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Mar 21, 2005
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カテゴリ: 軍事



 本項は上記にまとめたデータを元にした私個人の分析・見解である。

 まず純然たる独立紛争が意外に少ないのは、データの対象の時代が、第2次世界大戦後の植民地主義が衰退し弱体化した旧宗主国が独立運動を武力制圧しなかった(できなかった)時代だったため、ということが推察できる。

 内戦・反乱の偏りについては、大戦後に独立した国家の多いアジア、中東・アフリカ諸国がその大半を占める事実が、産声を上げて間もない若い国家が国内を安定させるのには時間がかかる、ということをあらわすものであると考える。

翻って欧州地域の内戦・反乱のほとんどが旧ソ連関係の国で起こっていることは、共産主義の強権で弾圧はされていても、人々の心には自由、自主自律を希求する気持ちが途絶えなかったことの現われではなかろうか、と希望的に推測する。

(独立紛争と内乱・反乱は厳密に区分するのが難しい戦争である。今回は便宜的に分けては見たものの、どうにもしっくり来ない部分があるためこの分析の項では一括してくくってみた。どちらがよりわかりやすいだろうか?)



 さて特筆すべき第一の項目は「国境・領土紛争」である。

総数は27件、このうちアジアに関わるものが15件、これに関わる国家名を列挙するとその恐るべき実態が見えてくる。

○紛争当事国となった回数



インド×5

パキスタン、ベトナム×3

インドネシア、マレーシア、イギリス×2

韓国、北朝鮮、台湾、ポルトガル、オランダ、フィリピン、ソ連、南ベトナム×1

 このうち、インドとパキスタンについては1~3次の印パ紛争をそれぞれ別個としてカウントしているため数値が増大している。これについて同じ地域を対象とし一時的な停戦をはさんで継続した紛争を1回とする条件を加えると数値が以下のように変わる。

○紛争当事国となった回数(改訂版)

アジアにおける領土紛争の総数は13に変更(世界全体では25に変更)

中国×6

インド、ベトナム×3

インドネシア、マレーシア、イギリス×2

パキスタン、韓国、北朝鮮、台湾、ポルトガル、オランダ、フィリピン、ソ連、南ベトナム×1



そして突出して多い国が一つ残っただけである。

突出して多い中国は実に6回、金門・馬祖砲撃(vs台湾、1954-78)、中印国境紛争(vsインド、1959-62)、中ソ国境紛争(vsソ連、1969)、西沙群島紛争(vsベトナム、1974)、中越紛争(vsベトナム、1979)、南沙群島紛争(vsベトナム、1988)と四つの国相手に領土紛争を行っている。

全世界で大戦後に27(または25)件しかない領土紛争のうち6回、すなわち20%超である。いかに領土欲に固執した異常な国かがよくわかるだろう。さらに言えば中国のアジア地域におけるほかの種類の戦争(援助・介入含む)を考慮すると、国共内戦(1945-49)、朝鮮戦争(1950-53)、チベット反乱(1959)の3つが加わり、全世界97件の紛争の実に10%に1国で関わっていることがわかる。(ただし現段階では中国はアジア圏以外での直接的な軍事力の行使は行っていない。また紛争ではないが天安門事件、チベットでの民族浄化、古くは文化大革命なども軍事力の行使という観点では考慮すべき要素であろう。)



 注目すべき第2の項目は「その他の紛争」で、特筆すべき国家は米国である。

ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン軍事作戦、イラク軍事作戦、ベルリン封鎖、キューバ危機に関係し、13件中の6件である。このほかの紛争では朝鮮戦争、レバノン出兵、ドミニカ内乱、グレナダ派兵にも関わっている。しかし、米国単体で紛争を起こした例は実はキューバ危機のみである。 



 また地域的にも、自ら「世界の警察」と名乗るだけあって、距離等に関わりなく全世界で満遍なく軍事行動を起こしているのも注目すべき点である。



(なお、旧ソ連については、現在では当時の指導体制とまったく異なるために考慮していない。もしカウントした場合を考までに述べると、ロシアを含めて7件である。意外に少ないと思われるかもしれないが、旧ソ連邦崩壊後の各共和国で起こった内戦はこれには含まれていないからである。)



 21世紀現在、世界の軍事パワーは米国、EU、中国を軸としている。これにやや落ちる形でロシアが続いている。このうちEUは国家の連合体であるため除くとして、単独の国家として巨大な軍事力を保有しているのは米中となる。(EUを除く理由は、結成以来各種軍事行動に関してはEU内の意見調整がつかず、統一見解・行動を行えないでいるからである。元がECという経済共同体だからであろうか?)

