのね。
橋蔵 茉莉ちゃん、 ホンとの弟さんはいないの?
岡田 あたし 私はひとりなのよ。 だから わからないんだ。
橋蔵 そうか。
岡田 喜劇 やったことある?
橋蔵 ない。
岡田 やってみたら、割といいんじゃないのかしら・・・ (笑)
橋蔵 いい線だろうね。 (笑)
岡田 二枚目が喜劇をやるとおかしいのよ。 まともな芝居やっていておかしさが出る、これ絶対よね。 ももしも、あたしがプロデュー
   サーなら・・・。
橋蔵 企画してもらわなきゃ・・・。(笑)
岡田 三枚目に使ったりしたら、 ファンの人たちに怒られちゃうかな。(笑)   
本誌 ところでき錦之助さんも結婚されたことでありますし・・・。
岡田 すぐくるからね、 その話に、・・・弱いんだ。( 橋蔵さんの方を見て) どうぞ、あたしはずっとしゃべったんだから、今度はそ
   ちらからどうぞ。 (笑)
橋蔵 ハハハ。 こんな時は 逃げちゃうんだから・・・。
岡田 ずるいわ。 さっきからしゃべったのはあたしばかりよ。 
橋蔵 そんなことない。相槌うってるよ。
岡田  今度はあたしが相槌うつ 。どう この漫才コンビ。(笑)

◆希少価値?
橋蔵 うーん。 結婚ねえ。 そうねえ、 しなければ いかんのかな。
岡田 した方がいいですね。 でもまだいいんじゃない。
橋蔵 まだ若いからね。
岡田 まだいいわよ。三十まで。
橋蔵 二十代のうちはいいんじゃないか。(笑)
岡田 結婚式というとやっぱり 緊張するらしいわね。
橋蔵 錦ちゃんに結婚式の数日前に会って、どんな顔してるのか見に行くよっていったら、笑っていたけれどもね。 こっちもいつかは
   やはり 経験しなければならないことだから、ニヤニヤしていいのか ツンと澄ましていいのか・・・。
岡田 必ず 澄ますのね あれは澄まさなければいけないものなの?
橋蔵 ニヤニヤしたら 気味が悪いよ 。(笑)
岡田 ニヤニヤというよりもいやに堅いよね、 みんな。 ああいう 厳粛なものなのかしら、いざとなると・・・。
本誌 いざとなったら拝見したいですね。
岡田 私は厳粛 じゃないつもり、おかしくって、 いろんな人が来るじゃない 、澄むされないよね。
橋蔵 そうだろうね、 想像つくよ。
岡田 そう、 想像ついちゃいけないわね。
橋蔵 だいたいわかる。
岡田 女の子って困るわね、欲張りで洋式と和式でやりたいと考えちゃうの。
橋蔵 それじゃあ最初は様式で、二度目に結婚する時は着物でやったらいい。(笑)
岡田 本といろいろ考えちゃうのが女の子ね。
橋蔵 やっぱり一ぺんしか考えられないかな。
岡田 それは一ぺんです。 どうしたって。
橋蔵 一ぺんねえ・・・。(笑)
岡田 二度やりたいらしいわね 、その顔つきは・・・・。(笑)
橋蔵 しかし みんな結婚して、だんだん 残り少なくなってきた 。
岡田 そうね、 独身でいることが 希少価値になってきたわね 。
橋蔵 だから今晩のようにいわれる。 (笑)
岡田 たいへんな 希少価値ですものね。
橋蔵 やはり社会情勢とか・・・。
岡田 五十メガトンも落ちたことだし 、いろいろ考えちゃう。
橋蔵 戦争もはじまることだ、これ 結婚の話には関係ないか。
岡田 関係ないわね。(笑)
橋蔵 では 話題を変えて 。
岡田 今何を撮っていらっしゃるんですか ?
橋蔵 ハハハ。 茉莉ちゃんがそんなことを聞くとおかしいよ。
岡田 気持ち悪いでしょ。(笑)(この時鳥肉が出る)
岡田  二度やりたいらしいわね 、その顔つきは・・・・。(笑)
橋蔵  しかし みんな結婚して、だんだん 残り少なくなってきた 。
岡田 そうね、 独身でいることが 希少価値になってきたわね 。
橋蔵  だから今晩のようにいわれる。 (笑)
岡田 たいへんな 希少価値ですものね。
橋蔵 やはり社会情勢とか・・・。
岡田  五十メガトンも落ちたことだし 、いろいろ考えちゃう。
橋蔵  戦争もはじまることだ、これ 結婚の話には関係ないか。
岡田  関係ないわね。(笑)
橋蔵 では 話題を変えて 。
岡田  今何を撮っていらっしゃるんですか ?
橋蔵 ハハハ。 茉莉ちゃんがそんなことを聞くとおかしいよ。
岡田  気持ち悪いでしょ。(笑)(この時鳥肉が出る)
岡田 これ、あたしだめなの。
橋蔵 じゃ、ぼくのも下げてよ。
岡田 いえ、 どうぞどうぞ。
橋蔵 いや 、気が弱い茉莉ちゃんには見せない方がいい。(笑)えーと、なんだっけ 、仕事の話だったね・・・。
岡田 忘れちゃいけないわ。
橋蔵 「赤い影法師 」という 柴田錬三郎さんのもの。
岡田 (澄ました声で)なんの役をやっていらっしゃるんですか?
