新発想ビジネスヒントフォーラムWEB2.0

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2007年05月23日
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「かつて細川政権が存在した」

さて、金丸信は逮捕された。

話を進めようとおもったが、やはりこの「墜落」劇は不思議だ。
この国では、われわれの感覚で最高権力者とおもわれるような人たちが続々と「墜落」してゆく。失脚というのではなく、墜落という印象がわく。田中角栄しかり、金丸信にしても、野中広務にしても政敵をたたき出し党内で隠然たる力を示しているその権勢ならびなき瞬間にあたかも狙撃されたかのように叩きのめされているという印象がわく。

 1992年。自分がはじめてパソコンを購入する一年前。まだ、ワープロでビジネス文書を多産していた時期だ。世間を揺るがす大事件としてメデアは金丸信の不正献金疑惑なるものに沸いていた。 金丸は<東京佐川急便の烏雄>渡辺広康から5億円を受領していた政治資金規正法違反で、その結果泰山鳴動罰金たったの20万円の略式起訴で終わった。

検察庁の看板石に早朝からあざやかなペンキがふりかけられ、街頭には月光仮面のプラカードをもったオヤジがあらわれた。忘れやすい日本の視聴者もかすかに記憶の底に残っているかもしれない。世論の激しさに検察庁幹部も肝が冷える思いがあったことだろう。

サンデープロジェクトでも、田原総一郎が毎回取り上げ番組に話題として登場した。のちに第一次橋本内閣で通産大臣にもなった塚原俊平など発言によどみ田原につっこまれると真顔で「だって怖いんだもん」とグズるしまつだ。いかに時の権力者というものが強力で怖いものか、という事だ。

金丸信が、どれほど凄い力があったかといえばあの野中広務に小沢一郎が発言した描写がある。




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金丸信についての逸話も一つ書いておく。
 「金丸先生の“お庭番”をやるように言われてね」
 JR京都駅新幹線八条口前の事務所。野中が国会議員になってそう日時が経っていなかった頃だ、と記憶している。古風な表現だったせいか表情は照れていたが、口調は満更ではなかった。
 “お庭番”とは、江戸幕府の職名で、将軍の直接の指示を受け、諸大名の動静、治績を探り報告するのが役目である。
 現代風に例えれば、選挙に備えて全国の情報を収集するような役割もその一つでもあろうか。野中は要するに「金丸側近」のお墨付きを得たことになるわけで、竹下とともに金丸からも“師”として政治を学び、信義を守ることになるが、「野中vs小沢」激突の構図は、その金丸をめぐってのものだけに根深かった。

野中広務 「素顔と奇跡」より







また、あの鈴木宗男を思い起こして欲しい。




鈴木宗男が最初、師と仰いだのは自民党旧竹下派の実力者だった故金丸信だった。初の総選挙、鈴木は非公認。金丸ですら「自力ではい上がって来い」と突き放した。「政治とは冷たいもんだと思った」。“力”をつけたい-。原点となった選挙体験が鈴木を走らせた。

 「自力ではい上がりました。公認、いただけますね」。1983年12月19日、鈴木は前日投票された衆院選での初当選を金丸に報告した。金丸が党執行部に掛け合い、その日のうちに追加公認が発表された。

 「恩師中川一郎を自殺に追いやった男」との疑いをかけられての選挙戦。自民党は鈴木を公認しなかった。この時に身にしみた権力の冷たさを語る時、鈴木はいつも涙で声を詰まらせた。

北海道新聞 「虚実 ~鈴木宗男を追う」

ことほど、左様に金丸信の巨大な存在感がつたわってくるエピソードを読み進むとあの時代の「墜落」劇のすさまじさが感じてもらえると思う。

ついにマスコミと世論に叩くだけ叩かれてサンドバック状態となり、議員を続けることはならず議員辞職する。最後に金丸信を追い込んだのは東京国税局という事になっている。

「検察秘録」
 村串栄一著 光文社 1500円




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問題の5億円をめぐって東京国税局が、申告されていないから脱税だと襲い掛かってゆく。

きっかけは、金丸信の夫人が他界して遺産を残した。どうやらその遺産の規模も半端ではない。相続遺産規模にして56億円。
金丸信は、妻からの相続で52億円を得たらしい。これを調べてゆくなかで金丸信の保有する日本債権信用銀行のいわゆるワリシンの不整合をみつけだしたとされている。あの日債銀だ。

つまり、日本の55年体制の「終焉」は、、、幕ひきは東京国税局が行なったかのようだ。金丸信の「墜落」で、一気に自民党総裁派閥はまっぷたつになったという大事件。それ以前にも、以後にもないような大事件がよりによって東京国税局の果敢な踏み込みで実現した。それは本当に、本当か?

その金丸信の容貌。
いまやインターネットを逆さまにふっても生前の画像が出てこない。



※2004年4月16日付日記のアーカイブスです。





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最終更新日  2007年05月23日 21時55分26秒
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