お前達は喧嘩を売っているんだなあ
唐金屋総右衛門は身の回りにおいているやくざ風の松造から、部屋住みらしい侍が伊勢屋に現れたり、目明しに何か話していたことを聞くと、少し脅かしておくようにいいます。
小吉と別れ、ひと風呂浴びた 若さまはお若い矢に向います
。 (
お若い矢の娘達が「若さま風来坊」の歌にのって開店の用意をしています。 )
そこに 若さまが店にやって来ました
。
そこへ「あら、若さまの旦那」とお澄が声をかけ、今日宿に伺ったことを話しますと、若さまは、
若さま「それはもちっともしらなかったなあ」
お澄 「ねえ、 ちょっと
、若さまの旦那、あの船宿の娘、あれなあに」
若さま「 なにって
、 ただの娘だが
」
お澄 「いえ、違うわ、 あの目つき
、あの人 若さまを狙ってんのよ
、 きっと
」
若さま「なあんだい、 泥棒だなあ
、 まるで
、 あはっ
」
楽しく弓を引いているところに入って来たのは松造はじめやくざ風の男達でした。女将のお蝶が「いらっしゃいませ、お遊びですか、お酒 ?
」と声をかけられた男達が近づいて来るのを にゃっとした顔をして待つ若さま
です。
松造 「おう、おめえ様は 何処の若さまだ
」
若さま「 さあなあ
。 店の者は知ってるが
」
松造 「ほお、御自分の口からはおっしゃれねえんですか。へっへっへっへ、 よっ
ぽど
、 お高い御身分とやら
」
松造は、若さまの素性を話せとお蝶とお澄のほうに、すると、お澄が「石川五右衛門様の若さまです」と返答、それに対し若さまも「 お澄坊
、 その通りだ
」と笑っていると、
松造の隣りにいる男が、「 部屋住み
、おめえ皆がてめえの屋敷ん中のようにちやほやすると思ったら大間違いだぞ」
若さま「 どういう意味だね
」
松造 「のんびりしてやがら、 なら教えてやらあ
。てめえはさっさと屋敷へけえ
れ。おやじに隠れて 女中のけつでも追ってな
」
若さま「あいにく、 そんな趣味は持たないよ
」
すると、若さまの態度に我慢できなくなって「なら、 こうしてやらあ
」と 殴りかかってきたところを交わす
と、
若さま「要するに、 お前達は喧嘩を売っているんだなあ
。しかも押し売りだ。 わし
は買わんからさっさと帰れ
」
短刀を抜きかかって来る 男達を若さまは弓であしらいます
。
若さまは、 面白そうに笑う
と、「お前達、狂犬というのを知っているか」といいます。松造が「狂犬 ?
」というと、
若さま「やたらに牙をむいて噛みつきたがる、一番嫌われる野良犬だ」
男達が一斉に若さまに 噛みつこうとするのを見て
、
若さま「 騒ぐない
、店のものを壊せば、それだけで 人は迷惑する
。表へ出なさい」
「よーし、出ろ」と松造がいい男達は外に出て行きます。
続きます
。
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