橋蔵 エヘン、 これは非常に正義感が強くてね、東映がまたまた放つ 娯楽大作・・・。
岡田 映画は東映、 見るのは橋蔵さん・・・ 宣伝しちゃいけないわね。(笑)
本誌 岡田さんは木下先生の作品は何本目?
岡田 二本目。喜劇ばかりなんです。 去年の「春の夢」がそうだったでしょう。 あの時は私だけまともで、周囲の人たちはぜんぶピン
   トが狂っているというような話・・・。
橋蔵 そーお。
岡田 なに、その顔・・・。
橋蔵 ハハハ、そういうわけじゃないけれども 、まあ よかったですな。まわりがまともに見えて、まともなのがおかしかったんじゃな
   いの?(笑)
岡田 また・・・。
橋蔵 ハハハハ。

🌓◇ 夜景が美しい
橋蔵 お母さんお元気?
岡田 ええ、 よろしく申しておりました。
橋蔵 茉莉ちゃんのお母さんはいい方だ。。
岡田 たいへんな橋蔵さん ファンなんの。
橋蔵 これはどうも。(笑)
岡田 お正月は 巡業でしょ。
橋蔵 これは恒例だからね、保養のつもりで出かける。
岡田 どちらへ?
橋蔵 東北。
岡田 伺いますが 歌を お唄いになるの?
橋蔵 ハハハ。 毎年巡業へ行くと唄う。
岡田 踊り 踊って。
橋蔵 踊らない、芝居する。
岡田 お芝居するの?
橋蔵 いい線、 行ってるでしょう。
岡田 見みたいな。
箸蔵 好評につき 。(笑)
岡田 雪国は雪が降ったら娯楽に欠けるから喜ばれるでしょ。
橋蔵 行った土地土地に親近感が湧いてくるね。いろいろの意味において・・・。
岡田 正月の舞台挨拶は、こんどよそうと思っているの。 日劇 五年間 やって、国際 五年間 やったから もういいんじゃないかと思っ
   て。
橋蔵 話がかわわるけど、 香港はいいところ らしいね 。茉莉ちゃん 行ったことある?
岡田 ええ、 素晴らしい とこよ。
橋蔵 行ってみたいね。
岡田 新婚旅行にはぜひ。(笑)
橋蔵 僕はハワイへ行ってきたけど、 あすこもいいところだよ。 真夜中の三時頃パッと目がさめちゃって 、それから 拍まっているホ
   テルの一番上から見降ろすと素晴らしい 夜景 なんだね。四月だったけれども、 日本の八月くらいの陽気でしょう。 それから下
   へ降りて行って泳いだんです。 遠くからハワイアンの音が聞こえてくるし、椰子の葉がサラサラと音をたてている・・・たいへ
   ん ロマンチックな雰囲気です 。だけど一人で泳いでいると 味気ない気もするね。とにかく 条件が揃いすぎてるから、やっぱり
   二人で行くべきところだよ・・・。
岡田 香港の夜景も 宝石箱をひっくり返したみたいにとても綺麗よ。あそこもやはり 恋人が一緒だったらいいわね。 私は大きな部屋
   に一人でいたけれどもなんだか心細かったわ。
橋蔵 茉莉ちゃん 、ヨーロッパへ行けるとしたらどこを回ってみたい?
岡田 スイスへ 行ってみたいわ 。
橋蔵 僕もそうだね。 北欧とスイスはチャンスがあったら是非行ってみたいね。
本誌 ハリウッドのスタアではスイスに別荘持っているのが多いですね。
橋蔵 ギャラが違う 。一年に二本くらい稼いで、半年くらい働いて、あとの半年はスイスで遊んでまた来年と言うんだから。
岡田 人生が楽しめますよね。
橋蔵 スイスでは 家の大きさで税金が決まるんだってね。 物置みたいなのでも別荘に違いないものね 。いずれ 僕も 犬小屋みたいな
   のを。(笑)
岡田 香港というところはスリが多いんですって。あたしなんか 経験しなかったけど、向こうのスリは ハンド・バッグをひったくっ
   て逃げるらしいの。
橋蔵 スリじゃなく 強奪だね。
岡田 貧富の差が激しいということはいえるわね。

△アカの山?
橋蔵 ぼくが子供の頃満洲へ行った時の話なんだけど、オフロ屋というのはどういう具合になっているものか一ぺん見てこようというの
   て、案内してもらって行ってみたの、汚いんだ、アカばかりですよ。
岡田 ぽかぽか浮いてるの?
橋蔵 アカが山のように積んであるのです。
岡田 食用じゃないの、アカ食べて生きてる。(笑)
橋蔵 ほんと、ほんと、驚いた。
岡田 ほんとうのアカなの?
