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土門拳記念館で「冬と、酒田と、土門拳」、「筑豊のこどもたち -Smile-
」を観てまいりました。
学芸員さんが変わり、記念館の展示も「寺・仏閣」多数から、市井の人々も多く展示されてきています。また、これまでの写真集にある写真の展示だけでなく、これまであまり展示されこなかったものが飾られていたのも好感が持てます。
私は、土門拳が撮った「昭和」が好きで、写真集も持っているのですが、なかなか大きなプリントで見る機会がありませんでした。最近、土門が「目をそらさず」と話していた広島(原爆)に始まり、今回は筑豊、三池炭鉱等の写真も展示されています。写真家土田ヒロミさんが「記録性」という言葉を使用して写真を語っておられますが、土門が撮った昭和はまさに、昭和の記録としても重要なものです。
ブレッソンが「決定的瞬間」(本人はこの言葉を使用しておらず「逃げ去るイメージ」が原題です)を撮ってから、センセーショナルなもの、人の目を引きやすいものが、土門に限らず写真集になったり展示されてきたように思います。今回、「筑豊のこどもたち」のコンタクトプリントや、子どもたちの明るい表情( Smile )や日々の生活感のある写真からは、これまでとはちがった筑豊、戦後の日本の表情を見ることができます。
また、土門の撮った酒田(「冬と、酒田と、土門拳」)が企画展示室 I で展示されています。酒田まつりの行列や神宿、人で賑わう屋台通りのほか、はんこたんなに身を包んだ行商の女性、宮野浦の渡し船(木村伊兵衛も撮影したことがある)など、酒田の歴史に欠かせないものの展示です。この中に、お世話になった「力也姐さん」の若い時の写真があります。市民表彰時に使われ、「土門が撮った力也さん」と話題になりました。
今回の展示を見ると、日本の昭和(戦後史)を語るうえで土門の写真は再解釈の必要があるように感じます。「古寺巡礼」、「室生寺」だけでなく、日本人が戦後歩んできた歴史を土門が語っている。そう感じた企画展示でした。
土門拳の昭和、筑豊のこどもたち、興味ある方はぜひ、御覧ください。