 2大軍事パワーのうち、最近「独自路線」を強調してはいるものの、キューバ危機を除き一貫して自陣側との合意に基づく複数国での軍事行動を基調とした米国と、建国以来常に単独国家で戦争を行いその3分の2が領土紛争だった中国、どちらが国家として他国との協調を重視しているかは、この歴史上の事実からも容易に推察できるのである。



9 米国だけが叩かれる原因分析

 前項までで私は、米国と中国は回数なら同じレベルで戦争に関わってきたことを示した。

(もちろんその質は大きく違う。米国は曲がりなりにも国連決議や多国間協議をベースに武力行使を決定したことが多いのに比べ(キューバ危機を除く)中国は領土紛争を主体としてすべての紛争を単独で行っている。)

 にもかかわらず、ネット上で人権を謳う多くの人たちは米国の戦争のみを否定し、諸悪の根源であるかのように罵り中国の戦争行為に関しては沈黙するのである。

 なぜか?

 米国と中国のその最大の差異が報道の自由にあるからである。

SARS発生時の報道、チベットでの民族浄化、沿岸部と内陸部の経済格差、天安門事件、日本からのODA。

中国は報道(情報)を内外で制限することでこれらを巧妙に他国から隠蔽してきた。

(日本国内ではこれに加えて、中国御用マスコミによる偏向報道の影響もあるだろう)

しかし米国は、従軍記者の同行、他国報道機関への情報開示、自国内の各種報道機関への原則とした情報統制の禁止など、さまざまな情報を開示することを基本とし遵守してきた。

 中国で「華氏941」のような映画を作ることができるだろうか?

 中国でクリントン事件のような国家最高指導者のスキャンダルの報道が許されるだろうか?

 中国で戦争を行うとき他国の報道機関はこれを取材できるだろうか?

 すべての答えは「否」である。

 米国はたとえ自国に不利な報道でもこれを報道するが、中国ではこれはない。

 米国はあらゆるWebに原則としてアクセス可能だが、中国ではそうではない。

 米国は軍隊の不祥事が内部告発され世界に報道され処罰されるが、中国はこっそりとする。

 米国の失敗は、敵対する国家はおろか同盟国いや米国自身からすらも明らかにされる。

 中国の失敗は、情報の操作で他国の目には触れない。

 米国は自らの掲げる報道の自由がある故に、失敗を見咎められ叩かれ続ける。

 中国は自らの情報を隠し続ける体制が故に、何をやっているかわからずわからないから叩かれない。

 長いので一言で表すとこうなる。

「米国は自らを公表しすぎるが故に、易々と得られる情報しか見たがらない者に叩かれる。」



10 結言

 そして今、中国では「反国家分裂法」が施行されようとしている。

中国の国内法が、他のあらゆる国家の法を凌駕すると言うきわめて危険な法律である。

彼らは他国への侵略行為を正当化する言い訳を作り出してしまった。

ところが不思議なことに、平和と人権について語ることを好み、従来は親中国のスタンスを取ってきたようなブログでこれについて意見を述べているところは極めて少ない。彼らは明確に目に見える情報だけに惑わされ、歴史的事実を見逃し、その真意を類推できないでいるのではないのか?



 いかなる個人・国家でもこのネットの時代にすべての情報を完全に隠しうることは困難だ。ましてや戦争や国家の意図などという巨大なものは、どう隠そうとしてもどこからか漏れ出してくるものである。

 我々はネットに氾濫する大量の情報に自由に触れうるが故に、かすかな情報を見逃してしまいかねない。特に書籍・論文として一定の権威を持つ人物が書いたことをただ鵜呑みにして、これを念仏のように繰り返し、自らの知性を活用することを放棄している人にこういった例が多々見受けられる。

 人間は知性を持っている。可能な限りの情報を集め、理論的に分析し、客観的に判断し、それを織り込んだ自らの意見を論理的に構成するだけの能力を持っているはずだ。

 情報と情報のつながり、歴史と現在のつながりを見逃すことなく、論理的に冷静に「今」を考えることこそが必要かつ重要なのだということを忘れることなく、ネットの情報を活用しなければならない。





☆付記

 この稿を書き上げてる最中に、福岡方面で震度6弱の大きな地震が発生した。

テレビ等で見る限り広範囲で相当な損害が出ているようである。被災された方々には心からお見舞い申し上げる。

 我々自衛隊の第4師団等も、県からの要請を受け災害派遣を行っている。

 被災地の方々は安心してほしい。

国も国民も、もちろん我々自衛隊も被災者の方々を見捨てるようなことは絶対にない。

 この場を借りて僭越ながら、被災者の方々が災害のショック・被害・悲しみから一日でも早く立ち直ることができるように、自衛隊はその実力を発揮してご助力させていただくことを宣言したい。





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Last updated  Mar 21, 2005 02:41:12 PM コメント(1) | コメントを書く


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