橋蔵 アカ作っているんじゃないかしら、人間のアカだけじゃないらしいよ。
岡田 なおひどいじゃない。
橋蔵 ずいぶん話が落ちてきたな。
岡田 どこからそんな話になったの。
橋蔵 スイスだよ。スイスが美しい国だということから・・・。
岡田 オフロにアカがたまったらきれいじゃないわよ。(笑)
橋蔵 まじめな話題にきりかえよう。(笑)
岡田 ではぐっと・・・・・・女性の場合たいへん難しい問題なんですけど、仕事と結婚ということね。
橋蔵 最初の話にもどったね、ぼくは弱いんだその話。(笑)
岡田 ううん、そういうことじゃないの。ある人にいわれたことあるんだけど、あんたは何万人の人たちの中から選ばれた人間なんだか
   ら、大げさにいえば日本の芸術のために女としての幸福-----つまり結婚すべきではない、というのです。でもそんなこといって
   もやっぱり女ですものね・・・。
橋蔵 まあ男の場合は、結婚してもやっていけるけどもね・・・当たり前のことなんだけど、家庭人としてまともな生活をして仕事に精
   進することは人間として大切なことだからね。




(42)・・・●おしゃべりSALON "いつでも仲人引きうけます”  大川橋蔵  若尾文子
      (962年2月号婦人生活から)
livedoorのブログ"心の軌跡"掲載記事とリンクさせています➡ 1,962年2月号婦人生活から
Жこの対談では、橋蔵さん自身の言葉からいろいろみえてくるところがあります。その一つとして、1958年5月23日の出来事、帰宅時暗がりで、ラバーシューズでスリップして右手をつき、ビンのかけらで手のひらを負傷したといわれていますが、本当はこうだったと語られていますように・・・Ж

♥️“恋人”探し
橋蔵 NHK賞の受賞おめでとう。どう?ご感想は。
若尾 どうもありがとう。すごくうれしいわ。形にあらわれるということは大事なことなのね。賞をいただいてみてわかったわ。
橋蔵 長い間努力してきた仕事に一つのくぎりがつくことだしね、これからますますいい仕事ができるだろうし。
若尾 今までは受賞ってそんなにいいものかしらなんて思ってたけど、今は、どうして前から受賞を目標に努力しなかったかと思う
   くらい。
橋蔵 ぼくの大先輩がいったことばだけど、「賞はとろうとするものではなく授かるものだ」というんだ。だから若尾ちゃんの場
   合も仕事に全力を尽くして授かったのだから、値打があるんだよ。
若尾 ありがとう。それにしても縁の下の力持ちになって下さった方たちに感謝したい気持ちでいっぱいだわ。
橋蔵 そうね、ぼくたちの仕事は一人の力ではできないものね。
若尾 あなた”恋や恋”ではだいぶ相手役でお悩みになったようね。
橋蔵 恋人で悩む(笑)、だから題名が”なすな恋”(笑)
若尾 もうお決まりになった?
橋蔵 まだ発表の段階にいたらないの。確定し次第発表します。
(“恋や恋なすなこい”の橋蔵さんの相手役はこの対談後、嵯峨美智子さんと決定)
若尾 なんだか婚約発表みたいね。(笑)
橋蔵 何しろ一人三役でとても重要な役だからね。
若尾 すると三人の女性に慕われるわけ?保名は。
橋蔵 そう、三人目が狐の化身でね。演出もファンタジックな面が相当織り込まれるはずなんだ。若尾ちゃんは”雁の寺”でしょう。
若尾 ええ、私のやる里子って欲がない女なの。ただ食べるために自分の身体だけをもとでに男から男へ渡る。そしてそんな中でけ
   っこうぬくぬくとしあわせに生活しているというおんなでしょう。とにかくやさしさと柔らかさ、そういうものを全部もって
   いる女なの、男の人からみたらつまんないんですってねこんな女。
橋蔵 そうですかね。(笑)
若尾 水上勉先生や監督の川島先生は大胆な色気を出してくださいとあっしゃるけど、お色気に弱いんだ、私って。
橋蔵 いやいや、どうして、最近の若尾ちゃんそうとうなもんだよ。
若尾 ほめられているんでしょうね。(笑)
橋蔵 もちろんですよ。
若尾 橋蔵さん、今年は現代劇おやりになるんでしょう?
橋蔵 やりたいな。でも現代劇というと、会社は”鶴八鶴次郎”をやれ、”残菊物語”をやれというんだけれど、ぼくは違うんだ。「へ
   えー、橋蔵これやるの!」とみんながびっくりするような、いままでのぼくのイメージからは全然想像のつかないような役を
   やってみたいというのがぼくの念願なんだ。
若尾 どんなのがいいかしらね。
橋蔵 いまやってみたいと思うのは、演出するほうも、やるほうも甘いの。演出が甘くて内容の深刻なもの。それでひょっと思った
   のは、アラン・ドロンの”太陽がいっぱい”。
若尾 そうそう私もそれをいま言おうと思ってたところなの。それから”陽の当たる場所”のモンゴメリー・クリフトね。きれいなス
   テキな人が人を殺したりしたらスゴイと思うわ。
橋蔵 若尾ちゃんの”妻は告白する”はちょっとそういったニュアンスでしょう。
若尾 そうね。あの役すごく難しかったけど、割りと好きな役だったわ。
橋蔵 このところすごいじゃない、夫を殺したかとおもうと、こんどは男性を片っぱしから悩殺しようというんだから。(笑)
若尾 でもお芝居って全然自分にないものの方がやりやすい。そう思わない?(笑)
橋蔵 たしかにそう、冷静に観察できるからね。
若尾 “放浪記”もやる予定なの。これは”雁の寺”の女とは全然反対、一途でひたむきで、これも楽しみだわ。
橋蔵 なかなかバラエティが合っていいね。ぼくも映画界へ入って七年になろうとしているからね。ここらで橋蔵のものはおもしろ
   いとかいう一つの確実なものを観客に植えつけたいな。
若尾 私もここまでくるのに十年かかった。もちろんまだまだこれからだけど・・・。
橋蔵 東映は今年は大作主義でいくそうだけど、ぼくとしてはお金をかけた大スぺクタクルより、小さい話でも十分に準備期間をも
   って、これでよしという賞賛をもって仕事に入りたい。本数を減らしてね。今までのように年間十二ホンなんて言うんじゃだ
   めだよ。
若尾 年間五、六ホンがいいとこね。

😠短気は損気
橋蔵 お正月はこちら?
