ヘンリーの国際関係学

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July 6, 2005
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カテゴリ: カテゴリ未分類
アンネの家


「真実・事実」と「人の証言(ことば)を信じること」の境界線は何処にあるのか。
僕らは、何を「事実」として受け入れているのだろう。


授業で 「アララトの聖母(原題”ARARAT”、監督アトム・エゴヤン)」 を見た。
不思議なものが残る映画だった。

今日は「ストーリー」と「気になった台詞」、「ポイント」について書いてみようと思う。


<ストーリー>
一言で言うと、映画を作る映画。

1915年にトルコによるアルメニア人のジェノサイド(民族浄化)が行なわれた。

「起きたことの証さえ無い」のである。

この映画は、証言によって明らかになったその「事実」を、映画にしていく映画なのだ。

ゴーキーと言うアルメニア人をキーパーソンにしながら、
2つの家族の問題をも描きつつ、映画のシーンと現実とを交差させ、
複数の時間軸を並行で展開させていく。

内容は複雑だが、東洋的音楽や絵のカットなど、見所は多い。



<ポイント>
「真実・事実」と「人の証言(ことば)を信じること」の境界線は何処にあるのか、を考えさせられる。

この映画においては、少なくとも4つの境界線が用意されている。


(1)アルメニア人の虐殺が事実であるのかどうか
  →トルコ政府は今でも否定。



  →「自殺」と証言する母と、「殺された」と訴える男の恋人。


(3)主役の男が、トルコで「現像前のフィルムだ」と渡されたものが、麻薬かどうか
  →フィルムを渡した人間の言葉を信じ続ける男と、麻薬だと疑う税関職員。


(4)映画の撮影中のシーンに踏み込んできた、映画のアドバイザーの大学教授(主役の母)に対して、映画の役に入り込んだまま台詞を訴える役者
→現実と映画が交錯する。





その手順を通して、「事実としてのアルメニア人のジェノサイド」をより鮮明化させている。
「映画とはフィクションかもしれない。だが、ここで描かれていることは事実なのだ」と。



<気になった台詞>
「」の後に添えているのは、僕の“意見”です。


「彼には彼の神がいる」
ですよね。


「言葉を忘れないで」
ジェノサイドによって、歴史から消え去ろうとするアルメニア人。
ゴーキーの母は、子のゴーキーに”言葉”を託した。
言葉とは文化であり、民族のアイデンティティである。


「なぜ、我々を恨むのか」
アルメニア人の言葉。
特定の民族を恨む場合、まずは政治的根拠が在り、権力者が偽りの理由を後で添える。
ユダヤ人に然り。関東大震災後の「朝鮮人が井戸に毒を」とかもだろう。


「ヒトラーは将校たちにこう言った。『アルメニア人の殲滅を誰が覚えてる?』」
歴史は忘れないことが大事かと思いました。


「どうすれば忘れられますか?」
トルコ軍の蛮行を見た女性の証言。



<終わりに>
ってな訳で、かなり深い映画でした。

「嘘は、吐き続ければ真実になる」なんて言葉をどっかで聞いたことがありますが、
「知らなければ、それは事実では無い」って言葉もありそうですよね。


僕らが「事実だ」として受け入れているものの多くは、
自分に届くまでに様々な人の口を経て来ています。

そういった「言葉」を、我々に「事実」だと認識させるものは何なんでしょう。
どんな根拠があったんでしょう。


うーん、難しいです。





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Last updated  July 6, 2005 11:12:27 AM
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