若尾 そう、京都でのお正月は初めてよ。
橋蔵 ぼくはいつも正月十日間位は地方公演なんだ。京都にいれば案内してあげるんだけどな。
若尾 でもお仕事だからあんまり遊べないわ、きっと。せいぜいホテルでテレビをみて編物でもして・・・。
橋蔵 編物おとくいなの?
若尾 好きなの、作るのが。私のは全部独創、編物の本なんかみたことないわ。
橋蔵 着られるかな。(笑)
若尾 まあ、失礼ね。でもあんまり威張れないかな。いつか腕が二本も入りそうな袖つくっちゃったから。(笑)とにかく作んるのが
   たのしみでね、できるとたいてい人にあげちゃうの。
橋蔵 いい趣味だ。(笑)こんどぼくの寸法おしえとこうかな。(笑)でも編物人ってよほど気の長い人ゃないかとぼくなんか思うけ
   ど。
若尾 ところが私って、案外時価よ。その点釣りに似てるんじゃない?釣りの好きな人は短気っていうでしょう。
橋蔵 ぼくも釣りが好きだ。(笑)
若尾 釣りをやっている人は長いこと待ってるけど、あの間なにを考えての?
橋蔵 食うか食うかって・・・。
若尾 そればっかり?くたびれちゃうわね。(笑)
橋蔵 うきがびくっと沈む、その瞬間の気持ち、なんとも言えないな。ぼくの最大の獲物は、これくらいの(両腕をいっぱいに広げ
   て)本がつお。生きたいわしの眼に針をとおして投げ込む、いわしが泳いでいるのをガックンと食うんだ。それからがたいへ
   ん、糸をたり、ゆるめたり、三十分くらいかかって舟端まで引寄せて、これを舟に引き上げるのにまたコツがいる。こうリズ
   ムにのせて、舟ばたで一つダウンさせて・・・(とゼスチュア入りの説明)
若尾 面白そうね 。でもそれくらい 釣りが好きだとすると 、よほど短気だということになるわね、 橋蔵さんも。
橋蔵 そうなの 、実は。
若尾 でもあたりがやわらかでそうは思えないけどな。
橋蔵 おさえているんだよ。ぼくは 一度癇癪を起こしてケガしたことがあるんだ 。だいぶ前のことだけど、休みたいのに会社がど
   うしても休ませてくれない、とうとう 癇癪を起こしてね、 じゃあ こうすれば休ませてくれるでしょう って、コップをわし
   づかみにつかみつぶしたら指のすじを切っちゃった。
若尾 まぁあぶない 、短期は損気ね。
橋蔵 それ以来 ムカッとしたら口に出す前に、一呼吸 間を置くことにした、これは効果があるね。
若尾 そうよ、お芝居と同じね、まが大切なところは。
橋蔵 今でも 言い出したら絶対後へひかない。 いつか誰かに僕の話の中には「自重」と 「なみ(ふつう)」ということばがよく出る
   っていわれたけれど、それを絶えず自分を抑えて 中庸を保とうとしているせいからかもしれないな。その点 動物はいいね
   、気楽に付き合えてサ。(笑) 若尾ちゃんのおうちの犬 、吉田元首相のところへおヨメに行ったんでしょう?

🐶犬とお酒と
若尾 そう、セバードね。うちにいま セパード三匹と真っ白のマルチスがいるわ。
橋蔵 僕のところにも、 マルチスがいるよ。あれ 目つきがよくないな。 目のところにかぶさっている毛をピンで止めてやると、
   うらめしそうな目でぼくを見るんだ 。(笑)
若尾 そんなことをするからよ、毛がかぶさっているのが自然なのよ。
橋蔵 ぼくはスピッツが好きだ。
若尾 人によっては うるさくて嫌だっていうわね。
橋蔵 京都のぼくのうちには二匹いるけど、一匹の方は八才のおばさん、すごくおとなしいよ 、主人に似て・・・。(笑)
若尾 自分をおさえているんじゃない。(笑)ほんとに犬って可愛いわね。めったに 家にいない 主人でもちゃんと覚えてて、夜中に
   帰っても飛んできて迎えるんだもの、 人間より 忠実だわ。
橋蔵 但し お茶は 持ってこないけどね。(笑)
若尾 (橋蔵さんにタバコをすすめかけて)ああそうそう。たばこはお吸いにならなかったわね 。歌を歌うから?
橋蔵 そうじゃない。たばこを吸うとどうも調子が悪いの。女形をやってたからだと思うけど、ぼくの声 ちょっと高いだろ。声帯
   がおかしくなったんだね。
若尾 酒の方はだいぶ 行けるでしょ。
橋蔵 ちょっとなめる程度ね。 ブランデーをなめてお風呂に入る、 これがぼくの疲れ 直し療法 なんだ。
若尾 私はお酒はダだめ、胃が弱いから。だから 大好きなお餅も二きれしか食べないの。
橋蔵 リンゴと人参をすったジュースを飲んでごらんなさい 。ぼく 毎日やってる 。
若尾 よさそうね。
橋蔵 馬だって人参食べると張り切るからね。(笑)
若尾 私寝る前に体操するの。とってもたのしみだわ 。ラジオを聴きながらやってみたり 、今ではしゃべりながらしても息がはず
   まないくらいべてらんよ。(笑)
橋蔵 毎晩やるの?えらいな。ぼくなんか朝六時に起きてラジオ体操してなんて思うけど、思うだけ。
若尾 寝る前にしようと決めたことあるでしょう、いろいろと。それを習慣にしちゃったから寝るまでは時時がかかってたいへん。
   でもやらないと気持ちが悪いの。
橋蔵 そういう習慣はいくつくらいあるの>
若尾 そういうことはあまり公表できません。(笑)朝は朝で忙しいの。自分でヘアセットするでしょう。
橋蔵 ふーん、器用だな。
若尾 セット用具一式揃ってんの、ドライヤーも、若尾美容院、ご用の節はどうぞ。(笑)
橋蔵 このごろ和服が割りと多いんじゃない?
若尾 役柄でね。それに和服が似合うって。これは中年の男性のおっしゃることだけど、橋蔵さんはどんな洋服が一番お気に入り?
橋蔵 パンツ一ちょう。(笑)お品が悪いって怒られちゃうかな、ファンに。扮装では着流しが好きだね。でも人間たまにはパリッと
   した服装も必要だと思う、紋付き袴であぐらはかかないからね。
若尾 ネクタイは渋いのね。
橋蔵 年とったらだんだん派手にしようっていう計画なんだ。好きな色はほんとうは紫、紫って哀愁があるでしょう、ムードが。ム
   ードによわい、ぼくは。(笑)

◇仲人業うけもちます
若尾 じゃ、橋蔵さんの心を射とめるにはムード攻勢にかぎるわね。
橋蔵 いや、そのときは自重しますよ。(笑)若尾ちゃんは一途な女性の役が多いけど、地はどうなの、恋愛した場合。
若尾 まだ一途になるような思いってしたことないのよ。してみたいと思うわ。
橋蔵 そういう男性にまだ会わないのかな。
若尾 それにしては長すぎるわネ。(笑)いつか会うかしら、ねェ?
橋蔵 人ごとみたいな顔して!(笑)
若尾 でもね。そんなに一途になって燃えつくすもんじゃないと思うの、私は。二人で協力して徐々に大きくしていくものだと思
   う、ただし結婚はしたことないけど。(笑)
橋蔵 そうそう。限度があるよね。恋愛で苦しむのも、お互いにいい意味でエンジョイしていくというのがいいんじゃないかな。
若尾 エンジョイできなくなる段階にきたらやめた方がいいでしょう。もっともそう簡単に割切れるかどうかわかんないけど。
橋蔵 そこが問題たよ。(笑)でも若尾ちゃんのように仕事を持っている人は、そこでふみとどまるかもしれないね。
若尾 私は仕事がそのまま伸ばしていけて、同時に協力して二人の生活を伸ばしていける可能性のある人でなかったらいやだわ。
橋蔵 女の人でも才能があるなら、結婚してもその才能を伸ばしたほうがいい。これからの世の中は共稼ぎも悪くないよ。
若尾 ウヮー、すごく理解があるのね。結婚してからも女の才能を伸ばしてくれるような寛大な人っていないわ。橋蔵さんくらいの
   ものだわ。
橋蔵 そうかな。
若尾 その点向こうの人はえらいわね。私が会った人で、弁護士の奥さんが女優なの。奥さんに人気があるってことを誇らしげに話
   している。そうするとその旦那さんがむしろ大きくみえるの。うらやましいと思ったわ。
橋蔵 そうはいうものの、実際のところ、ぼくなんかもあぶないかもしれないな。ぼく京都で一軒家をもっているでしょう。ところ
   が朝から晩まで仕事。その間家を取り締まる人間がいないのよ。だいたいそれは女房の役でしょう。その女房がいないからど
   うしても締まらないところがある。だからぼくは亭主兼女房で「台所がきたないよ」なんてそんなところまで自分でやらなき
   ゃならない。(笑)ぼくは食器にいたるまで自分で買うんだ。そういうことをかんがえるとだネ、亭主としては家にいてほしい
   と考えるかもしれないネ。
若尾 そら、本音が出た出た。
橋蔵 まあ、そういうことにしとこう。橋蔵あんなえらそうなこといっていたのになんてことになると困るから。(笑)
若尾 私、結婚だけは外の人としたいと思ってるわ。
橋蔵 映画界以外の?
若尾 そう。私って子供の時からこの世界へ入ったから、映画を通じてしか人生ってしらないでしょう。だから結婚だけは外の空気
   を吸ってる人とね。ただしまるで映画を理解しようとしない人じゃ困るわね。どういうか、私と歩いて人にみられても気にな
   らないくらい自分の仕事に自信を持っている人。
橋蔵 わかるわかる。
若尾 どう、いないかしら。(笑)
橋蔵 探してお仲人になろうかな。(笑)
若尾 独身のお仲人ってあんまりないから、それまでにご自分の方もみつけなくちゃね。(笑)どういうタイプがいいでしょう。
橋蔵 なみでけっこう(笑)とにかくらしい人がいいな。和服であろうと洋服であろうとその人らしく着こなしている、そんな人、そ
   して女なんだから女らしい人。顔だけはいかにも女らしいのに芯がいこじっていうか女らしくない人いるでしょう。あんなの
   いやだな。とまあ、あたりさわりのないところで。(笑)
若尾 そうね、根もないゴシップには悩まされるわね。
橋蔵 日本の現状ではしようがないけれどもね。(笑)それがだヨ、それもなら話はわかるけど、そればっかり。(笑)誰と誰が結婚す
   るか。結婚するとこんどはいつ離婚するか・・・。
若尾 ほんとうよ。ただね、一ついいことは、いろいろと紹介してくれるから、とっても参考になる、どうしたらいい結婚式が挙げ
   られるか・・・。(笑)
橋蔵 しかも経済的にね。(笑)
若尾 私ね、最近やっと結婚てよさそうだなと思うようになったわ。だってあんまり皆が結婚するでしょう。簡単にできそうな気が
   して・・・。(笑)
橋蔵 ハハハハハ。そりゃね、まとまるってことは幸福なことだからね。錦ちゃんなんかもしあわせだな、その点、みんなに祝福さ
   れて、うらやましいョ。
若尾 でも傾向としてはいいことね、俳優もみんなに祝福されて堂々と結婚できるようになったんだから。
橋蔵 そうね。まあ独身者もだんだん残り少なくなってきたから、ますます風あたりが強くなるだろうね。(笑)
若尾 早く見つけることね。お互いに。(笑)



(41)・・・●豪華対談特集より【おしゃべり対談】二人のモットーは”いつも朗らかに!”  大川橋蔵さん・大川恵子さん
      (1962年近代映画1月号から)
livedoorのブログ"心の軌跡"掲載記事とリンクさせています➡
1962年近代映画1月号から

病いえて見事カムバックを見せた恵子ちゃんを 迎えて橋蔵さんは大喜び。これからも変わらぬ友情で、明るく朗らかにお付き合いしようね・・・と大ハリキリ!

💟心臓が弱いの?
橋蔵  両大川の登場となりましたね。
恵子  1年ぶり以上ね。
橋蔵  恵子ちゃんどう?体の調子は。
恵子  おかげさまで八分通りよくなりました。
橋蔵  今一本だけ?
恵子  はい、一本だけです。
橋蔵  じゃああまりきついこともないね。
恵子  そうです 。
橋蔵  よかったね。
恵子  ありがとう。どうもすみません、ご心配かけて・・・。
橋蔵  とっても、綺麗になったね。
恵子  あら、そんなことありませんわ。
橋蔵  いや、本当に・・・。
恵子  ・・・・ただ、山の中へ行ってきましたから・・・。
橋蔵  毎日、何をしてたの?
恵子  ぼんやりしてただけ。これといって楽しみもなかったわ。
橋蔵  どこの山の中?
恵子  上高地の白骨温泉、すごくひなびたところなの。
橋蔵  上高地にはそんなところがいっぱいある。僕は今年の正月ロケで上高地に行ったことがあるけど、恵子ちゃんのそことは違 
    うね。
恵子  うらぶれた美橋蔵しさがありましたわ、そこで毎日・・・。
橋蔵  水も綺麗でしょ?
恵子  ええ、澄み透って、冷たくて、本当の水っていう気がしました。
橋蔵  その水で、顔も洗うし、風呂にも入るわけだ。
恵子  そうです。
橋蔵  どおりで美しくなったと思った。(笑)
恵子  (負けずに)ますます若くなっちゃてるわ。
橋蔵  若いんだね。だんだん若くなっちゃうんだ、どうしたらいいだろう・・・。(笑)
恵子  知らないわ(笑)
橋蔵  山にどのくらいこもってたの?
恵子  1ヶ月くらい。
橋蔵  電気などあるところ?
恵子  電気はあります。
橋蔵  上高地には電気のないところがあるんだよ。ランプつけてね・・・。
恵子  本当ですか?
橋蔵  体の方は八分どおり治ったとしても、普通に仕事をするぶんには差し支えないんでしょう。
恵子   あまり、疲労しない程度だったらいいの。
橋蔵  決まった箇所が悪いんじゃないでしょ。
恵子  肝臓が悪いの。
橋蔵  心臓が弱いんじゃないの?((笑)
恵子  あら!(笑)そうかもしれない。
橋蔵  休んでるうちに太っちゃったね。美しいですよ。恵子ちゃんは太った方がいい。
恵子  橋蔵さんもきれいですよ。可愛いわ。(笑)
橋蔵  可愛いんだからね、困っちゃうな。(笑)

🎬芸名と本名
恵子  橋蔵さんはすごく大人に見える時と、すごく子供っぽいときとあるんですね 。
橋蔵  そうかなあ、大人のつもりでいるんだけど、地が出るんだね、可愛いところが出るんだね。 ・・・。(笑)
恵子  やはり、その日その日のコンディションによってそういうふふうに見えるのかしら?
橋蔵  深刻なことを考えている時には非常に大人っぽく見えるんじゃないのかな?
恵子  こわいわね、そういう時は・・・。
橋蔵  だから、普通のんきにしている時は子供っぽく見えると思うんですよ。
恵子  そうね。
橋蔵  今日なんか可愛い時だよ。(笑)でもね、大人になって可愛いというのは、どこか足らないということだよ。
恵子  それとは違うわ。もっと純粋にとってもらわないと・・・。
橋蔵  よかった、よかった。(笑)今年の正月の休みは?どこかへ 遊びに行く?
恵子  私はもう 、2ヶ月も休んだし全然・・・。
橋蔵  実はまだ決めてないけど。
恵子  授業は10日間くらいですか。
橋蔵  そう。毎年恒例の旅をね。(食卓にビールが運ばれる)
橋蔵  恵子ち恵子、ビールはどう?
恵子  私はジュース。
橋蔵  ちょっと、飲んだ方がしゃべりいいよ。
恵子  飲まなくってもしゃべります。
橋蔵  恵子ちゃん、最近朗らかになったからね、本当にいいよ。すごく明るくなった。やはり体の状態かもしれないね 。失礼だけ
    ど以前は、年の割に非常に寂しいように見えた。内心朗らかなんだろうが、外面が寂しそうに見えた。それで明るい雰囲気
    にしてあげたら、ほがらかになるのじゃないか、そういう場合でもちょっとでも世の中を見ておいた方がいいんじゃないか
    といろんな意味で食事に誘ったりしたんだけど、パッと書かれたりしたからね。お互いに気をつけているんだけど・・・。
    けいこちゃん自身もそういうことが分かってきたから、朗らかになってきたんじゃないかしら。
恵子  やはりそういうこともありますね。
橋蔵  どうしてカコちゃんていうの・・・。
恵子  加古啓子というのが本名なんです。
橋蔵  加える古い?
恵子  カコと読むんです。
橋蔵  へぇー、僕はカコって、何かペットネームかと思ったね・・・。
恵子  みんながそういうのよ。
橋蔵  珍しい名前だね。じゃ加古って表札をかけておくの?
恵子  とられちゃったの。
橋蔵  僕も6つくらい、取られちゃって、それで今かけてない。
恵子  大川恵子というのは大川博社長からもらったの。
橋蔵  そうか、その大川をとってね・・・。
恵子  「大川に恵まれる子」というの。
橋蔵  縁起がいいね。
恵子  そのとき東京だったでしょう。西の大川に東の大川といわれるようになるよう頑張りなさいといわれたわ。(笑)
橋蔵  そう。すごいね、ふーん・・・。(笑)それから間もなく京都へ来ちゃったの?
恵子  そうです。
橋蔵  そこで大川の対面となったわけだ(笑)こりや。水が氾濫しちゃうね。(笑)

🏃‍♀️お二人の健康法は
橋蔵  あと1週間ばかりは外へ出ない方がいいよ。
恵子  どうして?
橋蔵  放射能---雨にあたったら大変だよ。
恵子  そうだったわね。
橋蔵  僕は絶対外へ出ないね。食べものに気をつけて・・・水も飲まないね。朝からビールばっかり…(笑)
恵子  あら・・・。毎日飲むんですか?
橋蔵  飲まないよ。
恵子  例えば、小さい瓶1本とか・・・。
橋蔵  飲まない。たいてい家へ帰って夕食するときにブランデーをちょっと飲むくらい。
恵子  黒ビールなんかいいらしいですね。
橋蔵  僕は普通のビールと混ぜて飲むんだけど・・・。
恵子  うわあ、すごい。
橋蔵  恵子ちゃん。常備薬何飲んでる?僕はニンジンと、リンゴをすってしぼったのをコップ1杯毎朝飲んでいるんだけど・・・。
恵子  飲みにくくない?
橋蔵  リンゴ入れれば絶対飲みにくくない。
恵子  ミキサーでやったらどうなの?
橋蔵  そうじゃない。手でするの。一度やってごらん。僕、去年あたりからやってるんだけどとてもいいよ。
恵子  そんなにいいんですか?
橋蔵  ニンジンは馬も元気になるくらてだから、絶対いいよ(笑)本当だよ。絶対、健康にいいし。
恵子  食事してから?
橋蔵  いや、起きてまだ、何も食べないとき・・・。僕はお湯が好きだから、顔を洗ってお風呂へ入るの、そのあとキューっと飲
    むんだ。
恵子  それが橋蔵さんの健康法ね。
橋蔵  健康法ということないけど、習慣的なものだから、飲まないと気持ちが悪いね。
恵子  塩も何も入れないで?
橋蔵  リンゴとニンジンのミックスジュースですよ。さして神棚を掃除して・・・。
恵子  毎朝?
橋蔵  毎朝神棚掃除して、食事をして、ラジオ体操して・・・(手を上下に伸ばして)(笑)
恵子  うそばっかり・・・(笑)
橋蔵  うそじゃない。じゃ、一度僕の家にきてごらん。神様を掃除して拝むということは気持ちがいいですよ。決して、神頼みと
    か、いうことじゃなくて・・・・。リンゴとニンジンはぜひ一つ、ご利用ください。提供は大川薬品でした。(笑)
恵子  ニンジンというのは一年中ありますからね。
橋蔵  絶対にいいから・・・。
恵子  くさくないですか。
橋蔵  くさくない。少々ビタミンの匂いがするけど・・・。
恵子  その程度?
橋蔵  恵子ちゃん、風邪よく引く?
恵子  あまり引かない方なの。
橋蔵  風邪ひかないのは何とかっていうね。(笑)そういえば、くしゃみしたことみたことないね。
恵子  こんど風邪引くわ。(笑)
橋蔵  無理に引かなくていいですよ。この頃は世の中がかわってきているから。(笑)
恵子  今、橋蔵さんちょっと、風邪気味なんですって?
橋蔵  フウジャ(風邪)の気味なんですよ。(笑)

📅62年の計画は?
橋蔵  恵子ちゃん、食べ物で嫌いなものがある?
恵子  ニワトリだけ、あとは何でも食べる。
橋蔵  じゃ、ふぐを食べなさい。あくる日はものすごく体の調子が良くなる。
恵子  そうかしら・・・。
橋蔵  半身ぐらいはピリピリ痺れて・・・(笑)
恵子  いやだ、こわいわ。
橋蔵  ウソウソ。 実はあんまさんにかかったみたいで、血液の循環がよくなるんだ。次の日はドーランの伸びが違うんだ、ちょっ
    とオーバーかな?
恵子  あったまっていいんですってね。
橋蔵  タマゴは食べるの?
恵子  喜んで・・・。
橋蔵  親は嫌いなんだね。僕の知っている人でナスのこわい人があるよ。 ナスを見ると顔が真っ青になっちゃう。
恵子  きゅうりがこわい人長谷川裕見子さんね 。
橋蔵  例えば、お膳を運んでくるでしょう。そうすると顔が変わるの。 見ても。ナスなんかのっかってないわけですよ。しかし、
    その人はナス、ナスって言うんですよ。それでお椀の蓋をぽんととったら中身がナスなんだよ。何か知らんけどわかるんだ
    ね、顔が真っ青になってね・・・おまんじゅうこわい人もいるよ、監督さんで・・・。
恵子  怖い怖いといって食べるんじゃないですか。(笑)
橋蔵  そうじゃない、本当に怖いんだ。
恵子  橋蔵さん、何が怖い?
橋蔵  女性が怖いね 。(笑)真っ青になる。(笑)
恵子  どうりでさっきから顔色がよくないと思った。(笑)
橋蔵  やられた。(笑)久しぶりに作品に出て見て、 何か戸惑うようなことなかった?
恵子  2ヶ月くらいだから 。
橋蔵  心機一転張り切るという気持ちはあるでしょうね。
恵子  そうね。気持ちは変わるわね。今まで惰性でやってきたものが、何かひとつ、そういう転機があると・・・。
橋蔵  休養することは、今までの自分の反省とともに、これからのいろいろな方針も立てられるし、一年に一月は休養しなきゃい
    けないね、人間は・・・。この前、現代劇に出てみてどうだった?
恵子  面白いわね、たまには・・・。橋蔵さんは?
橋蔵  時代劇の橋蔵というもののイメージと違ったものでやりたい。
恵子  橋蔵さんの現代劇というとちょうど明治調のものを思い出すでしょう。 そういうものは嫌なのね。
橋蔵  そう。
恵子  週刊誌にちょっと出てましたよ。香港の女優さんと共演なさるて・・・写真まで出てたわね。
橋蔵  僕は知らない。現代劇た第1回作品だけはね 、やはり慎重に撮らなきゃ・・・。
恵子  そうね。
橋蔵  「故郷は緑なりき」を見たけど、出番は少ないけど、すごく、印象的な役だったね。
恵子  そうね。4シーンだけ・・・。
橋蔵  しばらくぶりで現代劇へ出てみてどう?
恵子  お芝居やってても動きやすいし、何か、本当の自分として自然にできたわ。
橋蔵  来年の計画が立った?
恵子  まだまだ・・・橋蔵さんは。
橋蔵  僕は毎年お正月10日間巡業に行くでしょう。その10日間のうちに一年間のいろんな事を決めるの。 大体、お正月に三つの
    プランを立てたの。後援会を改革、東京に家を持つこと、リサイタルを歌舞伎座でやること。
恵子  叶えられました?
橋蔵  一つだけ残っちゃった。東京に家が見つからなかったのが、仕事とは別。これは三つに限らない。
恵子  私もこれから考えるということです。(笑)家は今年中に見つからないの?
橋蔵  わかんない。まだ2ヶ月あるから、この間に探さなきゃ・・・。
恵子  今年今年というのは、36年度は年がよかったとかそういうことですか。
橋蔵  そんなことと関係なく、現在の東京の家のいろんな事情があるからね。どうしても今年中に引っ越そうと思ったんだけど
    ・・・。
恵子  大いに頑張ってください(笑)
橋蔵  話が飛ぶけど、二人で何本くらい撮っただろう今まで・・・。
恵子  少ないわよ。7、8本くらいじゃないかしら・・・。
橋蔵  そんなもんだね。
恵子  最近作で、「若様やくざ」ですものね。
橋蔵  今、撮っているのはお正月の作品なの?
恵子  いいえ、12月の・・・。
橋蔵  お正月作品ぐらいは共演したいね。
恵子  そうですね。そうなったらまた・・・(笑)
橋蔵  そうなんだよ。しかし嫌なことだと思うけど、僕としてはまだ独身だということでさ、いろいろと書かれることは諦めてい
    るんだよ。しかし、ちょっとやはり、情けないと思うね。事実、あれから、何かとみんなが変な目で見るんじゃないかと、
    恵子ちゃんも思っていると思うけど、僕もフッと意識することがある。何かそこに気まずさが生ずる。友だちだったものが
    何か変にかんぐられて、お互いに誤解されるのがいやなんだ。これは非常にさびしいと思うね。例えば、僕は男だから、あ
    る程度でっちあげて書かれてもかまわないけれども、女性の場合はそうはいかないだろうと思うよ。
恵子  そうね。撮影所で会っても人が見てると何か思ってやしないかと、話かけるのもつい遠慮してしまったり・・・。
橋蔵  だけど、僕なんか図々しいほうだから平気だけどね。恵子ちゃんもそんなに気にする必要はないと思うよ。かえって、気に
    することがおかしいんじゃないかと思うんだ。事実友だちなんだから、友だちとしてつきあうということは決して悪いこと
    じゃないと思うね。でも、最近の恵子ちゃんは本当に明るくなったよ。
恵子  やはり、それにはいろいろの理由がありましたね。これからもつとめて、明朗で行きたいわ。
橋蔵  そうですよ。やはり、われらのモットーはいつも朗らかにで行かなきゃ。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: